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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第三部「神葬と黎明編」

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第150話:神無き玉座の守護、あるいは不干渉の条約

1. 聖女の撤退命令

「……ここまでね。一度引き上げるわ」


光の洪水が止み、エレオノーラの「慈愛の波動」が霧散した一瞬の隙を突いて、アルマが冷徹な声を響かせた。彼女の赤い糸が、蓮たちの足元で円環を描き、次元を繋ぎ止める仮初の門を形成する。


「なっ、退くのかアルマ! あいつを……あの女神をこのままにしておくのか!」


蓮が右腕の虚無を構えたまま叫ぶ。だが、アルマの瞳は感情を削ぎ落とした氷のようだった。


「今の貴方たちでは、次の階層へ進んだ瞬間に『概念』ごと消滅するわ。ユリアの覚醒も、傲慢の出力も、私の想定を超えてはいるけれど……まだ足りない。刃を研ぎ直す時間が必要よ」


「……癪だが、この蜘蛛女の言う通りだ。神崎蓮、貴様の今の呼吸は乱れすぎている。そんな状態で殺しても、私の復讐は完遂されん」


傲慢スペルビアは忌々しげに吐き捨てながらも、既に退路を確保するように蓮の背後へ回っていた。一行はアルマの赤い糸に引かれ、眩い不協和音の聖域から、再び泥にまみれた地上の荒野へと弾き出された。


2. 空白の世界、神々の天秤

開拓地「ゼロ」の冷たい風が、蓮の熱くなった頬を打つ。 地上に戻った蓮は、空にぽっかりと開いたままの「大天」への亀裂を見上げ、焦燥に駆られた。


「アルマ、俺たちがこうして戦力を整えている間に、またあいつらが攻めてきたらどうする? この世界全体が、さっきみたいな神の厄災を食らったら……今度こそ終わりだぞ」


蓮の懸念は正しかった。地上と大天の圧倒的な力差を見せつけられた今、この世界は神々の気まぐれ一つで吹き飛ぶ薄氷の上の箱庭に過ぎない。


だが、アルマは崩れかけた石壁に背を預け、冷淡に首を振った。


「心配いらないわ。神々も一枚岩ではないの。彼らの中にも、醜い派閥争いと、絶対的な『不干渉の法』が存在する」


3. 神無き地の防壁

アルマは、かつて蓮が神を殺し、理を砕いた場所を指差した。


「この世界は、かつて蓮が倒した『あの神』の領地だったわ。そして今、ここは**『あるじ不在の空白地』**。神々の法において、他者の領地を安易に侵食することは、大天全体の秩序を揺るがす禁忌タブーなのよ」


「……つまり、地主がいなくなった土地には、他の神も勝手には入れないってことか?」


「ええ。アレックスのようなイレギュラーや、エレオノーラのような『慈悲』を口実にした介入はあっても、大天の主力部隊が直接この世界を滅ぼしに来ることはないわ。ここは神が存在しないからこそ、皮肉にも神々からの不可侵が守られている『聖域』なの」


アルマの言葉に、蓮は僅かに胸を撫で下ろした。 理不尽な神々の世界にも、彼らなりの「身勝手なルール」がある。それが、今の彼らに与えられた唯一の猶予期間だった。


4. 潜伏と研磨の始まり

「さあ、そうと決まればさっさと準備を整えよう。ユリア、お前のその力……さっきの戦いで見せた身のこなしを、もっと確実に自分のものにするんだ」


「はい、蓮様。……私、自分がどうしてあんな風に動けたのか、自分でも驚いています。でも、貴方の隣にいるために、この力を磨き抜きます」


ユリアの瞳には、かつての儚い少女の面影はない。その奥底には、大天の不協和音さえも己の拍動に変える、強靭な戦士の魂が宿りつつあった。


傲慢は少し離れた場所で、腕を組みながらその様子を冷ややかに見守っている。


(……神無き世界、か。皮肉なものだ。私たちが自由を謳歌できるのは、あの男が神を殺した『空白』の中だけ。……ならば、その空白が埋まる前に、私はこいつの全てを奪い取る準備をせねばならん)


傲慢は、蓮に気づかれぬよう、自らの影の中に蓄積された「変質した六つの大罪」の力を、さらに禍々しい形へと練り上げ始めた。

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