第16話 お別れは嫌だ
「――その後、寿命によりエキナセア様は死に、私が後を継いだ。それが私の過去よ」
そういうことだったのか。色々と謎が解けたな。
絶望の淵、命を絶とうとしたところを植物系魔物が救ってくれたから、お母さんは植物系魔物には優しいんだ。
妙に人間らしいところや、不自然な家も、これで説明がつく。
「う゛、ぐすっ」
「アムール、泣きすぎでしょ……」
「バーブだっでぇ」
「こらこら、二人ともそんな泣かないでぇ♡」
泣かないなんて出来ないでしょ⁉ こんな辛くて重い話、涙なしじゃとても聞けやしない。
「……さて、過去のことは話したし、次は私の今の状況について話すわぁ」
「「…………」」
血を吐いた。
その事実から、良い話ではないことくらい分かってる。でもせめて、取り返しのつかないことではありませんように…………。
「私はもう、そう長くは生きられない」
「「――‼」」
「妖花女王は本来、数百年以上生きる。けれど私は人工生物。魔物適正率が99%の私は実験が成功したかと思われた。でも――残りの1%のせいで、私の体は拒絶反応を起こし、ゆっくりと崩壊し始めている」
そんな……。お母さんは長く生きられない?
「この事実に気づいたとき、私は少し嬉しかった。だってあの忌々しい実験は全て失敗に終わったのよ? 成功と思われた実験は失敗だった、それが私にとっての最高の復讐よ」
お母さんはくすくすと笑う。でもすぐに悲しげな顔になる。
「前まではそう思っていた。でも今は違うの。パープ……とアムール、二人と一緒にいられないのが、とても悲しい」
「お母さん…………」
「(あの変な間から思うに、僕はついでな気がする……)」
「だからね、パープ、アムール。あなたたちは今すぐ私から逃げて」
「「えっ?」」
逃げる? 話の流れ的にこの言葉はおかしい気がするんですけど?
「崩壊とは即ち、私が私では無くなること。もちろん肉体の死も近づいてきている。けれどその死よりも先に私の意識は死に、その結果魔物の意識だけが残る。最近はなんだか人間だった記憶も薄れてきたの。パープとメイラを同一人物だと思ってしまったり、感情が抑えきれなかったりしているから……限界は近い」
「つまり、カレンデュラさんが僕たちを傷つけてしまう前に離れて、ということですか?」
「そうよ」
「嫌だっ‼ せっかく家族になれたのに……お別れなんて嫌だし、お母さんが死ぬのも嫌!」
どうしてそんなことを言えるの? 私は嫌だよ? 諦めたくない。
それに、もしかしたらアムールの【神聖魔法】で治るかもしれないじゃん!
「……言っておくけど【神聖魔法】は効かないわ。忘れないで、私は【真実の鑑定】があるの。アムールの【神聖魔法】が効かないことくらい分かるわ」
「――っ」
「パープ……」
「嫌だっ‼」
私の肩に添えようとしたお母さんの手を払いのける。
「わ、私はこんなにも優しくされたことがなかった。初めての家族だったの。もっとここにいたい、一緒にいたい。お母さんと離れることになったら私はどこに行けばいいの? 血の繋がった親には捨てられ、お母さんにまた捨てられたら……私、どうすればいいの?」
幼子のように駄々をこねる。前世も含めて30年以上生きてきたのに、恥ずかしげも無く泣きわめいている。
お母さんは私を捨てるわけではない。分かっているけれど、この体の中にいる幼い私にとってそれは……理解できない、捨てられたも同然なの。
「捨てたりなんて絶対にしないわ。でも……私以外にもここには危険な存在がたくさんいるの。あなたを危険な目にあわせたくないのっ‼」
お母さんなしで生きていけっこない。そんな勇気、私にはないっ‼
「ヤダヤダ、捨てないでよー‼ うわぁーん‼」
「(修羅場かな……?)」
「こうなったら…………あなたたちは自分の弱さを知らなければいけないようね」
「「?」」
「――【真実の鑑定】――」
【名前】パープ(・ステラ) ♀
【種族】兎獣人
【年齢】6
【魔力値】100/200
【体力値】120/120
【スキル】
鑑定Lv2 火魔法Lv1 水魔法Lv1 風魔法Lv2 地魔法Lv3 光魔法Lv2 闇魔法Lv1 無属性魔法Lv1 体術Lv2 暗視Lv1 毒耐性Lv2
【ユニークスキル】
なし
【称号】
創造神の最後の望み PARP 転生者 王族 自縛者 捨て子 神童 狼スレイヤー アムールの主
【総合戦闘力】540
【ランク】B(?)
――呪いのため、ステータスが著しく低下している。
【名前】アムール ♂
【種族】桃花兎(変異種)
【年齢】1
【魔力値】80/500
【体力値】90/130
【スキル】
好感Lv5 土魔法Lv2 神聖魔法Lv1 無属性魔法Lv2 体術Lv3
【ユニークスキル】
『愛で増幅する魔力』Lv1
【称号】
無垢な女たらし 一目惚れした者 PARPの眷属 聖者
【総合戦闘力】930
【ランク】S
【名前】カレンデュラ ♀
【種族】妖花女王・人工生物
【年齢】非表示
【魔力値】600/600
【体力値】200/300
【スキル】
水魔法Lv5 風魔法Lv5 闇魔法Lv1 無属性魔法Lv5 鞭Lv5 体術Lv4 魅了Lv5 隠蔽Lv2 憤怒Lv6 統率Lv3 料理Lv3
【ユニークスキル】
『真実の鑑定』Lv5
【称号】
人工生物 子を失いし者 慈愛の戦士 植物の聖母
【総合戦闘力】2000
【ランク】SSS
――崩壊により、ステータスが著しく低下している。
すごい……【鑑定】とは違って人に見せることもできるんだ。
「パープの呪いのことや転生(?)については一旦置いておいて……」
ん? 今呪いって言った? 本当だ、???が見えるようになってる。 私いつの間にか呪いかかってた⁉
それと……転生者なのバレちゃったな……。こんな形で知られるのは嫌だなあ。
「これで分かったかしら? いくら崩壊によって弱体化していても、あなたたちでは抵抗すら出来ずに死ぬわよ……」
たとえ戦力差がありすぎたとしても、私は諦めない‼ 草木にしがみつき、意地でもここから離れないんだからねっ‼
「……あのさ、ただ僕たちが強くなればいいだけの話じゃないの?」
「‼」
「意味を分かってる? 私はいつ崩壊してもおかしくないのよ。それに、今回私たちを襲った黒幕がまだ……」
どうしてそんな解決方法を思い浮かばなかったんだろう? そうよ、強くなればいいのよ‼
「お母さん、今度こそ私に戦う術を教えて‼」
あのときは断られちゃったけど、今ならどう? 私はメイラじゃない、もう最低最悪のお父さんはいないよ。私は自分を守る力、誰も悲しませなくて済む力が欲しい!
「……本当に危険なのよ?」
「いいもん‼ お母さんより強くなって見せるんだから‼ ね、アムール!」
「うん‼ 僕はパープを守れる力が欲しい……もう、大切な人が傷つくのをただ見ているだけだなんて嫌だ‼」
「……これ以上言っても聞かなそうだし、いいわ。みっちり鍛えてあげるわ♡ 覚悟しておきなさいなぁ♡」
――よし、これでウィンリーとリバー、シーを守る為の力の一部を得られる。
ん? 私、今何考えてた…………?
「ところでパープ、転生者って何?」
「そうよぉ、呪のことについても話してもらうからねぇ♡」
「あ、いやぁ……そのぉ……」
まずい、前世の記憶あるくせにさっき駄々こねて泣き喚いてたって知られたら……引かれる!!
せっかくできた初の家族&友達なのに、引かれるのは嫌だっ!!
でも、お母さんは知られたくない過去を話してくれたのに、私は話さないっていうのも嫌だ。
ここは覚悟を決めよう。勇気を出せ、パープ!!
「後日話します……」
無理。私のような臆病者には、この場で話すなんてものはハードルが高すぎたみたい……。
話す内容を細かく決めて、修行中にでも話そう!!
中間テスト明日なんですけど……。それでも頑張った私、偉いわ‼
ということで評価、ブックマークよろしくお願いします‼
……二次不等式分かる人尊敬‼ 助けて欲しいわ(笑)




