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一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第1章 金色の悪魔

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第54話 追憶の澱①

 あれから私たちは高級店らしき場所でお肉をたらふく食べた。

 ドレスじゃなきゃ入れなさそうな店だったけど、シーちゃんが何かカードを見せながら『今すぐ貸し切りにして』と言うと、あっという間に私たち専用のパーティ会場(?)になった。ドレスもお店が貸してくれたし……キラッキラだったから絶対高いやつだと思う。

 出てくる品もフルコースで、シェフが出てきて説明もしてくれた。

 テーブルマナーが分からなくて困ったけど、シーちゃんの真似をしてなんとかやり過ごした。ウィンはというと……ナイフは一切使わず、フォークで一生懸命口に詰め込んでいた。

 それを見たシェフの目には涙が浮かんでいた。


「こんなに美味しそうに食べてくれる人は初めてです……っ‼」


 そっちかい!

 私はてっきり料理がフォークでめった刺しにされていることに心を痛めているのかと……。ウィンも幸せそうだしいっか。

 ただ、ウィンが永遠とおかわりを続けた時には肝が冷えたわ。ここ絶対にお高い店だし、それを貸し切りにして、加えておかわり無限⁉ シーちゃんの財布が心配だ。

「はぁ~っ、食った食った♪」

 君はまず遠慮を知ろっか。ウィンのせいでうまく食事が喉を通らなかったわ!


♢♢♢


 お店を出てから少し歩いたところにある屋台でウィンは肉まんを買う。まだ食うんかい!? さっきだってめちゃめちゃ食べてたじゃん!! ウィンの胃袋は底なしなの!?

 あ、肉まんの代金はもちろんシーちゃんのお金で。シーちゃんは一切嫌な顔をしない、むしろ心なしか嬉しそう……?

 顔ほどの大きさの肉まんを頬張るウィンに呆れていると、シーちゃんが突然口を開く。


「さて、お腹は満たされたことだし出かけよっか」

「出かける?」「でひゃけりゅ?」

「ええ」


 えぇっと、もう真っ暗だよ? 今から??


「ちょーど食後の散歩したかったんだよねー‼ どこ行くー⁉」

 口にあった肉まんを急いで飲み込むとウィンは早口でそう答えた。

「とっても素敵な場所よ。昔、大切な人と行った場所なの」

 シーちゃんは寂しそうな顔をする。もしかして、大切な人ってもう会えない人なのかな? あんまり詮索しない方が良いよね。

「ここから近いところなの?」

「んー、遠いけれど近いわ」

 えぇっと、理解が出来ないのは私だけかな?

「とにかく、朝までには着く場所よ」

 遠いやんか! 絶対食後の散歩気分で行くべきとこじゃないよね⁉


「行こ行こー! シーちゃんの思い出の場所なんでしょ? 行ってみたいっ!」

「私も行きたい!」

 大切な場所に私たちを誘ってくれてるならのるしかないっしょ! 遠いのは少し心配だけどね……。

「じゃあ二人とも、少し目を瞑ってくれる?」


 目を瞑ると、身体が浮いたような感覚に襲われる。驚いて目を開けそうになるが、目を開けるのは危険だと野生の勘が言っていたので堪える。

「目を開けていいわよ」

 目を開けると、森の中に三人で立っていた。

 さっきまで首都に居たのにここどこ⁉ 瞬間移動した⁉


「すっげー‼ ここどこー⁉」

「ふふ、ここはダンジョンの中なの。最奥が目的地なんだけど……そこまで一気に行ってしまうのはつまらないでしょ? だから中枢辺りに一度転移したの」


 シーちゃんは微笑みながら、皆で協力して進んで行ったらきっと楽しいわと呟く。


 ……ここがダンジョン。

 ダンジョンは一般的に岩などで出来た迷路だけど、高難易度のダンジョンは稀に森だったり、砂漠だったり、はたまた草原だったりに変化する。

 つまりここは……高難易度ダンジョンということになる。

 ていうか、ダンジョンの中に移動できるってどういうことよ⁉ 転移魔法の技術は大昔に消えたはずなのに。……精霊の国の王族しか知らない技術とかがあるのかな?


 どんどん湧き上がってくる疑問の数々に思考が占領される。ずっと立ち止まったままでいる私をシーちゃんは訝し気に見つめていた。

 けど、溢れ出てくるの疑問に思考を止めることも体を動かすことも出来ない。


 転移魔法が使えるシーちゃんの正体とは一体……。”雪の精霊の守り人”って一体何? シーちゃんはウィンを知ってそうだったのにウィンはシーちゃんを知らなかったのは何で? ステータスが”?”だらけだったのは……。二人の共通点、ステータスの”文字化け”、”創造神に愛されし者”の称号はどういう意味? あの時感じた殺気はもしかして――


「――……?」


 急に思考に靄がかかる。

 あ、あれ? 私、今何考えてたっけ?


「もー、パプたんったら立ち止まってどうしたの~? 早く行こーよ」

「あ、ごめんごめん」

 ウィンの元に駆け寄ると、シーちゃんがじっと真顔で私を見つめていることに気づいた。

「? どうしたの?」

「……何でもないわ、行きましょう」


 笑顔でそう答えるシーちゃんの目はとても冷たかった。ウィンに向ける眼差しとは大違い。

 ……まだ好感度は低いかもしれないけど、いつか絶対友達を超えた存在……シーちゃんの親友になってみせる!

 そのためにも、このダンジョンで二人を完璧にエスコートしてメロメロにするぞー! おー‼


 なんか不穏だね。

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