静岡との戦い
仁から指令を受けた早苗は大将の三人に詳細な指示を出した。
山梨から静岡につながっているルートは大きく分けて3つある。一つは静岡市清水区から山梨県南部町に繋がる国道52号線および中部横断道を使うルート。二つ目は今回静岡軍が集結している静岡県富士宮市と富士河口湖街をつなぐ国道139号線ルート。そして三つ目は静岡県御殿場市と山梨県富士吉田市および山中湖村をつなぐ東富士五湖道路ルートの3つがある。
今回静岡軍は富士宮に集結していることから国道139号線を使って攻めてくると推測できた。
「今回メインの戦場となる139号線からくる敵を抑える部隊を早希指揮をとってもらう。そして赤備え空挺団で直接富士宮にある敵の本陣に攻撃を仕掛ける部隊の指揮を信之にお願いする。光はそれ以外のルートを守る部隊の指揮をとってもらう。今の戦力的に富士宮ルートに軍のほぼ全てを割かないといけないので御殿場ルート。清水ルートに避ける軍勢は五百人づつが限界だ。それ以外の約39,000の軍は全て富士宮ルートに配備する。もしも富士宮ルート以外にも静岡軍が進撃してきた際は全力で光に守りに徹してほしい。」と早苗は三人に指示をした。
「たったの千人で二つのルートを塞ぐのですね。防衛に適している人材を集め全力で防衛します。わたし自身の力も使って全力で防衛します。」と光は答えた。その目は少しの不安があったが自信に満ち溢れていた。
「すまないが頼んだ。」
早苗の言葉に光は頷く。絶対に進軍させないよう意気込んでいた。
「そして赤備えを指揮する信之が今回の作戦のキーとなる。敵陣で大暴れをして敵を混乱させてくれ。」と早苗は信之に託した
「まかせとけ。」と信之は言い放ちグーサインを出した。
「そして早希には最初静岡から進軍してくる大軍をなんとしてでも抑えてほしい。そして赤備えが敵本陣を制圧したら責めに転じて一気に攻めてほしい。攻めに転じたら一気に敵を壊滅させてほしい。」
「わかりました。」
早苗と早希は見つめあいお互いのやることを確かめ合った。
この戦いに敗れれば山梨は滅亡する可能性が非常に高い。山梨の存亡にかけて三人は任務を遂行する覚悟ができていた。
早苗は三人に指示を出した後敵の動きを詳しく調査した。その調査により的の本陣は富士宮市役所周辺にあることがわかった。そして前線基地として道の駅朝霧周辺を利用していることがわかった。このことから赤備えに富士宮市役所周辺に展開している本陣を叩いてもらいその後一気にせめて前線基地も叩くプランを立てた。
そのプランを仁と隆に提案しに行った。
仁と隆に会い早苗は作戦の提案をした。仁は少し考えていたが隆はすぐに納得をした。
「知事。何を考えているんですか。本陣の場所がわかった以上そこを集中して叩くのが最もです。」と隆は仁に意見した。
「それはわかる。けど敵本陣と前線基地まで間が空きすぎている。たとえ本陣を潰したとはいえそこから北上するのにそれなりに時間がかかる。」
仁は自分の意見を提案した。道の駅朝霧から富士宮市役所までは約25キロある。いくら特力があるとはいえ人間の力で25キロを移動するのはそれなりに時間がかかる。仁はそこを懸念していた。
「知事。本陣を叩く一番の理由は敵の指揮系統を駒指摘を混乱させることにあります。それに本陣を叩けば前線基地に送る補給が止まります。前線基地にはそんなに多くの舞台を一度に配備できないから本陣から前線基地へと順々に送ってくることになる。だから本陣を叩くのです。私はこの作戦には反対していましたがやると決まったからには全力で勝てるプランを考えます。」
隆の言葉に仁は頷いた。確かに隆の言っている通りだった。敵を混乱させる。それが目的ということを理解していなかった。
「わかった。その作戦でいこう。私も前線で戦う。」
仁はそう言って席を立った。多くの人が戦うので自分も先陣になって戦いたいという思いがあった。
しかしそれは隆によって止められた。
「知事。気持ちはわかります。けど知事は山梨のトップです。トップがもしも何かあったら指揮が取れません。それに軍の士気も下がります。トップは絶対に何かあってはならないのです。ここは安全な場所に残り指揮をとるのに専念してください。」
隆は仁に留まるよう必死に訴えた。
「知事。私も副知事と同じです。トップが取られたら誰が山梨をまとめていくんですか。将棋でも王将が取られたら負けです。だから指揮に専念して欲しいです。」
早苗も隆に続いた。それを聞いて仁は陣頭指揮に専念することに決めた。
「わかった。俺は陣頭指揮に専念する。この戦い絶対に勝とう。」
そういって隆と早苗との三人で手を握った。
その時一つの情報が入り込んだ。静岡の軍を動きを監視していた軍から連絡が入った。
「静岡軍が進軍を開始しました。道の駅朝霧に静岡軍が集結しているそうです。こちらも急いで軍を展開しないとすぐに責められます。」
情報収集をしていた少尉が報告をしてきた。それを聞いて仁はすぐに指示を出した。
「全軍に出動要請を出して。山梨県全域に非常事態宣言を発令。139号線周辺の住人などに避難指示を発令させて。軍は先ほどの作戦通りに展開するよう指示をお願いします。」
「わかりました。」
すぐ隆と早苗は部下や軍に対して指示を出した。
早苗は指示通り軍を各方面へ配置した。あらかじめ軍を配置する場所の近くへ配置していたのですぐに軍を配置できた。
139号線に配置された軍は静岡県との県境に特力を使って砦を作った。できるだけ静岡軍の侵攻を防ぐためにあらゆる人の特力を使った。そして前線には防衛に特化した人員を配置した。守りは完璧に固めていった。
「こちら光。御殿場ルートと清水ルートの防衛体制整いました。現在静岡軍の姿は見えません。以上です。」と光から連絡がきた。光の方も準備整ったようだ。
「こちら信之。赤備えも準備完了。いつでも飛べます。」
信之の部隊も準備ができたらしい。それらの情報を聞いた早苗が各部隊に告げる。
「山梨の存亡この一戦にあり。死に物狂いで戦え。だけど命は無駄にするな。生き延びて山梨を勝利で導け!」
早苗の言葉が全員の心を震え立たせる。適度な緊張感とやる気が溢れていた。
仁は甲府にある山梨県庁にて隆と早苗とともに各軍の様子を聞いていた。
「いよいよ始まるのか。」と仁がつぶやく。
「やるからにはとことんやるだけだ。知事。絶対に勝ちましょう。」
「軍の配置はうまくいきました。あとは奇襲が成功するかどうかです。静岡が宣戦布告してくるかどうかにもよりますが。」と早苗が言ったら外交を担当している外務部から連絡が来た。
「静岡から宣戦布告を受けました。」
その連絡を受け三人は息を飲んだ。ついに来たかと気合いを入れた。
「こちら早希。静岡軍の進軍を確認。間も無く交戦します。」
早希からも連絡が入った。静岡から宣戦布告したので敵本陣に奇襲をできる大義名分もできた。
「よし。赤備え部隊奇襲作戦開始。4機の輸送機で富士宮本陣へ迎ってくれ。2機は最短距離へ敵本陣へ。もう2機は一回神奈川方面へいき東から敵本陣へ向かってくれ。輸送機一機につき2機の戦闘機を護衛につける。最後に一言だけ。健闘を祈る。」
奇襲部隊にも指示を出し敵本陣に奇襲をかけた。この奇襲が本当に勝つか負けるか大きな鍵がかかっている。
「こちら信之。了解。必ず成功させます。」
信之はそう返し甲府にある航空基地を飛び立った。
「静岡の軍が来る。皆戦闘用意。」
早希が富士宮ルートにいる味方に声をかけた。その言葉の後一人の男が砦の前に出た。
「山梨が誇る韋駄天佐藤兼参上。静岡勢よかかってこい。」
佐藤兼と名乗る男は堂々と叫び右手を地面に着いた。
「ちょっ、前に出るな。」と早苗が呼び止める。しかし兼は下がる気配がない。
そして遠くから物音が近づいて来た。それがだんだんと近づいて来る。
「ふっ。来やがったぜ。喰らえ俺の特力。スパイラルエターナルブロッサム!」といきなり特力を使った技を繰り出した。あたり一面に光の光線が広がり遠くに見えていた静岡の軍勢に当たる。静岡の軍勢が倒れて行くのが見えた。
「どんなもんだ。俺がいれば余裕っしょ。」と兼は拳をあげた。
次の瞬間兼に向けて赤い光が放たれた。それを食らった兼は砦にぶち当たった。そして血が一気に吹き出た。
それを見ていた女性軍人が悲鳴をあげる。どうやら兼の彼女らしい。そしてその女性は泣き崩れる。周りにいた人たちも動揺が走る。
「いいか。これが戦争だ。人が簡単に死ぬ。決して相手を侮るな。次は自分の身だ。死にたくなければ全力で戦え。」
早希の声が響き渡る。それと同時に静岡の軍勢がすぐ近くまでに迫って来た。
「急いで防衛部隊は防衛できる技を展開して。私が時間を作る。」
そう言って早希は指を立て一呼吸する。そして目を思いっきり開いた。
「stop the World」と早希は言うと静岡軍の戦車や歩兵の動きが止まった。
「雷の舞」と続けて唱えると地面から無数の雷が天に駆け抜けた。止まった静岡軍は雷を受けて戦車などが破壊された。
そして後ろでは大きな壁が出来上がっていた。その上から各々と静岡軍に向けて攻撃が行われていた。
なんとか静岡軍を抑えることができている。でもこれもいつまで持ちこたえられるかわからない。奇襲部隊にいち早く本陣を叩いてもらいたかった。
赤備え部隊は輸送機で敵本陣に切り込んでいた。赤備えは山梨郡裁許言う部隊として様々な任務を遂行する部隊だった。それを率いる信之は大将の中で最強と言われており最強部隊を吹きいるのに適した人だった。
「本陣に奇襲して大暴れしてやろう。無駄死にはすぐな。一人でも多くの敵を殲滅しろ。俺たちならできる。」と信之は機内で演説をした。舞台のみんなはそれに続いて叫ぶ。アドレナリンがみんなのテンションをあげて行く。
そして4機が静岡県内に入っていく。信之を乗せた輸送機とそ入れに続く輸送機は最短で富士宮本陣に向かって言った。残りの2機は御殿場市上空を経由して東側から移動していた。
敵の攻撃はこない。特力を使ってレーダーに探知されないようジャミングをしているおかげか今の所的が攻撃して来る様子がない。
「下に降りる準備を整えろ。本陣上空に来たら一斉に降下する。俺はもちろんパラシュート使わず降りる。」
信之の言葉で各部隊降下準備に入った。
そして富士宮上空に差し掛かった。眼下には富士宮の街並みと富士山本宮浅間大社の鳥居が見えて来た。その時機長から敵機襲来の報告があった。ついに的に気づかれたようだ。護衛の戦闘機が敵を迎撃しに行く。輸送機に近づかせないように敵を引きつけてくれている。
そのおかげで輸送機は敵本陣の上空まできた。
「よし。降下」と信之がいって一斉に赤備えが降下して言った。
信之はパラシュートも開かずそのまま降下して言った。それと同時に特力を身体中にためて 足に全特力を集中させた。
信之が着陸すると衝撃波が地面を伝う。その衝撃で敵本陣に配備してあった戦車などが吹っ飛んだ。
「すべては炎で焼き払う。」と信之がいうといっせいに地面から炎が飛び出して来てあっという間に炎に包まれた。
本陣に陣を取っていた静岡軍の司令官は慌てて外に出た。
「何が起きている。」と周りを見回す。空からには赤い格好をした山梨の軍勢が降りて来る。そして本陣は日に包まれていた。そこに真っ赤に染まった服装の信之が見えていた。
信之も敵の司令官を見つけこう言い放つ。
「山梨に宣戦布告したからには覚悟ができているだろう。ここでお前を打ち取る。と言ってものすごい早さで敵指揮官に迫る。そして腰につけていた日本刀を抜く。抜いた瞬間衝撃波が敵指揮官を襲う。
「なんだこれは。」と言ったときには遅く指揮官は衝撃波を受け吹っ飛ぶ。そして次の瞬間信之の刀が指揮官の首をはねる。
一瞬の出来事だった。周りにいた敵や味方療法が驚いていた。
そして信之は仁に報告をした。
「こちら信之。敵指揮官を討伐。敵本陣にも甚大な被害を与えた。」
その報告をきた仁は「よくやった」と返し隆と早苗の方を見る。二人も頷いていた。
「知事。戦況はこちら有利です。いま総攻撃を仕掛けるときです。赤備えには敵本陣を殲滅した後北上する部隊となんかする部隊に分けて富士市まで進行するよう指示を出してください。」
「なんで富士市まで進行を」
仁は隆の言ったことに疑問を生じた。敵から防衛するのが目的なのでなんかする必要はないと思ったからだ。
その様子を見て隆は答えた。
「敵を防ぐだけではここを乗り越えてもまた攻めて来ます。今は戦国時代です。占領できるときに占領していかなければまた攻められます。責めることが最大の防御なのです。静岡は山梨に宣戦布告をしてきました。いずれ静岡と全面戦争をするときがきます。それまでに占領できるところを占領して静岡の戦力を削ぐのです。」
仁はあまり納得がいかなかったが武田信玄に言われたことを思い出した。今は戦国時代でいつどこから攻められるかはわからない。山梨だけでは防衛はきついのは本当のところだった。領土拡大しより多くの軍や資金が必要だった。
「わかった。その作戦でいく。全舞台につぐ。富士宮ルートに展開している軍は南下を開始。赤備えの半分の部隊は富士市まで南下。敵を殲滅せよ。」
その指示に各部隊承諾した。
「全軍南下開始」
早希の号令に伴い富士宮ルートに展開していった軍は139号線を南下していった。静岡軍は指揮系統を失い大混乱していた。統率が取れなくて総崩れとなっていった。敵を殲滅しつつ1時間あまりで富士宮市街地についた。住宅地をできる限りさけ敵の軍事施設などを攻撃していった。
赤備えは本陣である富士宮市役所を完全占領していた。占領が終わると信之を含む五十人はなんかして富士市へ向かっていった。
静岡軍は赤備えの奇襲などによって戦力の3分の2にあたる613万人以上の軍が戦闘不能になっていった。残りの軍も指揮官を失って混乱しているため山梨軍
に抵抗するすべを失っていった。そして富士宮はあっさり占領することができた。
富士宮市役所に入った早希の軍は市のまま南下して富士市へ向かった。
静岡軍は富士宮市に軍を集結させていたため富士市などには軍勢がほとんど配備で規定なかった。その状況を見て一気に富士市も占領していった。
仁のところに富士市占領の報告が入った。その報告を受け仁は次の指示を考えていた。
「知事。富士市まで占領しました。今うちの軍は勢いに乗ってます。このまま静岡県東部も占領しましょう。そして清水まで進行して静岡が山梨に攻めてくるルートを完全に制圧しましょう。」と早苗が提案した。
「そうしたいが二面展開は正直こちらが不利になる。いくら勢いがあるとはいえそこまで占領できるものか。」と仁は早苗の提案に疑問をぶつける。
「それに関してなんだが今神奈川と連絡に取り東側は神奈川軍が圧力をかけてくれるそうだ。10万の軍を神奈川と静岡の県境に配備しているらしい。それを利用して東部を一気に攻めてしまいましょう。」と隆が神奈川の動きを報告してくれた。
「なるほど。でもそれだけでは心もとない。できれは神奈川にも加勢してもらいたいんだが。」
「知事そこについては大丈夫です。神奈川も静岡に侵攻する気でいます。そこで御殿場と熱海を神奈川領にするという密約を密かに結びました。御殿場と熱海を神奈川に譲渡するのは神奈川にとってもメリットです。あそこは観光地として有名で神奈川県内の経済が回りやすくなります。そして山梨県民も観光に来ることを巨kしてくれてますので両方にとってメリットになります。」
隆の言葉に仁は納得した。ここまで話を進めてくれているのはありがたかった。そのおかげで次の作戦が整った。
「早希の部隊の七割を清水区信仰に、残り三割を静岡東部侵攻に回せ。赤備えは清水侵攻に合流。静岡軍本隊が動く前に猛攻を仕掛け一気に占領しろ。光の部隊も南下して加勢するように。」と仁は指示を出し各部隊に告けた。
指令を受けた早希は部隊を負けそれぞれ西と東へ進軍していった。そして赤備えの信之と合流した。
「早希。ご苦労だった。おかげで作戦がスムーズにいった。」
「そちらこそ盛大に暴れてくれて助かったよ。」
二人は軽く言葉を交わし富士川を渡った。そして清水区に侵攻を開始した。二人はまず由比を落とすことにした。清水とフジをつなぐ重要な拠点でありここに東名高速道路と国道一号線が隣接する重要な場所だった。静岡軍はまだここまで軍を展開できていなかった。
静岡軍は山梨侵攻を確実に勝てると思い富士宮に大軍を置く以外は特に何もしていなかった。しかし富士宮侵攻が失敗に終わりさらに山梨が進軍して来る自体に焦っていた。残りの軍も浜松方面に多く展開していたので東側に軍を向けるのに時間がかかっていた。
仁は清水に軍が集結する前に清水区を落とすつもりだった。
それをわかっていた信之と早希は余計な戦闘をせずスピーディーに由比に侵攻し由比を攻めていた。
由比には五千の兵がいたが赤備えの猛攻により壊滅的な被害を得ていた。この情報は静岡県知事の海勝渡にも届いていた。
「なぜ山梨に富士宮・富士がとられているんだ。20万の軍勢を送ったはずだぞ。」
静岡県知事の渡は声を荒げていた。恐る恐る部下が説明をしていた。
「富士宮本陣に奇襲攻撃を受けて本陣が壊滅。指揮官も死亡。その勢いで一気に富士まで侵攻していき現在由比と沼津も攻撃を受けています。」
「東部の郡は何をしている。なぜ沼津防衛に向かわない。」
「それなんですが神奈川との県境に神奈川県が10万人の群を配備しており今にでも侵攻しそうな動きを見せているので沼津に軍を派遣する余裕はありません。」
「何をやっているんだ。」
渡の怒号が響き渡る。静岡の軍事力は日本を見てもトップクラスの兵力がある。それなのにたった4万の軍勢しかいない山梨にここまで侵攻されていることが納得いかなかった。
「軍を駿河区と葵区(静岡市)にありったけ集めろ。それができるまでにどのくらいかかる。」と渡が部下に問いただす。
「早くて2時間はかかります。」
部下の声が震えていた。
「2時間だと。それまで清水区にいる軍10000に持ちこたえるよう指示を出せ。相手も疲弊しているはずだ。一万人いれば抑え込めるはずだ。」
「わかりました」といって部下は静岡各軍に指示を出したを出した。けどその時にはもうすでに遅かった。
山梨軍は由比を完全占領しており清水市街へ進軍していた。そのスピードの速さに清水に配備されていた軍は何も太刀打ちできなかった。
そして北からは光の軍500が中部横断道を使って進行していた。人数的に不利な山梨軍があっという間に清水区まで占領していた。そして清水区に配備されていた軍の司令官も捉えられていた。
信之と早希は仁にその報告をした。それを聞いた仁は清水と葵区、駿河区をつなぐ道に砦を敷くよう伝えた。
「知事。この判断は正しいと思います。静岡市中心部まで進軍すると静岡軍の大群と交戦することになります。流石にそこまでになると我が軍の疲弊とかも考えたら負けることになります。強大な防衛網をつ切りましょう。」と隆が仁に伝えた。早苗もその案に賛成していた。
「うん。そのことを今考えていた。よし。東部をを制圧したら静岡に対して停戦交渉を持ちかけよう。外務部にその件を伝えてくれ。」と仁は指示を出した。すぐさま外務部は停戦交渉の用意をした。それと同時くらいに光から報告が入った。
「こちら光。静岡東部の軍は私たちに降伏する意思を見せました。東部での戦闘を放棄するそうです。」
それを聞いた仁は喜んだ。両軍とも余計な犠牲を出さずに頭部も占領することがっで来たからだ。
「よし。停戦交渉を始める。」と仁が言って外務部に停戦交渉をお願いした。
清水区では静岡中心街へ続く道に強大な砦を構築できていた。沿岸部の国道150号線、東名高速道路、新東名高速道路、国道一号線、南幹線など主要の道は全て清水区との区境に砦を構築して完全に静岡軍が進行して来れないようにしていた。
一方静岡軍はかき集められるだけの軍勢15万を集めているところだった。そこに山梨からの停戦の申し出があった。静岡軍はこの戦いで約半数の軍を失っていた。
「知事。山梨側からの停戦の要求がありました。この戦いで我が軍は約半数を失っています。そして清水区との境に砦を敷かれています。今侵攻すれば他の県から責められる可能性がありま。ここは屈辱的ですが停戦交渉を受け入れましょう。次の勝利のためにいまの屈辱に耐えましょう。」
部下にそう言われ渡は考え込んだ。正直受け入れがたいことだが部下の言っていることは正しかった。砦を攻略できたとしても軍をこれ以上損失させるわけにはいかなかった。
「わかった。停戦交渉を飲むことにする。仕方ない。でも取られた領地は必ず奪還する。」
そういって停戦交渉は成立した。
今回の戦いで山梨側は死者二十人、負傷者1500人に対して静岡は死者八百人。負傷者14万人以上と山梨の圧倒的勝利となって言った。
戦いに勝ったが仁は死者を出してしまったことに対して悔やんでいた。戦争は人が死ぬ。多くの悲しみを生む。いくら戦国時代とはいえなるべく死者や負傷者を出さない方法を模索していく。