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一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第1章 金色の悪魔

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第37話 偏屈じいさん

「こ、こんにちはー」


――シーン


 あ、あれ? ここ鍛冶屋さんだよね? 装備を買う為に鍛冶屋さんに入ったはずなんだけど……あまりにも静かすぎない?


「あ? なんだガキィ、ここは遊び場じゃねぇっつんだ」


 奥から酒瓶を片手に持ったドワーフが現れる。

 お、おぉ。見るからに偏屈じいさんだ。昼間っからお酒飲むって……まあ装備を売ってくれるなら構わないけど。


「私に合う防具を作ってもらいに来ました」

「何だと?」


 偏屈じいさんは酒瓶を口に運びかけていた腕を止め、こちらをギロリと睨みつけてくる。

「お遊びで防具作って欲しいなら帰んな。ここはなぁ、命の取り合いで少しでも有利になるために、歴戦の猛者がやってくる素晴らしい鍛冶屋なんだ」

 なんか急に饒舌だ。自分の店に誇りを持って仕事してるみたい。それなら普通の子供に売ってくれないのは当たり前だ。でも、でもさ。私は普通の子供じゃない。


「私も冒険者だ。命の取り合いをするから防具がいる。でも、何件もの防具屋さんに行っても、どこにも私に合う防具はなかった。ここなら私に合う装備を作ってくれると思ったから来た‼」

 この街中の防具屋さんを訪ねても、ドワーフに合うものはあっても、子供用のものは無かった。何とか私に合うものを作ってもらおうと鍛冶屋さんに行っても、子供だからって一蹴され、まともに相手にされなかった。

 ここが最後のチャンスなんだ。

 子供だからって毎回侮られたくない。せめて見た目だけでも冒険者になりたい。出来れば防御力がしっかりある防具を装備したい。


「お願いします‼ 私に合う防具を作ってください‼」


「……待て、お前……普通のガキじゃねえな?」

「……?」

「いろんな奴を見てきたから分かる。お前は……ハハ、まるで怪物だな」

 ……失礼な。怪物はないでしょ?

「ふむ、お前は機動力重視の戦い方をするな? なら防具は貴金属ではなく軽くて丈夫な革製のもので……動きやすいようにデザインは……」

 なんかブツブツ言いだして自分の世界に入って行っちゃった……。

「あ、あのぅ。つまり作ってくれるってこ――」

「ああ! 革製の防具は専門外だが作ってやる。今良いアイディアが湧き出てる所だから黙って待ってろ、そこら辺の武具やらは好きに見てていいから」

 言い終わらないうちに返事をされ、早口&大声で言うとまたブツブツ言いながら奥へ消えていった。

 うん、偏屈じいさんだ。

 とにかく防具は作ってくれるようだし、良かったってことで。


 それにしても……すごい量の武器と防具だなぁ。

 私が今日一日かけて周った防具屋さんと鍛冶屋さんに置いてあったものを鑑定してみたんだけど、ほとんどが品質Cだった。

 けど、ここにあるものは全部B以上。中にはSもある。

 これは……当たりだ。他の所で防具作ってもらわなくてむしろ良かった。偏屈じいさんはもう私のことを子供って思ってないみたいだし、腕も良い。きっといい装備を作ってくれるだろう。



♢♢♢



 あれからかなり時間が経った後、偏屈じいさんが戻って来て採寸やら予算について聞かれたり、ギミックの相談などされた。

 どうやら作るのに三日ほどかかるらしい。偏屈じいさんは妙に張り切っていたので少し不安になったけど、私がどうこう出来ることは無いから、大人しく宿屋で待つことにした。

 そして予算については少し多めに言ってしまったので、待っている間にまたギルドに行って魔物の素材を売ろう。ついでに金色の悪魔(ゴールデンデビル)の噂についても情報収集しなきゃね。



♢♢♢



「こんにちはー」

「お、パープ‼ もう出来てるぞ‼ 早く着てみてくれ!」


 さっそく着て鏡に映る自分の姿にびっくりした。

「何コレ天使じゃん……」

 私は金色の悪魔(ゴールデンデビル)の二つ名が気に食わないと思ってる。だってさ、私はこんなにも愛くるしい見た目してるんだよ⁉ たれ目にかかるこの長いまつ毛を見れば、悪魔じゃなくて天使だって分かるはずだよね⁉ なのになんで悪魔って言われるかが理解不能‼

 だから偏屈じいさんに白基調の装備を作れないか聞いてみた。魔物の返り血とかが心配だったけど、どうやら一流の鍛冶師にかかれば返り血を弾いてくれる能力を装備に付与出来るらしいので、白色にしてもらった。

 白色の装備を着ていれば流石に私が天使だって皆気づくよね?

 そしてら友達出来るかなぁ? 一緒に冒険とかしたいじゃん‼


「おお、まるで悪魔だな‼」

「はぁ?」

 え、偏屈じいさん、今、私のこと悪魔って言った? 聞き間違いだよね?

「なんか知らねぇけど、こんなに悪魔みたいな奴初めて見たわい」

 いや、ガハハッて笑ってないでさぁ。

「俺にはあまり効かないようだが、お前には人を恐れさせる”力”があるようだ」

「恐れさせる”力”……?」

「そうだ、お前からは妙な気配がする。この一流の鍛冶師の言葉を信じろ」

 は、はあ。会話のたびにお酒を飲むじいさんの言葉を信じろと言われてもねぇ。


「ほれ、これがその装備のギミックの全てが書かれた説明書だ」

「あ、ありがとう」

「それで値段なんだが……大金貨20枚でいい」

「えっ⁉」

 装備への能力付与だけで大金貨50枚は確実にかかるって聞いたのに……これじゃあ使った素材くらいの値段になっちゃう。

「久しぶりに防具を作ってみて、凄く楽しかったんだ。その礼だ。申し訳ないって思うなら、ギルドじゃなくて俺の所に素材を売りに来い。お前のように強い奴ならさぞ珍しい魔物も狩るんだろう?」

 じいさん……。


「ありがとうございます‼ また来ますね‼」

「おう‼ あ、次来るときは酒を忘れずに持って来いよ‼」

 飲んだくれじいさんめ……。ま、世話になったし、それくらいいいけど。

 どうやらこの世界では、未成年でもお酒を買える……どころか、飲めるらしい。

 えー、日本では買うのも飲むのも駄目だからね!?

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