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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第三部「神葬と黎明編」

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第138話:侵食する黄金、虚無の限界

1. 黄金の絶対圏、静止する生命

空を覆い尽くす黄金の巨大なかたちが、嘲笑うように口を開く。そこから吐き出されたのは、物理的な熱量ではない。「所有」という名の概念そのものだ。


降り注ぐ黄金の飛沫は、大地に触れた瞬間に植物を金属へと変え、逃げ惑う民の脚を物理法則ごと地面に縫い付ける。それは生命の躍動を否定し、永遠の静寂の中に閉じ込める「標本箱」の完成を意味していた。


「無意味だ、蓮。貴様の虚無は『消去』に過ぎないが、私の簒奪は『保存』だ。この世界の全てが私の所有物となる時、死も苦痛も存在しない完璧な秩序が生まれる」


アレックスの声が、天から地へと轟く。彼の背後に浮かぶ無数の黄金の歯車が噛み合い、新世界の定義を強制的に書き換えていく。


2. 摩耗する自我、黒き業火の代償

蓮は地を蹴った。 右腕から噴き出す漆黒の虚無。それは黄金の侵食を唯一押し留める、絶望の防波堤だ。


激突。


黄金の腕と黒い拳が交錯するたび、周囲の空間がガラスのように砕け散る。蓮は一撃ごとに、自分の中の「何か」が削れ、消えていくのを実感していた。 昨日食べた食事の味。 幼い頃に見た空の色。 そして、今この戦場にいる理由。 それらが、黄金を消し去るための「燃料」として、容赦なく消費されていく。


「……ハァ、ハァ……。お前の理屈など、知ったことか」


蓮は左手で折れた剣を抜き、自分の右腕に刻まれた虚無の痣を強引に切り裂いた。溢れ出したドロドロとした黒い衝動が、さらに濃度を増してアレックスの黄金の障壁を侵食していく。


3. アルマの傀儡、因果の境界線

戦場の中央。 アルマは、瓦礫の山に腰を下ろしたまま、指先から伸ばした「透明な糸」で空中を弄んでいた。 彼女の糸は、蓮の背後へと伸び、彼を襲おうとした黄金の触手を絡め取る。だが、同時にその糸は、アレックスが蓮の死角へ回り込むための足場をも形成していた。


「……救済とは、どちらか一方に加担することではないわ。蓮、貴方が『個』としての自分を捨てるなら、私は貴方を新世界の核として編み込む。アレックス、貴方が『全体』としての神を全うするなら、私は貴方を新しいルールとして定義する」


アルマの瞳は、どちらの勝利も願っていない。彼女が見つめているのは、この戦いの果てに「世界というシステム」がどう安定するか、その一点のみ。彼女の動向は、戦況をさらに混迷へと突き落とす。


4. 標的の転換、卑怯者の焦燥

アレックスの巨大な貌が、標的を変えた。 彼が狙いを定めたのは、蓮ではなく、後方で祈りを捧げるフィーネと、必死に剣を構えるリサ、そして計算機を叩き続けるセラフィナだ。


「蓮、貴様が自分を削って世界を救うというのなら、まずは目の前の『大切なもの』から失っていく絶望を味わえ」


黄金の雨が、少女たちを包囲するように降り注ぐ。 リサが咆哮を上げ、獣の膂力で応戦するが、空間そのものを固定する黄金の力に、徐々にその動きが封じられていく。


「……やめろ……!!」


蓮は叫んだ。 その瞬間、彼の脳裏から、リサと出会ったあの日の記憶が、火花を散らして消失した。 誰だ。あの獣耳の少女は。 なぜ、俺はこんなに胸が痛い。


記憶の空白。 理性の欠落。 だが、その欠落を埋めるようにして、右腕の虚無が暴走を始める。 大切なものを忘れるたびに、力は増していく。

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