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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第三部「神葬と黎明編」

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第143話:標本箱の崩壊、魂の還流

1. 七罪と虚無の二重奏

天を埋め尽くす黄金の歯車が、悲鳴のような軋みを上げる。 傲慢スペルビアが掲げた右手に、かつての同胞たちの影が収束していく。それはもはや単なる力ではなく、敗北を糧に純化された純粋な執念の結晶だった。


嫉妬インヴィディア。その黄金の定義、そっくりそのまま私に寄越すがいい」


傲慢が冷徹に告げると、アレックスが展開していた黄金の絶対領域が、鏡合わせのように反転した。簒奪者が「所有」を主張する空間を、傲慢の影が「模倣」し、その支配権を強引に奪い取っていく。


その隙を、蓮は見逃さない。 右腕の虚無が、暴食グラの渇きを吸い込み、巨大な顎となって黄金の天を噛み砕く。消去と捕食が混ざり合った漆黒の衝撃が、アレックスが作り上げた世界の境界線に、修復不能な亀裂を刻み込んだ。


2. 溢れ出す標本、光の奔流

「やめろ……! 私のコレクションに、その汚い手を触れるな!」


アレックスの絶叫と共に、天空に浮かぶ巨大な黄金の球体――標本箱が大きく震えた。 蓮の一撃が外壁を砕いた箇所から、眩いばかりの光が溢れ出す。それはアレックスが新世界のあらゆる場所から奪い去った、数百万、数千万の人々の記憶と魂だった。


黄金の粒子となって固められていた魂たちが、簒奪の呪縛から解き放たれ、光の雨となって地上へ降り注ぐ。 砂へと変えられていた開拓民たちが、その光を浴びて次々と色を取り戻し、絶望に凍りついていた荒野に、再び「生」のざわめきが戻り始めた。


だが、その解放は同時に、世界の重力を狂わせる。 アルマが編み上げた脆い現実が、膨大な情報の還流に耐えきれず、激しく揺らぎ始めた。


3. アルマの糸と、沈黙の観測

瓦礫の山で糸を操るアルマの周囲に、解放された魂の光が渦巻く。 彼女の指先にある透明な糸は、もはや蓮やアレックスを縛るためではなく、崩壊の危機に瀕した「世界の器」を繋ぎ止めるために、狂ったような速度で動いていた。


「……皮肉なものね。簒奪者が集めた重みが、逆にこの不完全な世界を安定させていたなんて」


彼女の瞳は依然としてどちらの勝利も望んでいない。 だが、その視線は、標本箱の奥底から現れた「ある一点」に固定されていた。 そこには、他のどの魂よりも強く、禍々しいまでに透き通った蒼い輝きがあった。


4. 標本箱の核、ユリアの真実

「見つけたぞ……」


蓮は、激しい頭痛に耐えながら空を仰いだ。 砕け散った黄金の城の最深部。そこに鎮座していたのは、巨大な結晶の中に封じ込められた、一際まばゆい魂の断片だった。


地上で蓮の虚無によって繋ぎ止められている「白髪のユリア」。 だが、標本箱の核として輝いているのは、アレックスが彼女から奪い取った、真の意味での「騎士団長ユリア」の全定義。 記憶、技術、そして蓮への愛の根源――彼女の魂の「本体」であった。


「……アレックス。お前、彼女の魂を二つに割って、一番大事な部分を箱の動力源にしていたのか」


蓮の右腕が、怒りで黒い業火を吹き上げる。 地上にいるユリアは、ただの肉体と残響。 空にあるのが、彼女という存在の真実。 その二つが揃わない限り、彼女が真に救われることはない。


アレックスは、砕け散った城の残骸を纏い、狂気じみた笑顔で蓮を迎え撃つ。 「そうだ。彼女の愛こそが、この世界を支配する最も強固な基盤だった。蓮、それを壊せば、地上にいるあの女(人形)もただの死体に戻るぞ!」


究極の選択。 目の前の偽りの温もりを守るか、空にある真実を求めて全てを壊すか。 傲慢が横で不敵に笑い、蓮の背中を無言で促す。

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