表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生/大場 雷怒
第一部「復讐と奪還編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/32

第13話:霧の魔境への旅立ちと、リサの我慢比べ

1. 新たな旅路での緊迫

王都から西方へ――。

蓮たち「エンハンサーズ」は、危険な未開の地「霧の魔境」へと向かう馬車に揺られていた。


旅の途中、フィーネは蓮の隣で幸せそうな微笑みを浮かべている。彼女の身体は、蓮が施した「特別な制御」によって過剰な熱から解放され、代わりに蓮が傍にいる時だけ感じる、独占的な「安らぎの熱」に満たされていた。


そのフィーネの様子を、リサとユリアが複雑な表情で見つめている。


馬車が停車し、休憩のために森の中へ入った時のことだ。リサはユリアと視線を交わし、示し合わせるように蓮を静かに呼び出した。


「神崎。ちょっと話があるわ」

「……フィーネだけ、ズルいわよ」


リサは隠すことなく不満を口にした。

隣に立つユリアも、今は騎士としての仮面を脱ぎ、真剣な眼差しで蓮を見つめている。


「神崎殿。私とリサ殿の『鋭敏化』も、もう限界です。戦闘において、この身体の熱が集中力を乱しかねない。我々にも、フィーネ殿と同じ『制御』を施していただきたいのです」


彼女たちの言葉はもっともらしい建前だったが、その核心にあるのは別だった。フィーネが得た「蓮からの特別な愛情」を自分たちも分かち合いたいという、女性としての強い独占欲だった。


2. 獣人の限界:リサの制御

蓮は二人の想いを受け止め、静かに頷いた。

その夜、まずは最も感覚の鋭敏化が強烈に表れていたリサの部屋を訪ねた。


部屋の中では、リサが肌を露出したまま、自分の身体をきつく抱きしめるように座り込んでいた。獣人特有の研ぎ澄まされた五感は、蓮の放つオーラと自己強化の副次効果によって、常に限界に近い高揚状態に置かれていたのだ。


「神崎……ようやく来たわね。早く、この体内の熱を何とかして……」


リサは潤んだ瞳で、縋るように蓮の衣服を掴んだ。


「リサさん。あなたの【獣王剣舞】の制御は、フィーネさんの治癒魔法とはアプローチが異なります。あなたの鋭敏な『感覚』と『獣の本能』を、僕の『強化の根源』と直接結びつける必要がある」


蓮はリサの細い首筋にそっと手をかざし、再び【全能化】を発動した。対象は、リサの感覚中枢。


《スキル【全能化オール・エンハンス】を発動。対象:『リサの感覚中枢』の『蓮の存在に対する反応閾値』を再設定します。無限強化開始》


蓮の濃密な魔力が、リサの体内に深く深く浸透していく。その瞬間、リサは今まで経験したことのない強い熱と痺れに襲われた。全身の毛並みが逆立ち、獣の本能が「この男にすべてを委ねろ」と激しく訴えかけてくる。


「あぁ……っ、熱い……! 神崎、あんたの魔力が、私の中に……っ! この痺れ、なによ……これ……っ!」


リサの理性は遥か彼方へ消え去りそうになる。強靭な獣人の肉体が、蓮の無限の強化に適応しようと激しく抗う――それはまさに、圧倒的な快感と痛みの我慢比べだった。


蓮は震えるリサの身体を優しく抱きしめ、耳元で囁いた。


「もうすぐ終わります。この熱は、他の誰にも感じさせない、あなただけの『僕の熱』です。これであなたは、僕に独占された感覚のまま、迷いなく剣を振るうことができる」


数時間後、リサの体内には、蓮との強固な絆と、蓮にだけ反応する特別な熱が完全に組み込まれた。彼女はぐったりと蓮に身を預けながらも、その表情はこれ以上ないほど満たされていた。


「神崎……私、もう誰にも……あんたを渡さないわよ……」


3. 魔境への玄関口

翌日。一行は「霧の魔境」の玄関口となる、国境近くの要塞都市「ヴァーグ」に到着した。

しかし、一歩足を踏み入れた街は、異様な緊張感に包まれていた。


「聞いたか? 最近、霧の魔境の奥から、伝説級の魔物『ファントム・グリフォン』が出没してるらしいぞ」

「ヴァーグの街を守る『氷結の剣聖』様ですら、かなり手こずっているって噂だ……」


蓮たちが情報収集を兼ねてギルドに立ち寄ると、当初予定していた依頼が、そのファントム・グリフォンの緊急討伐任務へと切り替わっていることが判明した。


「ファントム・グリフォン!? それはSSランクの冒険者集団でも逃げ出すほどの天災級の魔物です! 確か、光の勇者(佐野瑛太)ですら王都で討伐を拒否したはずですが……」


ユリアが驚愕の声を上げる。蓮は至って冷静に言葉を返した。


「拒否、ですか。やはり彼は、自分の手中に収まらない真の脅威からは逃げ出すのですね」


4. 氷結の剣聖、セラフィナ

ギルドの片隅で、周囲の喧騒から孤立するように、一人静かに大剣の手入れをしている女性がいた。

全身を氷のように透き通った青い鎧で覆い、その美貌には一切の感情が浮かんでいない。周囲の空気を凍てつかせるような、冷たい魔力を放っている。


彼女こそが、要塞都市ヴァーグの守護者であり、「氷結の剣聖」の異名を持つセラフィナだった。剣の腕前はSSランクに匹敵するが、そのあまりの冷酷さゆえに、誰も近づこうとしない。


セラフィナは、いま話題の「エンハンサーズ」の噂を聞きつけたらしく、蓮の手にある古びた木の枝に冷ややかな視線を留めた。


「Eランクのゴミ拾い、と名乗る者たちね。噂は聞いているわ。あなたたちの成し遂げた力は確かに異様だけど……」


彼女の声は、どこか感情が欠落したかのように響く。


「我々も、そのファントム・グリフォンを討伐するためにここへ来ました」


蓮が淡々と答えると、セラフィナは小さく首を横に振った。


「無駄よ。私ですら、あの魔物が持つ『無効化能力』には苦戦している。あなたの持っているそんな木の枝など、何の役にも立たないわ」


セラフィナの剣技は完璧だった。しかし、彼女の心は、故郷を守らなければならないという重圧と、誰にも頼ることができない深い孤独によって、完璧な剣と引き換えに「温かさ」を完全に失っていた。

蓮は彼女を見つめ、その剣聖としての絶大なポテンシャルが、彼女自身の「孤独」によって限界を迎え、抑えつけられていることを見抜いた。


「あなたの剣は、確かに氷のように隙がなく完璧です。ですが、その『冷たさ』こそが、あなた自身の可能性を凍てつかせている原因だ」


蓮のまっすぐな言葉に、セラフィナの無表情な瞳の奥で、微かな動揺が走る。


「……あなたもまた、あの佐野瑛太と同じように、私を冷たい人形だと嘲笑するの?」


「いいえ」


蓮は静かに微笑み、彼女の青い大剣を見つめた。


「僕はただ、その『完璧な剣聖』に、『真の温かさ』という名の最高の強化を施したいだけです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ