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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生


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第1話:【底辺】と【神の光】、追放された無限の可能性

1. 召喚の間

白い大理石と金で装飾された、荘厳な神殿の広間。


異世界へ強制的に召喚された日本人の高校生たち20名が、不安と期待の入り混じった顔で立ち尽くしていた。


その中心で、一人、この状況を当然のように受け入れている男がいた。佐野瑛太。


「ふむ。この世界か。まあ、僕の資質なら、どんな世界でもトップに立てるだろうね」


彼は親が巨大企業のオーナーで、T大学にもコネで内定済みの、まさに「持っている人間」だった。高校では、その地位を笠に着て、自分より目立たない人間を嘲笑うことを楽しんでいた。


その瑛太の視界の隅で、地味な制服姿の神崎蓮は、静かに立っていた。蓮は真面目な努力家だったが、常に瑛太の権威の影に隠され、努力を「無駄な足掻き」と笑われてきた。


宰相が厳かに儀式を開始する。


「ようこそ、異界よりの勇者たちよ。これより、神々が君たちに与えたスキルを鑑定する!」


2. チートの選別

一人ずつ、生徒たちが最高位の魔術師の前に進み出る。豪華な歓声が、広間に響き渡った。


「加藤、スキルは【火炎魔法・上級】!優良なAランクだ!」 「田中、スキルは【治癒の聖女】!光栄のSランク!」


そして、瑛太の番。魔術師が鑑定の石をかざすと、広間の空気が一変した。


「佐野瑛太殿!スキルは……【神のゴッド・ライト】!これは伝説級のSSランクスキル!あなたは、世界を救う光の勇者です!」


瑛太は最高の笑顔を浮かべ、蓮をあからさまに見下す。


「見たか、底辺ども。やはり、僕こそが選ばれた人間だ。君たちのような凡人とは、住む世界が違う」


そして、ついに蓮の番が来た。魔術師は鑑定を終えると、顔を曇らせ、困惑したように絞り出した。


「神崎蓮殿……スキルは……【全能化オール・エンハンス】。ランクは……E」


静寂の後、広間にどよめきが起こり、すぐに嘲笑が渦巻いた。


宰相が厳しい顔で尋ねる。


「【全能化】とは何ができる?」


魔術師は俯きながら答える。


「はい……確認したところ、このスキルは……『対象となる物の『能力』を微かに(0.1%)向上させる』というものです。効果は薄く、魔力の消耗に見合いません。あらゆる意味で、最低ランクの【底辺スキル】かと……」


瑛太は堪えきれずに、大声で笑い飛ばした。


「ハハハハ!ゴミを、ちょっとだけ良いゴミにする能力か!神崎、君は元いた世界でも底辺、異世界に来ても底辺。君の存在は、僕という偉大な『光の勇者』の輝きを際立たせるための引き立て役でしかないね!」


王は冷酷な目で宣言した。


「役に立たぬ者は不要だ。そのEランクの者、神崎蓮を国外追放とし、城から立ち去らせろ」


3. 無限の可能性

衛兵に先導され、蓮は王都の門まで連れてこられた。屈辱と、不当な扱いに体が震える。


門の直前で、瑛太が数人の取り巻きを引き連れて現れた。


「いいか、神崎。君は僕の記憶の隅にすら残らない。せいぜい、底辺の人生を森の中で楽しめ。一方、僕は世界を救い、名声と富を手に入れる。これが、真の才能と無能の差だ」


瑛太は派手なSSランクの装備を誇示し、嘲笑とともに王都の中へと戻っていった。


衛兵が門を閉じ、蓮は一人、広大な森に面した荒野に取り残された。


「底辺……」


蓮は握りしめた拳を見つめる。


(いいさ。誰も期待しない。誰も助けてくれないなら、自分で何とかするしかない)


蓮は、自身のEランクスキル【全能化】を見つめた。


『対象となる物の『能力』を少しだけ向上させる』


蓮は、足元に落ちていた古びた木の枝を拾い上げた。そして、その『耐久力』に対してスキルを発動した。


《スキル【全能化オール・エンハンス】を発動。対象:『木の枝』の『耐久力』を向上させます。効果:0.1%》


微々たるものだ。しかし、蓮は気づいた。


(このスキルには……回数制限がない!)


魔力を消耗するものの、蓮は一歩も動かず、その木の枝の『耐久力』に対して、ひたすらスキルを発動し続けた。


《発動。効果:0.1%》 《発動。効果:0.1%》 《発動。効果:0.1%》


一時間、二時間……魔力が尽きるたびに休憩し、回復するたびに再開する。数万回、数十万回もの強化を、蓮はひたすら繰り返した。


そして、太陽が傾き始めた頃、蓮の手にあったのは、もはやただの『木の枝』ではなかった。


何億倍もの耐久力を得たそれは、神々の金属よりも硬く、魔力で輝きを放ち始めていた。

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**を何とかしなされ
2025/11/21 13:02 通りすがり
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