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王立魔法院

次のステップ、王立魔法院潜入です

数ヶ月後


完全に操作が打ち切られて見捨てられた行方不明縮小体の大量

発見に「全世界が泣いた!」


連日装置を開発したアナハイム社は称えられて大絶賛された

また、奇跡的に離散していた4人家族の救出に「アナハイムの奇跡」と

新聞は大見出しをつけて報道した。


「今の気持ちはいかがですか?」何時ものとおり無粋な記者の質問

「わたしは今救われたばかりでなにもわかりません」若き主人のフィリップ

「ご主人の家屋敷は何十年も前に勝手にイングリント住民に

乗っ取られていますが、いまほ心境を教えてください」無粋記者


「今は妻と側室2人が無事に体力を回復するのを祈るばかりです」


「しかし、フィリップ家の財産はすべてEUが勝手に処分してますが

その点についてご感想を」超無粋記者


「しつこいですね。今の私にはなにもわからないのです」フィリップ


連日こころないマスコミの過熱報道によりフィリップ一家は悲劇の主人公

ついにはEUとかっての大王アスタージナスに非難が浴びせられる


「ウラアール、これはこまりました」アスタージナス

「確かに、本人の承諾を得ないで家財産すべてを奪った形ですから」

ウラアール


「なにか救済方法はありませんか?」アスタージナス


「当時は国家財政がひっ迫していましたしまさか今になって救出されるとは

全くの想定外でしたから」ウラアール


「しかし、時効ですとか、無効ですなんて言ったら世論が・・」


「幸いに今はありあまる財政、大王が統治していた時代の事ですから

やはり大王が賠償しないわけにはいかないでしょうね」


「家屋敷はすでに更地になっていて平民が多数居住しています」

「仕方がありません本人の希望する土地と財産を保障しましょう」

ウラアール


「しかし、問題は今後、行方不明の民のほとんどが貴族ばかり

保障問題は莫大な額になりますね」アスタージナス

「非人道的ですが・・・打ち切った民の発見はありがた迷惑かも・・」

ウラアール


「ウラアール本音を言ってはなりません。聞かなかった事にします」

アスタージナス


「大変申し訳ありませんでした民の苦しみは損得で判断しては

なりませんでした」平謝りのウラアール



「仕方がありません、没収した財産で我が国や世界が助かったのですから」

「今後を想定して財団をつくり基金を創立しましょう、篤志家からの寄付も

期待出来るかも知れません。」アスタージナス

「それは良い案ですね、援助を申し出る個人や企業も多いでしょう」

ウラアール


「そのためにも今回は国の寛大さを見せなければなりません」アスタージナス

「一家の損害額を算定し更に慰謝料も上乗せしましょう」ウラアール


数日後フィリップ一家がアスタージナス大王に拝謁する


「表を上げなさいフィリップ」

「ははー」


「さて、その方失った財産の額とかは判明しましたか?」


「恐れながら我が屋敷を接収した際に全てのデータは把握してるはずです」


ウラアールがデーターリストを大王に差し出す


「たしかに、こちらに其方の財産目録はあります」アスタージナス


「ですが、当時と今では物価も違います。正確な数値とは言えませんね」

「恐れながら、その判断は大王にお任せ致します」


「うむ、よく言ってくれました。それではこちらで精査します」


タランが一覧表を大王に差し出す


「手元にこれと同じ資料を渡します、参照せよ」ウラアール


ざざざと目を通したフィリップ

「ありがたき幸せ、これで一族路頭に迷わずに済みました」


「何をいいますか、元々其方達の財産、国が勝手に持ち出した責任が

あります。ですので多少の色はつけてあります」


「いえ、利子などは結構でございます。その代わり・・・」


「ん、?なにか要望でもあるのか?申してみよ」大王

「は、私は妻や側室はいますが年は16、是非王立魔法院に入学したく」


「なるほど、しかしそんな事は要望の内にはいりません。全国民平等に

入学する権利はあります。しかし試験に合格すればですけどね」大王 


すでに大王はタランからの調査報告を受けている、なにもかも問題なしと。


「それで屋敷なのですが是非USAに構えたいのです:フィリップ

「わかりました、適当な場所をさがしてください」ウラアール


「ありがたき幸せ」フィリップ

「これにて一件落着。さがってよし」大王



        ☆




「どうだ、全く疑われずに潜入できたぞ」フィリップ(シンジ)

「はい、それでは私は今日から正室なのですね」感動のアントワー(メリダ)

「私達2人も今日から側室なのですね」メイとリン(サリーとマリー)


事前の打ち合わせ通り今後はどの場でも本名は伏せることにした

ここは敵(?)の本拠地USAどこで傍聴されてるのか分からない


4人は就寝時のみ思念通信を行い情報交換をおこなう

「しかし、もし私がアンドロイドから人間に憑依したことがバレたら

間違いなく獄門台か解体場ですね」メリダ


「うむ、前代未聞だし最初で最後だろうね」シンジ


「ですがどこに監視の目があるかわかりません。不自然が無いように

夫婦や側室を演じなければ」3人


「ちょっちょっと待ってくれ。その男女の営みはしないからね」シンジ

「どこに監視の目があるかわかりません。自然でなければなりませぬ」

妙に強調する3人


「ばかもの、そんな事をする為に地球に来たわけでも君達を連れてきた

わけでもない!」


「ですがベットで4人絡み合って口づけしてますけど」3人


「だから、これは情報交換、一番安全なアクセスなんだよ」シンジ


「し、しかし生身の人間にどうやってCPUを埋め込んだのですか?」


「ふふふ極縮小技術のお陰です粒子単位のCPUを2億ほど

脳細胞に植え込みましたからね。しかし絶対に外部からはわかりません」


「折角ダニアさまに提案したのに封印されましたのでこの技術は

私にしか扱えません」シンジ


「ダニア様には物流技術としてしかお伝えしなかったからでしょう?」

リン


「ふふ、東インド会社が潰れると脅したらたまげて封印したからね」

シンジ


「確信犯・・シンジさまの腹の中はどれほど真っ黒なのか」リン


「あの、質問なんですけど」メイ


「なんでしょう?」

「つまり今の私達は改造されてはいても生身の人間でコピーも

されてないのですね」



「うむ、一般的に庶民は子をなしてからコピー化申請するのが常識

つまり我々にはまだ子がいないから生身で問題がない」


「シンジ様のお子を持つことも可能なのですね」メリダ


「理論的にはね、だが我が目的はそれではない。無責任な子作りはしない」

「はい、分かっております。質問しただけです」メリダ

3人は責任感があり目的意識が高い朴念仁シンジに心から惚れてしまった。


「さ、明日から王立魔法院入学への準備で忙しい寝ますよ」

「はーい」


翌朝


「どうやら貴族の対面を保つ為に側近と執事とメイドが必要らしい

あくまでも我らは上級貴族出身、やむを得ませんが雇い入れます」


「し、しかしそれでは我らの秘密が・・・」メイ

「本当に気の毒ですが雇い入れた者達は召喚人間に入れ替わって

もらう予定です」シンジ


「1人殺すと2人殺すも同じというわけですね」メリダ

「本当に君達は人聞きが悪いね。まるで私は犯罪者か悪魔ですね」

「やってることはそのまま悪魔ですけど」リン


「ふふふふ、毒を食らわば皿までといいますからね」真っ黒に笑うシンジ


こうして側近というか近衛兵3人、執事⒉人、メイド6人が

雇われたが瞬時に召喚人間と入れ替わってしまった。


「君達の事は絶対に悪い様にしませんから安心して寝ていてください」

シンジ


「私、こわい・・・」リン


「あー新しい執事君我々は正室も側室も一緒の部屋で寝るからね」

「は、万事心得ています。シンジ様のご命令のままに」執事


「いや、私はフィリップだよ、絶対に間違えて呼ばないように」シンジ

「御意、大変失礼しましたフィリップ様」


「折角君達も味方になってくれたのだから諜報活動してもらいますから」


「はは、すべてお任せ下さい。」近衛兵3人


こうしてシンジ軍団15人が編成された。全て忠実な下僕、一枚岩。

「メイド君達もアントワーとサリーとマリーの補佐となり情報収集

お願いしますね」シンジ


「はい、フィリップ様」


「広いと思った屋敷もさすがに15人いると賑やかになったね」シンジ

「国からの支援をお断りになったのですね」メリダ


「うん、国の援助だとアンドロイドになるからなにかと不便だから」

「しかし職もなく王立魔法院に入学されるとなると家計が・・」

メイ


「大丈夫、王立魔法院にはいると優秀な学生は研究所に入れるし

有益な研究には報酬も得られるそうだ」シンジ


「しかも王立魔法院に入学すると一律金貨20枚が支給される

当分はそれでしのげるはずだ」シンジ


「まあ、その他に国から300枚支給されたしね」シンジ


「フィリップ様一応我々の家族にも給金をお願いしますね」


「わかっています。万事ぬかりなしですから」


これで体制は整った、あとは入学試験。


「ふふ、笑っちゃうねホスト検索したら試験問題つつぬけだったよ」

「そ、そんなはずありません。国家レベルのセキュリティだったはす」

メイ


「私にとっては朝飯前・・というか朝飯の後wだよ」

「なにしろS級に編入されなくては高度な魔法は研究できないから

手段は選んでられない」シンジ


「ですがシンジ様の頭脳ならなにもカンニングなど必要ないです」メリダ

「それは当然だが私には万が一も許されないのです」シンジ


「シンジ様なら本気出せば一月で卒業出来ますね・・」リン


「いや、多分本気になれば入学式が卒業式だよ、でも目立つ行為は

あとあと面倒、適度に手を抜かねばならない」シンジ


「あまり優秀だと即アナハイムからダニア様が駆けつけてきますからね」

メリダ


「うむ、それは不味い、アナハイムにダブル入社はさすがに気が引ける」

「ではフィリップ様は東インド会社に入社ですね」メイ


「ふふ、国家機密に一番ちかい東インド会社入社もいいね」シンジ

「いっそのこと王宮入りでは?」リン


「いや、一歩離れた所の方が動きやすい、東インド会社を目指すよ」


「入学試験の前から就職先を話すとはなんとも」苦笑いのリン


「元のフィリップ君の身が立つようにしておけば体を返したときに

恨まれないからね」シンジ


「元の体の持ち主に意識を引き継げるのですか?」リン


「もちろん大王がやった様に玉虫色に歪曲、捏造、改竄するけどね」シンジ

「粒子CPUはそのまま脳内に残しておくからきっと超人級の天才

になるはずだよ元フィリップ君も」シンジ


「長年縮小体だった私は国からの特例措置で入試の一月前から

魔法その他の予習が認められています、明日から王立魔法院に行き

魔法の練習、というか初めは講習を受けに行きます」


「同伴できるのは護衛兵だけなんですね」メリダ


「そのようです、明日から留守番よろしくお願いしますね」シンジ


翌日フィリップは初めて王立魔法院の門をくぐり予習会場へむかった


「おおおっ・・・ついにここまでたどり着けた」感無量のフィリップ

「さて、本場の魔法とはいったいなになのかようやく学習出来る」


「初めましてフィリップ君、私は予習班担当のローザですよろしく」


「うわーまさかこんなに美しくて可憐な方が教官とはフィリップ

うれしいです」フィリップ


「あら、お上手ね、でも君は妻も側室もいるんでしょ、駄目よ浮気は」


「滅相もございません、失礼しました」フィリップ


「さて、今日から一週間は魔法の講義です。私が実際に

魔法を実演して見せますから君達は黙って見学してください。

魔法適正がまだ分からない君達にはどのくらいの魔力が持てるのか未知数

とりあえず一週間は講義だけです」ローザ


「はーい」


今回はフィリップの他に3人の上級貴族出身の生徒と一緒に学ぶ

「今回の予習期間に最低でも3つの小魔法か一つの中魔法を覚えないと

いくら学科の成績優秀でも入学は出来ませんからよく学習して下さいね」

ローザ


予習室は周囲に結界魔法が巡らされていて外部に漏れない仕組み

20畳ほどの広さで真ん中に標的が3体置かれている


「この標的を一体倒せれば1P魔法相当です。3つ同時に倒せれば

ちょっと足りませんが中魔法に近づけます」


「では、やって見せますね」ローザ


「○×▲□・・・」ローザが右手の平を広げて詠唱すると目の前に

魔方陣が現れクルクルと回り出した


「おおおっあれが魔方陣、噂には聞いていたがなんと綺麗な・・」

初魔方陣をみて興奮するフィリップ


「ハアアア!」と叫ぶとパチンコ玉状の物体が現れて標的に突進する


「バーン」グラグラと標的が大きく揺れて「カラーン」と倒れた


「これが1Pクラスの小魔法です。1Pで人間ひとりを葬れます」

「え、小魔法で人間1人を殺せるのですか・・・」

「はい、魔法とはとても強大で危険なのです、むやみに使用は出来ません」


「なるほどな・・・確かに即死魔法が前提の王立魔法院でなければ

教えられない訳だ、納得」フィリップが内心で納得した


「今のは物理攻撃魔法ですが相手によっては通じない場合もあります」


「物理魔法以外にもあるのですね」フィリップが質問する


「はい、精神魔法とか召喚魔法、風魔法とか色々あります」

「ですが物理魔法が一番難易度が低いので当学校で最初に覚えるのです」

ローザ


「なるほど、基本は物理魔法なんですね」生徒A


「君達にはまだ早いですけどこんなことも出来る例として溶解魔法を見せます」


スタッフの1人が模擬スライムを標的の代わりにセットする


「スライムは物理攻撃は通りません、まず見て下さい」


「ハアアアア」ローザはパチンコ玉をスライムに当てる


「バババババ・・・」しかしスライムはパチンコ玉の威力を吸い取り

吸収してしまった。正にのれんに腕押し状態


「スライムって魔物の中で最弱と思ってました」生徒B(女子)

「万一スライムに取り付かれたら服はドロドロに溶け最悪人間も溶けます」

「おそろしいで、しかもスライムは大抵大量に襲ってきますね」生徒C

「ですから当学校では色々な対処方を学ぶのです」


「うん納豆食った」フィリップが脳内で納豆食べる


「では、一体どうやってスイラムを倒すのか誰か分かりますか?」ローザ


「はい、先生、きっと炎とかに弱いと思います」

「炎ですね、他には?」

「ライトニング系では?」

「カミナリ系ですね、他には?」


「うーん」考え込む生徒達

しかし私は知っている、全て検索済だから・・・だが黙っておく


「炎系もカミナリ系も大魔法でとても魔力を消耗します。S級生徒でも

やたらに使えばすぐにMPを失ってしまい大量のスライムに取り付かれて

最後にはやられてしまうでしょう」ローザ


「つまり省エネかつ大量のスライムに効力がなければ無意味なのですね」

フィリップ


「はい、フィリップ君、いい発言です、では実際にはなにしましょう?」


「うーん」わざと私は考え込むふりをする


「では正解!スライム系には聖水が効きます」ローザ


「しかし聖水は魔法で出せませんけど」生徒

「ここは魔法院ですが魔法が全てではありません。応用も学ぶ場です」

「なるほど・・」


「ですからS級兵士は必ず1/2000に縮小された聖水袋を所持します

スライム系や臨時の結界魔法とかに使えるからです」ローザ


「ではやってみます」


腰に装着した聖水袋の一つをを取り出しスライムに投げつける

空中で縮小が解除され聖水袋は本来の大きさになり上空で破裂する

「プシュウウウウウ」聖水をあびたスライムは溶けて無くなってしまった


「このように近接戦では手で投げますが距離が有るときは魔法で

飛ばしてぶつけるのも有効です、要は臨機応変と複合です。」


「魔法もその他の武器も複合できるのですね」生徒A

「はい、全ては魔法院で学びます」ローザ


「と言う事で本日の講習はおわりです、明日続きを行います」

「ありがとうございました」生徒達は深々と頭を下げて先生を送る


授業を終え屋敷にもどり夕食をとりながらフィリップは思う

「やはり、魔法は科学で究明できる予感がする・・」


多分詠唱とやらは各魔法へアクセスする為のパスワードに違いない

詠唱文のほとんどに意味がないのがその証拠。

大王は独自の詠唱方法だそうだがそれもパスワード解除の手段だろう


シンジは深く考察する・・・


「では、なぜ新地球で魔法が使えないのか・・・」

「スパコンの解析では地球には聖水と魔石が存在するが新地球にはない

更に言えば魔木や魔草、魔属性の魚貝類も地球にしか存在していない」


「なぜだ?しかも隣の星系の第三惑星であるジェネシスには存在してる」


しかしそれ以上どのように検索しても結果が出てこない

「くうぅ・・・これ以上はいくら私でもセキュリティを突破出来ない」


「王立魔法院を卒業して魔法をマスターしても果たして新地球人の

私が扱えるのだろうか・・・」


「なんとか魔法の科学的解明を在学中に行わなければ・・」


一週間が経過した


「さあ、今日からは実際に魔法を覚えていきましょう」ローザ


「おねがいしま~す」生徒4人

「ご存じかとは思いますが我が地球人は能力の大小はあっても

必ず魔力を持っています。今からその潜在魔法値を測定しましょう

勿論現在値なのでこれから鍛錬次第でいくらでも伸びますので

ご心配無用です」ローザ


「測定器を当てますが痛く有りませんからね」


「ビビビビビ」なにやら体温計みたいな装置をくわえさせられる

「はいフィリップ君・・エート・・結構高いですね3000pも

有りました、さすが上流貴族出身、ポテンシャルが違いますね」


他の3人は10~15の間だったからフィリップの数値はずば抜けてる


「ま、それでも想定内の範囲です」ローザ


「先生、大王はどのくらいなんですか?」生徒A


「国家機密なので教える事は出来ませんが途方もない数値なのは

間違いありません。参考にならないので大王の事は忘れてください」


ふふ私はしっている5年前の測定値だがおよそ1億7千万P。

現在はもっと増えてるだろう。とにかく都市を建設できるほどの

魔力をもってるのだ、確かに桁外れに人類最強なのは間違いない


「先生はどのくらいですか」生徒B


「それは、ひ・み・つよ」ニコッとわらうローザ

「でもね王立魔法院卒業の時点では⒉万P以上でした」


「ひえぇええ」生徒全員舌を巻く

「自慢ではありませんが私が最優秀でしたのよ」全然自慢してる

「あれから10年以上たってますので」更に自慢を続けるローザ


「しってるよローザ先生、今は5万PでS級の中でトップ10クラス」

フィリップは内心で思う


「先生の魔法レベルはどのくらいなのですか?」生徒C

「残念ながら思念通信が可能となるレベル100はまだ程遠いです」


「知ってるよ、現在67ね」フィリップは全て検索済


まあ67はかなり優秀レベル、なにしろ100以上は全人類で

10人いないのだ。しかも全員が国家の中枢天才集団選ばれた人間。

しかし、思念通信だけなら先天的に使える人間が存在するらしい

国家機密レベルなので私でも詳細は知らない。


「君達はせめてレベル3にならないと入学規定に達しません

これからの3週間が大事ですからね」ローザ


私はすでに魔法レベル40程度の知識は有してると思うが

目立たないようにわざと抑えている。まあとりあえず5位に

しておこう。


「フィリップ君覚えが早いですねもう3つも魔法つかえるのですか?

初日にしては素晴らしいです」ローザ


「はい、入学前にいろいろ図書館で調べておきました」フィリップ


「んまあ、それは素晴らしい、予習はとても大事ですからね」


「う、・・・」他の生徒はなんにも勉強していない

「フィリップに負けていられない」悔しがる生徒A

「フィリップは上級貴族出身なのでいろいろ特典があるにちがいない」

「いいな、上級階級は・・・」妬むA


「あのねA君、人間なんて能力の差はほとんどないの。問題は

いかに努力するかなのよ。他人を妬むまえに自分の努力が足りないと

思わなくては駄目よ、しかも君達が目指すのは国家最高レベルの大学

なんでフィリップ君の様に予習してこなかったの?」


「魔法に関する文献は秘密が多くて予習は困難でした」生徒B

「いや、そんなことはない、ネットが全てと思い込みすぎてるよ

実際に私は各地の図書館を巡り古い文献を調べたのです」フィリップ


「ぐ・・・」ぐうの音も出ない生徒3人

「図星をつかれましたか・・」ローザ


図書館巡りをしたのは本当の事、とにかくネットでは魔法関連は

規制が多くとても普通の方法では検索不可能なのも事実


「でも私はネットからも情報抜いたけどね」フィリップが内心で思う

しかし、ここで下手に妬まれるのは得策では無いフィリップは

ニコニコ笑いながら「みんなで情報を共有しましょう一緒に勉強すれば

全員合格出来ますから」


「お、おう」A

「フィリップ君は心が広いのね」女生徒Bちょっとカワイイ

「おれ、何にも情報もってないけど学科の方は得意だから」C


「ふ、君の学力もすでにリサーチ済だよ、確かに優秀だけど私には

遠く及ばない、しかしいまは従っておくよ」内心でフィリップは思う


「うん、私は学科は苦手ですからお願いしますね」フィリップ

「おう、みんなで足りない部分を補完しあおう」生徒4人


「素晴らしわ、団結は成績を上げる大きな原動力ですから」

やれやれ、なんとか反感や妬みを買わずに済んだようだ・・・


その夜


「メリダ、喜んでくれ今日やっとで魔法を習得できた」フィリップ

「それは素晴らしいです、早速4人で解析しましょう」メリダ


「うむ、頼みます」

4人はベットの上で激しく絡み合い口づけを交わす・・・


「ああああああ・・・」知的快楽にむせぶ4人


「ん、?なにか違和感を感じます」メイ

「私もです、脳内に新しい領域が出来てます」シンジ(フィリップ)

「粒子単位のなにかが増えてる・・・」


「そうか!わかったぞ」


「なにか発見しましたか?」リン

「魔法とは大気中の魔法成分を体内に取り込み魔法粒子と結合

させることにより発動するのではないのか?」シンジ


「そうか、魔方陣で魔力を体内に吸収して体内で爆発させるのか」


「しかし、上級者は無詠唱で魔法発動出来るそうですが?」メイ


「魔方陣はあくまでも魔力吸収装置、別に魔方陣の必要はないと

言う事だろう」シンジ


「で、今日覚えた魔法ぶん脳内に魔法粒子が3つ増えてる」

「やはり詠唱はパスワードだったのだ、解除出来ると魔法が増える仕組みだ

そして、フォルダー(書庫)の大きさがすなわち魔法レベルだろう」

シンジ


「初日から素晴らしい成果ですわ」リン

「脳内に植え付けられた粒子を分離解析できないものだろうか」シンジ

「それが出来れば新地球に持ち込めそうですね」メリダ


「どうもダニア様を始めアナハイム社の粒子学研究は未発達の様だ

頭の固さについてはダニア様自身が危惧していた通りかもしれん」シンジ


「たしかにシンジ様以上に量子力学の熟達者はアナハイムにはいませんね」


「ブラン様は昔恒星間移動計画の時かなり量子力学について深遠を極めた

はずなのに計画が完成した後はその情熱を失ってしまってるな」シンジ

「アナハイム、いや人類のこの閉塞感は私が打破しなくてはならない」


「御意、国家が非協力的なのはとても残念ですがいつか必ず・・」リン


「王立魔法院を卒業するのは明日にでも出来るがとにかく在学中に

量子力学を極めようと思ってる」


「無人の荒野ですね」


「しかし、ダニア様に見つかっては不味いのでとにかく目立たないように

昼行灯を決め込むよ」シンジ


「S級の学力を維持しながら目立たないのって結構難しいですね」リン


「大願成就の為さ、私はなんでもするよ」


「ところでアナハイム勤務の召喚人間シンジ君の様子はどうですか?」

「はい、ダニア様のご期待の範囲で活躍されています。新規プロジェクトも

多数こなしてます。能力はフィリップ様に全く引けを取ってませんから」


「うむ、それはなにより、とにかく4年間は働いてもらう」シンジ

「しかし、別に私でなくても20億民解放は構わないのだが?」


「残念ながらアナハイム社の全力を挙げても不可能のようです」メリダ

「さもありなん、多分量子力学が関係してるに違いないからね」シンジ

「召喚人間のシンジ様を通してそれ伝えられませんか?」メイ

「いや、多分だがその分野も絶対に研究しているはずだよ」シンジ


「しかし、シンジ様の領域に達していない?」メイ

「というか私もまだ研究成果がでていない。学校で研究するつもりだ」

「確かに専門の実験道具の豊富さでは世界一ですからね」メリダ

「うん、どうしてもシュミレーターでは語れない部分も存在するから」

「地方図書館の文献のほうがネットよりも優秀なのと同じですね」メイ


「うん、やはり額に汗しないと成果は出ないものなんだよね」シンジ


3週間後フィリップはつつがなく王立魔法院入試試験に合格し

S級編入が決まった、S級入学合格者のうち19/20番の成績で


早速王立研究室に入り浸りとなった

「さあ、フィリップ君、何を研究しますか?個人研究でも共同研究でも

自由に行って下さい。別段企業ではないので成果主義ではありません。

時折論文を提出してくれればあとは自由です」ロッテンマイヤー校長


「勿論論文の内容で成績を判断しますので遊んでる暇はありませんよ」


「はい、わかりました。個人で研究したいテーマがありますので」フィリップ


「なになに・・君は量子力学を研究したいのね、わかりました」校長


「魔法は粒子で出来てます!」とは言えないので黙っておく


とはいっても1人では出来る事は限られる

「本当にごめんなさい」と謝りつつも学友4人を「シュ」と縮小し

召喚人間に入れ替えてしまった。しかし優秀なシンジ製召喚人間は

取り替えられた本人と全く同等当然親兄弟にも全くばれない


「さ、君達4人は私が卒業するまでのあいだ奴隷になってね」フィリップ

もう、こうなったらなんでもあり


「なにしろ我々4人で毎日召喚人間の改造もしてるからね」シンジ


館にいる3人はフィリップが学校で研究してる時にも館で

あれこれ研究と情報収集を絶やさない。大天才フィリップが4人いるのと

何ら変わらないのだ。護衛兵、執事、メイド達も全面協力してる。


「なにやらフィリップ達5人は特殊な研究に没頭してるようだが

校長先生の話では進級にギリギリ届く程度の成果しかあげていないとか

あまり優秀では無いな・・・まあ、仮にもS級なのは間違いが無いけどね」

学生達はフィリップ達になんとも中途半端な評価をしている


入学2月目


フィリップ(シンジ)は研究室内で極秘の装置を完成させた


「これが魔法投入装置と魔力抽出装置ですね」研究生A


「うむ、ついに完成した。これで自由自在に脳内に魔法粒子を植え付け

自由に抜き取り、別の脳に移植もコピーも出来る」


「これは恐ろしい装置ですね」B

「うむ、これが露呈したら我々の命は保障されないだろうね」

「く・・・・」


「しかし、こんな研究していたら即死魔法が発動してしまうのでは?」


「ふ、そんな魔法はすでに解除済だよ。魔法粒子を書き換えてるからね」

フィリップ


「とんでもない方ですね」C

「何言ってるのですか?君達も一蓮托生なんだからね」フィリップ


「しかし、私達は召喚人間、使命が終われば処分されるだけ・・」

「そんな事は絶対にしません。君達はそのまま親兄弟の元に帰って

幸せに暮らすのです」フィリップ


「しかし、それでは縮小されたオリジナルの方はどうするのですか」

「うむ、全ては大義のため、我慢して永遠に寝ていてもらうつもりです」

「大丈夫です粒子化されて私の脳内に永遠に保存されますから」


「お、おそろしい・・・いったい何人が毒牙に・・」

やってることは完全に猟奇殺人事件級だ


「黙っていれば誰も分からないから大丈夫です」フィリップ

「それに君達はオリジナルと全く同じだから問題有りません

私に協力するという指令以外は区別出来ません」


「さて、各種装置も出来たことだし本題に入りますよ」フィリップ


「して、本題とは?」D


「ウラシマ効果についてだよ」フィリップ


「全人類が全力で研究してるのに解決出来ない課題ですね」A


「遺伝子劣化を促進させるDNAがどこかにあるに違いない。

それが破壊されてるからウラシマ効果が発動してると私は思ってる」


「しかし、それは従来の研究で生き物全てに寿命遺伝子が存在

することは解明されています」C


「寿命ヒトノゲノムはすでに解明されてるね」フィリップ

「しかしウラシマ効果は別物と考えてる」

「な、なんと・・」


「15000年も過酷な宇宙空間に漂ったカプセルなんだよ

何らかの劣化要因があるに違いない」


「劣化要因が冬眠を解除したときに解放されるのですね」A

「多分ね、しかしそのくらいは誰でも研究してるだろうね」フィリップ

「フィリップ様はそれ以上にお考えがあると?」D


「BT星の特殊なガンマ線バーストが劣化遺伝子を破壊したのかも」

「え、ななんと申されましたか?」

「国策でBT星が旧地球を壊滅させたことについて封印されているが

私は確信を得ている」フィリップ


「ば、ばかな・・・BT星などは人類だれも存じません」B


「大王が全てを封印したからね」フィリップ


「新地球側の火星になぜ移民局があるのか知ってる?」フィリップ

「はい、当初は20億民を解放した後のリハビリ施設と聞きました」


「それだけでは無い、火星に隔離された遺跡と資料が存在する」

「ば、ばかな・・・」


「国家機密レベルだからね」

「一体どんな情報なんでしょう」


「それを聞いたら君もいつでも首と胴体が離れてもおかしくないからね」

「ぎぇ・・あのその、聞かなくていいです」C

「ここまで言ってそれはないだろう?すでに一蓮托生、遠慮しないで」


「うわあああ・・・やぶ蛇だぁ」


「大王はすべて封印したが、実は旧地球はBT星からのガンマ線バーストを

受けて滅亡の危機に瀕したのだ」


「そんなばかな・・・、ガンマ線バーストなど今の技術では造作もなく

防げます」C


「そりゃ今の科学力なら造作もないこと、でも15000年前の

地球では回避不可能だったのです」


「それで、どうなったのでしょう?」


「当時の王が20億の民を冷凍カプセルで避難させ80億の民を見捨てた」


「・・・・・それ以上は聞きたくありませんね」

「いや、聞いて欲しい、核心なんだから」

「資料によるとその王は大王により一番に救出されたが良心の呵責により

自決してしまったのだよ」シンジ


「治療の過程でウラシマ効果も露呈した、まあそれは後の話」

「で、どうなりました?」


「なぜか理由は分からないけど見捨てられた80億の民は4年前に大王に

よって地球付近で救出された。15300光年の彼方でね」


「旧地球王に見捨てられた80億人が15300光年の距離を超えて

4年前に救出されたのですね。矛盾だらけに聞こえます」A


「おかしいよね選ばれた20億人が新地球付近で回収されてるのに

見捨てられた民が15300光年の彼方で発見され救助されて

今は普通の生活を送ってるなんて。どう考えても辻褄があわない。」


「ガンマ線バーストが地球に到達したときに肉体は滅んだが意思だけが

誰かの手ですくわれて15300光年の彼方に運ばれた?」D


「うむ、さすがは優秀なD君、それだろうね。」シンジ


「しかし、なぜ大王はそのあたりを封印してるのでしょう」C


「そりゃ見捨てられた80億の民が事実を知ったら失望するからだろうね」

「20億の民にも酷な話となりますね」A


「そうですね、総合的に判断して封印したのでしょう」シンジ


「事実関係の追認はともかく、それでどうやって20億民を救うのでしょう?」

「うむ、そうだね。問題は80億民にはウラシマ効果がないのに

なぜ20億民にはあるかだが・・・」


「80億民は精神のみで20億民は肉体・・・」D

「私もそこだと思う」シンジ


「これはBT星のガンマ線バーストの成分を調査せねばなりませんね」B


「ところが大王擁する地球とは違い旧地球の科学力では調査出来る資料が

一切現存していない」シンジ


「BT星の現場に行く必要がありますね」C

「うむ、私もそう思う。今の科学力なら800光年の距離などは散歩に

行くような距離だしね」


「しかし、ここ(大王の地球)からでは16000光年の彼方ですが?」

「全く問題無い、10万光年エンジンもすでに開発されてる」


「一月ほど休学して現地に行って見よう」シンジ


「国に届ける必要はありませんか?」

「いまの現状では厳しいだろうね、全人類がBT星の存在すら知らないのだから」


「付け加えるのならBT星がウラシマ効果の原因ではない可能性も大いにある

なにしろ15000年の時間は膨大過ぎる」シンジ


「宇宙空間を彷徨ってる内に起きた現象の可能性も大いに有りますからね」


「ウラシマ効果の原因がわかり治療法が解明されれば20億民は救われる」

シンジ


「御意」

「しかし、人類を救う計画なのに孤立無援とは悲しいです」C

「それどころか国家反逆に問われかねないとは・・・」B


「全てを受け入れて我はそれでも前に進む」シンジは確固たる信念を押し通す


BT星に行けばなにか分かるのだろうか・・・

 

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