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トワイライト・ラブ(陽炎)  作者: 流理
2日目:マドリード観光
3/15

4日目:グラナダ観光

朝食を済ませ、英一はホテルのロビーに降りてきた。

今日は、アンダルシア地方のグラナダ観光の日だ。グラナダと言えば、個人的には、アルハンブラの思い出のギター音楽が頭の中を流れるのだ。

19歳の時に友達がギターで、この悲しいメロデイの一部を奏でて、感動したことを思い出す。


その時は、へえ~アルハンブラってスペインにあるんだと思っていて、いつか行って見たいと漠然と思った記憶があったが、その時はまさか2回も来るとは思わなかった。


ホテルの広いロビーには、すでにツアーの仲間たちが少しずつ集まり始めている。英一は今日も、とにかく体に支障のない様にと思った。

旅行ツアーでは、誰か身体の健康を崩す人がいるものだ。

妻も、去年のマレーシア旅行で飲んではいけない現地のジュースを飲んで、腹痛を起こしたこともある。


そんな事を考えながら、ふと目をやるとロビーの奥のソファーに美紀が座っていた。彼女も少し早めに来たようで、スマホをいじったり、周りを見渡したりしている様子だ。

(早いな、元気なおばちゃんも。)

英一は別のソファーを探したが、もうほとんど座るところが埋まっていて、少し離れた場所に空席を見つけた。そこに腰を下ろし、バッグを膝に置いて待つことにした。

しばらくすると、ふとしたタイミングで何気なく美紀と目が合った。

英一は軽く微笑んで会釈をした。そして誰にも気づかれないくらい小さくピースサインで手を振った。

美紀は一瞬きょとんとした表情をしたが、すぐに何かを思い出したのかの様に、顔がぱっと明るくなり、満面の笑顔で応えてきた。その笑顔はまるで、太陽が差し込んできたかのようにロビーの空気を和ませるものだった。

(やっぱり、あのおばちゃん面白いな。)

英一はそんなことを思いながら、どこか心が軽くなるのを感じた。旅はまだ続く。けれど、この小さなやり取りが、また一つ、忘れられない思い出になりそうな気がしていた。


ホテルを出て、バスは昨日高台からライトアップした、世界遺産のアルハンブラ宮殿に向かった。

実は、英一は今から40年前にここアルハンブラ宮殿に来たことがあるのだ。

昨日もちょっと思い出したが、当時は、外資系の会社に勤めていて、スペインのコートダジュールで開催された、国際ミーテイングに参加したのだった。

そして、そこで知り合った他の営業所の人たちと三人で、一日観光することにしたのだった。

女性のガイドを雇って、アルハンブラ、ロンダとか回った記憶がある。

特にロンダは、今でもかなり印象に残っていて、絶壁の上にある街で、下を覗くと恐ろしいほどの高さだった。

岩山の小さな街を外敵から守るために、道が一本しかなく、凄いところだった記憶がある。

ヨーロッパでは、険しい崖の絶壁にへばりついて建っている建物や山のてっぺんに建物がある写真を見たりするけど、いつも水はどうしたんだろうとか思ったりする。


今回のツアーでは、ロンダ観光は入っていないけど、個人的にはロンダは見た方が良いと思った。もう、美術館めぐりは要らないと思った。


さて、今回で2回目のアルハンブラ宮殿であるが、当時のアルハンブラ宮殿の記憶は、中庭の噴水とライオンの像とかしか覚えていない。奥の広大な庭園などは多分、その時は行っていない感じだった。


今回の旅行で、ヘネラリーフェ庭園を見て回った時は、やはりここは初めてだと思った。


英一は、いつものことだけど、ツアーの集団から一人離れて歩くのが好きだった。ここもとても広い庭園を歩いていたら、また、美紀が隣に来て話しかけて来た。

「あの~、いつも一人なんですね」

「ええ、まあ、大体そうですね」

「確か、天理でしたよね。今度、天理に遊びに行きますよ」と、適当に言ったら

「是非来てください。」と、美紀は笑顔で言った。

英一は

「天理駅あたりで、美紀さ~ん」と、大声で言えば解りますかねと、適当に冗談で言ったら、

「はい、大丈夫です。近くなのですよ」と、真面目な返事が返ってきた。

「はい、それじゃ必ず行きますね」なんて、適当に返事した。

美紀は、

「私は、今回の海外旅行は20年ぶりなんですよ。」と、言って、。

「英一さんが、うらやましいです。」

「いやー、私も還暦を過ぎてからですよ」

「若い時は、お金がないからアジアばっかりでしたよ。」などと話した。


あまり長い時間、一緒にいると周囲の人たちにも気まずいので、美紀は

「じゃ、またね。」と、笑顔で言って友達の所に駆けて行った。


昼食、また美紀と一緒の席になった。

相席では、まずどこからですか?と聞くのが定番で、そこから、ツアーの年齢的にも子供や孫の人数とかになって行く。

美紀から「お仕事は、何をしているのですか」と、聞かれ、

「ええっと、外資系の会社にいたのですが、仕事は最近辞めました。もう良いかなと思って、リタイアしたのですよ」

「それから、聞かれる前に言いますけど、子供2人で孫が4人です」と言ったら、美紀は、

「私は、男と女の子供が2人です」と、答えた。

「里美さんの、お仕事は」と、聞いたら

「介護の仕事です」と、言ったので、

「そうですか、介護のお仕事は慢性的に人もいないし、何かと大変ですよね。」と言った。

「ええ、今回何とか、無理に休みを取って来たのですよ」

「また、春になるともっと、忙しくなるので、今のうちに来ました。」と、笑った。

「スペインに来られて、良かったですね」せっかくですから、いっぱい楽しんでください。

「おかげで、会社のお仲間にたくさんのおみやげも買っていかなければいけないの」と、言った。


二人の間では、お友達感覚になって、かなり打ち解けて来た感じがした。英一も、最初よりかなり美紀のペースについて、気楽に話せるようになっていた。


夕方、グラナダ⇒バルセロナへ飛行機で移動(1時間25分)

夜遅くにホテルに到着した。


海外旅行は、いつもかなりハードだ。若い人はともかく高齢者では一日に1万歩以上も歩くので、結構きつい日もある。だから毎日、健康とケガには十分注意しないと10日間はもたない。ツアー仲間にはイロイロあるので、スリに遭わない事やお金とカードなど無くさない様にして、無事に帰ってくるのも大変なのである。海外旅行費も高額になって来たので、若い人は暇とお金が無いので、中々難しいと思う。

ここのホテルは2連泊だから、明日の荷物をまとめなくて良いので、適当にして早めに眠った。


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