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一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第1章 金色の悪魔

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第43話 ギルドマスターの勘違い

 投稿遅れました! すみません!

 俺は元Sランク冒険者のコンフュジオンだ。今は冒険者を引退し、ギルドマスターをやっている。

 数少ないSランク冒険者が()()()()()引退するのは珍しい。ましてや目立った怪我もなくギルドマスターの地位に就くの者なんてほとんどいない。

 なぜなら、Sランク冒険者は難しい依頼を受けるが故に魔物に殺され早くに死んでしまうからだ。

 俺はこの街を守りたい使命感から冒険者として生きるのではなく、早くに引退しギルドマスターとなって冒険者を束ね、この街の平和を守ることにした。


 もう10年ほど経っただろうか? 仕事には当たり前だが慣れたし、冒険者たちの信頼も勝ち取ることが出来た。


 このまま街の平穏が続くと、そう思っていた。


 最近、ある少女が街にやってきた。黄金に輝く髪に、紫水晶を思わす瞳、ふわふわで可愛らしい兎獣人の耳。

 普通の者なら知らないだろうが……この外見はステラ王国の王族の特徴だ。

 ステラ王国は魔境の森を挟んだ向こう側にある国だ。地図上では決して遠くはないが、魔境の森という強い魔物がたくさん生息する場所の向こう側にあるため、交流はほとんどない。

 高位貴族ならステラ王国の王族の特徴を知っているだろうが、教養のない平民は知る由もない。中級貴族ですら、もしかしたら知らないかもしれない。それほどまでに関わりがない国だからな。


 俺はSランク冒険者ということもあり、魔境の森の調査に行ったり、貴族の旅の護衛だったりで、世界中を周った。

 そして一度だけ、ステラ王国からの依頼を受けたことがある。その時に国王に会った。シャンデリアに照らされ神々しく輝く金髪。俺を冷たく見下ろす神秘的な紫色の瞳。


 あの少女を一目見た時、ステラ王国の国王の姿が重なって見えた。

 確固たる証拠はない。もしかしたら俺が知らないだけで、金髪に紫色の瞳も珍しくない地域があるのかもしれない。

 だが、俺は確信した。

 コイツは何か思惑があってこの街にやってきた。

 どうして死んだはずの第三王女がここにいるのか……? 王位の奪い合いで()()()()()のかもしれないし、もしかしたら()()()()のもコイツの策略なのかもしれない。

 ともかく、コイツは何かを企んでいるのは確実だ。

 Sランク冒険者である俺の目に狂いはないはずだ!!


 この街で悪さをする前に……俺が始末するしかない。



♢♢♢



「病死したはずのステラ王国の()()()()殿()()、何を企んでいるのですか?」


 わざと“第三王女殿下“を強調して言う。

 俺は貴族が嫌いだ。皆傲慢で自分を神か何かだと思っている。そして平民を道具としか思っていない。

 俺は何度も見てきた。俺を慕ってくれた仲間や、俺を育ててくれた街の人たちが貴族に使い潰され捨てられた姿を……。

 もうそんな姿は二度と見たくない。この大好きな街を、貴族のよく知らん政略に巻き込まないでくれ!!


 俺に正体を見破られた少女は動揺を隠せずにいた。所詮は子供、か。

 本気の威圧をぶつけるのは大人気なかったか? どうせゴブリンキングを倒したのも強力な護衛だったんだろう。


「……?」

 さっきまで焦っていたはずの少女が突然、スッと目を細めて冷ややかなで目で見上げてくる。

 その瞳に捉えられた瞬間、背筋に嫌なものが駆け上がる。


「――ッ!!」


 少女から発せられる威圧……いや、“殺気“により足の力が抜け、膝から崩れ落ちる。

 少女を見上げると、凍りつくような紫色の瞳で俺のことを見下ろしていた。

 空気が重い。息をするのすら憚られる。汗が止まらず、過呼吸になりかけていたその時、少女が口を開いた。


「何を企んでいるのか、ねぇ……」


 優雅な足取りでテーブルに移動し、花瓶に生けられた薔薇を手に取る。


「あなたがそれを知って得になることはあるのかしら? 失うものの方が大きいと思うのだけど……」

 俺は今、脅しをかけられているのか……?

 計画をもし知ってしまったら、口封じすると? いや、もしかしたら街の人々までをも殺すということなのかもしれない。


「それでも知りたいというのなら――」


 そういうと、少女は手に持っていた薔薇を握りつぶし、俺の目の前でその薔薇を捨てる。


 そうか……。つまり、俺たちはその薔薇のようになってしまうんだな。


――ガン!


「大変申し訳ありませんでした!!」


 俺は手を出す相手を間違えた。

 相手は格上……。この威圧感、殺気、立ち振る舞い……全てにおいてこの少女が勝っている。圧倒的なまでに。

 俺がもし攻撃でもしていたら、一瞬で殺された後に街も滅ぼされていたかもしれない。

 頭を地面に何度も叩きつけながら謝る。

 俺は攻撃こそしていないが、威圧を放ち攻撃的な言葉を吐いてしまった。気分を損ねれば俺の命と共に街まで危険な目に合うかもしれない。

 俺だけならまだいい。この街だけは……!!


「気分を害されたのならば俺の命を差し出します!! だから、この街だけは滅ぼさないでくださいッ!!」


「あなたの命も、この街が滅ぶかどうかなんて、心底どうでもいいわ。それよりギルドマスター……私の要求は分かるかしら?」


「パープ様の身分の隠蔽とギルドランクの昇格でしょうか……?」

「そうよ」


 俺がこの秘密について皆に暴露したら、少女の策略は防ぐことが出来るだろう。だがそれと引き換えに、この街は滅ぶ。

 少女を野放しにしたら、いずれ政略に巻き込まれ平和は保たれない。

 どちらも嫌だが、最悪ではない。後者を選べば、仮初の平和が続く。

 ならば俺は仮初の平和を選ぶ。


「ギルドマスター、この秘密を喋ったら……殺すぞ」


 先程よりも鋭く、冷たく、確実に死がにじみよってくるような殺気が放たれる。

 気絶しそうな意識をなんとか保ち、少女が応接室から出るのを見送る。


 あの少女は……噂通り、まさに金色の悪魔(ゴールデンデビル)だった。姿が見えなくなっても、まだ震えが止まらない。

 次からは機嫌を損ねないよう細心の注意を払って対応しよう。

 そうだな……ギルドランクはSランクが妥当だろうか? よし、そうしよう。

 俺が、この街の平和を守るんだ……!!

 ギルドマスター、パープは演技してるだけだからね? そんな『街は俺が守る!』宣言されましても……パープは滅ぼす気なんて毛頭ないからね??

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