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一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第1章 金色の悪魔

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第34話 恐怖を運ぶ少女



(――【真実の鑑定】――)



【名前】ザ・コン ♂

【種族】人族

【年齢】27

【魔力値】40/40

【体力値】280/280

【スキル】

斧術Lv2 火魔法Lv1 体術Lv3

【ユニークスキル】

なし

【称号】

なし

【総合戦闘力】540

【ランク】B



 うん、弱いね。何このスキルの少なさ。こんなんで冒険者が務まるの?

 いや、待って。私は総合戦闘力60の時に750の銀狼に勝った。……油断は禁物だよね? 負けて一生奴隷とか嫌だし。念には念を、油断はしないで全力で倒す‼


「両者準備はいいですね? それでは決闘開始‼」


 先手必勝!

「――【水球(ウォーターボール)】――」

「そんなレベル1の魔法じゃ給水くらいしか出来ないだろ――……はッ⁉ 何だよそのデカさは⁉」

 ……? なんか言ってるけど、まあいっか。

 頭上に出現させていた【水球(ウォーターボール)】を敵の足元に投げつける。

「おぅわぁああ⁉‼」

 あっけなく水に足元をすくわれて転ぶ。……もしかしたら油断を誘ってるのかも。だってBランク冒険者はベテラン……何か私の知らない罠を張っているのかもしれない。

 相手は敵、ここは戦場だ。()()()()攻撃する。


「――【煌炎(ブレイズ)】――」



 【煌炎(ブレイズ)】を身に纏いながら手甲鉤をはめた拳を振りかざす。

 ……あれ? 避ける動作なくね? それに罠らしきものも見当たらない。どうしよう……。


――ザン


「ひゃぅっ」

 避けないと見せかけて~反撃‼ っていう罠かと思ったけど、さすがにそれはないと思い、顔の皮一枚だけ切れるように避けて刃を地面に突き刺す。

 おじさんは白目を剥いて気絶する。にしても情けないなぁ。


「これがBランクなの? 大したことないね」

「「「――ッ⁉」」」

 しまった、心の中で言ったつもりが声に出てた。な、なんか場の空気が凍り付いたような……?


「しょ、勝者パープ‼」

「「「……」」」


 見物に来ていた人たちも声を失いただただ立ち尽くしていた。

 そして誰かがこう呟いた。


金色の悪魔(ゴールデンデビル)……」



♢♢♢



「両者準備はいいですね? それでは決闘開始‼」


 興味本位で決闘を見に来た者がほとんどであった。

 幼女が甚振られる姿を見るために来た者、ベテラン冒険者の戦い方を参考にするために見に来た者、はたまた暇だったため来た者。

 様々な理由で来ていた者は共通して兎獣人の少女が負けると考えていた。否、考えるまでもなく負けると確信していた。


 傷一つ無い白い肌に華奢な身体。煌めく金色の髪に紫水晶を思わす瞳。庇護欲をそそられそうな整った顔。武器は持っていたが、7歳ほどの背丈しかなければリーチも短い。どう考えても戦えるような見た目ではない。

 対して相手はBランクのベテラン冒険者。過去にこの男から()()を受けて、その身に上下関係を刻み込まれた者も少なくない。


「――【水球(ウォーターボール)】――」


 少女が使用した魔法はレベル1の水魔法。主に野営などで使われる()()()()()だ。

 皆一同、「この少女は何をしているのだ?」と疑問に思った。

 だが、少女の頭上に出現した巨大な【水球(ウォーターボール)】を見て、驚愕した。

 あり得ない。魔力量の絶対量に応じて魔法の威力や規模は変化するが、ここまで変化することはまず無い。それなのに、通常の【水球(ウォーターボール)】の数十倍の大きさをする()()は一体なんだ?


 【水球(ウォーターボール)】により情けない声をあげて地面に転がる男を見ても、ほとんどの者はまだ男の勝利を確信していた。

 あの規模の魔法を使ったならばもう魔力は残っていないはず。そして、少女は武器を持ってはいるが戦えるはずがない。あんな華奢な腕では何も切り裂けないはずだ。


――ブワァァァ


 場の雰囲気が変わったのは一瞬だった。

 この小さな少女から発せられる強烈な()()。幾戦もの戦場を駆け抜けてきた者でさえも腰を抜かすほどであった。弱い者は失神し、耐え抜いた者は恐怖した。

 自分に向けられていないはずが、まるで”死”を体感したかのような恐怖。その場にいる全ての人に伝説に登場する”悪魔”が頭をよぎった。



「――【煌炎(ブレイズ)】――」



 少女が聞いたこともない言葉を呟いた瞬間、金色に輝く炎が現れ、少女の身体に纏わりつく。金色の炎など誰も見たことが無い。

 少女は一瞬で距離をつめ、まばたきの間で地面に刃を突き刺していた。

 訪れた静寂を突き破る「これがBランクなの? 大したことないね」という言葉に皆が息を飲んだ。この冒険者ギルドにいる者のほとんどはCランク以下。つまり、この少女は”警告”をしたのだ。Bランク程度では相手にさえならない。邪魔をするのなら今度こそ殺すぞ、と。(勘違い)

 手を出したら今度こそ殺されると全員が確信した。

 犠牲者を出さないためにも、このことを周りに広めなくてはいけない。


金色の悪魔(ゴールデンデビル)……」


 誰かが発したその言葉は少女にぴったりの言葉だった。

 まるで太陽を思わす煌めく炎を身に纏う、可憐な少女の皮を被った悪魔。

 そしてこの決闘を目にした者は口々にこう言った。


――金色の悪魔(ゴールデンデビル)には手を出すな。

 金色の悪魔(ゴールデンデビル)

 この名は永遠に語り継がれていく……‼

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