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新地球王誕生(最終回)

いったい事件は解決するのでしょうか?

シュミレーターに掛けて謎のノイズの原因を探ること14ヶ月

「シンジ様創造の雲から回答がついに来ました!」メリダ


「おおおっその時をまってました、して?」シンジ

「やはり神の啓示のとおり人類が出会った事の無い現象でした」メイ

「おおっ・・いったいなんだったのですか?」シンジ


「なにと言われても人類が知らないものですから名前などありません」

「そっか、それはそうですね」


「これは以前にシンジ様が予言し、先日実際に観測された時空ガンマ線バースト

と全く同じの現象でした」リン


「つまり時空を越えて突如空間から現れるなにかの物質なのですか?」

「はい、性質的にはニュートリノと全く同じ物と思いますが・・・」


「思いますが?、なんかあるのですか?」


「ニュートリノは今の所生物などに悪影響を与えない粒子とされてますが

この物質は・・・」リン


「む、生物に影響するのですか?」シンジ


「あくまでもシュミレーターの域ですが大量に長時間照射を浴びると

健康被害というか遺伝子に悪影響がでる可能性が有るとのことです」


「そ、それだ!」シンジが叫ぶ

「つまり15000年間宇宙空間を漂う内にその有害なニュートリノを

浴び続けて破壊遺伝子が作用した!」シンジ


「ですが同じ15000年間冬眠していた火星民には影響してませんが」


「そこだよ、きっと太陽圏内ではその有害ニュートリノが影響しない

なにかのシステムが太陽光内に含まれているのだろう」シンジ


「太陽風が影響を与える限界点を我々は「オールトの雲」と呼んでます」

タクマ


「それだ!それがシールドの役目を果たしてたに違いない」シンジ


「ですがそれはあくまでも仮説、実証してみないと」タクマ


「おかしいです・・それならばなぜシンジ様だけが影響を受けなかったのか」

ゴブヨ


「多分自分だけが他の人とはなにかが違っていたのでしょう・・」

「私が発見されたときの記録は残っていますか?」シンジ


「はい4方向からの超高速、高解像度カメラで詳細に保存されています」リン

「みんなでもう一度精査しましょう1人で見るよりも皆で見た方が

発見も多いと思います」シンジ


「わかりました」ゴクリ


「比較の為他の検体3体と同時に動画をチェックします」


「普通の冬眠カプセルと、王御用達、シンジ様達が入っていたカプセルです」

メリダ


「確かシンジ様達は特に優秀な人間として100体程特別仕様のカプセル

だったのですね」リン


「うん、ですが地球王専用機は更に特別だったはず」

「はい、記録によると王家専用機は損傷度が遙かに低かったとあります」

「だがそれでも有害ニュートリノは浴びてしまったのですね」シンジ


「ささ、4カプセルが発見時から蘇生処置開始まで4画面同時進行動画です

違いはわかりますか?」リン


全員が目を皿のように注視するが・・・


「そこ!ストップ!」シンジが叫ぶ


「はい」動画が止まった


「王様と我々だけはネームプレート入りなんだね」シンジ

「特別だったからでしょう」ゴブヨ


「私を含め100個全ての写真ありますか?」シンジ


「どうぞ、これです」


しかしどう見ても全員同じにしか見えない


「なぜだなぜなんだ・・」叫ぶシンジ

「なにか違い分かりましたか?私達には全くわかりませんが」メリダ


「これをみてくれ、特別仕様のカプセルはフードの側面にネームが

貼ってある・・・」


「確かに」


「私のだけはど真ん中というか頭の正中付近に不自然に貼ってあるし

よく見ると皆と同じに元々は側面に貼ってあったものを外してこの位置に

誰かが貼り替えてる風にしか見えない」シンジ


「ば、ばかな・・・一体誰が???」ぎょっとする一同

「なんでも透過してしまうはずのニュートリノにたかがネームプレートが

影響を与えられるものなのか?」シンジ


「さあ?ですが実物が保管されてるので実検は簡単かと」リン

「なぜ正中に貼ってあったのか・・・もしかしたら」


「ですね」


「正中付近のどこかにウラシマ効果を発症するトリガーがあるのかも」

「これは大発見かもしれません、至急シュミレーターで検証をします」


「だが、課題も増えた、有害ニュートリノというのはなになのか

今の人類ではノイズとしてしか捉えられていない、なんとしても実体を

解明しなければウラシマ効果の治療方法は発見出来ない」シンジ


「ぐ、ようやく麓から山頂に登り出せたのかと思ったらまだ1~2合目

位なのでしょうか?」メリダ


「1合目にも到達していないのかもしれない」シンジ


「ですがこれは人類にとって大きな一歩です」ゴブヨ


「シンジ様のプレートがなぜ正中にあるのか判明しました!」リン

「おおっちゃんと理由があったのですね」シンジ


「20億民を地球から放出する際にシンジ様だけが地球王の手により

正中に貼り替えた映像が資料に残ってました」リン


「なぜ王がそんなことを?」

「映像には音声も記録されてました」メリダ


「なんと?」

「は、「人類再生の切り札をシンジに全て託す」と言ってます」メイ

「どうやら当時の全人類100億の中でシンジ様が最優秀だったみたいです」


「私には改竄された記憶しかないのでそこら辺は全く覚えていません」

「しかしだからといってなぜシンジ様だけを貼り替えたのか???」

「なにか藁をも掴むような説でも科学者から進言されたか?」シンジ

「まさに神の啓示だったのやも」スタージナス

「ば、ばかな・・だったらなぜ全員を救わないのですか?」


「神は努力しない者には救いの手は差し出さないという事かも」スタージナス

「理由はともかくネームプレートを貼り替えたのは故地球王でした」

「うむ、幽霊でないだけでも発見だな」スタージナス


「しかし・・ネームプレートに遺伝子破壊を防ぐシールドでもあるのか?」


「成分を調べましたが普通のプラスチックにネーム部分は金メッキでした」

「確かに金は腐食に強いし一番安定してる金属ではあるが・・・」


「そもそもニュートリノ自体未だに人類は実体が分かっていない」

ダニアがTV会議のモニター越しに語る


「はい、観測は出来ますが質量も何もない不思議な物質・・」シンジ

「しかも今回のは更に難解な有害ニュートリノだろ・・闇が深すぎる」

スタージナス


「いままで解明できなかったのも納得ですね」ゴブヨ

「うむ、山の高さがどのくらいなのかも人類は分かっていない」スタージナス

「ですが太陽系内ならば発症しない事実が判明しました」メイ


「銀河系に知的生命体が地球以外に存在しない理由もある程度わかった気がする」

ダニア


「何兆分の一の確率で太陽が特殊だったのですね」メイ

「しかしその地球もガンマ線バーストで滅亡してしまったのに・・」

「創造の雲を人類が創造したのだとしたら人類の執念って事ですね」ゴブヨ

「運命などは信じないが人類が宇宙にかろうじて進出できたのも幸運だった」


「僅かな人類が生き残れたのも大きいですね」メリダ

「神の意志なのかもしれんな」スタージナス


「しかし、運命がどうの神様がどうのと語ったところでウラシマ効果の

解明は更に闇の中の気がしてなりません」シンジ


「考えようによっては20億の民が救われなければシンジは罪を受けない」

スタージナス


「私の命などはどうでもいいのですなにがなんでも20億民は救います」

声を荒げるシンジ




      ☆




あれから一年・・・研究成果はまったく出ていない


人々はとっくに20億民のことなどは忘れてしまっている

当初元地球人しか住まわせないという大王の計画は頓挫し大王地球から大量に

移住した民でネオ東京は一千万都市となり巨大近代都市となってる


「みろタラン、ここの景色は宇宙一だぞ」スタージナス

「御意、この美しい東京は全人類憧れの都市となりました」タラン

東インド会社本社ビルの60階社長室からの展望に感嘆する2人


「もう20億民などはどうでもいい気がするな・・・出来ない物は出来ないのだ

諦めというのも必要なのかもしれん」スタージナス


「ですがシンジだけは諦めてないようですが・・」タラン

「あの廃コロニーにいつまで籠もるつもりなんだ?」スタージナス

「わかりません、しかしゴブヨが付いてるし週休2日8時間労働はキチンと

守られてますので健康状態は極めて良好とのことです」


「このごとはすっかりアナハイムも大王も感心が無くなってしまってるな」

スタージナス


「はい、手がかりすら掴めない現状では・・・」タラン


その廃コロニーだが狭くて汚くて臭かった劣悪環境は昔の話

ゴブヨの強引な改善により見間違うほどのシンプルオフィス化されてる

地球資料は全てホストコンピュータ内に収納され各人の脳内にある粒子

コンピューターと直結されてるので何時でもアクセス出来る。

有史以来の歴史が全て検索可能になってる。当然大王側も同じ様に閲覧可能

ただし一般国民には一部制限がかかってる。知る必要のない情報も膨大だから


「人類滅亡前後の資料は全て揃いました。どんな些細な事でも見逃さない様

全員で精査します」シンジ


「ここまで準備するのに一年かかってしまいましたがこれからは研究に集中

出来ますね」ゴブヨ


「うむ、大王や人類はすでに我々の事など忘れてしまってると思うが

本格的な研究はこれから、ようやくスタートラインなんですよ」シンジ


「まず、着手するべきはなぜガンマ線バーストを一年前に予言、予想出来たのか」

シンジ


「ある天才科学者の進言とありますね」メリダ

「証拠も無くいくら天才科学者でも信用などはしないはず」

「確かなデーターがあったのでしょうね」リン


「まあ、当時としては最高機密扱いだったろうから探るのは大変でしょうが

必ず議事録などがみつかるはずです」シンジ


「新開発超高速検索エンジンにより何件かヒットしました」メイ

「予想通り議事録と会議映像見つかりました」


「早速、見せて下さい」



      ☆



「この映像は国家機密特Aにつき国家最高権力者以外は閲覧できない」


「パスワードがかかっています」リン

「創造の雲に解析させてください」シンジ


「はい、・・・・・・・解除成功しました」メリダ


「先生、一体どういうことでしょう」地球王

「はい、実はガンマ線バーストが一年後地球を直撃することが確実に

なりました」名前は分からないが多分天才科学者、仮名としてAと呼ぶ


「君、そんな荒唐無稽なことを言われてもハイそうですかとはならんよ」王

「当然です、ではこのデータを見てみて下さい」A

「わたしはシロウトこんな数値を見せられて分かる筈がないよ」王


「失礼しました、データーを元にビジュアル化つまり映像化しました」


おぞましいガンマ線バーストが地球に一直線に向かうCG映像が流れた


「ば、ばかな!地球は太陽の周りを公転してるのですこんな都合良く

衝突するものなんでしょうか?」王


「はい、私の開発したシュミレーターに寄りますと確率99.9999%と

予想されました」


「おかしいだろガンマ線バーストとて光だなぜ一年前に予言出来る?」王


「はい、これは私が開発した重力波感知器によりBT星が823年前にすでに

超新星爆発を起こしていたのが発見されたからです」


「BT星とはたしか824光年の距離・・・つまり来年か・・・」王

「重力波というのは物理の法則つまり光速を越えて観測出来るのか?」王

「いえ、それは今の科学力では不可能ですが、音波でもなんでもそうですが

波と言うのは本体前方が歪むのです。まさに物理の法則です」


「つまり歪んだ重力波を検知出来た?」

「御意、この方法ではせいぜい一年後の予測しか出来ませんが、突然人類が

滅亡するのだけは回避できる時間を得たのです」A


「短い、あまりにも短すぎる・・・」王


「は、全人類を救い出すのは不可能にございます」A

「余に選民せよと申すか!」王


「全人類が滅亡するよりは賢い選択かと・・」A


「ぐ・・・とてつもない話だがこの話は誰にも打ち明ける事は出来ないな」

「御意、秘匿しなければパニックは必至絶対に漏洩させてはなりません」A


「其方は選民リストを作れるのか?」王

「は、すでにシュミレーターを使い瞬時に選民リストは完成してます」

「我はリストから外すように」王


「かしこまりました」実はウソ

「さて、これからが問題だが如何にしてバレないように大量に冬眠カプセルを

調達するか・・どうやって宇宙空間に放出するか、課題山積みだな」王


「は、これもシュミレータに掛けたところ良案があります」A


「申してみよ」

「新しくできたコロニーの見学会という名目で選民をコロニーに運び

そこから順次冬眠カプセルに詰め込み全方向に放出するのです」


「民にはなんらかの懸賞に当たりましたとか適当な理由で旅行させるのです」

「つまり偶然当選したと民は思ってるが実は選民されたと言う訳か」王


「冬眠カプセルは全て極秘裏にコロニーで生産すればかなり秘匿出来ます」


「公にした上で全世界で生産したほうが多くの民を救えるのでは?」王

「いえ、群衆心理というのは恐ろしいのです煽動された民はなにをしでかすか

予測不可能、世界大戦や内戦が勃発し内側から崩壊してしまいかねません」


「ぐ、・・それも其方の得意なシュミレーターがはじき出した結果か?」

「いわずもがなでございます」A


「つらい選択だな」王

「御意、ですが私が全面バックアップ致します」A


「其方はコロニーに赴き冬眠カプセルの準備と地球滅亡後のその後を

追証してほしい、死ぬよりつらいかもしれないが頼む」王


「は、なんとしても生き残り滅亡後の人類再生について研究いたします」A


映像はここで終わった



     ☆



「なんとも凄まじい映像でした」シンジ

「当事者だったらやはり同じ選択しか出来なかったかもしれません」ゴブヨ

「つまり廃コロニーに生き残ったのはA氏だったのですね」シンジ

「うむ、全てを承知の上での事だったのだろう」シンジ


「・・・・・・」全員声が出ない


「だとしたら!」ゴブヨ


「ん?なんですか?」シンジ


「我々後世の人類の為になんらかの足跡を残して置いても不思議はありません」

ゴブヨ


急に思念通信になった


「だからそれが先代の神様だったのです」シンジ

「なるほど、シンジ様が後押しした部分もありますが無事神様は創造されたの

でしたね」ゴブヨ


「きっと神様は地球王の前にも現れ私のネームプレートを貼り替えさせたので

しょう」シンジ


「ええええ・・・それってタイムパラドックス!!!」ゴブヨ


「しーーー、そんなことを言ってはなりません」シンジ

「しーー、ってだから思念通信で会話してるのですけど?」ゴブヨ


「タイムパラドックスにならない様に神様はなんらかの手段で間接的に

王に接触したのでしょう」シンジ


「神様のいたずらですか・・・」ゴブヨ

「そんなことをするのなら全員救ってくれれば私も悩まないのに」シンジ


「とにかく」ゴブヨは通常会話に切り替えた


「だからといってウラシマ効果の解明には到りませんね」ゴブヨ

「うむ、この映像ではガンマ線バーストが地球に衝突した事実しか分からない」

「ですが先代神は20億民がウラシマ効果を発症することを分かってた」

ゴブヨ


「うむ、でなければ私だけ故意にネームプレートを貼り替えたりしません」

「なにかしらの魔法をネームプレートに掛けたりしてませんか?」ゴブヨ


「む、・・・その検査はしてない!」シンジ


「な、なんと今解析して判明しました。確かに結界魔法の痕跡があります」

メイ


「 キタ―――(゜∀゜)―――― !!!!!それだよ!」シンジ


「神様やりたい放題ですね・・結界魔法を得る為に大王地球を作った?」

「うむ、そうなのかも知れないがあまり詮索すると神様の罰が当たるやも」

脅かすシンジ


「無信心のシンジ様から罰とか言われても・・」ゴブヨ

「ちらっと言っていたが先代神は見捨てられた80億民を救うためだけに

奔走したのです。20億民などはどうでも良い事とも言ってました」シンジ


「おかしいですね、ならばなぜシンジ様を救ったのか」メリダ


「だから、どうでもいいが出来る物ならやってみろと言う事だろう」シンジ

「神様気まぐれ・・・慈悲深いのか冷酷なのか」ゴブヨ


「神様論はおいといて、やはり結界魔法付きのネームプレートがシンジ様を

救ったのだけは間違いなさそうですね」メイ


「うむ、やはり情報のお陰今日一日で大進歩だよ、早速大王に報告せねば」シンジ

「お待ちください、報告はもう少し後がいいでしょう」ゴブヨ


「なぜ?」シンジ

「完全に興味を失ってる大王達に多くは望めません、今は我々だけの方が

なにかと小回り効きます。船頭多くして船山に上るです」ゴブヨ


「なんと、お目付役の君からそんな言葉が出てくるとは信じられません」シンジ

「毒を食らわば皿までと申します、シンジ様がなぜ罪を重ねたのか分かりました」

ゴブヨ


「だが君も処刑台の塵と化すかもしれんぞ」シンジ

「私もこの事態を打破する為なら命など投げ出す覚悟は出来てます」ゴブヨ

「こらこら8歳児の言う言葉ではないぞ」

「あら、私は王立魔法院をS級で卒業した大人ですけど?」ゴブヨ


「膝に抱っこされてる8歳児大人とは恐れいった」シンジ

「抱っこぐらいなんですか、大願成就のためにはそんなことは些末です」


「うーむ、ベクトル方向が違う気もするが確かに些末ではあるな」シンジ

「本当にゴブヨ様は言動と行動が一致してませんね」メリダ

「なにしろ8歳児ですからね」ゴブヨ

なんのこっちゃ


「とにかく君の助言の方が今は正しい。報告は後にしましょう」シンジ


「問題は結界魔法付きのプレートが果たして有害ニュートリノの照射を

どの程度防いでくれるかだ、そしてその範囲内になにがあるのか」シンジ


「早速シュミレートしてみましょう」メイ

「あらゆる係数はリアルに頼むよ」シンジ


「はいここでも得られた地球情報がおおいに役立ちました。冬眠カプセルの

スペックが全て分かった上に15000年後の現物が現存してるので

経年劣化などを詳細にシュミレート出来ます。


「私が入っていたカプセルのスペックと私が寝ていて位置、そして

どの範囲で有害光線から身を守ってくれたのか・・」


「範囲が分かればその部分を徹底検査出来ますね」メリダ

「多分粒子1個とか2個の世界だろう」予想するシンジ

「もしくは原子核1個とかかも」ゴブヨ


「それだけ小さいと範囲が推定できないと発見はまず不可能ですね」リン

「DNA以外のなにかなのかも知れません」シンジ

「う、今までの研究はDNAばかりに拘ってましたね」リン


「あらゆる想定を係数化して有害光線の影響を受けない範囲が特定出来ました」


「おおおおっ」

「こっこんなに狭いのか・・」

大きさにして直径0.5mm


「分かった範囲を徹底調査してください」シンジ


「もしかして今外堀が埋まって来てる?」ゴブヨ

「比較の為現在のシンジ様もCTスキャンさせてください」メイ

「当然です」シンジ


スキャンが行われ救出時と冬眠カプセル封入時との徹底比較が行われた


「ダニア様による救出時の高解像映像化が助かりました」メリダ

「完全ではありませんが3つの検体との比較しましたが差異が見つかりません」

「当然だろ、私はウラシマ効果が発症していないのだから」


「他の検体としては元地球王のしか現在存在しません」メイ


「うむ、今考えると貴重な検体だ」シンジ

「両者との比較シュミレート開始しました」メリダ


「そこ!映像とめて!」シンジが叫ぶ

「11秒戻して・・・0.5秒進めて・・0.02秒バック」

「これはなんだ?」


「う、なにか一瞬光りました」ゴブヨ

「場所が特定できました、しかもこの後数分で発症してます」メイ


「しかも、この場所から劣化現象が連鎖的に爆発的に広がってます」

「つ、ついにウラシマ効果の発症場所を発見したのですね」ゴブヨ


「ですが、この場所のDNAはすでに調査済・・・何も変化が起きてません」

「発症原因は遺伝子の葉損ではないのか?」シンジ


「これだけ人体を損傷させてるのですから遺伝子破壊以外に考えられません」

「このピンポイントにみえない何かが当たると発症する?」


「見えない?ステルスでしょうか?」メイ


「ううう・・・もしかしてステルス粒子・・ミノフ粒子か?」シンジ

「ば、ばかなあれは架空の粒子だと火星研究院が言ってました」


「そんなことはない私が実用化したろ?覚えてないの」シンジ

「ですがミノフ粒子ならばシンジ式分光器で検出されるはず」リン


「ミノフ粒子に性質が似てる他の未知の粒子なのかもしれない。つまり

分光器にはノイズとしかみえない・・」シンジ


全員がはっとした


「つまりノイズは有害ニュートリノ・・しかもステルス性を有する」リン


「原因はある程度わかりましたが治療方法は?」ゴブヨ

「たった今原因が特定できはじめてるのに早計だね君は」怒るシンジ


「場所が特定できたし原因も分かったのですから特定部位だけを皮膚移植

とかでは治りませんか?」メリダ


「いや、どんな物でも突き抜け直進するニュートリノだよ、体のどの部分まで

浸透してどの部分がトリガーなのか今は表面が分かっただけ」


「入射角がほんの少し変わるだけで範囲は膨大になりますね」メリダ

「しかも私いがいは無防備だったのだ皮膚面はピンポイントでも肉体内部の

どこが破壊されて発症したのかなんてまず特定不可能レベルだよ」シンジ


「いえ、シンジ様のプレートが保護した部分は直径0.5mの範囲

それ以外はあらゆる角度から照射されてる可能性があるのですからやはり

表皮以外の部分は考えられません」メリダ


「なるほど」全員納得する


「しかし実検といっても人の命が掛かるぞ・・・駄目でしたでは済まない」

「臨床試験は大事です決して人体実験ではありません」リン


「いえ、ここは慎重にMS姉妹に詳細なシュミレートをお願いするべきです

シュミレートの結果を見てから臨床試験するべきです」メリダ


「うむ、これだけ詳細なデーターがあれば正確にシュミレート可能だろう」

シンジ



数日後MSから結果が持たされた


「おおおっ行けるぞこれは・・」シンジ

「成功率90%以上とでました」メイ


「しかし、大王の判断を仰がねば・・・10%の民を失う決断です」ゴブヨ


「どうする?今ココで18億人を救うか後世に託すのか・・」シンジ

「いえ、ウラシマ効果が発症した民はそのまま再び縮小化を行えば

一人の犠牲者も出しません」ゴブヨ


「なるほど、それは良案、行ける、行けるぞ!」興奮するシンジ


「ですがそれはシンジ様自身の処刑を早める結果ですが」メイ

「シンジ様処刑の際には私達もお供致します」メリダ達

「勿論私もご一緒です」ゴブヨ


「ば、バカを言ってはなりません、君は次期王だよ」

「そんな物はいりません、私はシンジ様とどこまでも一緒です」ゴブヨ

全員がシンジに抱きつく


「こらこら、私には男女の感情などは無いと言ったはず」

「シンジ様は朴念仁で構いませんが私達は別です」メリダ


突然大王一行が乱入してきた


「これ、シンジ、今までの事すべてタランが盗聴してます逃げ隠れ出来ませんよ」

「やはり、大王の手のひらでしたか・・・」観念したシンジ


「其方の量刑は20億民全員救出の後と厳命されてるこれは大王でも覆せない

わかるか、全員だ」スタージナス


「そ、それでは?」シンジ


「とにかく今は一人でも多くの民を救う時だ、はよ実行せい」スタージナス


「し、しかしいきなり言われても受け入れ体制ができてません」


「其方は我々が興味を失ってると勘違いしていただろ?」スタージナス


「はあ、あの、その」


「何時助かるか分からない民に国家予算はつぎ込めないのでな、皆で基金を

設立して資金を調達していたのだよ。大王も随分奔走してる。ウラアールもな」


「もちろんこのジパンも協力いたしましたぞ」ジパン

「馬鹿者成果というのは他人が評価するもの自分で評価したら駄目なんだよ」


「しかし、黙っていたら私のことなど忘れてしまうに違いなく」ジパン

一同大笑い


「なごみますね・・相変わらず」面白がるMS姉妹

「実はな火星王のワンも影で其方達を応援していたのだぞ」スタージナス

「はあ?」シンジ


「馬鹿者!まだわからんのか、その手に持ってる分光器、性能上がったと

思ってないか?」スタージナス


「し、しかしこれは私が魔改造を施したので」


「部品のひとつひとつ精査したか?」スタージナス


「いえ、そこまでは・・」

「ワンはな、どうしても協力したいと自分の専門分野で其方に貢献したのだ」


「な、何も知らずに・・恐れいりました」平伏するシンジ


「其方はずべて己自身で解決したと思ってるのだろうがな実はあらゆる分野で

皆が協力していたのだ。地球資料の検索エンジンしかり」スタージナス


「それはな、火星研究員3千人の血と汗の結晶なんだよ」スタージナス

「全く気がつきませんでした」平伏するシンジ


「でな、火星研究員は血判状をよこしてきたのだ」スタージナス

「え?」


「其方の助命嘆願だよ、我々の命と引き換えにシンジを助けてくれとな」

「決して我々全員20億民の事は忘れていないという事だ」


「ありがたきしあわせ」シンジ


「ゴブヨの助言で報告を待たせたのも大王の指示だ」スタージナス

「その件は伏してくれるとの約束です」赤面するゴブヨ


「これを言っておかないと其方もシンジと共に自決しかねんからな」

スタージナス


「そして、20億民の受け入れ施設とその後の身の振り方も万全に

用意出来てる、火星研究員が総力で仕上げてくれたのだ」スタージナス


「私は私は・・・なんとおろかだった事か」号泣するシンジ

「いや、全てはシンジの所業、皆を救ったのもシンジじゃ」スタージナス


「うううううう」


「馬鹿者!泣いてる暇などない、明日から全力で治療体制を整えろ」

叱咤するスタージナス


「やはりこんな時に一番頼りになるのはスタージナス様」アスタージナス

「御意!」


「う、うわあああああ」スタージナスに全員がしがみつく

「やめろ、やめんか」


「で、どうするシンジ」スタージナス

「は?」


「メリダとゴブヨどちらを正妻にするのか聞いてるのだ」スタージナス

「わ、わたしに男女間の事などわかりませぬ」シンジ


「それこそ大馬鹿者じゃ、二人の気持ちがわからんのか?」スタージナス

「しかしメリダはアンドロイドでゴブヨは八歳幼女かつ王女ですが・・」

「馬鹿者だからどちらを正妻にすると聞いてるのだ残りは側室じゃ」

スタージナス


「しかし、王家でもないのに正室だの側室などは不謹慎です」シンジ

「本当の本当にお主は大馬鹿者だな!」スタージナス


「仰ってる意味がわかりません」シンジ


「其方は元地球王の息子だ、地球資料見てないのか?」スタージナス

「ええええええ!」全員絶句、スタージナスと大王以外知らなかったのだ


「ああ、これは元地球王の遺言だった、スマン誰も知らないのも無理ない」

「ごほん、つまり其方は正式にこちらの地球王の資格を有する只一人の人物

どうだ、大義名分なら十二分にあるぞ、恐れいったか!」スタージナス


「つまり、大王地球と元地球との政略結婚・・」わおっと赤面するMS姉妹


「ですが・・・わ、わたしはメリダと結婚したいです!」シンジ

「と言うと思ってました」アスタージナス


「当然ですメリダ様はシンジ様と一心同体、夫婦などを超越した関係」

全てを達観してるゴブヨ、初恋は実らないのだろうか


「どちらも正室でかまわんだろう、そんな決まりなどはない」スタージナス


「しかしゴブヨ君は八歳幼女・・恋愛対象などには」シンジ

「ゴブヨは王立魔法院S級卒業の立派な成人扱い、なんら支障などない」

スタージナス


「あーら、年齢がどうのと私達を拒み続けたスタージナス様のお言葉とは

思えませんね」イーシャ


「馬鹿者其方達はあのとき王立魔法院を卒業しておらん!」


「言い訳」イーシャ

「言い訳ね」セイラも同調


「話をそらすでない、今はシンジ達の身の振り方だ」スタージナス


「とにかく身を固めてしまえば処刑などはしてられん。何しろ地球王なのだ

誰も罪科などを問えるわけがない」スタージナス


「わかりました身の振り方は自分で決めます二人を必ず娶ると約束しますが

今はそれどころではありません」シンジ


「うむ、とにかく20億民救出に全員で全力を尽くそう」スタージナス


「ダニアです、今シンジの話をききブランと二人で皮膚移植システムを

完成させました。大量治療が可能です」ダニアとブラン


正にシンジを中心とした一心同体体制がいつの間にか出来上がっていた

「これは大王地球で行方不明になっていた縮小体の救助方法を教えてくれた

シンジ君への恩返しです」ウラアール


「そうだ、あのとき我々誰1人として行方不明民の事は諦めていた

唯一シンジだけが諦めなかった・・尊い命、誰1人として忘れてはならない

それを教えてくれたシンジに協力するのは当然なのだ」涙ながらのスタージナス


「あ、あれは己が欲望を満たす為に利用したに過ぎません」シンジ

「しかし、結果的に多くの民は救われたのだ。これは事実」スタージナス


「とにかくこれから地球王になるシンジ様に無礼など出来ません」大王


「実は私の研究で開発したハイパーポーションですがシュミレータに

よると偶然ですがウラシマ効果治療に効果有りと示されています」ブラン


「どういうことでしょう」シンジ


「体内に効果があるポーションは色々開発されてましたが身体強化

つまり表皮を強化するポーションは未開発だったので暇を持て余した私が

コツコツと開発していたのです」ブラン


「表皮強化ポーション・・確かに凄いです」シンジ


「で、なにがどうしてだかは分からないのですけどウラシマ効果治療に

効果があると分かったのです。これで救出率がUPしますよ」ブラン


「ありがとうございます。100人力です!」シンジ


2ヶ月後


全員の総力を挙げた20億民救出作戦だが・・



「シンジ様今日現在成功率99.7%残りは2億です後一週間で完了予定です」

声が弾むメリダ


「ありがとうございますまさかここまで成功率が高いとは思ってませんでした

しかもプラン様の特効薬の改良がすすみ発症してしまった民も治療が見込めます

時間を掛けさえすれば100%治療に限りなく近づけそうです」シンジ


自決してしまった元地球王の妻と娘も無事治療が完了し親子3人水入らず

シンジの記憶欠損はかなり多いがこれまた地球資料にシンジの文献が沢山

残されていた影響で客観的ながら記憶が補完されつつある。

MS姉妹の渾身のシュミレートのお陰で客観的事実を主観的に取り込める

装置の開発がすすんでいる。失われた記憶のほとんどは取り戻せる予定


「というわけで其方の地球王就任への障害はなくなった、覚悟するように」

スタージナス


「私はこのネオ東京にひとり住んだときに地球王になってみせると宣言しました

まさかあれが正夢だったとは」シンジ


「うむ、さしあたって救出された民達の身の振り方が其方の仕事じゃ」

スタージナス


「はい、このネオ東京を参考に地球上にまず都市を建設し、更にコロニーを作り

住居はコロニー、オフィスは地球にします。勿論火星は大農園としてワン様に

ご協力してもらい。20億民の食料庫とします。万事お任せ下さい」シンジ


「さすがシンジ、僅かの期間ですっかり地球王の貫禄がついてきたな」

スタージナス


「お父様、相手は王様です呼び捨ては不敬ですよ」アスタージナス


「これはしたり。すまん、これからはシンジ王と呼ぶことにする」スタージナス


「いえ、スタージナス様にはこれからも「馬鹿者!」と叱って頂きたく」シンジ

「これからも両地球が仲良く出来る様に我は尽力するのみ」スタージナス


「どちらも同じ地球民当然パスポートなどはなしに往来自由です」大王

「と言う事はどこに住んでも自由なのですね」シンジ


「勿論です」


「では、私はあの廃コロニーを王宮として使わさせていただきます」シンジ

「ばかな、シンジ王、其方の立場を考えよ」スタージナス


「政務などはどこででもできます、現に大王は度々テイロンで執務してます」

「まあな、どこでもゲートがある今はどこで政治しても同じだわな」

スタージナス


「それに、是非スタージナス様一度我が家に来て下さい。驚くほど綺麗ですよ」

シンジ


「さもありなん、あのゴブヨが奥方だからな。清潔なのはあたりまえじゃ」


「はい、ゴブヨとメリダとメイとリン。全員娶りましたから我が家は賑やかです」


「うんうん、にぎやかは良きこと、つぎは跡取りじゃな」スタージナス

「ごほん、それはしばらくお待ちください。いくらなんでもゴブヨに手を

出せません」シンジ


「メリダ達は成人だろ?」スタージナス

「しかし、彼女達は国から派遣された元アンドロイド、その、手をだすなんて」


「なにを今更、其方の魔改造で何度も人間にしたりアンドロイドに戻したり

やりたい放題しておいて」スタージナス


「とにかく正式に夫婦なんだから他人になんらはばかることはないぞ」

スタージナス


「あら、未だに指一本手を出さない石部金吉さんがなんですって?」イーシャ

「我の事ではないシンジ王の事を言ってるのだ!」スタージナス


「シンジ王告げたき事があります」ゴブヨ

「なに、おめでたか?」スタージナスが茶化す


「ゴホン、そんな・・・事ではありませぬ」真っ赤かのゴブヨ

「で、あらたまってなんですか?」シンジ


「旧地球情報を精査していた火星研究所からの報告です」


「して?」


「地球滅亡時の総人口は100億ではなくもっといたようです」ゴブヨ


「なっなに~」



おわり


って、オイオイ滋賀内人君はどうなる?

大丈夫です、とりあえずしばらくゴブヨ憑依は解かれませんが

時系列無視のタイムトラベル可能な神様(2代目)がついてます

きっと何時の日か元に戻され河井さんと結ばれるでしょう。

なにしろ神様の意思を直接つたえられる唯一の貴重な存在ですからね。



スピンオフ、ネオ地球編はこれで完了ですありがとうございました。



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