死んだと思ったら生き返った
2023年俺は死んだ。高野仁。享年25。死因は道端に落ちていたバナナの皮を踏んでしまい滑って地面に頭を打ち付けたからだ。もともとエンターテイナー(自称)として生きて来たがまさか死にざまもこんな感じなのはちょっと悲しくなった。
幽霊になった俺は葬式の様子を上から見ていた。多くの人が参列していて嬉しいがみんな口々に「バナナの皮で滑って死ぬって最後までエンターテイナーな死に方したな」と言っているので本当に俺は笑わすために生まれて来たんだなと思った。
葬式も終わり戒名ももらい天に召されるときがきた。この世とはさよならだ。
体が天に吸い込まれる。ああ。もっとみんなを笑わせてきたかったな。そんな思いの元天に召されて行った。
天に着いたら大きな川があった。これが三途の川なのかと悟った。その皮を渡ろうとすると一人の人物にあった。その人はなぜか頭に重そうな兜をつけており服装も鎧を着ていた。
「どちら様でしょうか?」と仁が聞くとその人は答えた。
「私は甲斐の虎と呼ばれた武田信玄だ。」
「え?」
仁は理解が追っつかなかった。武田信玄ってあの戦国武将の武田信玄公なのか。でもなんでこんな三途の川の川岸にいるのかわからなかった。信玄は仁のことを気にせず話を続ける。
「お主が死ぬのはまだ早い。私の力を使って現世に返してあげよう。」
唐突すぎてさらに理解が追っつかない。けどまだ死ぬのが嫌だったので内心嬉しかった。
「現世に返すと言っても今生きた人生ではないけどな。今から送る世界は令和の世界なのに各都道府県が独立している。そして争いが起きる世界となっておる。君には山梨県の長としてその世界に降臨することになる。」
「ちょっと待ってくださいよ。」
「いや待たん。すぐに転生させる。あとひとつ言っておくがその世界の人間には特殊な戦う力特力という力がある。簡単に言うと魔法みたいな技が使える。お主にはその力を限りなく強い状態にするから安心したまえ。令和の戦国時代を生き抜い日本を統一しろ。」と進言はそう言って仁を現世に返すために川の近くにあった大きな穴に落とした。
「待って。え?落ちるんだけど。」
そう言って仁は穴へ落ちて行った。