第58話 追憶の澱⑤ ―欠けた月―
びっくりなんですけど、この作品投稿し始めてもう一年経ちました‼
読んでくださった方、本当にありがとうございます‼ これからも高校生活と両立させて頑張っていきますので、何卒よろしくお願いします‼
「……ん」
ここは……?
――!! そうだ、暗黒騎士はッッ!!? もしかして気絶してたのかな? あれからどれくらい経った!? 早く臨戦態勢にっっっ!!
「あ、パプたん起きた?」
急いで立ち上がり、戦闘に備えようと身構えた瞬間、聞こえてくるはずがない声が聞こえてきた。
「うぃ、ウィン……? 死んだはずじゃ……」
「おう、勝手に殺すな」
ウィンは……瘴気を浴びて死んだはず……。てことは……私も死んだってこと!?
「あ、パープちゃん! 目が覚めたみたいね。本当に良かった〜」
「し、シーちゃんまでもここに!? ああ、そうか。皆……皆死んじゃったんだ」
「死んでないわよ?」
「えっ……?」
死んでないの……?
「ええ、皆生きてる。死んだのはあの暗黒騎士よ」
「よ、良かった〜〜〜」
てっきり皆死んじゃったんかと……。
そういえば背中に受けた傷、すっかり治ってる。
「シーちゃんが魔法で治してくれたの?」
「えぇ」
「ありがとう!」
どういう原理かは知らないけど、装備まで直ってる……。ほんと、シーちゃんって何者なんだろう? まあ出会って間もないし、徐々に知っていけばいっか。
「そういえばさ、あの暗黒騎士をどうやって倒したの……?」
あの状況はかなり絶望的だった。ウィンと私は揃って戦闘不能、残されたシーちゃんは魔法とスキルが封印されていた。どう足掻いたって暗黒騎士を倒せるはずが……
「パープちゃんが気絶した後……暗黒騎士は私を殺すのを躊躇ったの」
「「躊躇った……?」」
「話が通じると思い話しかけてみた結果、彼は生前、神に仕える聖騎士だったことが分かったわ。死後に悪しき神に操られ、暗黒騎士になってしまったことを彼は語った」
そういえば、ステータスの称号に”堕ちた騎士”ってあったね。それはそういうことだったのか。
ん? でも待って、たしかもう一つの称号には”創造神の傀儡”ってあった気がするんだけど……もしかして創造神って悪い神なのかな……?
「彼はパープちゃんを傷つけてしまったことで我に返り、罪を悔い、そして自ら再び眠りにつくことを選んだ」
ウィンは「暗黒騎士……! お前のことは忘れない!」と言いながら涙を流し、シーちゃんは目を瞑り祈りをささげる。
私が怪我を負ったことで暗黒騎士が成仏したなら、結果オーライってことで良いかな……? な~んか腑に落ちないけど……。
それに、創造神について聞きたいこともあるけど、今は聞ける雰囲気じゃなさそうね。
私も目を瞑り、暗黒騎士……いや、聖騎士が安らかに逝けることを祈った。
♢♢♢
ダンジョンボスを倒したことで出現した扉の先には……報酬部屋があるはず。今まで私が踏破してきたダンジョンの報酬部屋は普通の狭い部屋だったけど……でもこのダンジョンの報酬部屋はシーちゃんの思い出の場所でもある。
だからただの部屋であるはずがない。
びっくりしないように心の準備をしてからにしないと……‼
「開けるよ……?」
「うんっ‼」
扉を開た瞬間、息を呑むほど美しい光景が飛び込んできた。
夜空には無数の星が散りばめられ、欠けた月がその中心で優しく光を放っている。さまざまな花が咲き誇る野原の向こうには、穏やかな海が地平線の果てまで広がり、月の光を受けた水面が静かに輝いていた。
「「……」」
私もウィンも、美しい世界にただただ魅せられ、その場で立ち尽くしていた。
「……とりあえず、ここに座りましょ?」
「う、うん」
潮の香りを運ぶ風が頬をかすめる中、そっと野原に腰を下ろす。
「ほんと、すっごい綺麗な場所だね」
「うんうん‼」
「……でも、月が欠けてる……」
シーちゃんは手を月に向かって伸ばす。その横顔は、どこか切なく、悲痛で、今にも消えてしまいそうだった。
このまま黙っていたら、シーちゃんがどこかへ消えてしまう気がして胸がざわつく。
私は思わず立ち上がり、両腕を大きく広げた。
「知ってる? 月って欠けているように見えても、本当は欠けていないんだって!」
シーちゃんは訝し気に私を見る。
それでも私は続けた。
「月ってね、自分で光ってるわけじゃないんだ。太陽の光を受けて輝いているの。だから……その、えっと……月は欠けているように見えても丸いままなの!」
前世の記憶を引っ張り出したせいか言葉が上手くまとまらず、思わず焦ってしまう。
「そ、それにね! 今は欠けていても、いつかまた満ちるんだよ!」
「……。……っぷ、あはは! あははははっ‼」
ウィンは堪えきれずに笑いだす。
「な、何よー!」
「あはは、なんか急に語りだすからびっくりしちゃった。ごめん、笑うつもりはなかったんだ」
そう言いながらもウィンは大声で笑い続ける。
「……パープちゃん」
「……?」
「……ありがとう」
シーちゃんは少しだけ口元を緩めて笑った。
私を見つめる瞳は以前の冷たさが無くなり、温かな光を宿していた。
シーちゃんは再び夜空へ顔を向け、私もその視線を追うように空を見上げた。
シーちゃんが何を想い、考えているか、私は分からない。それでも、今、この目の前に広がる美しい夜空は……きっと、同じように見えている。
出会ってまだ間もないけど……こうして一緒にダンジョンで死闘を潜り抜けて、同じ景色を見ている。一緒に居た時間なんて関係ない。確かな絆がここにある。
私はウィンとシーちゃんが……大好きだ。
なんかエモい……かも?
てか前半でシーちゃんが大嘘つき野郎で笑っちゃいそうですー!
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