第29話 魔境の森大戦⑦ ―最後の攻撃―
デュランタさんとソリテールが力を合わせて戦ってくれているうちに考えよう。どうやって拘束する?
拘束する魔法で私が使えるのは闇魔法の【闇束縛】くらいしかない。けど相手は闇魔法のエキスパートで、上位スキルの暗黒魔法が使える。この魔法だと相性が最悪すぎる。
……違う。私がさっき感じた無敵感。そのイメージは魔法だけを使った技ではなかった。【煌炎】のように二つの属性を合わせた魔法、そして体術。
うまく表せなくてもどかしい。
ええい‼ なんか出来る気がするしやってみよう‼ 出来るって思ったら出来るの‼(めちゃくちゃ論)
「……【太陽の光糸】……」
お母さんがくれた手甲鉤に魔法をかける。
そして、死霊王に攻撃を仕掛ける。私が魔法を使っていることは悟られてはいけない。バレないよう、慎重に、不自然さがないように……私の悪意を沁み込ませる。
そして何度か攻撃を掠らせることに成功した。よし、これで準備は整った。
「――【十字架刑】――」
『――なっ』
先ほどまで見えなかった魔力の糸が燃え上がるように煌き、死霊王の手足を拘束する。
ふっふっふ……さっきの攻撃はね、【太陽の光糸】を死霊王に仕掛けるものだったのよ! 【太陽の光糸】をそこら中の木や地面にも括り付けたし、この魔法の属性は光と火だから、そう簡単には抜け出せないよ‼
「今よっ‼」
「ああ‼」
ソリテールは空高くに飛び上がり、最強の一撃の名を言い放つ。
「――【銀狼王の一撃】――‼」
『――【世界よ、滅びろ】――‼』
死霊王が大人しくやられるわけがない。広範囲に、そして何も見えなくなるほどに濃い瘴気が現れる。
光を全て飲み込むような深い闇。【太陽の光糸】までもが飲み込まれそうになる。それを必死で魔力を流し抑えるのに私は精一杯。
まずい……このままじゃ攻撃しようとしたソリテールが瘴気に突っ込んじゃう‼ 発動した技は強力な技になるほど取り消すのは困難‼
【太陽の光糸】は初見だからこそ成功した。解除したら……もう二度と死霊王は私を近づけさせない。魔法を解除してソリテールを助けるか、魔法を維持させてソリテールを見捨てるか。どっちをとっても勝ち目はない。詰み……?
「そうはさせっかよぉぉおおお‼」
「デュランタさん⁉」
瘴気にデュランタさんは突っ込み、全てを請け負う。いくら【身代わり】スキルがあって何度も生き返れるとしても痛みはあるはず。あの濃い瘴気は世界の憎悪全てを詰め込んだようなもの。死の痛みを数回体験する程度で済むはずがない。
それなのに実行した……全てはソリテールの一撃のため、勝利のため。
「「いっけぇぇぇええ‼」」
「ガァァァアアアアッ‼」
銀色の光線となったソリテールが死霊王を貫く。
『ぁ、ぁぁ……』
死霊王はボロボロと崩れ落ちていく。
『セ、カイを壊さなければ……完膚無きまでに……我が……壊さなきゃいけないのだ――‼』
「――⁉」
半身が灰となり崩れ落ちても尚、戦おうって言うの⁉
ソリテールは攻撃の反動で動けない。デュランタさんは瘴気を浴びてまともに動けない。私しかいない。……覚悟を決めなきゃ。
『PARP‼ セカイを滅ぼせずともお前だけは……壊さなければいけないの、だ。――【滅びろ】――‼』
なんでそんなに私を目の敵にすんのよ~‼
この広範囲の瘴気……避けられない。そして避けてしまったら、背後にいるソリテールに直撃してしまう。
光魔法で相殺? 出来るか? この強力な瘴気を……?
「パープッ‼」
誰かが私を庇うようにして瘴気を浴びる。
「……え?」
まさか……お、母さん……?
『セカイを滅ぼさ……セカイ、を』
「さっさと死になさい」
お母さんの攻撃を最後に死霊王は完全に灰となった。
「パープ、無事……?」
「う、うん」
「良か……った」
――ドサ
「お母さんッ‼」
「か、カレンデュラ……」
これにて魔境の森大戦は終了‼ えらい長かったな……一か月以上かかってしまった。
第0章はもう少し続きます!
第1章からはスパスパ進んでいくと思います‼(多分) お楽しみに‼




