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初めての敗戦

 山梨軍が諏訪大社上社本宮付近に着くと長野旧政権軍と出会った。

「山梨軍のみなさなりがとうございます。急に反政府軍の奇襲をくらい長野市や松本市といった主要な都市を占領されました。こちらの軍勢も三千人しか残ってません。軍のほとんどが反政府軍についてしまい挙げ句の果てには機密でミサイルを製作していてそれを富山県に発車までして・・・」

 長野県知事の悲痛な言葉が響く。光と翔は真摯に聞いていた。

「我々がきたからには大丈夫です。必ず撃破します。」

「それはありがたいです。頼りにしています。」

 長野県知事は深々とお辞儀をした。

「顔をあげてください。知事は安全なところまで避難してください。私たちはこれから下諏訪駅と岡谷駅に向かいます。」

 そういって長野軍を安全なところまで行くよう促した。

「いや我々も戦います。山梨軍に頼ってばっかではいけないですし。」と長野県知事も戦おうとした。

「知事にもしものことがあったら我々が勝利した後長野県を引っ張る方がいなくなります。お気持ちは十分にわかりますが未来のためにここは安全なところへお願いします。」

 光の言葉に長野県知事は納得していつでも逃げれるように諏訪インター付近に待機してもらった。


 そして山梨軍は作戦通り20号線と中央道方面へと二手に別れた。20号方面の部隊が先に攻撃を仕掛けるため中央道の部隊はそれに合わせて岡谷駅周辺に陣を構えることにした。

 翔は敵の様子をみながら進軍を進めていった。山梨県庁にいる仁と光の部隊とこまめに連絡を取り合い情報を共有していった。


 翔の部隊が諏訪湖の北側に差し掛かったところで反政府軍に動きがあった。一斉に下諏訪駅周辺から岡谷方面へ向かっていった。

 翔は作戦がバレている可能性があると咄嗟にに判断して光に報告をした。

 その情報を受け光は進軍速度を早めた。いち早く岡谷駅につき迎え撃つ必要があった。中央道を急いで進み長野道に入り岡谷インターから岡谷駅に向かおうとしていた。その方が早く進軍できるだろうと光は判断した。


 光の部隊が岡谷インターに差し掛かると反政府軍が待ち構えていた。こまめに情報を取り敵の居場所もこまめに突き止めていたのになぜ岡谷インターにいるのかが理解できなかった。けどそんなことを考えている余裕はなかった。

「敵の数はなんか少ない。けど敵は岡谷駅に向かっているはず。もしかして奇襲部隊か。全軍戦闘態勢。敵を迎え撃つ。」

 そういって光は全軍に攻撃命令を出した。

 しかし光の部隊が攻撃するより前に反政府軍の攻撃が始まっていた。それをなんとか防ぐも防ぎきれず攻撃を受けてしまう。

 そして攻撃を受けた後岡谷インターが爆風に包まれた。

「なにが起きている。と光は混乱していた。急いで被害状況を確認して。」と兵士に指示を出した。岡谷インター周辺は火に包まれている。

「このままではまずいか。」といい光は指を鳴らした。そうするとあたり一面水が溢れ出し火を包み込む。これで消火を試みた。

 しかし水を浴びた火はますます勢いを増していった。そして大爆発を起こした。

「くっ」

 光の軍はもろにその爆風を受けて多くの兵士が倒れていった。


 それを合図に反政府軍が猛攻をしてきた。

 光の軍は爆発の影響で何もできないでいた。あっという間に攻められて軍は混乱状態になっていた。


 光はこのことを仁と翔に報告をした。そして今できる最善なことを考えた。

「軍の損害は約半数が戦闘不能か。こっちは責める余裕もない。これは撤退させるしかない。」

 そう思いすぐに全軍に撤退の指示を出した。しかし撤退を使用にもあたり一面火の海であり反政府軍の攻撃も次々に繰り返されていた。


 その連絡を受けた仁は動揺していた。山梨軍がここまで被害を出したのは初めてだった。そして光が指揮している軍がここまで追い詰められるのは想像がつかなかった。仁も撤退を支持した。

「まさかこんなことになるとは・・・」仁は心の声が漏れた。

「知事。これが戦争です。うまくいかないこともあります。今は軍の損害を抑えることです。光の軍を直ちに撤退させましょう。赤備えの軍は撤退する軍のフォローをするために撤退した軍と合流させましょう。」

 仁は隆の意見を聞き光と翔にそれを伝えた。


 その指示を受け翔は全速力で岡谷インター付近へ向かった。なんとか被害を最小限にしたいという思いと光が無事でいてほしいとの思いが混ざっていった。

「まさか敵に全部バレてたなんて。光の作戦が失敗するなんて。敵が一枚上手だったか。」

 そう呟いて軍を進めていった。


「私にできることは軍の撤退の時間を稼ぐこと。それが大将としてそしてこの部隊の指揮官としての仕事。」そう呟いて兵士に指示をだした。

「みんなは撤退に専念して。私が時間を稼ぐから。異論は認めない。」

 それを聞いた部下が慌てて聞き返す。

「光さんだけ残るなんてそんなのできません。みんな戦います。」

「いや撤退して。」

 光の声が部下の耳に響いた。

「ここでできる限りみんな撤退して次に繋げるの。私も生きて戻るから。約束だよ。」と光は笑顔で言った。その笑顔からは覚悟がにじみ出ていた。

「わかりました。ご武運を。」そう言って部下は撤退していった。


「さて。暴れますか。」

 そういって光は全特力を集中させた。そして特力を解放させた。

「いけ。聖なる光 hope right。」

 そう光が言うとあたり一面に”光”が降り注いだ。その”光”が反政府軍の体に突き刺さっていった。反政府軍は次々と倒れていった。

 しかし生きている反政府軍は光と距離をとって遠距離攻撃を仕掛けていった。

 光はその攻撃を防いでいった。しかし数が多すぎて攻撃が光に当たる。

 光の全身に痛みが走る。じわりじわりと体力が削られていく。

「まだこんなところでは終われない。」

 光がそう言うと一人の男が光の前に立った。

「君が山梨軍大将の光さんだね。見事こっちの罠に引っかかってくれてありがとうね。おかげで大成功したよ。君はここで死ぬのよ。」

 そう言い放ちその男は特力を圧縮しその塊を光に放った。

 光はそれを受け止める。そしてその塊を跳ね返した。それが男に当たる。

「さすが大将なだけあるな。けどこれもはね返せるのさ。」

 そういって跳ね返した塊をまた光の方へ跳ね返した。

 今度も光は受け止めようとするが受け止めきれず光は吹っ飛んだ。

「さらば。」

 そう男が言うと吹っ飛んだ光の後ろに尖った壁が出てきた。そこに光が突き刺さる。

「うぐっ」

 光の全身に痛みが走る。意識も朦朧としてきた。

「翔くん・・・先輩・・・知事・・・みんな・・・」

 今までの記憶が脳内で高速に再生される。これが走馬灯ってやつか。もう生きれない。光は死を悟った。

「もっと翔くんと一緒にいたかった。みんなといたかった。それは叶わない。けどせめてこいつは倒す。」

 そういって光は全力で叫んだ。そして全身から特力のオーラが包み込む。目が真っ赤に充血していた。その目で男を睨む。


 光に睨まれた男は全身が硬直した。

「なんだこれは・・・」と男が言いかける前に光が男の背後にたった。

「喰らえ。奥義。light of peace。」

 まばゆい光が全体を覆う。全てをなぎ倒しながら光が進んでいく。男とその周りにいた反政府軍はその光の衝撃を受けて吹っ飛ぶ。そして光のトゲが現れ次々と反政府軍の兵士を刺していく。

 男はそのまま無言で倒れていった。

「これで終わったな。私の人生は本当に光だった。天国に行っても”光”になって見守るよ。翔くん。」

 そう行って光は意識がなくなって行った。

 かすかに私の呼ぶ声が聞こえたがものすごく遠い声だった。


「光。光。」と翔は光を抱きかかえて叫んでいた。しかし光は何も返事しない。

「医療部隊すぐに手当てを。」と翔が医療部隊を呼んで光を見てもらった。

 医療部隊は険しい顔をして翔に光の状態を伝えた。

「大変言いにくいのですが光大将はもう亡くなっています。」

 それを聞いた翔は泣き叫んだ。大事な彼女を失った。数時間前までは普通に話していた彼女はもう死んでいる。もっと早くついていれば光を助けら得たかもしれない。いろいろな思いが積もってくる。けど光は何も答えない。

 戦争というものは残酷なものだ。ついさっきまで生きていたものの命を簡単に奪う。こんな世の中早く終わればいいのに。翔はそんな思いでいっぱいだった。


 翔は深呼吸をして山梨県庁に報告をした。

「光大将がなくなりました。」

 その報告を受けた仁と早苗はただ呆然としていた。」


 光の抵抗もあり山梨軍は撤退することができた。

 山梨軍の損害は死者五千人以上、負傷者7万人以上にのぼった。その全てが光の部隊だった。

 光は山梨へと無言の帰りとなった。


 山梨軍の初めての敗戦となった

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