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一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第1章 金色の悪魔

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桃花兎3 公爵家掌握大作戦③

 公爵は不慮の事故により、最愛の妻と息子を失っていた。

 サンタムール家は代々神に仕える神官……それも光魔法が使える優れた者を多く輩出してきた。それ故か、神に祝福されたかのような白銀の髪を持つのが特徴だ。

 公爵もその息子も然り、白銀の髪であった。

 アムールの髪は不純物一つない完全なる”白”であるが、似た色であったため公爵は己の息子とアムールを重ね、憐れんだ。

 息子と同じような歳の少年が苦しんでいると知り、何とかしたいという衝動で養子にすることになった。

 公爵がアムールを養子として迎え入れたのは政治的駒が欲しかったからではない。心から、アムールには普通の生活で幸せになって欲しかった。


 だが、聖者となってしまってはそうはいかない。

 公爵家の一員であるため元々政治に関わらなければいけなかったが、聖者となるとまた話は変わってくる。教会と公爵家の権力を手に入れようと躍起になるものが後を絶たないだろう。国内におさまらず、他国……世界中の国が総出でアムールを手に入れようと動くだろう。

 なにせ数百年ぶりの聖者。強力な破邪の力を持つ聖者が居れば、近年力を増し人類に魔の手を伸ばしている魔王の進行を抑えることが出来る。

 そしてそれをよく思わない輩から命を狙われ続けるだろう。



「公爵様、本当に申し訳ございませんでした」



 大神官は深々と頭を下げる。

 いくら聖者の誕生を目のあたりにしたとしても、大勢の前で宣言をするべきではなかった、と反省する。心と身体に深い傷を負い、未だ癒えていない少年には負担が大きすぎた。現にアムールは気を失い、今も目を覚まさないでいる。まあ、仮病だが……。

 あまりにも大神官の無神経な行動に公爵も不機嫌さを隠し切れずにいた。


「起きてしまったことはしょうがない。こんなにも多くの目撃者が居ればもみ消すことも出来まい」

「申し訳ございません……」


 二人はすうすうと寝息を立てているアムールを愛おしそうに眺める。カーテンである程度陽の光は遮られているが、それでも少量の光でキラキラと星屑が舞うように輝く髪に息を呑む。病弱に見える細い手足、小柄な身体、長いまつ毛、全てが愛おしく見え、二人はアムールを何としてでも守りたいと思った。

 なぜそんなことを二人は思うのだろうか? アムールの持つ【好感】スキルのせい? それとも何か別の要因があるのだろうか……?

 長い時間アムールを見つめた後、二人は目を合わせ頷いた。


「教会総出でアムール様を護衛いたします。少しでもアムール様の障害を取り除けるよう、最善を尽くします」

「無論だ。私も命を賭してあの子を守る」


 今ここに、アムールを守ろうの隊が誕生した。



♢♢♢



 仮病で倒れてから、僕なりにいろいろ考えて作戦を立ててみた。

 名付けて、『公爵家の天才で天使な美少年になっちゃうぞ大作戦‼』だ!

 聖者になっちゃったものはしょうがない。どうしようもないなら利用しちゃえばいいんだ! 僕はカレンデュラさんに鍛えられたからそれなりに強い。何食わぬ顔して全てを完璧にこなして、神童っぷりを発揮するんだ。

 そうすれば、公爵だって僕に惚れて安心しきって、公爵家の全権力を僕に与えてくれるはず!(馬鹿)

 何度も言うけど、僕の美貌(?)はパープのお墨付きだからね。涙浮かべながらうるうる見上げれば誰だってイチコロなはず。



 そして今日から【神聖魔法】の訓練が始まる。

 僕は正直言って【神聖魔法】のことをよく分かっていない。専門の人から訓練を受ければきっと強くなれる。

 僕はなんとしてでも強くならなければいけない。

 あの時、パープと離れ離れになる前、僕はなんてカッコ悪かったんだろう。自分にはパープの強さを信じられる勇気も、守れる力も、敵を殺せる強さも無かった。

 だから喧嘩なんかして、勝手に庇って勝手に死にかけた。カッコ悪すぎて気持ち悪くなりそう。

 もうあんな姿絶対に見せない。強くなってパープを守る。そのためには、再会するまでに完璧な姿になっておかないとね。


「アムール、この人が今日から【神聖魔法】について教えてくれるウィーヴァー先生だ」

「アムールです。これからよろしくお願いします」


「よろしくお願いします、アムール様」

 綺麗に切りそろえられた髭、礼儀正しい所作、上等な白いローブ。この中年おじさん、神官の中でもかなり高い地位の人だろうな。それに強そうだ。


「アムール様、授業で聖者の仕事について聞いたでしょう。何度も言うようですが、聖者は危険が常に付きまといます。己の命を守るには力を身につけなければなりません。よって、この訓練ではかなり辛い課題を出します。公爵家の者だとしても手加減いたしません、そのところをご了承ください」


 この【神聖魔法】の訓練の他に、僕は聖者の心構えを説かれる授業や政治の授業、所作の授業だったりと、英才教育のようなものを施されている。

 僕は作戦を成功させるために、死に物狂いで授業についていき、神童っぷりを発揮していた。そのせいで日々課題の量やら難易度が増している。

 それをこなしている僕に耐えられない課題などないっ!


「もちろんです‼ ウィーヴァー先生、ご指導のほどよろしくお願いしますっ‼」



 待っててね、パープ。僕は必ず、公爵家を掌握して完璧になってみせる‼

 アムールはまだ生まれてから一年くらいしか経ってないし、まともな教育受けてないから……正直言ってお馬鹿さんです。ま、今のところだけど。

 いつかカッコ良くなって帰って来いよ、アムール!

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