表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/25

退廃と梗塞

手がかりを求めてわらわも藁をもすがる思い。



「校長先生、少し疲れましたので2月ほど休暇をとります」シンジ


「分かりました、進級の為の課題さえ合格すればあとは自由時間ですから」

「ありがとうございます。充電してきます」シンジ


2日後超ナノ生体縮小体化したシンジ達4人は粒子宇宙船に乗り込み

地球から新地球に仕事にむかう研究員の体内に入り込み密航を果たした


「どうですか?これほど安全安心確実な密航は古今東西ありませんよ」シンジ

「悪用したらとんでもない大犯罪レベルですけどね」メイ


「こんどは無賃乗車ですか・・」メリダ


「これは4人だけの生涯の秘密です。つまり黙っていれば・・・」シンジ

「はいはい、誰もわからないですね」リン


「なにがなんでも成果を上げないと」メリダ


成田空港に到着した研究員の体から抜け出しシンジ達の宇宙船は次の

媒体に取り付く


「自律運転も出来ますけど風吹いただけで吹き飛ばされますからね」シンジ

「まさにこれは霊魂と同じ、人から人に憑依なんですね」リン

「もしかしたら幽霊なんて私のこれと同じ理屈なのかもしれません」シンジ

「ま、別に人じゃなくてもなんでもおkですけどね」


「さ、新宿に着きましたとりあえず我が家に戻ります」シンジ


「あれ、シンジ様、王立魔法院に入学時には新地球の住人は私達だけ

でしたがなんか人が増えましたね」メイ


「うむ、本来なら20億民が住むべき都市だったのだが一向に解放出来ない

ので政府も移民を募ってるのでしょう」シンジ


「wifiで情報を得ました、シンジ様の言う通りアナハイム社の社員

だけですが2万人程度が新地球の新宿限定で移住した模様です」メイ


「我らの移動には好都合。天は我々に味方してくれてるね」

「最新鋭のビル群ばかりですから使わないのは勿体ないですからね」メイ


部屋に戻ると召喚人間君達が出迎えてくれた

「おかえりなさいませ」


「うん、君達の活躍は地球の王立魔法院にまで轟いている。本当にご苦労様」

「はい、本物のご主人様と遜色ないように努力しています」ニセシンジ


「仕事が終わったら別の人間になってもらう予定でしたが考えが変わりました

このまま召喚シンジ君は生涯私として生きて下さい」シンジ


「え?お戻りにならないのですか?」ニセシンジ


「うん、私は別人として生きていくことに決めた、その方が自然ですから」

シンジ


「とかなんとかいって犯罪行為が召喚シンジ様に及ぶのを避けたんですね」

メリダ


「いや、本心だよ。私はもうシンジである必要はない。20億民救出だけに

没頭する為にはシンジは逆に邪魔なんです」シンジ


「メリダ君の言うとおりこれだけ犯罪を犯し続けてしまったらもう娑婆には

戻れないしね」シンジ


メリダ達3人はアンドロイドなのに胸が熱くなり深い涙にくれる・・


「ということで召喚シンジ君、君は自分のやりたいように生きて下さい」シンジ


「なんと勿体ないお言葉・・・わかりましたシンジ様の志決して忘れませぬ」


「ということでこの隠し部屋にナノゲートを設置したからもう移動は自由に

なりました」シンジ


「嗚呼・・・また犯罪の積み重ねですね」メリダ

「私は名無しの権兵衛だからなんでもおkなんだよ」シンジ


「ナノゲートなら重力波を検知することはほぼ不可能だから警戒ステムでも

絶対にバレないのです」シンジ


「なるほど、ナノ生体縮小化はその意味もあったんですね」リン


「実は王立魔法院での魔法取得も全て完了したからあちらにも行く必要は

もうない、あちらにも召喚人間君を配置して一生上級貴族として全うして

もらいます。休養開けにはその手はずが整ってます」シンジ


「つまり、シンジ様は本当に幽霊になったのですね」メリダ


「うむ、もはやナノ生体縮小を解く必要もないからこのままで行くよ」シンジ

「フィリップ君には平凡なS級研究員として生涯を全うしてもらう」

「S級研究員は全然平凡ではありませんけどね」リン


「そして万が一の秘密漏洩時の捜査から逃れるために私も改名する」シンジ


「わたしは、今日からノベルトを名乗る」

「かしこまりました、私達はどうしますか?」メリダ


「そのままで構わないと思いますが改名したければ遠慮なく」


「私達はそのままで結構でございます」メイ


「とにかくこれで我々は晴れて自由の身やりたい放題が出来るよ」

ノベルト


「なんだか今までは制約があったみたいな言い方ですね」リン


「これでも苦心してるんだよ」ノベルト

「とにかくこちらにお戻りの際にはくつろいで下さいね」シンジ


「うん、こちらも拠点にするつもりだが当分は廃墟コロニーに居を構える

つもりです」ノベルト


「遺跡の調査が大変そうですね」メイ


「うん、今日はここでくつろいで明日出発しましょう」

「しかし、近いとはいえどうやぅて移動するのですか?」メリダ

「そんな事は簡単です。成田発の月行き便に密航して月面大気から

宇宙空間に浮遊移動します。」ノベルト


「ですが月面にはSBが張られていて脱出出来るのですか?」リン


「大丈夫ナノ宇宙船なら訳も無くとSBを透化出来る、実検済だからね」ノベルト


※ SBとはスタージナス式ビニールハウス、簡易テラフォーミングに欠かせない

技術


「S7(サイド7)は丁度月軌道の反対側、月面から離脱さえ出来れば

自然とコロニー遺跡にたどり着けますから」ノベルト


「アナハイム社で公然と開発した各種アイテムも是非使って見て下さい」

シンジ


「コロニー調査時にもその都度道具を開発してもらうかもしれないので

よろしくお願いしますね」ノベルト


「は、王立魔法院にそのまま研究活動を行うフィリップ様にも公然と

開発してもらう予定です」シンジ


「うん、合法はいいね、合法は」ノベルト


「とどのつまり都合のよいサポート要員なんですね」メリダ


「協力者は何人いても多すぎませんからね」ノベルト

「しかも地球と新地球両方から最新の情報を取り込めるからね」


「一石5鳥ぐらいですね」メリダ




       ☆




「近頃のシンジ君の様子はどうなのですか?」

ダニアがブランに尋ねる


「は、当初はとんでもない事を言い出して研究員達を驚かせていましたが

ここのところは落ち着いてきてます」ブラン


「そうだね、いきなり1/5000の縮小技術を発案したりして

私もビックリした。しかしその技術だけで我が社の売り上げは数倍伸びたよ」

ダニア


「御意、変な話ですが彼はもうその発明だけで我ら側ですね」ブラン


「うむ、それで副社長を打診したのだが本人に固辞されたよ」ダニア


「出世欲は全くないですね彼は・・・」ブラン

「先行きが楽しみな逸材なのは間違いないようだ」ダニア


「しかし、彼の話だとその先もあるようでしたが?」ブラン

「そうなんだよ、理論的には1/兆も可能と言い出したのでその先は

封印した。既得権益に影響力が大きすぎるからね、特にスタージナス様の

東インド会社が潰れてしまうかからね、行きすぎは良くない」ダニア


「それは賢明だと思います、科学者と言う物は経済など度外視ですから」

ブラン


「かっての問題児が成長したものだね」ダニア

「以前の私はとにかく恒星間移動計画だけの人間で周りが全く見えてません

でした。お恥ずかしい話です」ブラン


「大願成就した今はどうなんだ?」ダニア

「はい、・・・今は抜け殻真っ白な灰です」ブラン


「ハタチそこそこでなに言ってんだ?君はこれからだろうに」ダニア


「それは分かってますが・・・今は充電期間ですね(^^)」ブラン

「そういえばMSもブランと私が革新的発明をしてくれないから

コバンザメ出来ないと嘆いていたな・・・」ダニア


「MSコンビは応用技術の特化に才脳を示しますからね・・」ブラン

「確かにアナハイムは大発展を遂げてはいるがこの先閉塞感をどうするか」

ダニア


「はい、わかっております、必ず充電後はなにか目標を見つけます」ブラン


「で、話を切り替えるが」


「は、」


「シンジ君が心血を注いでいるウラシマ効果についてだが・・・」ダニア


「・・・ここ数年全く手がかりすら見つかってません」ブラン

「うむ、シンジ君ですらさじを投げてしまってる気がするね」ダニア

「いえ、シンジ君の話では技術の底上げがないと手がかりすら発見出来ないと

言ってます」ブラン


「なるほど、彼が今やってることは基礎からやり直してるのか」ダニア

「地道で地味な仕事ですから成果は見えて来ませんが必ずや・・」ブラン


「話は違いますが先日ワン君から面白い報告がありました」ブラン


「おもしろい?」


「は、なにやら種籾の品種改良について遺伝子レベルでの相談があったとか」

ブラン


「ほう、民間企業にしては珍しく専門的な商談だな」ダニア

「はい、ワン君の話だと彼の専門分野にこれほど深く踏み込んできた業者は

はじめてだと大層喜んでました」ブラン


「その業者との共同開発で新しい種籾が出来て売り上げが数倍伸びたそうです」


「それは目出度い話、その業者は今どうしてるのですか?」ダニア

「はい、新開発した種籾を世界中に広めてその業界では有数のメーカーに

なってるとか」ブラン


「うむ、人類に地球に貢献してるのならなによりです。我が社も是非応援

してやってくれ」ダニア


「ワン君の話ですと第二段階の遺伝子種籾の共同開発に着手してるそうです」

「ワン君達は地道ながら我が社に貢献してくれてる。我も頑張らねば」ダニア


「恒星間移動計画の時みたいななにか情熱をそそげる物があれば・・」

ブラン


「その話ですが」ダニア


「は?」


「技術的には数十万光年先へも移動可能なのだろ?宇宙の深遠へは

行かないのか?」ダニア


「はい、ですがこれ以上の宇宙開発は人類には無用とのことで大王から

釘をさされました」ブラン


「確かに・・・人類の力に見合わない広範囲の開発は危険だしな」


「多分ですが100万光年の範囲で知的生命体は存在しないでしょう」ブラン

「うむ、宇宙130億年の歴史では100万年単位など微々たる物

例え知的生命体が文明を発展させても同じ世代に存在出来る確率は

ほとんどないのだろう」ダニア


「これ以上知的生命体を求めてもあまり意味がありませんね」ブラン


「当面は新地球の人口をいかにして増やすかだな・・」ダニア


「今の地球圏ですら慢性的な人口不足状態です。新地球圏までとても

人手は回せません」ブラン


「たった二つの星系にすら人手不足では確かにこれ以上範囲を広げるのは

無意味だな」ダニア


「食料も、資源も、空間もありあまってる状態では新しい事など

なにひとつ不必要です」ブラン


「昔のSF小説みたいに宇宙人の侵略でも無い限り人類は安泰すぎるな」

ダニア


「残念ながら100万光年内にそのような脅威は存在しませんね」ブラン

「20億民の救出に身が入らない訳だな・・・」ダニア


「人類140億にとっては正に「どうでもよい」存在になりつつあります」

ブラン


「しかし、考えて見ると我々のご先祖様でもある。見殺しはあまりにも

無慈悲だろ?」


「頭では理解してても急激に熱意が失われてるのは事実です」ブラン

「なによりも大王自身がここのところあらゆる方面で熱意がなくなってる」

ダニア


「なんとなくその気持ちは分かります。退廃的なこの感情は全人類共通です」

「究極の科学は退廃なのか?」ダニア

「外圧も内圧もなく争いが皆無のこの時代では・・・」ブラン


平和が科学を停滞させている・・なんという矛盾しかし真理


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ