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一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第1章 金色の悪魔

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第35話 筋肉和み亭

 決闘後、周りの妙な視線が気になったけど、無視して冒険者ギルドを後にする。

 もうそろそろ宿をとらないと野宿になっちゃうからね。せっかく街に入ったんだからベットで寝たいもん。


 だけどさぁ、冒険者が多い街だからかな? 現在5軒周ってるけど、全部の宿屋埋まっちゃってる。なんか段々心配になってきた。私、今日は野宿じゃないよね?

 もしかしたら街の中心の宿屋を訪ねてるからかもしれない。街外れならきっと空いてるはず‼

 おっ、良い感じの街外れに宿屋発見‼ なになに、店名は『筋肉和み亭』……? な、何このヘンテコりんな店名は……。筋肉で和む的な? 筋肉マッサージ亭ってこと⁉ 意味わからないけど、とりあえず入ってみよう。


――カランコロン


「いらっしゃいま――あら?」

 店名がアレだから筋肉ムキムキの人が居るかと思ったけど、普通の可愛らしい女の子が受付してるんだね。15歳くらいかな?

「こんばんは、一部屋空いてますか?」

「全然空いてるけど……お嬢ちゃん一人なの? 親御さんは居ないのかな?」

 また子ども扱い……。優しくしてくれるのは嬉しいけど、こう何度もやられると面倒臭くなるなあ。

「うん。お金も持ってるし、私はれっきとした冒険者だから一人でも問題ないです」

「そっかー、すごいね‼」

 ……絶対信じてないね?

「一週間ここで泊まれる?」

「んーっと、そうだね。銀貨6枚になるけど、払える?」

「うん」

「はい確かに。じゃあこれが部屋の鍵だよ。ご飯は夕食だけサービス! 夜8時の鐘が鳴ったら食堂においでね。それと、タメ口で良いからね?」

「分かった」


 笑顔で手を振られたので振り返してから部屋へ向かう。すごい気さくな子だったなあ。笑顔が眩しくって可愛いし、きっとここら辺の男の子からは大人気だろうね。

 部屋はベットとタンス、机くらいしか無かったけど、なんというか……雰囲気があって居心地が良い。ベットの布団はふかふかで、しっかり干されているのが分かるし、床には埃一つ無い。

 街外れだからか、そんなに繁盛はしてないけど、それでも良い宿だ。これは当たり引いたね‼


 さて、今日は夕食食べたらすぐに寝るとして……明日は何をしようか? やっぱり冒険者ギルドに行って依頼を受けようかな? お金も心もとなくなってきたし。

 明日のことを考えながら服をタンスにしまったり荷解きをする。


――ゴーン、ゴーン


 おっと、色々してたら鐘が鳴っちゃった。じゃあそろそろ食堂に行きますか。

「あ、来た‼」

 さっき受付をしていた女の子が満面の笑みで駆け寄ってくる。

「私もこれから夕食なんだけど、よかったら一緒に食べてくれる?」

「コラー‼ お客様と同席なんて失礼よ、シェリル」

 エプロンをつけた肝っ玉母さんみたいな人が女の子――シェリルちゃんを叱りつける。そして私の方を向いてから頭を下げて「お客様、大変失礼致しました」と言う。

 シェリルちゃんは口をとがらせてケチ―と言いながら助けを求めるようにこっちを見る。


 あぁ……いいなぁ。


「私も誰かと一緒に食べたいので構いません。シェリルちゃん、一緒に食べ――あれ?」

 頬に伝う()()に驚き言葉が詰まる。二人も驚いたように目を見開いている。

 その()()に触れてみて正体が分かった。これは涙……? どうして目から涙なんかが……?

 おかしい、おかしいよ。もう私は立ち直ったの。もう泣かないって決めたはずなのになんで…………


 いいなあシェリルちゃんは。お母さんが居て、叱ってもらえて、幸せそうで。

 私も、もっと叱られたかった。ケチ―って言いたかった。喧嘩だってしたかった。ずっと一緒に居たかった。だけど……お母さんはもう居ないんだ。


 ダメダメ、泣いちゃダメ。二人が困っちゃう。皆が見てるよ。

 でも、止めようとしても止められない。蓋をして封じてた幼い私の()()()()()が溢れ出てくる。


「お母さん、何で……っ、何で……私を置いてったの?」


 ずっとお母さんの後を追いたかった。でも、私はアムールを探さなくちゃいけない。そして何より、託された”お母さんが生きた証”がこの世界から消えてしまわないように、生きなければいけない責任がある。

 私は転生者だから、大人だから、みっともなく泣きわめきたいのを我慢していた。でもさ、本当はずっと、このやり場のない悲しみを誰かにぶつけたかった。


 水の入った壺の穴がどんどん広がって溢れ出すように、感情が洪水となって溢れ出る。


 二人が慌てふためいているのも構わず、私は声をあげて泣き続けた。



♢♢♢



「突然泣いてすみませんでした……‼」

「いいのよ~可愛かったし」

 周りにお客さん居たし、絶対迷惑だったはずなのに……優しいっ‼

「母さん……そんな言い方していいの? お客さんに()()じゃないの?」

――ゴス

「いッ~~‼」

「パープちゃん、辛いことがあったら私に言いなさい。いつでも胸を貸すわ」

「ありがとうございます……‼」


 なんだかすっごいスッキリしたな。新たに生まれた黒歴史と引き換えにね……。

 肝っ玉母さんの胸の中はすっごく温かかった。こう……どっしりしてて、硬かった。そう、あの肝っ玉母さんの巨体は筋肉の塊だった。

 そんな肝っ玉母さん――エートルさんからシェリンちゃんみたいな細身の可愛い子が生まれるなんて……びっくりだわ。


 初日から皆の前で泣き出すような最悪な私だけど、この『筋肉和み亭』でならやってける気がするな。多分、他の宿屋だったらキャンセルして他のとこ行ってたと思うけど。

 お母さんが亡くなってあんまり悲しんでる描写がなかったけれど、実は隠してただけなんだね。中身は大人かもしんないけど、今は子供だから黒歴史はノーカン‼ 安心せい‼

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