初出勤
本作から読み始めた方の為に簡単な登場人物紹介です
シンジ:本編の主人公20億冷凍冬眠民の救出第一号
メリダ:医療アンドロイド、ダニアにより作られた
メイとリン:メイドアンドロイド、MSにより作られた
アナハイム社
ダニア:アナハイム半官半民30万社員の総帥
ブラン:アナハイム社の社長、No2
MS:セイラとミライ、アナハイム社の副社長、独立を計画してる
エイムズとチェリオット:ダニアが作った私設万能アンドロイド
マイヤー:広報担当、主に施設案内役
地球側
アスタージナス:全世界を束ねる大王、神により滋賀内人と分離された
ウラアール:大王の右腕、少々合理的
ゴブータ:USAの大統領、本来4年の任期のはずがすでに5期目
尚、USAはユナイテッド・ステート・アスタージナスの略
EUは元大アスタージナス王国を中心に発展拡大合併した集合国家
アナハイム本社があるジェネシスとは新地球から15300光年離れた
地球に一番近いイリウスα星の第三惑星、テラフォーミング済
朝が来た~
「おはようございま~す」
メイドアンドロイドのメイとリンの明るい声でシンジは目覚めた朝7時
「そっか、今日から出勤だったのですね」
「さあ、みんなで食事とって準備しましょう」メリダ
「出社時間は9時なので8時にこちらを出てトエイ30号線に乗って
ジェネシス駅で降りて頂きアナハイム本社の第三会議室に集合です」メリダ
「ちょっとまって!あれ?確か俺は在宅勤務と聞いたけど・・」
「はい、在宅勤務ですが出社していただきます」
?????なにそれ
「説明不足で申し訳ありません、シンジ様は食事の後執務室に移動頂き
そこでVR装置に入って頂きVRで出勤します」
メリダ
「そんなことする意味あるのですか?」
「まあ、一応テストも兼ねてますしこれからのビジネススタイルとなります」
メリダ
「わかりました、とにかく言われたとおりにします」シンジ
着替えをすませカバンにスマホ、タブレット、筆記用具、ハンカチ、財布・・
その他諸々をいれてさあ出勤だ。
「それでは行ってきます」シンジ
「あ、私も秘書なので同行いたします」メリダ
「いってらっしゃい」メイとリン
っていっても執務室に入室するだけ・・・中に入ると椅子とヘッドマウント
ディスプレイが二つポツンとある。
「さあ、装着してください」メリダ
「ガチャ・・ブーン」
「おおおおおおお」
「ってなんにも変わっていない感じなんだけど?」
目の前に今挨拶を済ませたメイとリンが立っている
「さ、外にでましょう」メリダ
「ガチャ」ドアを開けてエレベーターに乗り地下通路に出る
なんと便利なことに駅までは地下通路しかも動く歩道、楽ちんに駅に行ける
しかも一人っきりの筈のネオ東京なのだがVRの世界では大勢が行き来してる
「うわあ凄い人波だ・・・」
「これはすべてNPCですが全員が意思を持っています」メリダ
「というか全く現実世界と変わらないね」シンジ
ぐちゃぐちゃに揉まれながらシンジは新宿駅に着いた
「さ、地下鉄トエイ30号線に乗りましょう、すでに定期券はもらってます」
メリダ
俺はメリダから定期券を受け取り・・といっても専用お財布スマホに落とした
だけだが
新宿駅の地下5階に降りトエイ30号線の自動改札をくぐり1番ホームに
むかう
「1番線ジェネシス行きが到着しますホームドアの内側でお待ちください」
女性の美声アナウンスが流れる。周囲は通勤客通学生でごった返してる
「プシュ」とドアがあくとどどどどと乗客が降りその後で乗り込む
「グワアア・・・メリダさん!これだけでクタクタになりそうですね」
「すべてシンジ様の記憶からのデーターを再現してます。日常の風景です」
メリダ
「なるほど、俺は毎日これを繰り返してたんだな」妙にセンチになる
「ところでメリダさん、私は「君付け」でお願いします」シンジ
「いえ、アナハイムには私はシンジ様の私設秘書で登録されてます
様付けでないと上下関係がおかしくなります。公私の公ですから」
メリダ
「ですからシンジ様も私の事を「さん」付けは対外的におかしいですので
呼び捨てにお願いします。仕事は仕事ですよ」メリダ
「今日から私はビジネスマン、自覚しなければダメですね」
一駅二駅激しい乗客の出入りはあるが終点の「ジェネシス」に近づくと
すこし車内はすいてきた。
「さ、到着しました降りましょう」メリダ
「なんと、ここは新地球ではありませんね?」シンジ
「はい、遙か彼方15000光年先のアナハイム本社です」メリダ
「本当に在宅なんですか?」シンジ
「もちろんです、この世界はVRですから」メリダ
「とんでもないですね、空気感も手足の感覚も人間も区別出来ません」
「VRの出来映えは後にして、さっさと出社しましょう」メリダ
8時40分にアナハイム本社に到着出来た
メリダがセキュリティカードを警備員に見せると「こちらでございます」と
なんとVIP通用門を案内された・・なんで?
ロビーには数人が待ち構えていた「ようこそいらっしゃいませ」一同
「私は広報担当のマイヤーと申します。今日は不慣れなシンジ様のご案内を
させて頂きます」マイヤー
「はあ、よろしくお願いします。ところで?」シンジ
「はい?」マイヤー
「この後どなたか重要な方でもいらっしゃるのでしょうか、なんとも
物々しい雰囲気なのですが?」
「いえ、シンジ様がVIPなのですよ」マイヤー
「そんな、私がVIPですか?ありえません」シンジ
「いえ、シンジ様は数多ある会社から我が社を選んで頂きました
これほど光栄な事はありません」マイヤー
「はあ?全く意味が分かりません、私は右も左もわからない若造ですが?」
「貴方の価値はとんでもないのです、いずれ分かりますよ」マイヤー
「とにかく玄関で立ち話もなんです、ご案内しましょう」マイヤー
「なにがなんだか分かりませんがよろしくお願いします」シンジ
ぎゃああ!なんと社員一同が通路の左右に分かれ深々と頭を下げてる
いったい何人いるのだろう?
「本社勤務の社員一同でお待ちしてましたから」マイヤー
「はあ・・・」
エレベーターに乗り5Fの第三会議室に案内された
入室すると中に30人程が拍手で迎え入れてくれる・・・
「なんともこっぱずかしいです」頭カキカキシンジ
「ようこそシンジ君、我が社に入社してくれて大歓迎です」
なんとアナハイム社総帥のダニアが挨拶してくれた!
「ありがとうございます」シンジ
「ですが、私にはなにがなんだか分かりません」シンジ
「君は今の所元地球、今は新地球と言ってるが、只一人の国民ですからね
しかも希代の大天才」ダニア
「それは買いかぶりと言う物ですがそれは置いといて私はこれから
一体何をすればいいのでしょう」シンジ
「うむ、今日から君は我が社の社員VIP待遇はもう終わり、仕事を
してもらう。いくら大天才でも能力が足りなければ解雇もあり得る」
突然のダニアの豹変ぶりにシンジは驚きつつも安心した
「もちろん望むところです、私に何が出来るか分かりませんがこき使って
下さい」シンジ
「とは言っても君には最初から部長待遇と決まっている。部下を2000ほど
付けるので覚悟して欲しい。君の裁量で2000人の生活がかかるのだ」
「部署名的には「総合企画研究所第5部だ」ダニア
「申し訳無いが花形部署とは言えない、君次第の部署だよ」ダニア
「それは困ります最初は平社員ではダメなのですか?」シンジ
「問題無い、コピー人間時に全てのスキルは植え付けてあるはず
能力については君自身が一番分かってるんじゃないのかな?」ダニア
「た、確かに・・・一度も仕事してないのに出来るという自信だけは
ありますね」シンジ
「うむ、それでいい、早速だが今後の我が社の方針を決める重要な
会議に参加してもらう。勿論意見があればドシドシ出して欲しい遠慮は無用だ」
「シンジ様すごい」うっとり見つめるメリダ、まさかシンジがこんなに
好待遇とはメリダには知らされていなかったのだ。
「さて、吃緊の課題だがちょうどシンジ君もいるので分かり易いと思うが
なぜ予定されていた20億の民救出が頓挫してしまったのか意見を聞きたい」
ダニア
「はい」ブランが挙手
「とにかく現状で解凍するとウラシマ効果の速さに回復が追いつけません」
ブラン
※ウラシマ効果とは、冬眠状態を解除すると急激に検体の劣化が進む現象
「蘇生して、手足の機能を回復させなければコピー人間を作成出来ないのに
急激に劣化が始まってしまい、救命手段で冷凍縮小するしか術がありません」
セイラ
「うむ、縮小化してしまうと現状維持はできても治療は不可能だからな」ダニア
「はい、堂々巡りで埒があきません」ミライ
「はい」研究員のエー
「エー君どうぞ」ダニア
「たしか最新の縮小術では活動しつつ縮小出来る筈ですが?」エー
「はい、戦艦内を広く使う手法ですがあくまでも使わない部分を縮小する技術
使う部分はそのままなのでウラシマ効果を防げません」ダニア
「つまり縮小中に治療は不可能なんですね」セイラ
「現状の科学力では不可能です」ダニア
「なぜウラシマ効果が起きるのか原因究明が出来なければ対策は不可能」セイラ
「うーーーむ」全員が考え込む
「残念だがいくら会議しても埒があきそうも無いな」ダニア
「なにか魔法とかで解決出来ませんか?」エイムズ
「今の所魔法が出る幕はないのだよ」ダニア
「手がかりひとつなしか・・・」チェリオット
実の所アンドロイドはホストと繋がっていてスパコンが常に解析を行ってる
そのエイムズとチェリオットが黙り込むぐらい事態は難解なのだ。
「地球には魔法があるのですね」シンジがメリダにささやく
「はい、新地球には存在しませんが、ここジェネシスでも魔法あります」
「なんとか私は地球に留学できないものでしょうか?」シンジ
「残念ながら地球と新地球間の交流は大王が禁じています」メリダ
「理屈は分かりますが・・・なにかそこにヒントが有る気がしてなりません」
「シンジ君、こそっとささやいていないで発言してください」ダニア
「は、はい・・」シンジ
「私を地球に留学させて頂く訳にはいきませんか?」シンジ
「地球に行ってどうするのですか?」ダニア
「は、是非王立魔法院で魔法を学びたく」シンジ
「それは難しいでしょうね。大王が嫌います」ダニア
「なにかしらの根拠を示せば可能ですか?」シンジ
「具申は致しますが結果は大王次第でしょう」ダニア
「わかりました。どうか会議続けてください」シンジ
「いや、何時ものことなのだがほぼ我々は詰んでいる、会議をこれ以上しても
ほとんど堂々巡り、今日もこれで終わりだ」ダニア
「気がついたらお昼をはるかに過ぎてますね。みんなで昼食しましょう」
「メリダ、我々はVRなのだろう?飯食えるの?」シンジ
「はい、全て現実世界と同じですちゃんと栄養も取れます」メリダ
「ところでダニア様達もVRなのですか?」シンジ
「私とシンジ様はジェネシスに実際に行ってますので」メリダ
「つまりコピーアンドロイドが実際にジェネシスにいるのですね」
「はい、そのとおり、意識だけが時空を越えてコピーに乗り移ってます」
「全く違和感が無いわけですね」シンジ
「このカレーライスは超一流ですね」シンジがメリダにささやく
「はい、この味だけは真似出来ません。科学的に解明できないのです」メリダ
「驚いたろう?」ドヤ顔のダニア
「こんなに美味しいカレーは食べたことがありません脳神経を刺激
しますね」シンジ
「確かに美味しい物を食べると脳細胞が活性化するという報告はある」ダニア
「今日は全員が集まる金曜なので会議室に来てもらったが明日以降は
担当部署で仕事してもらうからな」ダニア
「わかりました」シンジ
「それでは次回の会議まで解散しよう。是非次こそは進展があるように」ダニア
ゾロゾロと皆は散っていく
「さ、シンジ様オフィスにむかいましょう」メリダ
「ようやく日常の環境ですね」シンジ
「ようこそ部長」部下が深々と挨拶する
「右も左も分かりませんがどうかよろしくお願いします」シンジ
部長席に座り周囲を見渡しチェックする
「こちらが今日の報告書、こちらが今日の見積もり書ですお目通しください」
「まずは書類の整理からですね。わかりました」
「どんだけの能力があるのだあろう」興味津々で部下が見つめる
「サササササ・・」目にも止まらぬ速さで書類をさばくシンジ
「ザワザワ・・」周囲がざわつく
「これ現実なのか?」
どこのだれよりもシンジ自身が自分の能力に驚きを隠せない
ピタッと手が止まる
「この報告書を書いた方!」シンジが問いかける
「は、わたしですがなにか?」
「こことここ、矛盾点がありますもう一度精査してください」シンジ
「え?あっ確かにおかしいですね・・・」
「すごい・・・たった1行の矛盾点に気がついたのか???」周囲
つまりシンジは尋常ならざる速度で文章を理解していた事になる。
「メリダ、俺はおかしい。こんな速さで書類を精査出来るはずが無い」シンジ
「なにをいいますかこれ位の能力はほんの一端にすぎませんよ」メリダ
「というかなにかコピー化したときに強化されてるのではないのですか?」
「いえいえ、本来あった潜在能力が発揮されてるだけです」メリダ
「なるほど、コピーするとリミッターが解除される?」シンジ
「うーん、リミッターという解釈はどうでしょう」メリダ
ほんの一瞬で周囲は彼の能力を理解し「さすが部長」と敬服した
もう部下達はシンジの能力を疑わない。
ざっと1時間で全書類をチェックし決済をあたえ課題を終えた
「さて、後は自由に課題をこなせる時間なんですね?」シンジ
「ですがもう午後4時過ぎ当社では基本残業は認められません」メリダ
「わかりました、それでは明日以降の課題を整理して終わりましょう」シンジ
「さて、書類に目を通した感じではこの部署は総合職系に感じますね」
シンジ
「はい、基本開発研究なのですが今はダニア様、ブラン様MSチームが優秀で
その他の部署はいうなれば「下請け」みたいになってしまってます」メリダ
「それは情けない、是非我が部署でも独自のテーマを見つけるべきですね」
「はい、総帥はそれを期待してシンジ部長を抜擢したのです」メリダ
「わかりました。それでは何を研究しますかね」
「シンジ部長の思い通りで結構だそうです。しかし収益が最優先です」
「勿論です実績がなにもない我が部署。荒唐無稽な研究などは出来ません」
「やってみますか」シンジ
「え、なにをですか」部下A
「決まってますアナハイム社が未だになし得ていない分野です」
「ぐ、20億民の蘇生術ですか?たったいま迷宮入りと宣言されたのに」メリダ
部署の全員がメリダにうなずく
「我が部署を下請けから解放するにはどでかいことしないと」シンジ
「しかし、あまりにも無謀・・・」部下B
「何事もやってみなければ分からない物ですよ」シンジ
「実は会議中にひとつのヒントを得たのです」シンジ
「え、一体どんな?」部下C
「今日は時間がありません明日にしましょう」シンジ
「さ、帰宅しましょう」メリダ
「この行為はなにか意味あるのですか?」シンジ
「まあ、モチベーションの維持ですね(^^)」メリダ
「寄り道して一杯とかも可能ですか?」シンジ
「可能ですが折角メイとリンが美味しいご馳走作ってまってるのですから
初日ぐらいは真っ直ぐ帰りましょう」メリダ
「つか君は私の監視も兼ねてるね」シンジ
「あははは、そうかもしれませんが個人行動したいのなら先に帰ってます」
「とんでもない、メリダと一緒にいるのが私の至福のときなのですよ」
シンジ
「あらやだ・・・」頬を赤らめるメリダ
始発から帰宅客でごった返すトエイ30号線
「ぐぐぐぐ、・・これ本当にVRなの?もみくちゃなんですけど」
「これはすべてシンジ様の記憶ですから・・・ぐぐぐぐ」苦笑いのメリダ
押し出される様に新宿に返ってきた・・・
「なんか生還という言葉がピッタリかも」シンジ
自宅にもどり玄関を開けると「おかえりなさい」メイとリンが向かえてくれた
ハッと目が覚めると執務室の椅子に座ってるヘッドディスプレイを外すと
現実世界に戻ってこれた
「全然在宅勤務じゃないねこれは」クタクタのシンジ
「さ、みんなで夕食しましょう」メリダ
「でも待ってる人がいるというのはいいね。充実した一日でした」シンジ
「それではシンジ様の初出勤を祝って、かんぱーい」カチーン
「おおお、これは凄いご馳走ですね」舌鼓を打つシンジ
「別に男女の感情はないのですからこの後みんなでお風呂しませんか?」メイ
「いいね、流しっこしよう」シンジ
「なんかピッチピチの君達の裸みれてうれしいのにナンの感情も起きないのって
嬉しいのか悲しいのか」シンジ
「下手な恋愛感情よりもずっと楽しいと思いますけど」メリダ
「そうですね、これは家族と同じ感情かもしれません。」シンジ
裸の付き合いは結束力も高めるのである。
「あーサッパリした、後は寝るだけだけどいくらなんでもまだ早いね」シンジ
「そうですねまだ8時過ぎ、なにしましょうか?」
「まったく無粋なのですが明日以降の課題について考えたいのですが・・」
「多分そうだと思ってました。我々はシンジ様に全面協力いたします」メリダ
「実は昨日みんなと寝ていて感じたのだが4人で固まった方が思考回路が
活性化すると感じたのですが」
「はい、それは多分事実でしょう、我々は別々のホストに繋がっています
情報の交流化という部分で皆で繋がるのは効率的です」メイ
「やはり・・それでは4人で思考シンクロして仕事しそのあと寝ましょう」
シンジ
「はい、そもそも私達が派遣されたのはシンジ様のサポート目的」メイとリン
4人はなんのためらいもなく絡みあい激しくリンクした・・・
「こっこれはナンという快感・・・脳の快楽物質が絡み合ってる?」
「こんなことは初めてですシンジ様・・・これは一体なんでしょう」メリダ
「きっと信頼し合い分かち合えた者同士による相互作用だろう」シンジ
「しかし、男女のそれとは全然違います。もっと高貴ななにか・・ああああ」
「うむ、なんというか浄化されていく感覚?人間とアンドロイドの融合?」
「ば、ばかな。そんな事はありえません」メリダ
「し、しかしこの感覚は人工的ななにかとは違いますよ」シンジ
「私はアンドロイド、プログラムされた以上の事はありえないのです」リン
「ありえまえん、シンジ様の感情が私達に融合していく?」メイ
4人はオーラを発し閃光と共にケミストリィ(化学反応)を引き起こした
「はっ」飛び起きるシンジ
「キョロキョロ」当たりを見回すとカワイイ3人がスヤスヤ寝息をたててる
「今のは一体?夢だったのだろうか」時間は午前4時
「仕事するつもりだったのにとっとと寝てしまったようだ・・我ながら情けない」
「しかし昨日は初勤務で疲れたのもある。仕方がない」シンジ
皆を起こさない様にそっとベットからでてバルコニーに出て新宿の夜景を
見ながら熱いコーヒーを飲んだ。時は晩秋少し肌寒い風が吹き込む
「ふう・・・しかしなにが有ったのだろう」シンジ
驚くほど頭がスッキリしてるし全身に力がみなぎってるのを感じる
「このまま空を飛べてるような不思議な感覚だ・・」もしかして?
「エイ」両手を広げて空に飛び出してみる・・・1mmも体は浮かない
「現実は厳しいか・・」苦笑いのシンジ
「あっはははは、一体なにしてるんですか?子供ですか」メリダ
「あちゃ、見られちゃった」はにかむシンジ
「外は寒いですね」近づくメリダ
「これ飲んで」コーヒーを差し出すシンジ
「あたためて・・・」
ガウンを広げ中にメリダをいれるシンジ
「ああ、こんなにロマンチックなのにぃいいい」照れ笑いのシンジ
しかしメリダの口がシンジの口をそっと塞ぐ
「え?」
「男女の感覚はなくても友情とか愛情はありますから」はにかむメリダ
「いや普通家族でキスはしないけどね」シンジ
「いいじゃありませんか、キスぐらい」メリダ
「無粋な事聞くけど君はアンドロイドだよね?」
「シンジ様の意識がこちらに混ざって人間の感情が注入されたのかも
しれません」メリダ
「なんだか科学的すぎてロマンチックとは無縁ですね」シンジ
「ばか・・・」メリダ
そのまま黙って二人はいつまでも夜空と新宿の夜景をみつめる
「ああ、幸せってこんな感じなのかな?」シンジ
「私はシンジ様に出会ってからずっと幸せです」メリダ
友達以上恋人未満(古っ)