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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第三部「神葬と黎明編」

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第149話:不協和音の洗礼、あるいは神域の蹂躙

1. 概念の衝突:慈悲の濁流

大天だいてんの第一層に足を踏み入れた瞬間、蓮たちの五感は、世界を編む「多層的不協和音織たそうてきふきょうわおんおり」の猛烈なノイズに晒された。


「……ッ、こいつは……!!」


蓮は右腕を突き出し、噴き出す虚無を物理的な障壁として展開する。正面から迫りくるのは、女神エレオノーラが放つ「慈悲の雨」――触れた者の自我を溶かし、神の図案の一部へと強制的に還元する光の針だ。


蓮の虚無と神の光が激突するたび、周囲の空間が「意味」を失ってパキパキとひび割れる。 その横を、疾風のごとき影が駆け抜けた。ユリアだ。


「蓮様、私が道を抉ります!」


ユリアはかつての騎士としての型を捨て、大天に満ちる不協和音の波を捉えるように身を翻した。神の放つ絶対的な「定義」の隙間を縫い、彼女の剣閃が空を裂く。ただの鉄塊であるはずの彼女の剣は、神の光に弾かれるどころか、不自然なほど滑らかに、まるで「最初からそこにあった裂け目」をなぞるようにしてエレオノーラの防壁を断ち切った。


2. 傲慢なる観測:背後からの視線

「ふん、小癪な。……だが、その動き……」


蓮の背後、絶妙な距離を維持しながら黒紫の雷鳴を放つ傲慢スペルビアは、唇を歪めながらも、その瞳は機械的な精密さで蓮とユリアを「走査スキャン」し続けていた。


(……神崎蓮。心拍数、通常時の1.4倍。右腕の虚無の出力、最大値の82%。汚染速度は想定内だが、問題はあちらだ……)


傲慢は変質させた「嫉妬インヴィディア」の力で空間を歪め、エレオノーラの追撃を逸らしつつ、ユリアの背中に冷徹な視線を刺す。


(あの女……ユリア。地上の理で再構築されたはずの魂が、なぜ大天の不協和音を『自分の血肉』として処理している? 私が長年かけて蓄積した蓮の『監視データ』を照らし合わせても、今の彼女の成長曲線は論理的に破綻している。……まるで、神域に住まう者が人間の皮を被っているかのようだ)


傲慢は苛立ちを隠さず、変質させた「憤怒イラ」の魔力を拳に凝縮し、迫りくる神の糸を粉砕した。彼にとって、この戦いは復讐の対象である蓮を守るという屈辱に加え、己の理解を超えた「変数」があまりにも多すぎた。


3. 聖女の演技:観察者の微笑

「ああ、もう……! 糸が、糸が足りないわ!」


アルマは額に大粒の汗を浮かべ、苦しげな声を上げながら赤い糸を四方に飛ばしている。彼女は自身の命を削り、蓮たちの盾となって神の猛攻を一身に引き受けているように見えた。


だが、その視線の奥にある冷徹な光を、蓮たちはまだ知らない。 アルマの指先は、戦場を支える糸を紡ぎながらも、同時に「観測計」として機能していた。


(いいわ……。蓮は感情の高ぶりと共に虚無の深度を増している。そしてユリア……貴方のその力、やはり私の予想通り、この『不協和音』と共鳴しているのね。……本物の神とこれだけ善戦できるのは、貴方がこの世界を編むための『特別な不純物』だからこそ……)


アルマは、わざとらしく膝をつき、必死さを演出する。 仲間がどこまでこの理不尽に通用するのか。自分の「未来」を取り戻すための刃として、どの程度の研磨に耐えうるのか。彼女にとってこの戦場は、最高難度の「検品場」に過ぎなかった。


4. 結末:不釣り合いな絶域

「おのれ……人間ごときが、私の図案を汚すなど……!!」


エレオノーラが逆上し、千の目を持つ衣を大きく広げた。 空間そのものが「神の慈愛」という名の絶対零度の牢獄へと変わり、全てを静止させようとする。


蓮の虚無が激しく明滅し、傲慢が咆哮と共に七大罪の力を解放する。そしてユリアが、神の心臓を目がけて、概念すら切り裂く最後の一撃を放った。


爆散する光。 吹き飛ばされる一行。 辛うじてエレオノーラの「定義」を退けたものの、蓮たちが手にしたのは勝利の味ではなく、全身を苛む致命的な疲労と、魂が摩耗していく異様な感覚だった。


蓮は震える腕でユリアを抱き寄せ、周囲を見渡した。 そこは、まだ第一層。この先には、これ以上の絶望が幾重にも重なっている。


「……ハァ、ハァ……。何とか、しのいだか……?」


「……ええ。ですが、蓮様……」


ユリアの瞳に、初めて暗い影が差す。 アルマは疲れ果てた表情で、しかしどこか満足げに空を仰いだ。


全員が、己の最高点の本気を出し切った。 ユリアは神と対等に渡り合い、傲慢は世界の理を捻じ曲げ、蓮は虚無で全てを拒絶した。 だが、その限界を超えた奮闘の果てに、彼らは突きつけられた。


この場所、この階層、この絶望。 神崎蓮という英雄を以てしても、今の彼らには―― このステージは、あまりにも「早すぎた」のだ。

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