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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第三部「神葬と黎明編」

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第103話:刻まれた残響と、魂の剣舞

黄金の守護者


クレーターの中心部、神の力が結晶化した黄金の柱の周囲に、その守護者たちはいた。 人の形をしてはいるが、顔はなく、背中からは半透明の翼のような触手が何本も伸びている。神が放った消滅の理を維持し、不純物を排除するためだけに存在する防衛機構。


「……来ます」


ユリアが短く告げ、剣を正眼に構えた。 守護者の一体が音もなく加速し、地表を削りながら肉薄する。触手が鋭い刺突となり、ユリアの死角を突いた。


ユリア、左だ!


蓮の声が飛ぶより早く、ユリアの体は動いていた。 彼女は視認することなく左からの攻撃を最小限の動きでかわし、そのまま守護者の核へと剣を叩き込んだ。


身体が知っている呼吸


おかしい。ユリアは内心で戸惑っていた。 今の攻撃、避けるべき方向を判断する前に、まるで「誰かに誘導された」かのように足が動いた。


次、僕が隙を作る。合わせろ!


蓮が漆黒の義手を突き出し、虚無の波動を放射した。 三体並んだ守護者の動きが、空間の消失によって一瞬だけ拘束される。 ユリアは無意識に地を蹴っていた。蓮がどの範囲を拘束し、どのタイミングで圧力を解くのか。教えられたわけでもないのに、彼女の踏み込みは完璧な「最適解」をなぞっていた。


一の閃き。 二の連撃。 三の斬首。


ユリアの剣が舞う。 蓮が虚無で敵の防御を削り、その剥き出しになった急所をユリアが確実に貫く。 会話も合図もない。だが、二人の連携は鏡合わせのように精密だった。


違和感という名の痛み


「……はぁ、はぁ……」


第一陣を掃討し、ユリアは荒い息を吐きながら自分の手を見つめた。 剣を握る感覚、蓮の背中の位置、彼が放つ魔力の余波。そのすべてが、記憶にはないはずなのに、狂おしいほどに「しっくり」ときていた。


「王。……一つ、伺ってもよろしいでしょうか」


「なんだ」


蓮は黄金の結晶を回収する手を止めず、背中を向けたまま答えた。 ユリアは迷いながらも、口を開く。


「私は以前、貴方と共に戦場に立っていたのでしょうか。ただの護衛としてではなく……もっと、近い距離で」


蓮の肩が、わずかに震えた。 彼はゆっくりと振り返り、感情を押し殺した瞳で彼女を見つめた。


「さあな。お前は有能な騎士だ。誰と組んでも、それくらいの連携はできるだろう」


嘘だ。 ユリアは直感した。この男は今、嘘をついている。 そしてその嘘は、自分を傷つけないためのものではなく、彼自身が崩れないための防壁なのだと。


零落の結晶


蓮は結晶化した神の残滓を掴み取った。 掌を焼くような神聖な熱量。だが、それを虚無の力が強引にねじ伏せ、黒く染め変えていく。


「一つ目だ。……カイルの計算が正しければ、あと六つ。これだけの純度があれば、アヴァロン・ギアを天界へ届けるための翼に作り変えられる」


蓮は結晶を懐にしまい、クレーターの上空を見上げた。 九十九日。世界が消えるまでの時間は、刻一刻と削られている。


「行くぞ、ユリア。次は北の爆心地だ」


「……はっ」


ユリアは再び、感情のない仮面を被り直した。 しかし、彼女の魂には、先ほどの戦いで感じた「熱」が消えずに残っている。 記憶を奪われても、この男と背中を合わせた感覚だけは、肉体が、魂が、手放すことを拒んでいた。


蓮は馬車へ戻る彼女の背中を見つめ、心の中でだけ謝罪した。


駄目な男だ、俺は。 思い出してほしいと願う一方で、忘れたままでいてくれとさえ思っている。 今の俺の地獄に、お前を連れ戻したくない。

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