公社誕生
ダニア達と協議がはじまります
ついに20億民救出作戦遂行の為アナハイム社との協力要請会議の日が来た
アナハイム本社は地球から4.5光年離れたイリウス星第三惑星ジェネシス
しかしどこでもゲートを使えば一瞬で移動完了
ドアをあけたらそこはアナハイム社秘密会議室に直結してる
「うーむ、どこでもゲートの利便性は計り知れないなセキュリティルームに
許可された人間のみが直接入れる、これは想像以上に画期的じゃ」
「御意、誰にも知られずに極秘会議が出来ます」ダニア
「ようこそ皆様」ブランがかしこまる
「今日は良い話ばかりではない、場合に寄っては決別も覚悟しての会議じゃ」
決意を伝えるスタージナス
「は、事前に資料を頂きこちらでも十分協議しております」ダニア
「会議開始早々申し訳無いが単刀直入にお互い行こう、ダラダラは時間の
無駄だからな」スタージナス
「は、望むところです・・・で、どれから始めましょう」ダニア
「うむ、それでは宣言する。シンジの数々の断罪については20億民救出後に
改めて裁判なり、弾劾などを行うとする、今は全て保留にして欲しい」
「はい、異存ありません、事件解決後に改めてシンジの処分を決めましょう」
「分かってくれて助かる。感謝する」スタージナス
「それでは本題に入ります」ダニア
「さて、宣言でも言ったがどうかアナハイムも20億民救出について
協力をしてほしい」スタージナス
「はい、事前に提出頂いた提案書に目を通しましたが大筋で了解です」
ダニア
「うむ、話が早くてたすかる」
「ですが・・・」
「ん?なにか不満か?」
「いえ、そうではりません、なぜシンジの言う創造の雲とやらが完成しなければ
20億民を救えないのかの理由がわかりません」
「それは我もわからないシンジ説明せよ」
「は、それでは・・」
「これはブラン様の作り上げた時空エンジン理論に通じます」シンジ
「は?なんだそれ?」ブランが首を傾げる
「まず初めに問います」シンジ
皆が身を乗り出し興味しんしん
「ブラン様は始めに何を見て時空エンジンを構想したのでしょう?」
「む、それは・・忘れもしない冥王星付近にあった聖水隕石を地球に
持ち込む為の実検を行った時に偶然魔石コアが自爆を始めたが布団魔法により
外部に漏れることなく内部に爆発が向かいコアが収縮をはじたのを発見したからだ」
「で、魔石コアの制御法を試行錯誤し時空エンジンを開発されたのですね」
「うむ、実に長い研究があり気が遠くなるほどの叡智の集合だった」ブラン
「それでは、一般に恒星が誕生する仕組みはなんでしょう?」シンジ
「なんだそれ?関係があるのか?」ダニア
「一般の恒星は濃密化した星間物質が自らの引力で引き合い集密化して
最後に核融合反応を起こし星として誕生する。そんな常識を問うてどうする」
ダニア
「最近の理論では単に宇宙のゴミやチリが自然に引かれ合って集密化する
可能性はとてつもなく低いとシュミレートされてます」シンジ
「うむ、その理論は知っている、ダークエネルギーがトリガーになってる
らしいとの説が有力だな」ダニア
「では人工的、つまり粒子AIが自らの操作で集密化して爆縮することは可能
でしょうか?」シンジ
「それは・・魔石コアを集密化出来るのだから十分可能だろう」ブラン
「はい、ですから創造の雲を集密化させて爆縮させるとどうなるのか」シンジ
「む、・・・なにが言いたい?」スタージナス
「・・・・神でございます」シンジ
「ば、ばかな・・」皆がビックリする、しかしブランとダニアは考え込む
「人知を越えたなにかが出来るまでは想像できるな」ダニア
「いえ、出来たのです」シンジ
「そなた何かを見たのだな?」スタージナス
「はい、廃コロニーの中で」シンジ
「しかし、その内容は絶対に教えられないのだな」スタージナス
「はい、これは人類と神との契約です」シンジ
「其方は2番目の神を作るつもりなのか?」ダニア
「本当の意味での神などは作れるはずありません」シンジ
「しかし、人類の想像の枠を越えるなにかが出来るということか?」ダニア
「御意」
「だが、この見積書を見る限りではとんでもない資金が必要とのこと」ダニア
「はい、いまの科学力では費用が莫大すぎて実現が不可能なのです」シンジ
「其方はアナハイムになにがしてほしいのだ?」ダニア
「は、資金援助は勿論ですが一番賜りたいのは皆様のお知恵です」シンジ
「だが、其方以上の研究開発など・・・不可能に近いと思うが」ダニア
「アナハイム5天皇のお言葉とは思えませぬ」シンジ
「5天皇などというあだ名は何も知らぬ部外者が付けたもの現実を知る
識者ならばそんなあだ名はつけない」ダニア
「なにもせぬ前から放棄か?」スタージナス
「いえいえ、そんな事はありませんが・・・現実的にはシンジの提案書に
我らが口を出せる部分などありません」ブラン
「しかし、そのシンジがもがき苦しんでいるのだ皆で協力出来ないのか?」
スタージナス
「勿論当初に述べたとおり全面協力は惜しみません」ダニア
「そこで、提案なのだがシンジが新たに開発した製品がな・・」スタージナス
「我らの持つ特許に抵触するという話ですか?」ダニア
「う、うむ・・そうなんじゃ、だからそこら辺の利害関係を統合したいのじゃ」
「もしかして合併とか併合ですか?」ダニア
「いや、これだけの巨大企業同士の合併や併合は独禁法に触れるだろう」
スタージナス
「では?」
「これは政治も絡んでしまうが特別立法を成立してもらい20億民救出までは
両社の特許を共有出来ないか?という話じゃ」スタージナス
「しかし、全人類への影響が計り知れませぬ」ダニア
「だから、大王に頼むのじゃ」スタージナス
「明らかに越権行為と存じますが?」ブラン
「20億民救出という大義名分を100%以上利用すれば通ると思う」
「100%どころか1000%以上の無理難題かと思いますが・・・」
「それに事件解決後はどうしますか?両社の持つ特許はいいとして協力後に
生じた特許はどのように分配するのですか?新たなる火種になりませんか?」
ダニア
「むう、・・・そこまでは考えてなかった」スタージナス
「独立法人を設立するか国家事業、つまり国営会社を作っては?」シンジ
「いや、それは危険だ民主主義の逆行となる」スタージナス
「それでは新たに発生した特許や新技術は大王に奉納するという名目では?」
シンジ
「ふ、今時奉納とか献上とかの古くさいセリフが出てくるとはな」スタージナス
「しかし、大王管理の特許という案は面白いな。大王は象徴、国家ではない」
スタージナス
「象徴と言うには影響力はかりしれませんけどね」イーシャ
「いや、あくまでも建前はゴブータ率いるUSAが最高権力者
大王は表だっての影響力行使はここ十年行っていない」スタージナス
「まあ全人類が本音と建て前を理解してるに過ぎませんけどね」ダニア
「建前イコール大義名分なのじゃ、でなければ世の中は動かない」スタージナス
ということで大王の国家機関が立ち上がり「アスタージナス公社」を設立した
100%国家の持株とし一般投資は当面受け付けない。特許等で得た収益は
20億民救出の基金として積み立てて運用益を研究開発に当てる事となった。
しかし建前とは別にアナハイムと東インド会社が関連特許を開放した事で
すぐに膨大な運用益が集まり出す・・・
「こんなおいしい投資先なのになぜ一般投資家は参加出来ないのでしょう?」
投資家からの苦情が殺到する・・・
「うーん・・困りましたね、いくら何でも想定外です」アスタージナス
「国家予算プール金で十分まかなえるのですけど・・一般に門戸を開放
しないと逆に不平不満が生じますね」ウラアール
「政治家が不正したり汚職してると疑われるのは困ります。
なんとかしてくださいませ」ゴブータ
「仕方が無い半官半民として一般投資家にも配当金を分配しよう」スタージナス
「で、ですが・・・我が社は運用益が天文学的になりますが?」タラン
「かまわん、アナハイムも今頃社員に臨時ボーナス配ってる事じゃろう」
スタージナス
「どうじゃ?シンジこれで問題は解決しそうか?」スタージナス
「は、お陰様で全てが好循環しはじめてます。本当にありがたきこと」シンジ
「で、完成度はどのくらいだ?」スタージナス
「は、現在32%完了しましたが新たなるCPUの集積度UPにより
当初予想時間を大幅に短縮出来そうです」
「それとは別ですが新型コロニーが完成しました」シンジ
「うむ生体縮小技術により1/500つまり内部面積は従来の5百倍の
コロニーが出来たのだな」スタージナス
「はい、コロニー出入り時に自動的に縮小を行いますので全く違和感ありません」
「実際にはナノ粒子サイズに縮小出来ますが管理が大変なので当面は
1/500とします」
「究極的には全人類をはじめから1/500にするのはどうだ?」
スタージナス
「それは色々と無理があります。やはり通常体の方が便利かと」シンジ
「まあ、思わぬ外敵に襲われたときに大変だしな」
「あとは20億民を救出するだけだな」スタージナス
「は、受け入れ体制は万全です」タラン
「スタージナス様大変でございます」伝令
「ん、何事?」
「は、イングリント知事が高熱を出して倒れたそうです」
「また、その手か!いい加減にせい、何度我を騙すのじゃ?
用があるのならちゃんと言えばいいだけだろうが!」スタージナス
「も、もうしわけありません」平伏する伝令
「いや、伝令に激怒してもしょうがない・・・」スタージナス
「大王の差し金か?」
「いえ、今回はそのような話伺ってません」大王とウラアール
「じゃイーシャ達か?」
「いえいえ、そのような事は存じませぬ」イーシャ
「まあ、ウソでも良いじゃ無いですかとりあえず懸案事項は安定してます
シンジのプロジェクトが完成するのは当面先です。」アスタージナス
「う、うむ、さしあたっては暇じゃな」
「では、今回は皆でお見舞いに行きましょう。久しぶりにダーリャ様も」
「しかし大所帯となるぞ?いいのか?」
「もう、・・・みんなで一緒に旅行したいのです!」ウラアール
「わかった、それではシンジは研究頼むぞ」
「分かりましたゆっくりして下さい」シンジ
スタージナスがタランに耳打ちする
「スマンがタランはシンジについていてくれ」
「は?私ですか?」タラン
「大王達でもイーシャ達でもダーリャ達の仕業でもないのだ、シンジが怪しい」
スタージナス
「なるほど、分かりました。まさかとは思いますが監視役承りました」
どこでもゲートなら4/兆秒、C-4旅客機なら2時間USAからイングリントの
距離は今となっては近距離、なのにスタージナス一行はわざわざ豪華客船で
3日も掛けてイングリントに向かったのだった
「お待ちしてました」何時もの外務大臣
「で、今回も仮病なんだろ?」スタージナス
「は、・・・それが、あのその」
「いい!きっとどうしても話し合いたい事があっての事だろう」
「申し訳ありません・・」平伏する大臣
「し、しかしまさか大王御一行とは思ってもませんでした」
「うむ、今回は休養も兼ねてる」スタージナス
「事前に入って頂けましたら準備しましたのに」大臣
「もう贅沢は沢山だからかまわないでくれ」スタージナス
「わかりました、ではそのように」大臣
「とにかくイングリントに会いたい」
「はは、それでは・・」
そこには病み上がりでげっそりしたイングリントがいた
「う、どうしたイングリント!急病は本当だったのか?」
「いえいえ、病気ではありません。すこしダイエットしてました」
「おどろかすな!!」
「どうです20kg痩せましたぞ」イングリント
「その年で急激なダイエットは危険ですわ」ウラアール
「いや、国民に節制を求めて我がデブデブでは言い訳つかんし」
「しかし健康的にしなければかえって逆効果じゃ」スタージナス
「そんな事はどうでも良い事です。今回はどうしても相談したいことが
ありました」イングリント
「うむ、きっとそうに違いないと思っていた発信源はシンジか?」
「いえ、違います今回も優秀なアマチュア天文家からの具申です」
「ほう、以前聖水隕石を発見した天文家か?」
「は、」イングリント
「一体どのような?」アスタージナス
「はい、これは全く奇想天外なのですが・・・」
身を乗り出す一同
「全く予想不可能な場所からガンマ線バーストが沸いて来ました」
「な、なに~それは一大事、地球とか新地球とかえの影響は?」ジパン
「地球から僅か2光年先から沸いて来ましたが幸いにして地球は大きく逸れて
いて全く被害はありません」
「それはなにより」
「これはシンジの予言通りですね」ウラアール
「うむ、ついに観測されたと言う訳だな」スタージナス
「超新星爆発が発生すると希に発生したブラックホールを通り
ガンマ線バーストがワームホールを通過して突然出現する可能性がある」
「まさかそんな荒唐無稽な説が実証されるとは・・・」
「今回は何事もありませんでしたがこれは大変危険ですね」アスタージナス
「しかし、予想するのは極めて困難だろう」
「ですがその天文学者の話だと直前に重力波の揺らぎが観測されたそうです」
「これはダニア達に研究させるべきじゃな」スタージナス
「そうですね専門家に任せる懸案事項でしょう」アスタージナス
「大切な情報ありがとう、本当に助かった」スタージナス
「いえいえ、これぐらいのこと・・・そろそろ宴の時間です」イングリント
「あまりかまわないでくれな」スタージナス
「わかりました、それでは今日は近頃イングリントで流行っている
BBQ形式で行いましょう」
「それは楽しみです」アスタージナス
「おおっこれはいいな!」ジパン
「こんな楽しい宴があったのだな」スタージナス
「ジパン式のテッパン焼きというのだそうです」イングリント
「え?我が国ジパンでそのような形式は聞いたことないが?」ジパン
「あはは、私の知る前世のジパン式をイングリントに伝えたのです」
アスタージナス
「と言うことはこれはイングリント・オリジナルですな」喜ぶイングリント
「どこが発祥なんて関係ないですけどね」ウラアール
「なんといっても目玉は締めの焼きそば」実演するイングリント
「おおっ最後はビールを一かけして蒸すのじゃな」スタージナス
「御意、この苦みが美味しさを倍増させるのです」イングリント
「おおおおっなんという美味、これは売り物になるな」スタージナス
「不思議なのですが同じ物を部屋で食べてもあまり感動しません」イングリント
「人間はいかに雰囲気を大事にするかという実例じゃな」スタージナス
「御意、やはり皆でつつきあうのが美味しいのです」ジパン
「そーいえばジパンお主は我が焼いた肉遠慮無く取ってたな」スタージナス
「これはしたり、肉は早い者勝ちです」ジパン
「そんなことはどうでもいいが生焼けの肉食って腹壊すなよ」スタージナス
「我の胃袋は鉄で出来てますから大丈夫です」
「もう、ジパン様ったら恥ずかしい・・・」赤面するウラアール
「どうですか?皆様の親密度が更にあがりましたでしょう?」イングリント
「我らは一枚岩、普段から結束力は固いから安心せい」スタージナス
「ほう?しかし最近は大王とスタージナス様、ダニア達で摩擦が起きてると
聞き及んでますが?」イングリント
「公私の公では仕方が無い」スタージナス
「いえ、全世界の国民はお上の不安定には敏感、みな心配してるのです」
「で、このような心遣いをさせてしまったのですね」アスタージナス
「我ら全員いかに国民の益となるか切磋琢磨してるのじゃ」スタージナス
「その通りです、三権分立ではないですが3大勢力が牽制しあうのが
結局正しい道へと導いてくれると確信してます」アスタージナス
「なるほど・・・すこし安心しました」イングリント
「シンジの研究が完成するまでは我らも手持ち無沙汰だな」スタージナス
「ですが、20億民を受け入れる体制作りはしておかないと」
「80億民を受け入れたときのノウハウがあるじゃろう?」スタージナス
「はい、大部分は流用できますし教育設備はそのまま使えます」
「今回も国民の不安をなくす為の洗脳が必要だな」
「御意80億民と記憶のすりあわせは必然ですから」
「うむ、20億民は選ばれた民という間違った優越感を与えてはならんしな」
「新地球側に新型コロニー配置を前倒しで急がせましょう」アスタージナス
「え?聞いてません、予算はどうするのでしょう?」ウラアール
「また茶番ですか?ウラアールに取っては十分想定内でしょうに」アスタージナス
「う、バレバレでしたか・・・」
「貴女とのつきあい何十年だと思ってるのですか」アスタージナス
「しかしシンジの開発したコロニーだと相当安上がりなので予算をひっ迫
させないだろう?」スタージナス
「本当にビックリするぐらいのコスパですからね」ゴブータ
「ですね、5千万人収容できるコロニーですが余裕をもたせ2千万人を住ませ
それでも合計100個で足りる計算ですから」ウラアール
「はやく事件解決といきたいところじゃな」スタージナス
「どうですか?しばらくはここイングリントで休養されて執政しては?」
「そうですね、しばらくは豪華客船で宿泊してノンビリもいいかも」
アスタージナス
「どこでもゲートのお陰でどこで執政しても同じ様なものだしな」スタージナス
だが実際は各国の主要が毎日の様に日参・・・忙しさは全く変わらない
「どこで政治しても同じですね」大忙しの大王一行
どこでもゲートの弊害?(^^)




