第5話 生き残りたい
「ガァァッ」
ソリテールは仲間に一吠えし、下がらせる。正々堂々、私と一対一で戦おうとしているのかな?
鑑定結果の通り男前の性格しているな……。おかげさまで生存率がかなり上がった。もし一斉に襲われていたら……死ぬのは確実だっただろう。
よし、生き残るために死に物狂いで戦うぞっ‼
「――【身体強化】――」
ソリテールの攻撃をまともに喰らえばおそらく即死。身体能力はあちらが絶対上……なら魔法を使うしかない。
鑑定するまでもないけど、感覚的に残りの魔力量は少ない。身体強化しているから余計に魔力量は減ってしまっている。でも身体強化をしないと、思考加速できないし、初見の攻撃を避けることが出来ない。
長引くほど私が不利になる。
ソリテールの体制が崩れた瞬間に一番火力の高い魔法をぶち込むしかない。
「いくぞ、パープっ‼」
やっぱり速い。一瞬のうちに距離がつめられてしまう。
「――【土礫】――」
狙うは目‼
「甘い‼」
ソリテールは頭を傾けて避けてしまう。
く……見え見えだったかなぁ?
「――【凍結】――」
「なっ⁉」
ソリテールから凄まじい冷気が出てくる。体の芯から冷え、動きが鈍くなってしまう。
これは水魔法の応用……? こんなことまでできちゃうのか。
ひとまずここから離れた方がいいね。このままここにいると、体温が奪われ続けて最悪低体温症になってしまう。
たしか冷気は下に行くはず……と前世の知識を使い、木から木へ飛び移るようにして移動する。
火力の高い魔法ならソリテールを倒せるかもしれない。まあ当たればの話だけど。
当てるには体勢を崩さないといけない。でも、私の魔法では簡単に避けられてしまう。
このままじゃ勝てない。どうしよう……。
…………よし、逃げるか。
何よ、弱虫だって? どうとでも言いなさい。私は元々弱虫だし、まずは生きることが先決なの。
せっかく家が完成したのにもうお別れか……いつか帰ってくるから、それまで待っててね。
「――【突風】――」
この魔法は普通に使っただけじゃ効果はほぼ無い。でも、足から出すことでかなりの速さで移動することが出来る。魔力消費が他の比でもないくらい激しいけどね。それに、集中していないと勢いあまって木に突っ込むことになるから、かなりのリスクがあるってわけ。
いかに伝説の魔物である銀狼王でもここまでは来れないでしょ?
「それで逃げたつもりか⁉」
「え――」
瞬間、凄まじい衝撃が腹部に走る。
気が付いたときには木を何本もなぎ倒した状態で倒れていた。
あ、危ない。ギリギリ【突風】の応用で風を身に纏い、ソリテールの攻撃と衝撃を緩和することができた……みたい。
お腹がもの凄く痛い、これ以上は危険だと脳が警鐘を鳴らしている。でも一応骨は折れていないみたい。
鑑定するまでもない……体力も魔力量も残り少ない。
まさかあのスピードより速く動けるなんて想定外だった。
さっきの場所からかなり吹き飛ばされたようで、後ろは激流の河。どんなに吹き飛ばされようともソリテールはすぐここに来るだろう。
回復魔法をかける時間はきっと無い。
「もう終わりか?」
もう来たか……。
弱者としての本能が、今すぐ敵に背を向けて逃げろと言っている。
でも……もう逃げられない。
痛い、痛い。
痛みでクラクラしてくる。
心臓がバクバク鳴っていてうるさい。
死ぬの?
こんなところで、まだ今世で楽しいこと何もしてないのに死ぬの?
まだ……まだ死ねない。友達たくさん作りたい……友達とやりたいことがたくさんある。
何のために、私は転生したっていうの? この6年間、苦しむために生まれてきたんじゃない!! 友達を作るために生まれてきたのよ!!
このままじゃ死んでも死にきれないよ。
生き残る道は……?
「今楽にしてやる」
生き残る道は……!?
ソリテールが凄い速さで迫ってくる。避ける時間など残されていない。
魔法で防御……? 防御なんてたかが知れてる。
それなら……今私が持っている全ての魔力を込めて、戦うしかない。
誰が言ったかは知らないけど、こんな言葉がある。
――攻撃は最大の防御――
魔法? そんなの知らない!
残る全ての魔力を拳鍔に込めろ――
少しでもソリテールに傷を負わせてダメージを軽減させるんだ。それが出来なければ死ぬだけよ!!
「はぁぁぁぁあああ!!!!」
「ガァァァァアアア!!!!」
魔力が全身を駆け抜け拳鍔に集中したその瞬間、両目が急激に熱くなり、私の中で何かが変わった。
私はソリテールの攻撃を躱し、拳鍔がソリテールの左目に突き刺さる。
絶対に避けられなかったはずの攻撃を、なぜか避けれた……。それどころか反撃まで出来ちゃった……。
ソリテールも訳が分からないと、驚愕の色を右目に浮かばせる。だが、それは一瞬のこと。
瞬時にソリテールは驚きを心の奥底に沈め、無防備となった私に攻撃を仕掛けてくる。
ソリテールは魔力そのものを衝撃波として広範囲の攻撃をしてくる。避けれるはずもなく、私はその攻撃をもろに受けて吹き飛ばされた。
魔力が底を尽きてしまったせいで空中で移動出来ず、そのまま背後にあった激流の河に落ちてしまった。
幸いだったかは分からないけど……どうやらソリテールはこれ以上追ってこないみたい。
良かった……と胸をなで下ろしたいところだけど……この河、流れが激しすぎて死ぬかもっ!!
ソリテールがなぜ追ってこなかったか?
それは……この河の流れが激しすぎて自分自身も危ないからじゃないかなあ? それとも、獲物が確実に死ぬと確信したからかなあ? あるいはその両方……。
って、そんなことはどうでもいい!!
せっかくソリテールから逃れたのに、激流の河はないでしょ〜〜!?
これにて一気投稿は終わりです。
これからは不定期に投稿します。できるだけ遅くならないよう、最善を尽くします‼




