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第二次静岡戦争

 静岡軍が清水に侵攻していると言う情報は各部隊へ告げられた。清水防衛にあたっている早希は全軍に戦闘用位の指示を出した。

「今回は砦を使って防衛するのが目的だ。砦より前には出るな。耐えるに耐え静岡軍をできるだけ引きつけろ。」

 早希の言葉に兵士達は一斉に声を上げる。そして砦をさらに強靭なものにするために特力を使った防衛技を繰り広げて行った。

「青備えは砦の前で我々の究極防衛特力を静岡軍へ見せつけろ。ここが落とされたら全ての作戦が無駄になる。用心して戦え。」と薫も青備えの式をあげた。


 静岡軍が接近してくる音が聞こえる。

「くるぞ。」

 薫のその言葉が合図となり静岡軍の攻撃が襲う。

「全ての力は防御に転換。究極防御。金山。」

 薫はそう唱えると地面が一気に隆起して巨大な金の山が現れた。静岡軍の攻撃は金の山に跳ね返されて行った。それでも静岡軍は攻撃を次々繰り出してきた。

 その上空には戦闘機が数機飛んでいた。

「戦闘機を絶対に入れるな。迎撃技を使え。」

 早希の合図で迎撃に特化した技を使える兵士が戦闘機に攻撃した。戦闘機はそれを避けるために急旋回した。

「そうだ。戦闘機自体を破壊しなくてもいい。入れなければいい。防衛線とはそう言うものだ。なら私は時を止めよう。stop the World」

 清水防衛戦線は静岡軍の猛攻をしのいでいる。静岡軍はなかなか進軍できず苛立ちを覚えていた。そこに一人の女が青備えの前に現れた。


「これが噂の山梨軍の防衛部隊というやつか。」

 そう行った女の前に薫も立ちはだかる。

「静岡軍の最強戦士清水由香。あなたが攻めてくるなら話は変わってくるね。私の命に代えてもあなたを止める。」

 薫が名前にした女は静岡軍最強と謳われる清水由香だ。この女が現れるとなるといくら最強防衛の青備えでも止めることは難しくなる。青備えの対象としてこの人を止めなければならないと薫は使命感に駆られた。


「言葉はいらない。大地の力よ私に全て注げ。Erde。」

 由佳がそういうと大地から茶色の光が点に向けて放たれた。そして一瞬で周りが爆発していく。」

 それを押さえるために薫も技を繰り出す。

「水の力よ。我に力を。Water Wand。」

 あたり一面に水が溢れ出し爆発を一瞬にして消していく。そして水のベールが由香を包み込む。

「ふっ。こんなもの効かない斬撃・爆破」

 そう言って鋭い空気の刃が由香を包み込んでいた水のベールを破壊する。その刃が薫に向かってくる。

「さすがにかわせないな。ゼッタリングハンドル。」

 薫の前に巨大な岩が生み出された。刃がそれに当たる。

「これで防げるはず」

 ところが空気の刃は岩を貫通して薫に当たる。葵はとっさに特力を前方に集中させてそれを受け止める。しかし薫は衝撃を抑えきれず吹き飛び砦に激突する。

「くっ」

 砦に激突した衝撃で背中から痛みが走る。そして口から血を吐いた。


「薫!」

 砦の上にいた早希が叫ぶ。そして薫に猛スピードに迫ってくる由香の姿が見えた。

「山梨の大将も大したことないね。じゃあね。」と由香は言って薫の首をつかんだ。

「甘いね。」

 薫がそう言い放つと薫の血が由香を伝って言った。そして血が喉元にへばりつく。その血が由香の首を絞めていった。


 由香は苦しさのあまり薫をつかんでいた手を離してしまった。

「そのままさようなら。」

 と薫が言うと由香の首がますます閉まる。

「苦しい。このままだと流石にやられる。こうなったらあれを使うか。」と由香は呪文を唱えた。そしたら薫の頭上に巨大な刀が数十本現れた。

「体が動かない・・・」

 薫は避けるすべがなかった。このままでは刃が体を貫く。とっさに頭をフル回転させた。

「私の血たちよ。剣をどかして。」

 そう言うと周りに散らばっていた薫の血が上空の剣にへばりついて剣を移動させていった。そして剣が薫の周りに落ちていった。


「くそっ・・・だんだん意識が」

 由香はその場に膝をついた。全ての得力を使い果たして首も絞められているため意識が遠のいていった。

 薫は全身の痛みを耐えながら由香に近づき帯刀していた刀を抜いた。そして峰で由香の首の後ろを殴った。

 由香がその場に崩れ落ちる。

「なんとかやった・・・」

 薫もそういってその場に崩れ落ちた。

 それを見ていた早希が薫に駆け寄る。そして薫を砦の後ろに運び医療部隊のところへ運んだ。」


「早希さん・・・私は大丈夫です。なんとか由香を倒しました。」

「薫。今は体を休めることに専念して。ここからは私が青備えの指揮もとるから。よくやったよ。」

 そういって先は薫の頭をぽんっと軽く叩いた

「あとは私に任せといて。」

 早希はそういって砦に戻っていった。


 その頃藤は部隊を率いて浜松に侵攻していった。国道152号線からなんかしていったが静岡軍はいなかった。そして浜松市街まで簡単に到達することができた。

「ここまで軍がいないのも何か引っかかる。純粋に清水に軍を向かわせたのかそれとも罠なのか。けど諜報部隊も何も情報は掴んでいないらしいからこのまま攻めても問題ないかな。そろそろ赤備えにも攻撃を開始してもらうか。」

 藤は今の状況を分析した。罠も仕掛けられている様子もないのでこのまま浜松を侵攻することを決めた。


 そして浜松市街に一気に乗り込み侵攻した。浜松中心街には静岡軍5000人が待ち構えていたが藤の広範囲技で半数以上が戦闘不能になっていった。そしてすぐに浜松を占領することができた。そしてそのまま東に向かい次々と静岡の都市を占領していった。


 赤備えも掛川に侵攻を開始していった。掛川も軍が全くいなく赤備えは不思議がったがそのまま掛川も占領した。


 その頃静岡県庁では各地の戦況が渡のもとへ伝わっていた。

「なんで清水も奪還できないんだ。それに浜松、磐田、袋井、掛川までも占領されたとはどう言うことだ。」と弥は声を荒げていた。

 すかさず部下が渡をなだめる。

「知事。落ち着いてください。正直西部かも進行されるのは想定外でした。まさか長野から侵攻してくるのは想定できませんでした。」

「うるさい。とにかく西部も今すぐに奪還しろ。」

「ですけど西部にまで回せる軍勢がいません。掛川には赤備えが占領しています。それに浜松に攻めていった軍は浜松にいた五千の軍を一瞬で攻略したみたいです。」

 部下が恐る恐る渡に意見を提案する。

「なぜ山梨軍はそこまで強い。」と渡は部下に疑問を聞く。

「多分日頃から軍に対して教育や訓練を熟知させているからだと思います。山梨の厳しい環境が良いトレーニング場となっていると思います。」

 それを聞いた渡は黙り込む。なぜ軍事力日本第三位の静岡が山梨ごときにやられなければならなかったのか。弥は理解に苦しんだ。

「そうだ海軍を使おう。そうすれば挟み込める。」と渡は海軍を使うことを進軍した。

「海軍の港である清水港は山梨軍に占領されています。それに今回の戦いで海軍の兵士も陸で戦闘しています。そんな余裕はもうないです。」

 正直静岡軍は打つ手がなかった。それも渡は分かっていた。

「分かった。静岡全軍にこう伝えろ。命ある限り静岡のために戦え。最後まで全力に。」

 そういって渡は知事室に入っていった。

 こんな予定ではなかった。山梨を余裕で攻め落とし関東も制圧して覇権をを握り天下統一して自分が日本のトップを務める気でいた。しかし現実は違った。攻めた山梨に逆に攻め落とされる状況だ。

「俺の夢はそんなものか。」

 と一言だけ呟いて知事室の椅子に座り込んでいた。


 山梨県庁にいる仁、隆、早苗の元にも各戦線の状況が入っていた。

「薫大将が負傷。重症ではあるが命には問題なし。命が無事でよかった」と仁は呟いた。

「知事。安心している場合ではないです。今は戦争中です。入ってきた情報を元に次の行動を考えてください。」

 隆は淡々と話を進めた。戦況はかなり山梨軍が有利だ。しかし清水防衛部隊もジワリと損害を受けていた。

「知事。西部の都市にはほとんど静岡軍はいません。ならいち早く静岡市中心部に攻撃を仕掛け清水防衛部隊の負担を軽くしましょう。それが戦争を一番早く終わらせるてです。清水までは東名高速、新東名高速をフル活用すれば1時間足らずでいけます。」と早苗は次のプランを提案した。仁もそれに納得した。

「よし。そのプランで行く。各部隊に伝えろ。」

「かしこまりました。」

 そういって各部隊に仁からの指示が伝わる。


 指令を受けた藤は軍をすぐさま静岡に行くよう命令を出した。輸送車を使い兵士を静岡まで送り込んだ。諜報部隊によると東名高速および新東名高速道路ともに静岡軍は配備されていないので東名高速および新東名高速をフルに活用した。

 兵士を静岡までに送り込むのに約1時間くらいかかる。それだと時間がかかりすぎだと判断した藤は新幹線を利用することも考えた。

 日本が戦国時代になってから各鉄道会社は各都道府県の路線を自由に使えるようになっていた。しかし県外へ行くことはできなかった。

 そのため浜松などを占領した山梨軍は新幹線を使っての兵士の輸送ができるようになっていた。浜松駅に東海道新幹線の車両が2編成あったのでそれを利用して浜松駅から静岡駅付近に軍を送ることにした。

 送る兵士も考え攻撃に特化した赤備えと攻撃に優れている兵士を送ることにした。そしてその軍の指揮を信之に託した。

 そうすることで20分で約3000の兵士を送ることができた。


 信之は安倍川を超え静岡駅から約500メートル離れた地点で新幹線を止め部隊を降ろさせた。そこから先に静岡県庁を奇襲することに決めた。静岡軍は東静岡駅周辺を本陣としていたので距離はまだあるので先に指揮官である静岡県知事を捉えることを優先した。

 静岡県庁の守りは清水攻略に軍を割いているので薄いと信之は判断した。その判断を藤と仁に伝えた。二人の許可を得て静岡県庁攻略に向かった。


 静岡県庁は駿府城公園にあり静岡中心街を進軍していった。静岡県庁付近に着くと県庁護衛の軍と交戦した。相手の軍勢は1000だった。赤備えはその軍勢に猛攻を仕掛けた。静岡軍も必死に抵抗したが赤備えの前にどんどん押されていった。ものの15分くらいで静岡軍を撃破した。

「よし。静岡県庁に乗り込むぞ。」

 信之の一声で赤備え含む信之の部隊が静岡県庁に乗り込んだ。


 赤備えが静岡県庁に乗り込んだ情報はすぐに渡の元へ伝わった。

「ここまでか。県庁にいる全ての人に伝えてくれ。生きたいものは赤備えに抵抗するな。赤備えも無抵抗な人には攻撃しないはずだ。最後まで戦う人は俺についてこい。」

 渡は部下にそう指示を出した。部下はその指示を県庁内にいる人に伝えた。


「知事。県庁にいる軍や職員は全員知事について行くそうです。」

「そうか。なら全力で戦え。それだけだ。」

 そういって山梨軍に交戦していった。

 必死の抵抗も虚しく赤備えにどんどん攻められていってついに赤備えは知事室の前まで迫っていった。


 信之は知事室の前まできて刀を握っていた。そして知事室の扉を開けた。そこには渡が椅子に座っていた。

「あなたが静岡県知事の海勝渡か。」と信之が問う。

「そうだ。お前が赤備えを率いる山梨軍大将信之か。」

「よくご存知で。話はここまでにしよう。知事。あなたを捉えてこの戦争を終わらす。」

 そういって信之は一瞬で知事の背後にたった。

「さすが赤備えの大将。一瞬の隙もない。だがこれならどうだ。」

 と渡がいうとあたり一面に数百本のナイフが信之を囲った。

「さすがにこれなら逃げれないだろ。終わりだ。」と渡がいうとナイフが信之に飛んでくる。

「知事といったからとんでもない技が飛んでくると思ったけどそうでもなかったな。」

 信之はそういって中指を立てた。その瞬間信之に飛んできたナイフが一斉に渡の方を向く。

「なんでだ。なぜいとも簡単にこんなことができる。」ナイフを向けられた渡は焦って言う。

「そりゃあ地獄の訓練をくぐり抜けて特力を最大限にまで高めたからね。覚悟と決意が違うんで。さあ知事。どうします。」


 渡は少し沈黙を貫いたうち言葉を発する。

「降伏します。県庁を明け渡します。そしていま展開している軍を全て撤退させます。だけど条件がある。軍や部下の命だけは保証してくれ。」

 そう言って部下に降伏したことを静岡軍に伝えるよう指示をした。

「分かった。その意思を我が知事にも伝える。降伏した以上静岡軍と交戦する必要がなくなった。山梨軍にも先頭の停止を指示する。」

 そういって信之は仁と各軍にそのことを告げた。


 信之の知らせを受けた仁は各軍に戦闘の停止を指示した。

「これで終わる。」とホッと一息ついた。

「知事。これで静岡は完全に支配下におけます。思ったより早く戦争を終えられることができました。これは山梨にとっても静岡にとっても重要なことです。後日静岡県知事には改めて降伏宣言を出してもらいましょう。」と隆は今後の流れを説明した。

「そうだな。静岡をどう統治下におくのかも決めないといけないしそこもまた考えるよ。」

 そういって仁は各軍の撤退を改めて指示した。


 撤退の指示を受けた藤は軍の進軍を止めていた。藤の軍は焼津市まで進行していた。そして焼津市で兵士をしばらく休ませることにしてその後軍を撤退させる予定でいた。

「流石赤備え。仕事が早い。」と赤備えを改めて評価していた。


 清水防衛戦線にもそのことが伝わり早希は戦闘停止を部隊に告げた。静岡軍も攻撃をやめていた。

「動ける兵士は山梨、静岡両軍の負傷した軍の治療などに当たってくれ。戦いが終われば敵味方関係ない。けが人などを保護しろ。」と指示を出し各兵士はけが人などの手当に当たっていた。

 その後薫のもとに行き戦争が終わったことを告げた。

「無事に勝てたんですね。よかったです。わたしも今回のことを教訓にもっと強くなります。」とベッドで寝ながら話した。

 それを聞いた早希は薫の手を握りしめて「わたしも強くなる。」と言った。


 この戦いで負傷者は多く出たが奇跡的に死者は出なかった。戦うけど死者は出さない。その考えが両軍の間で生まれていった。

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