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平和な半年間

 次の日仁はいつものメンバーを集めていた。そしていつものように会議を始めていた。

 まずは連合軍のトップを山梨県がやることになったので連合軍のトップを誰がやるかという話になった。

「元帥の私は山梨軍を統治するのでまず不可能としてここは藤大将を推薦します。藤大将は長野侵攻には直接携わっていないですが浜松に軍を展開して愛知県の動きを抑えることに成功しました。その功績が大きいのと先の静岡進行の際の結果、そして強さ、人望とも厚いので連合国軍のトップとしてふ沢あしいと思います。」

 早苗の意見に早希も賛同した。

「藤大将は大将になって間もないですが任せられるだけの能力を携えています。そして対外的にも藤大将を任命することにより山梨軍の強さをアピールできます。」

 その意見を隆は頷きながら聞いていた。

「私も賛成です。藤大将を推薦します。そして藤対象が連合軍のトップになり光大将も失ってますので山梨軍を指揮する大将が足りなくなります。そこで新たに大将を2名任命したいと思います。」と隆が言った。


 連合軍の指揮官は藤大将で決まったが山梨軍を統治する大将も決める必要があると思っていた。隆のいう通り新たな大将を2人決めることにした。

 一人は満場一致で翔が推薦された。翔の実力、人柄、そして山梨を思う心は人一番大きいことはみんな知っていた。そして光の後任として十分に力を発揮してくれると確信していた。

「一人目は翔中佐にお願いすることにします。もう一人は誰にしますか。」と仁がいうと隆が即答した。

「それなら昔の私の部下であり山梨軍少将の悟を推薦します。彼の作戦実行力、企画力は山梨軍の中でもずば抜けていますし戦闘に対しても攻撃、防御にしても抜け目のない人です。この人なら山梨軍大将としてふさわしいと思います。」


 早苗は悟と聞いてすぐに口を開いた。

「悟少将は確かに優れた人です。しかし人との関わりについて軍から少し問題があると伺っています。そこが懸念材料になります。」

 仁は早苗の話を聞いて考えた。確かに優秀な人ではあると思うが対人関係で問題がある人を上に立たせるのは気が引けた。いくら能力があっても人間関係に問題があるとトラブルになりやすいため仁はそこを懸念していた。


 仁が考えていると隆は意見を言った。

「確かに悟少将は人柄には正直問題があります。そこに関しては私がよく観察して指導していきます。悟少佐は能力も戦闘能力も優れていて山梨軍をまとめて強い軍にしてくれます。その自信があります。もしものことがあったら私が責任をとります。」


 隆から本気度が伝わる。ここは隆を信じてみようとみんな思っていた。

「わかりました。私も悟少将を推薦します。何かあったら私の判断で処分はいたします。」と早苗が言った。

 これに皆頷いていた。


 こうして二人の新たな大将が決まった。早速二人を呼び寄せ大将に任命したことを伝えた。

「このたび大将に任命されたことを嬉しく思います。亡くなった光大将の分まで山梨県に貢献して必ず平和な日本を作ります。」

「大将任命有難き幸せです。私の持てる力を全て使い山梨を強い県にしていき日本を平和へ導きます。」

 二人は所信表明をし正式に大将にすることになった。


 その後新大将を含めた九人は光の墓に行き長野県での戦争の終結と新たな大将の任命を伝えた。そして光を山梨県名誉元帥にすることも伝えた。

「光元帥。無事長野県での戦いは終わりました。光元帥が望んでいたように残された私たちは平和のために時に戦い、時に他県と協力して平和な日本を作っていきます。」

 仁の言葉が全員に響く。線香の香りが仁の言葉の重みを助長させる。


「光。光と出会えて本当に良かった。ずっと一緒にいることは果たせなかったけど常に自分たちのことを見守っててね。大好きだよ。今までも。そしてこれからも。」

 翔は涙を抑えながら言っていた。その目は赤く染まり光の墓石をずっと見ていた。


「光。光の先輩で本当に良かった。光は人懐っこくいろんな人からも好かれていたね。私が困ったときは一生懸命助けてくれたこともあったよね。本当に優しかった。光。光が生きた時間は私たちがしっかり後世へ伝えていくね。光はちゃんとこの時間を生きた。その時間はこれからも永遠に残り続ける。」

 早苗はそう言い終わると光の墓にむけて敬礼をした。それに続いてみんな敬礼をした。


 みんなの想いは光に伝わっている気がした。線香の煙が天に向かってスーと伸びていた。墓石の横で光が笑っている気がした。


 長野県に侵攻して数ヶ月がたった。山梨県は連合国軍のトップとして長野県の統治と富山県の復興に尽力していた。そのおかげで富山県の復興はかなり進んでいていた。長野県と富山面ともに県民から信頼をもらっており藤大将は英雄扱いされていた。

 藤大将の政策はとても有効なものでまず住む場所を失った人たちに住む場所の提供をした。

 山梨県の豊富な資金を最大限に利用して無償で新たな家などを提供していった。仕事を失った人たちにはインフラ整備としての職員として雇い雇用の安定化も測った。

 そして新たに山梨軍の募集もした。山梨軍としても兵士の数を増やしていく必要があったので希望を募り軍備拡張も進めていった。

 そのこともあって山梨軍の兵数は45万人を超えた。これは日本全国で見ても第3位の軍事大国となっていった。


 そして山梨県内では諸外県に新たな動きがあったので知事、副知事、元帥、大将たちの会議が開かれていた。

「知事。藤大将のおかげもありまして富山県と長野県は順調に復興していっています。また、兵の数も増えていって軍事力は向上しています。しかしいずれ訪れる愛知県との戦いにも備えるために最低でも60万人の兵が必要になってきます。その為山梨軍の雇用についても引き続き続けていく必要があります。」

 隆は軍備拡張を訴えた。それを聞いた早苗が意見をいう。

「副知事。ただ兵の数を増やしていくだけが軍備拡張ではありません。兵を増やすだけでなく兵の質も高めて戦車や戦闘機、そして海軍兵力の保持なども立派な軍備拡張です。そちらに力を入れた方がいいと思います。」


 早苗の意見に対しすぐに隆が反論する。

「現代の戦いの主力を特力を使った攻撃です。戦車も戦闘機もそこまで有意義ではないです。それに兵数が多いほど優位に立てます。私は山梨を日本一の軍事大県にしたいと思います。そうすることにより山梨に侵攻する敵は減ってきます。そして対外的にも軍事により圧力をかけれます。軍備拡張こそが山梨を守る最善なてです。」


「副知事。しかし軍備拡張をし続けるのにも限界があります。多くのコストがかかってきます。それにより山梨県民の負担が多くなっては問題外です。今は貿易によって発生する利益で賄うことができますが兵を60万人に増やすとなると貿易による財源だけでは賄うことができません。県民の生活があっての山梨軍です。」


「山梨県民にも負担してもらうのは悪いことではない。自県を守るための軍ですので少なからず県民にも負担してもらうのは問題ないことです。それが山梨の発展、平和に繋がっていくことです。


 早苗と隆の意見は激しくぶつかり合う。そんな様子を見ていた仁が意見を挟む。

「隆の意見も間違ってはいないと思うが正解かと言われると違う気がする。軍備拡張だけが山梨を守る手段ではない。他県との外交も立派な防衛手段であると私は考えています。そして財源も軍備に全て当てるのではなく他県への支援や県民への支援などにも使っています。山梨の強さは山梨軍だけではないです。外交や内政など全てが整っているから強いんです。」

 仁の意見に大将たちも納得していた。軍だけでは山梨はここまで発展してこなかった。それは早苗を含む大将たちも理解していた。


 そこに悟が意見を出した。

「知事。副知事。どっちかに偏らず両方同時進行に進めるのが得策です。軍備拡張をするにも財源が必要です。なら財源を増やすようにしていくべきです。山梨は燃料がまだ豊富にあります。そして静岡の港もあります。それを使って全国に対して貿易を展開していくのが得策だと思います。そうすれば仮に愛知と関係が悪化しても財源を賄うことができます。」


 悟の意見に隆を含め全員が納得した。かなりいい案だと仁は思った、

「よし。なら悟大将の意見を採用しよう。貿易の範囲の拡大を今すぐに外務部に伝えてくれ。」

 仁は外務部に指示を出して会議を終え。


 こうして山梨は日本全国の都道府県と貿易をすることにした、

 月日は流れ半年くらい経っていった。その間愛知は関西方面へ侵攻を続けていたという情報は入っていた。その様子を注視しつつも山梨周辺では平和な時間が流れていった。

 長野県と富山県の復興もある程度終わり連合国軍は両県から撤退をしていった。しかし長野県と富山県は山梨軍に駐在してほしいとの要請を出していた。仁はそれを受け入れて長野県および富山県にそれぞれ5万人の駐在軍を作った。


 そして埼玉県に不穏な動きが流れていた。埼玉県では財政が圧迫していて財政破綻が目の前に迫っているらしい。そこで県民などがデモを起こし軍も縮小せざるを得なくなっているとのことだった。

 このことを受けて仁は隆と早苗を集め三人で会議をした。

「知事。埼玉県が経済破綻すると連合軍にも影響が出てきます。何かしらの対応法を見つけないと同盟県にとっても不利益になると思います。」


 隆がそういうと外務部から連絡があった。埼玉県知事が山梨県に埼玉の統治をお願いするものだった。理由を聞くとどうやら埼玉県内では山梨が長野県や静岡県、富山県を復興していく手腕を高く評価しており山梨に統治された方がマシだという声が多く挙がっていたとのことだった。

 これについて三人は考え込んだ。頼まれたとはいえ統治となると実質山梨が政権を握ることになる。果たしてそれはいいことなのかと考えていた。


 そこに埼玉県知事から電話があった。仁はそれに応答する。

「山梨県知事。いきなりのお願いで申し訳ありません。埼玉県の状況は先ほど送った通りです。書面だけではと思い改めて電話でお願いをしようと思いまして。ぜひ山梨県に今後の埼玉県民の暮らしを預けたいと思っています。何卒お願いいたします。」

 と埼玉県知事は電話越しでお願いをいう。

「知事。お言葉ですが埼玉県を山梨県が政治をするということは事実上山梨県が埼玉県を統治することになります。それは埼玉県にとって大変受け入れがたいことだと思うのですがそこはどうお考えでしょうか。」

 仁が思っていることを埼玉県知事に聞く。埼玉県知事はすぐに返答した。

「確かに山梨県に統治される状態になります。しかし我々埼玉県のトップその周辺は埼玉県民の生活が豊かになるなら難なく受け入れられます。県民の生活が第一ですので山梨県側はお気になさらず受け入れてほしいです。」

 埼玉県知事の言葉を受けて仁は正式に埼玉県を統治することに決めた。県民の生活が第一。これは仁も同じことを思っているからだ。

「埼玉県知事の要請承りました。埼玉県民のために埼玉の財政の安定。そして県民の生活の支援などして行きます。」

「ありがとうございます。」


 こうして埼玉県知事との電話対談が終わった。電話でも言った通り仁は埼玉県を統治することを承諾した。それに伴い埼玉県を統治する指揮官を決めることになった。

「知事。私は悟大将を任命したいと思います。悟大将は大将になってから対人関係も安定していてなおかつ様々な事柄においても的確に判断し遂行しています。」

 隆は悟を推薦した。確かに悟は大将になってから対人関係の問題も聞かないし大将として仕事を本当によくやっているので埼玉県統治を任せていいと仁は思っていた。

「私も賛成します。」と早苗も賛成をした。


 こうして埼玉県の統治を悟対象がすることに決まった。そのことを悟に伝えて悟は早速埼玉県へと向かった。


 ここ半年間は本当に平和な時間が流れていた。しかし埼玉県の山梨統治をきっかけにまた戦争の気配が静かに迫っていた。

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