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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第三部「神葬と黎明編」

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第162話:十日目の黄昏、あるいは不純物の逆襲

1. 審判の極致:傾いた天秤

十日目。地上のあらゆる「意味」が摩耗し尽くした黄昏時。 ロゴスが降臨させた巨大な秤は、完全に蓮を「不要な重り」として断罪し、その皿は蓮の透明化した身体を飲み込もうとしていた。


開拓地の広場には、狂信者と化した民たちがひしめき合い、武器を手に取って蓮を取り囲んでいる。彼らの意志はヴェスペラに奪われ、ただ神の秩序を盲信するだけの自動人形。蓮が彼らの幸福を願えば願うほど、神の法はそれを「王としての傲慢」と定義し、民に蓮を殺すよう命じていた。


「さぁ、死ぬがいい! 貴様という不純物が消えれば、世界は再び神の慈悲に満たされるのだ!」


最前列にいたかつての仲間が、虚ろな瞳で蓮の胸元に槍を突き立てる。透明になった蓮の身体にはもはや抵抗する質量すら残っておらず、槍先は容易くその胸を貫通した。だが、そこから流れたのは赤い血ではなく、白銀の「虚無」の粒子だった。


2. 絶望の底からの再定義

「……そうか。お前たちの言う通りだ。俺は、王として失格だったよ」


蓮の声は、掠れているが不思議と凛として響いた。 槍で貫かれたまま、彼は周囲を取り囲む民たち、そして涙を流しながら自分を抱きしめようとするユリアたちを見つめる。


王という立場。民への責任。神への恐怖。死んだ部下への罪悪感。 十日間にわたる陰湿な災厄は、蓮から「人間としての重り」をすべて削ぎ落とした。しかし、すべてを削ぎ落とされた後に残ったのは、空っぽの器ではなく、神々の図案システムには決して描けない絶対的な個としての意志だった。


「俺は、みんなを救う王になろうとした。でも、それは神様が作った『正しい王様像』にハマろうとしていただけだ。……そんなものは、クソ喰らえだ」


蓮の透明な身体が、内側から白銀の輝きを放ち始める。 これは消滅ではない。神々のルールが適用されない、完全なる異物への変質だった。


3. 神々の円卓:綻びの予兆

大天だいてんの円卓では、四神が初めてその表情に「不快感」を滲ませていた。


「……何だ? 秤の重みが消えた。奴の存在が、私の審判から逸脱していく……」


「馬鹿な。秩序の網目から、あれほど巨大な質量がすり抜けるはずがない。奴は今、何を定義しているというのだ!」


ヴェスペラは、自分の標本箱から何かが漏れ出しているのを感じていた。蓮から奪い取ったはずの「感情」や「意志」が、彼女の権能を内側から食い破り、再び地上へと還流しようとしていた。


ファンタズムだけが、引きつった笑いを浮かべて叫ぶ。 「あはは……! 冗談だろ? あの英雄、自分が消えるんじゃなくて、世界そのものを俺たちの手から否定しようとしてるのか!?」


4. 白銀の玉座:不純物の逆襲

「俺はもう、お前たちの期待する王様じゃない。……俺を信じたい奴は、勝手に信じろ。俺を殺したい奴は、勝手に来い。俺は、俺が守りたいものを、俺の勝手で守るだけだ」


蓮が右腕を振り上げると、突き刺さっていた槍が分子レベルで崩壊した。 透明だった身体は、白銀の鎧を纏ったかのような神々しい実体を取り戻す。だがそれは神から与えられた力ではなく、彼自身の「生存本能」が結晶化したもの。


白銀の虚無シルヴァ・ヴォイドが波動となって広がり、狂信者たちの洗脳を、ヴェスペラの安寧を、ゼテスの戒律を、そしてロゴスの秤を、一瞬で「無価値な砂」へと変えていく。


「カイル、見ててくれ。お前に愚痴をこぼした情けない王様は、ここで死んだ。……これからは、俺という名の『理不尽』が、神様を分からせてやる番だ」


5. 十一日目の夜明け:反撃の号令

十日間にわたる災厄の幕が、皮肉にも神々の敗北によって閉じようとしていた。 色彩が戻り始めた世界で、蓮は自分に縋り付くユリアの頭を優しく撫でた。


「ユリア、怖がらせて悪かったな。……もう、神様の言いなりになる必要はない」


蓮の背後には、正気を取り戻した民たちと、かつてない戦意を宿した部下たちが立ち上がる。そして、その様子を離れた場所から見ていた傲慢スペルビアが、不敵な笑みを浮かべて前に出た。


「……ようやくか。期待外れで終わらなくて良かったぞ、神崎蓮。貴様がその『白銀』を掴んだのなら、私も全力を出す価値があるというものだ」

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