第11話:王女との再会と、強まる魅了の波動
1. 王城からの指名
光の勇者・佐野瑛太による暗殺未遂事件は、王都を震撼させた。その結果、王は瑛太の全権限を剥奪し、彼を厳重な監視下に置くことを決定。代わりに、短期間で次々と偉業を成し遂げた**『エンハンサーズ』**に白羽の矢が立った。
新たな依頼は、王城内に存在する機密ダンジョン**「禁断の魔導書庫」の調査。古代の文献が眠るこの場所の調査責任者として、王女エリシア**が蓮たちを指名した。
王城の謁見室。絢爛豪華な部屋で、蓮たちを待っていたのは、気品あふれる金髪の少女、王女エリシアだった。
「ようこそ、エンハンサーズの皆さん。あなたがたを指名したのは、現在の王都において、光の勇者の汚い手に染まっていない、唯一信頼できる実力者と判断したからです」
エリシアは毅然とした態度で告げるが、その視線は蓮の一点に集中していた。彼女は過去の調査依頼で一度蓮と接触しており、その時に感じた規格外の力と魅力を忘れていなかった。
フィーネとリサは、エリシアの蓮を見る視線が**「仲間への信頼」**以上の熱を帯びていることを察し、わずかに警戒した。
2. 禁断の魔導書庫へ
調査の目的は、書庫の最奥に隠された**「失われた古代の契約書」**の回収。それは、外交危機に瀕している王国の窮地を救う鍵となる可能性があった。
エリシアは護衛を数名連れていたが、蓮は首を横に振った。
「必要ありません。僕たちが、ユリア殿と協力して制圧します」
蓮は、以前に**【全能化】で強化したユリアの『危険察知能力』が、この機密ダンジョンでも有効であると考えた。そして、何より、第三者を入れれば、【全能化】の秘密**が漏れるリスクがあった。
ダンジョンの入口である、王城の地下深くに続く螺旋階段を降りていく。ユリアは、蓮の隣で、相変わらず顔を赤らめていた。
(なぜだ……神崎殿の隣にいると、騎士としての集中力は高まるのに、それとは別に、全身の血の巡りが異常に熱くなる……)
ユリアは、フィーネやリサから感じていた**「蓮のチートがもたらす副次効果」**を、自身も強く自覚し始めていた。
3. 王女の素顔と魅了の波動
魔導書庫の内部は、魔力を帯びた巨大な書籍が床から天井まで積み重なる、迷路のような空間だった。古代の魔導書を守るために、自律型のゴーレムや、幻影を見せる魔術トラップが満載されていた。
ゴーレムが突如、本棚の影から出現する。
「リサさん!」
「任せな!」
リサは**【獣王剣舞】**の敏捷性でゴーレムを一瞬で切り刻む。その圧倒的な実力に、エリシアは目を奪われた。
「これが、Eランクの底辺と追放された獣人だと……?信じられない」
その時、エリシアが誤って、床に描かれた**『精神干渉の魔法陣』**を踏んでしまった。魔法陣が発動し、エリシアの瞳が虚ろになる。
「……あの方こそ、私の本当の勇者……光の勇者様こそが、私を救ってくださる……」
エリシアは、瑛太に魅了される幻影を見せられていた。
蓮は即座にエリシアに駆け寄り、彼女の額に手をかざした。
「【全能化】!対象:『エリシア王女の精神力』の**『幻影耐性』**を向上させます。無限強化!」
蓮の無限強化された魔力が、エリシアの精神に注ぎ込まれる。
エリシアは激しい頭痛とともに、幻影から解放された。そして、間近に見る蓮の真剣な瞳と、彼女の頭に置かれた蓮の手から伝わる異常な熱に、全身の感覚が覚醒した。
「はっ……私は何を……?」
彼女の精神力は、蓮の強化によって、王族としての強い理性を保ちながらも、蓮の存在を最も価値あるものとして認識するように書き換えられていた。
エリシアは、蓮に支えられたまま、思わず蓮の胸元に顔を埋めた。
「神崎様……。ありがとう。あ、あなたは……本当に、この国にとって必要不可欠な存在ですわ……」
彼女の理性は、**「必要不可欠」という言葉を選んだが、その心臓は、「手放したくない」**という女性としての欲求を強く訴えていた。
4. 忠誠心とハーレムの始まり
幻影トラップを乗り越え、蓮たちは書庫の最奥で、目的の「失われた古代の契約書」を発見した。
任務を完了したエリシアは、蓮たちに深い信頼を寄せた。
「神崎様。あなたがたの力と、その真摯な人柄は、あの佐野瑛太とは天地の差があります。どうか、これからも私と、この国のために、その力を貸してくださいませんか」
エリシアは、蓮の目を見て、王女としての立場を越えた、個人的な懇願を伝えた。
蓮は優しく頷いた。
「もちろんです、エリシア様。僕たちを**『ゴミ』**と笑った者たちの無能さを証明し、僕たちの道を進むだけです」
王女エリシアは、光の勇者がもたらした危機を解決する真の英雄として蓮を認識し、彼女の王族としての立場と女性としての感情の両面で、蓮に忠誠を誓った。




