表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第三部「神葬と黎明編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

166/191

第166話:芳醇なる誤算、虚無の足音

1. 栄光という名の毒杯

蓮たちは、白銀の光が導くままに黄金の階段を上り続けていた。足元に広がる雲海はすでに遠く、彼らが守り抜いた開拓地「ゼロ」すらも見えないほど高い場所だ。


「蓮様、大天の核が見えてきました。あそこを叩けば、この理不尽な世界の理は完全に崩壊します」


ユリアが指差した先には、まばゆい光を放つ巨大な門がそびえ立っている。蓮はその門を見つめ、確かな勝利の予感に胸を高鳴らせた。彼の中に渦巻く「神を屠った」という高揚感は、白銀の虚無をより一層鋭く、強大なものへと変えていく。


だが、その高揚感こそが、上層で杯を傾ける神々にとっての「極上の仕込み」であることに、彼はまだ気づいていない。


2. 神域のソムリエ

真の「大天」では、四神による酒宴がさらなる盛り上がりを見せていた。


ファンタズムは指先で空間をなぞり、蓮たちが上っている階段の「糖度」を調整する。彼の手元にあるデキャンタには、蓮が勝利を確信した瞬間に溢れ出た精神エネルギーが、美しい琥珀色の液体となって溜まっていた。


「ねえ、見てよ。この輝き。純度百パーセントの『独善的な達成感』だ。これを少し寝かせて、後で絶望のスパイスを加えれば、歴史に残る名酒になると思わないかい?」


ファンタズムは陶酔した表情で、その液体をヴェスペラのグラスへと注いだ。ヴェスペラはそれを一口含み、官能的な吐息をつく。


「……たまらないわね。不純物がこれほどまでに『美味しい』感情を醸すなんて。今までの文明は、少し急がせすぎたのかしら。これからはもっと、彼らに希望を与えてから刈り取ることにしましょう」


彼らにとって、蓮たちはもはや敵ですらない。自分たちの喉を潤すための、意志を持った「果実」に過ぎなかった。


3. 不協和音の兆し

階段の終着点、光の門の前に辿り着いた蓮は、ふと足を止めた。右腕の白銀が、これまでにない奇妙な振動を起こしている。


「……蓮様? どうかなさいましたか」


ユリアが不安そうに問いかける。蓮は無言で、自分の掌を見つめた。 違和感の正体は、あまりにも「静かすぎる」ことだ。神を三柱も消滅させたというのに、この世界の法則が書き換わる気配が全くない。それどころか、空間に漂う魔力の密度は、先ほどよりもさらに濃密に、そして整然としていた。


「おい、神崎蓮。この門の向こう……嫌な予感がするぞ」


傲慢が低く唸る。彼の本能が、目の前の光景は「用意された解答」に過ぎないと警告を発していた。


「……ああ。俺も思ってたところだ。ファンタズムを消した時の手応え、あいつが言っていた『芸術』にしては、少し軽すぎた」


蓮が門に手をかけた瞬間、門の表面に無数の「目」が浮かび上がった。それは怒りや憎しみではなく、ただただ冷徹に、獲物の品質を見極める美食家の視線だった。


4. 舞台裏からの招待状

「あはは、気づくのが遅いよ、蓮くん!」


虚空からファンタズムの声が降り注ぐ。それは先ほど消滅したはずの男の声でありながら、より深く、より絶対的な響きを伴っていた。


「せっかく美味しいお酒が仕上がったんだ。君たちも、自分たちがどんな味になっているか、確かめてみたくないかい?」


門がゆっくりと開き、その向こう側に広がる「真実」が姿を現した。 そこには、倒したはずの四神が優雅に椅子に腰かけ、蓮たちに向かってにこやかに杯を掲げている姿があった。


「ようこそ、真なる大天の酒場へ。君たちの戦いは、実に素晴らしい肴だったよ」


断罪の秤を持つ神が、静かに、しかし残酷な事実を告げる。蓮の視界が、怒りではなく、理解不能な恐怖で白く染まり始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ