表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第三部「神葬と黎明編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

139/191

第139話:忘却の狂戦士(バーサーカー)、黄金を喰らう闇

1. 魂の摩耗、空白の咆哮

脳髄が焼けるような異音が響く。一撃。黄金の腕を漆黒の虚無が粉砕するたび、蓮の脳裏から鮮やかな色彩が一つずつ剥ぎ取られていく。


(……あいつは、誰だ)


視界の端で、黄金の結晶に呑み込まれそうになりながら叫んでいる獣耳の少女。彼女が流す涙の理由が分からない。共に戦い、泥を啜り、夜の静寂を分かち合った記憶。その全てが、アレックスを打ち倒すための「質量」へと変換され、消えていく。


記憶の喪失と引き換えに、右腕の痣は脈打ち、膨張を続けた。それはもはや魔法でも能力でもない。この世の全てを「無」へと回帰させる、理不尽なまでの拒絶の塊。蓮の瞳からは理性の光が失せ、ただ標的を屠るためだけの、底なしの淵のような闇が宿り始めた。


2. 簒奪の誤算、空虚なる器

「……なんだ。貴様、何を変質させている!」


アレックスの貌が、初めて驚愕に歪んだ。彼は蓮の「英雄としての定義」を奪い、自らの糧にしようと簒奪の触手を伸ばす。だが、触れた先にあるのは、奪うべき価値も、守るべき自己も存在しない、空虚な深淵。


奪おうとすればするほど、アレックスの黄金の輝きが蓮の虚無に吸い込まれ、色を失っていく。簒奪者にとっての最悪の天敵。それは、奪うべき「有」を自ら捨て去り、純粋な「無」へと成り果てた、この忘却の狂戦士であった。


蓮は言葉を発しない。ただ、獣のような足取りで間を詰め、折れた剣の先から漆黒の衝撃を叩きつける。その一振りごとに、新世界の地平が物理的に削り取られ、黄金の支配域が灰色の静寂へと上書きされていった。


3. アルマの選別、冷徹なる糸の行方

戦況を凝視していたアルマが、ゆっくりと指を動かす。彼女の透明な糸が、暴走する蓮の四肢に絡みつき、その勢いを僅かに削いだ。


「蓮。貴方は今、世界を救っているのではないわ。……ただ、自分という人間を消去して、大きな『穴』を作っているに過ぎない」


彼女の糸は、蓮を助けるためではない。蓮という「虚無の穴」が広がりすぎ、新世界そのものを飲み込んでしまわないよう、境界線を引いているのだ。彼女にとって、蓮の自我が消えることは「世界の安定」のための些細な代償に過ぎない。


アルマは同時に、アレックスの背後にも糸を這わせる。 「アレックス。貴方が彼を喰らいたいなら、私にその価値を見せなさい。……どちらが残るべき『理』なのか、私が測ってあげる」


4. 序章の臨界、砂の如き決別

「……蓮、さん……嘘、でしょ……?」


黄金の檻から辛うじて脱出したフィーネが、呆然と蓮を見つめる。 蓮の視線が彼女を捉えるが、そこには親愛も、慈悲も、かつての約束の記憶も微塵も存在しない。彼はただ、彼女の背後に迫る黄金の影を消し去るために、無感情に虚無を解き放つ。


その衝撃の余波で、少女たちは吹き飛ばされ、泥にまみれる。助けられたはずの彼女たちが感じたのは、安堵ではなく、隣にいたはずの男が「全く別の何か」に変質してしまったことへの絶望であった。


蓮の体から、サラサラと白い砂が零れ落ちる。 肉体すらも、虚無を維持するための代償として崩壊し始めている。 アレックスは、その隙を見逃さない。


「面白い。ならば、その『無』ごと、私が支配してやろう!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ