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一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第0章 受け継がれる一欠片の勇気

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第31話 外れる思惑と噂

 子を身籠ったある日、神の声を聞いた。



――そなたから生まれる子の名はPARP。PARPが強くなるよう全力でサポートしなさい。PARPに気に入られた者は強大な”力”を手に入れるだろう。



 この私が神の声を聞けるとは、と天にも昇る気分だった。

 私は男爵家の出であり、身分が低い。国王の寵愛は受けているけれど正妃にはなれなかった。愛するコニーリョ様と結ばれるのを邪魔したあの女……正妃のフェリリーラを許さない。

 私に宿る一つの命。女なのは残念だが仕方ない。だが神の声を聞いたということは……この子は神のご加護を得ているはず。この子を女王にする。そうすればきっと、私が正妃になれる。


 あは、この世界は私のために回っているのよ‼ この世界が物語であるのならば、きっと私はヒロイン。そしてフェリリーラは恋を邪魔する悪役ね‼

 これから訪れるであろう幸せを考え、自然と笑いが込み上げてくる。

 ヒロインの結末はハッピーエンド、悪役の結末はバッドエンド。そう決まっているんですもの。うふふ♪




 おかしい。

 あれは神の声じゃなかったの? パープには王族の印である特殊な瞳孔が無かった。王族の特徴である金色の髪も、紫色の瞳もあるのに……瞳孔がないなんて。

 コニーリョ様は私を責めなかった。でも、周りの目は冷たい。私を役立たずのような目で見てくる。フェリリーラなんて高笑いしちゃって……憎たらしい。


 フェリリーラの子供だって出来損ないじゃない‼

 第一王子の瞳孔は翼……と言われているが、あれは翼なんかに見えない。ぐにゃぐにゃでただ変な形の瞳孔。ただ普通の人には見られない瞳孔だから王族と認められただけ。媚を売りたいモブどもが”翼”と言い噂を広めただけだ。

 第二王女の瞳孔は”テッセン”という異国の地に咲く花。薔薇にも引けをとらないほど複雑な形をしているが……噂だとふわふわしているただのポンコツらしい。


 くそくそくそ‼

 パープめぇ。顔だけは私に似て庇護欲がそそられる可愛らしい顔をしているが、私はもうお前を愛せやしない。

 お前のせいで私はこの王宮で軽んじられる。立場が危うくなる‼

 環境の悪い場所に幽閉しているのにも関わらず、しぶとく生き残るのが尚憎たらしい。


 あの神の声は偽物だったんだ、きっと。だって私はヒロイン。神はヒロインの味方でしょ?

 ヒロインは皆に愛されて幸せであるはずなのに……邪魔をする者がたくさんいる。

 そっかそっかそっかそっかぁ~。みぃーんな、邪魔者なんだ。要らない者はポイしなきゃね‼ 私、お片付けとハニートラップは得意なんだ♪ じわじわと、王妃の勢力を削らなきゃ。そのためだったら多少の犠牲は構わない。私はヒロイン。ヒロインは正義。何をしてもいいの。

 うふふ♪



♢♢♢



「ん……ぱぁぷ……?」


 煌びやかな部屋で一人の少年が目を覚ます。

「君、目を覚ましたかっ‼」

「だ、誰?」

「私はルシエル・サンタムール。魔物に攫われていた君を助けた者だ。君、親はいるかい?」

 30代ほどの男は、陽だまりのような笑顔で、少年を落ち着かせるように語りかける。

「……居ません」

「そうか……ならば、私の養子にならないか?」

「養子……」

 混乱するような顔を浮かべながらも少年は冷静に考えていた。

 どうすれば最善か、どうすればパープにまた会えるか。

「君はこのままだと一人で外の世界に行くことになってしまう。君の容姿は……かなり美しい。質の悪い者に酷い事をされてしまうかもしれない」

 確かに、人間の世界のことを何も知らない状態ではパープを探すどころか生き残ることも困難になるかもしれない、と考える。

「私はステラ王国、サンタムール公爵家の当主だ。養子となるならば君の身元を保証し、保護しよう」

 万が一魔物とバレてしまっても、公爵家の一員ならばもみ消すなりしてくれるだろう。自由は束縛されてしまうけれど、メリットの方が大きい。


「養子、なります」

「そうかそうか、それで君の名前は?」

「アムールです。僕、自分の名前くらいしか分からなくて……」

 自分の容姿を駆使し、目をうるうるさせながら男を見上げる。

「無理に思い出さなくていい……‼ よろしくね、アムール。これからは私が君を守るよ」

 男はそう言いながら抱きしめる。

 アムールは男に抱きしめられながらニヤリと笑う。そして、どうやって公爵家を掌握するか考えていた。


――全てはパープと再会するために。



♢♢♢



――ギィィィ


 冒険者ギルドの扉が音を立てて開き、金髪の少女が入ってくる。

 ガヤガヤと騒がしかったギルド内が嘘のように静まり返る。

「おい、あいつは……‼」

「金色の髪に紫色の瞳……ということは」


「「”金色の悪魔(ゴールデンデビル)”……‼」」


 冒険者ギルドにはある噂がある。


――年端もいかない金色の髪に紫色の瞳をした可愛らしい兎獣人の少女が、絡んできた冒険者を再起不能にした。


 目にした者が何人もおり、皆口々にこう言った。


『”金色の悪魔(ゴールデンデビル)”には手を出すな』



 ヒロイン(笑)は痛い子なので放っておきましょう! でも、性格はパァだけど、結構有能かも……?

 そしてなんか不穏なアムールさん。さてさて、どう公爵家を攻略していくかなぁ?

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