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トワイライト・ラブ(陽炎)  作者: 流理
2日目:マドリード観光
4/15

5日目:バルセロナ

バルセロナは人口160万人の街だ。

旅行客が増えすぎて、オーバーツーリズムで観光客の反対運動が盛り上がっている様で、ちょっと怖い気もするけど、今日だけは何事もなく無事に過ぎて欲しい。


朝食を済ませてロビーに降りてくると、みんなは既に集まっていた。

今日は、バルセロナ市内観光と、いよいよ今回のスペイン旅行のメインイベントである有名なサグラダファミリアなので、全員が期待をしている雰囲気が伝わってくる感じだ。

まずは、バルセロナ市内を歩いた。

グラシア通りでは、ガウデイの作ったカサ・ミラというマンション風の建物を見学した。世界遺産の賃貸マンションという事で、今も中に人が住んでいるのだ。

交差点の角にあり、波のうねりの湾曲した外観が特徴的で、窓のベランダは、ワカメの海藻が絡まった様な特徴的なもので、なかなか他に見られない初めて見るデザインだった。


次にいよいよサグラダファミリアへ行くのだが、まず最初に近くの公園に着いた。そこからサグラダファミリアの全体を見た。

サグラダファミリアは予想以上に大きいので、離れた公園から見ないと全体が見られないのだ。そこでは写真タイムだ。

皆それぞれ思い思いに写真を撮っていて、美紀も友達と一緒に笑って撮っていた。


それから、サグラダファミリアの入場入り口まで歩いた。

当然予約制になっていて、少しだけ並んだ。

いよいよ中に入るのだが、入口の上にファミリーの像があった。

サグラダファミリアとは、「聖なる家族」という事らしい。それで、入り口の上にイエス・キリスト、聖母マリア、ヨセフの像が家族としてあった。


近くで見ると、誰もが写真などで知っている巨大な尖がった教会は、実際には外壁は黒っぽく、少し汚い感じだ。

これは外壁を作っている石が長い間に黒っぽく変色するらしいのだ。そのままぞろぞろと何気なく建物の中に入って、いきなり目を見張った。

驚くほど、素晴らしいと思った。私の人生の中で、久しぶりに感動した。

私は、海外の観光ではいつも予備知識の無い状態で見学することにしている。

スケジュール表で行く場所は解ってはいるが、日本においてネットなどで詳しく写真など見ない様にしている。

サグラダファミリアの場合だけは、この中に入る時は、少し覚悟のような心構えが必要だと思う。ここの場所に来て、日本のネットで見なくて良かったと思った。

それから、ガウデイは、きっと宇宙人なのだと思った。

あるいは、宇宙のアカシックレコードからの啓示があって、いわゆる映像として「降りてくる」のだ。

また、教会の中に入ったら、改めてこれは巨大な宇宙船だと思った。天井も高く、このままロケットの様に宇宙に向かって飛べるかもとも思った。


教会の中には、創った工程などの展示もあり、ガウデイはサグラダファミリアを作るにあたって、全体を絵として見えていたに違いないと思う。

その絵を具現化するために、建築としての高い塔を石で作るための重量に耐えうる実験などを繰り返して、建物の強度を確かめながら長い時間を費やしたのだ。

そして、ガウデイの作品のあちこちで見られるアーチ型の曲線美を取り入れる事で、その美しさと強さで高い塔を作ることが出来たのだろうと思った。


この大きな空間に、太陽の光が差し込んで、柱に揺らめいて、ステンドガラスの光もとても幻想的で、太陽の光が一日を通して揺らめいて変化するのだ。実に素晴らしかった。

観光地では、美術館など見ても、もうあまり何も感動しないけど、スペインに来て初めて良かったと思った。

サグラダファミリアの広大な広さと、建物の完成は2026年との事だが、また先に伸びる可能性も十分にある。

そんな訳で、まだ完成していないのだが、何と私たちがぞろぞろと入って来た所は正面入り口ではなく、正面入り口はまだ完成していないのだ。

そこで、正面から入ったと仮定してそこに立つと、十字架がありキリストが正面にあった。


二度訪れる海外の国は、これまでに無かったけれど、サグラダファミリアは、もう一度来てみたいと思った。年齢的にはたぶんもう無理だけど、また、あのステンドグラスや柱に揺らめく光を見てみたいと思う唯一の場所だった。


一日に何万人も訪れるサグラダファミリアは、この場所を持っているバルセロナ、およびスペインには莫大な観光のお金が世界中から入ってくるのだ。

ここに来て、最近のオーバーツーリズムも解る気がして、バルセロナの人がこれ以上、来ないで欲しいと言っている。


サクラダファミリの感動と興奮が、ふと美紀への気持ちに重なって心も揺らめいていた。英一は、この時これは恋かも知れないと解った。


サグラダファミリアの興奮もある中で、次に向かったのは、ガウデイが創り上げた住宅地区で世界遺産のグエル公園だ。

ここは広い公園で、建物の住宅のアーチ型構造があり、美しさと強さが随所に見られた。100年以上たっても丈夫な構造が、日本の橋とかにも見られるアーチ形構造なのだと改めて思った。

歩き疲れて有名なタイル張りの長い石のベンチに座って休んでいたら、美紀がまた声をかけて来た。

「お疲れ様で~す。」と言って近くに腰をかけた。

「ああ、お疲れ様です。美紀さんに会うと、何かドキドキして、心筋梗塞みたいです」と、英一が冗談を言ったら里美が笑って、

「それは、気をつけないとダメですね」と、言った。

英一は

「でも、病気では無い様で、なにか胸がザワザワしています」

「それで、ちょっと困っています」と、言ったら、

「そうなのですよ。私も、なんかザワザワしています。」と、笑ってお互いに言った。

いつも美紀から声をかけてもらうのだが、英一もかなり友達の気分になっていた。


グエル公園は、石の回廊とかもごちゃごちゃで、とにかく凄いと思った。

有名なトカゲの噴水とかも見て回った。

やはり、ガウデイは宇宙人だと改めて思った。


今日も歩き通しで、結構な歩数を稼いでいる。

ツアーの中には、足の悪い老人も数人いるが、何とかツアーのお客さん同士で手をつないだりして助け合っている。

コロナ以降、海外旅行人数が減ったらしい。コロナが終わって数年たっても旅行客は以前の様に、回復していない様だ。それは単純に、庶民は高い旅行代金を捻出できないのだ。


日本は、今や格差社会が出来て、一部の人だけお金持ちなのだ。

全体的には日本は不景気になってしまった。

日本では、失われた30年と簡単に言われているが、30年はあまりにも長すぎる。

40歳の人が70歳になってしまう。人生の損失だ。不甲斐ない政治家や天下り先しか考えていない官僚のせいで、あまりにも無駄な30年が過ぎてしまった。

私は、バブル期も経験したので、多少は世の中の浮き沈みも知っている。

例えば、社会人になった22歳が30年過ぎると52歳となって、大学の子供などいると一番お金が必要な世代なので、経済的に厳しい状況が理解できる。

大学へのお金は、私も厳しかった。

今は、給料が全く上がらなくて、社会保険料などが毎年増えて行くので、実質の手取りがどんどん減って行く。


私は、何度も海外旅行をしていると外国の発展など、経済況が良く解るのだ。

北欧3国にも行ったけど、洗練されていて実に素晴らしかった。30年で発展したのだ。スイスでは、電気自動車だけ、通行が可能の街もあって驚いた。


お隣の中国、韓国にも追い抜かされてしまった。身近な韓国ドラマなど見ていてもソウルの街の風景が、30年で変わって行くのだ。

日本の政治家は、税金で外国旅行して問題となっているが、一体何を見て何を学んでいるのか、とても残念でならない。

もうこの国はダメだと、憂いでいるのは私だけなのか?


日本でお金を持っているのは、もはや老人しかいないらしい。

60歳以上限定の海外ツアーもあるくらい、老人はお金を持っていて使っているのだ。


バスの中で、そんなことを考えながら次の観光地に向かった。

バスは、バルセロナからモンセラート修道院に移動した。くねくねと曲がりくねった坂道を登り、約90分かけて着いた。

着いて左下を見たら駅があって、ここはケーブルカーでも来られる様だ。


モンセラット山の上に作った修道院であるが、宗教的な教育の建物は、まあ何処の国もだいたい山の上にある様だ。

建物の上に、ごつごつした巨大な石があって、その大きな石に囲まれて守られている様に修道院があった。岩山に怖いくらいに圧倒されそうになるけど、何かいい雰囲気の修道院だった。

中に入って美紀と目が合ったけど、修道院の中は静かに移動した。


暗く狭い回廊を歩いて、一番奥の所まで見学した。一番奥の高いところに着いて、奇跡が起きると言われている、「黒いマリア像に」礼拝して、少し触れて振り返って下を見ると教会の椅子が小さく並んで見えた。

日本の神社で言えば、一番奥に祀ってある神様を見る感じだ。

修道院の回廊を一周歩いて、表に出ると空気がひんやりしていた。

再び、バスに乗ってバルセロナに戻り、ホテルで宿泊。


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