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一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第1章 金色の悪魔

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桃花兎1 公爵家掌握大作戦①

 一方その頃……アムールのお話です!

 公爵家で目を覚ましてから1週間が経った。

 傷はとっくに治ったが、まだ出歩いてはダメだと公爵に言われ、ベットに固定されている。……いつ戦いが起きても大丈夫なように、ここの地形を知っておきたいのになあ。


 毎日お医者さんと神官さんがやってきて体中を見られて、公爵様に僕の状態を教え去っていく。それがすっごくストレスだ。

 それに加え、そのお医者さんと神官さんが”飴ちゃん”というものをいつも渡してくるけど、これもまたストレスだ。どうやら食べれるらしいけど、こんな石みたいに硬いものを食べれるの? いや、毒かもしれない。警戒を怠るべきじゃない! 食べるわけにも捨てるわけにもいかず、いつの間にか布団の下には大量の飴ちゃんが溜まってしまった。


 ストレスを感じてはいるけれど、決して顔には出さない。

 僕はどうやら、(パープによると)凄く見た目が良いらしい。そして(カレンデュラさんによると)人に好感を無理やり抱かせることが出来る【好感】スキルを持っているらしい。

 この2つを駆使して公爵をメロメロにし、この公爵家を掌握するんだ。公爵家を好きなように動かせるようになったら、きっとパープに会うのも楽になるはず。それに……パープと再会してからも権力を持っていれば色々と融通が利くだろう。

 権力を持っているということはお金を持っているということ。お金を持っていれば、それだけデートコースの幅を広げられるし、世界一のドレスを贈ることだって出来る。

 パープだってきっと、お金持ってる人の方が好きだよね?


 よし、まずは手始めにメイド達から骨抜きにしよう。



♢♢♢



「公爵様、アムール様の件なのですが……」

「アムールがどうした?」

「アムール様のお体を拝見したところ、いたるところに小さな傷から大きな傷がありました。小さな傷ができた原因について詳しいことは分かりませんでしたが、大きな傷に関しては解析した結果、闇魔法によってできたものだと言うことが分かりました」

「なんだとっ!?」


 闇魔法――魔法使い、又は高位魔物が使用する魔法。

 闇魔法を使用する人族は少なくないが、魔物に関してはSランク……SSSランクのような災害級の魔物しか使用しない。

 よって、アムールを傷つけたのは魔物である可能性は低い。

 そのため、悪意ある人間によってアムールは傷つけられ、捨てられたところをトレントによって連れ去られてしまったのだと、必然的に公爵は考えた。


「そして……私たち神官や医師が近づき体に触れようとすると、警戒しているように見られます。また、飴を渡したのですが、飴が何なのかを分からなかった様子で……食べ物だということを伝えても食べようとする様子は一切なく……」

「もうよい」


 公爵は頭を抱えた。

 体中にできた傷、闇魔法の痕跡、人を警戒する様子……総合して考えると、アムールは虐待されていたのかもしれない。いや、もしかしたらこの国では禁止されているが、奴隷だったのかもしれない。

 幻想的な白色の髪、燃えるような赤い瞳、整った顔立ち。これほど見目が良く珍しい髪色をしていれば奴隷商に狙われるのは当然と言って良いだろう。

 もしかしたら奴隷を売る道中になんらかの事故に遭い、捨てられたのかもしれない。


「公爵様。私は様々な傷を負った人たちを見てきました。顔色を窺うようなあの目を見れば分かります、アムール様は想像を絶する辛い体験をしたようです。扱い方に注意しなければ、一層傷つく可能性があります。なので慎重に接してやってください」

「うむ」


 こんなにも幼い子供に非道な行為をした奴がいると思うと、公爵は胸が苦しくなった。

 外傷は治ったが、精神的な傷は治っていないだろう。ここで最高の暮らしを提供し、傷を必ずや癒やそうと決意した公爵であった。


 だが、心優しい公爵はいくつか勘違いをしている。

 まず、アムールの傷に関してだが、あれは高位魔物の闇魔法によってできたものであり、人間によって傷つけられたわけではい。

 もちろん、虐待なんてものもされておらず、奴隷商で売られていたわけでもない。

 精神的傷……? パープと離れ離れとなった悲しみはあれど、公爵が考えるようなものは全く無い。

 顔色を窺っている……? 公爵家を掌握するために顔色を窺っているだけだ。強いて言うならば、魔物とバレないよう人間の倫理を踏み外した行為をしないよう注意しているだけであり、辛い過去を持っているからでは決してない。


 何も知らない公爵は、着々と養子縁組の手続きを進めていくのであった。



♢♢♢



 散歩に行くことが許されるようになってから一週間が経った今日、神殿の祈りの間のような場所に養子縁組の手続きをするために来ている。


「ここにサインと血判を押せば、手続きは完了だ」

 文字が分からなかったから、サインは公爵様にお手本を見せてもらい真似して書いた。初めてのことだったから、すごく不格好な文字になってしまった……。怒られるかと思ったけど、公爵はニコニコしていたから、多分大丈夫だよね?

 執事さんから差し出された小さな針で指を切り、判を押す。


 いつも僕の体調を確認していた神官が豪華に着飾った姿で何かを唱え、契約書を燃やす。

「これにて、お二人が親子になることが神に認められました」

 へぇ~。親子になるのに神に認められる必要があるんだ? まぁ、本当に神が認めてるんだか怪しいけど。

「父様、これからよろしくお願いしますっ!」

 公爵の服の裾を少しつまみ、満面の笑みで”父様”と呼ぶ。家族が出来て本当に嬉しい無邪気な少年に見えるように。

「と、父様だと……?」

「だめ……ですか?」

「いや、驚いただけだ。よろしくな、アムール」

 思った通り、公爵は甘い。王族の血を引いていて公爵をやっているというのに、どうしてこんなにお人好しなんだ……?

 身元も不明、後ろ盾も無い、ただの少年を公爵家に迎え入れるなんて正気じゃない‼ まぁ、僕としては嬉しい限りだけど、、、。

 アムールのお話はもう少しだけ続きます!

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