大王の動向
スタージナスのロビー活動が開始されます
「アスタージナス大王、東インド会社総帥より面会依頼が入りました」
秘書が告げる
「あら、お父様からの面会依頼とは珍しいですわね」アスタージナス
「大王、あくまでも商談と存じます公私の公です」ウラアール
「わかっています、では2日後ということで連絡お願いします」
「はっ」
さて2日後
「息災であったか?」スタージナス
「はい、おかげさまで元気です」大王
「そうか、それはなにより、で、面倒な挨拶など抜きで単刀直入で行く」
「いつも通り、回りくどいのは嫌いなお父様らしいですね」
「うむ、でな」
「はい」
「これは大王の許可、というか大幅な法改正を伴う提案じゃ」
「国政などに興味をもたないお父様が珍しい・・」
「ともあれ提案書を2人で読んでくれ、2~3時間席を外すので
じっくり検討して欲しい」スタージナス
「分かりました。今回は本当に異例ずくめですね」大王
スタージナスが一旦退出する・・・
「こっこれはものすごい量・・・とても2~3時間で判断など」
アスタージナスがうなる
「スタージナス様には一旦下がって頂き専門部会を立ち上げて再検討
しましょう」ウラアール
「と、いうことでお父様、専門に研究しますのでお時間2~3ヶ月下さい」
「うむ、多分そうくると思っていた頼んだぞ。」スタージナス
早速専門部会を立ち上げるべく大王は動こうとしたが・・・
「うーん、困りました。頼りになる側近がゴブータとイーシャ達のみ
お父様軍団やダニア軍団には相談できません」アスタージナス
「東インド会社の提案をライバルのアナハイムが検討したら公正な判断など
出来る訳がございませんからね」ウラアール
「今まで国や世界のまつりごとはみんなで相談して決めていたのに・・・
なんか寂しいです」アスタージナス
「大王、なぜ東インド会社のお父様が自分の会社の総帥として相談したのか
今一度意味を考えるべきかと」ウラアール
「え、?意味が分かりません」
「それは、阿吽の呼吸が乱れてるとの忠告なのでは?」ウラアール
「心当たりが全くありませんが・・・」
「私の勝手な言い分ですが・・・よろしいですか?」ウラアール
「はい、なんでも言って下さい」
「大王はみんなで一緒と言われますがそれならばなぜアナハイムばかりが
利益を独占してるのでしょう?」
「そ、それはダニアを初めとする天才集団がアナハイム社に 多いからです」
「偏ってるとは思われませんか?」
「ですが東インド会社からは特段のアイデアも出されて無く・・・」
「しかし、今まで事あるごとに危険な任務にはお父様軍団が担ってますね」
「う・・・全く気がつきませんでした」
「大王はお父様になにか一つでもご褒美を上げてますか?」
「親子にそのようなものは無用です」大王
「おかしいですわね、公私の公でお父様を担ぎながら公私の私でお礼ですか」
「ぐ・・・ウラアール一体なにが言いたいのですか?」
「お父様はいままでそんな事一度も言ってません」アスタージナス
「では、今回が初めてのおねだりなのでしょう」ウラアール
「分かりました、今回はその分も踏まえて検討しましょう」
「無礼の儀お許しください」平伏するウラアール
普段ズブズブのウラアールがかしこまる
呼ばれたゴブータとイーシャ達4人が揃い7人で改めて提案書を確認する
「こ、これは・・・・」ゴブータ
「国を世界を根底から覆す案件です」軍事最高司令官のイーシャが驚愕
「いえ、これは大統領の私にとっても大問題」ゴブータ
「人類の脅威となりえます」大王
まず検討されたのがナノ粒子スパイシステム
「ダニアの話だとシンジなる者が開発した縮小技術は1/5000まで
だったはず、それがなぜこのようなスパイシステムが出来たのか・・」
大王
「本来なら首謀者は断罪しなければなりませんが今はカウンタースパイが
吃緊の課題、提案書には対処方も定義されてますね」イーシャ
「開発した者が一番危険性を感じてるのでしょう」ネハ
「なるほど、オリジナル体との差異を参照すれば分かるのですね」マヤ
「しかも勝手に早期警戒システムをハッキングしてプログラムを書き換えて
いたそうな・・・」キラン
「絶句ですね」ウラアール
「どう対処したものか・・・」アスタージナス
「きっとシンジなるもの以外がスパイしたら警報が鳴る仕組みでしょう
しかし、自分はそれを逃れる術もきっと施してるはず・・・」ウラアール
「人の息を介しても潜入出来るとのこと。すでにこの場に潜入してるやも
しれません、今から思念通信に切り替えます」アスタージナス
「大王よ、今たぶんスパイシステムを検討してるのじゃろ?安心せい
シンジはスパイは行わないと約束してる。今回は絶対に安心、安全じゃ」
「お父様から思念通信が届きました」アスタージナス
「は、皆も聞こえました・・・ここは信用するしかありませんね」ウラアール
「処罰の問題は後回しにして今回はすでに対策済ということでとりあえず
国家転覆の危機は逃れた様です、しかし国家の中枢が今まで気がつかなかった
件に関しては見逃せません。今後の課題とします」アスタージナス
「ははっ」一同
「それでは次の課題、どこでもゲートなる物ですが」ウラアール
「元々はアナハイム社のゲートの応用ですがその経済効果は途方もありません」
「流通が根本から変わってしまいますが、一番被害を受ける東インド会社からの
提案というのが皮肉というか・・」ウラアール
「お父様の話ですと余りにもの革新技術なので20億民救出目的だけの
時限立法にするべきと提案がありました」
「しかし、これほどの流通革命、採用しなかったら著しく国益を損ねます」
ウラアール
スタージナスの目論み通り食いついてきたのはやはりウラアール
「一番大きいのはアナハイムの特許を侵害しない点、利益が還元されます」
「ふむ・・・・」考え込むアスタージナス
「なぜ、このような発明をお父様が行えたのか・・・」アスタージナス
「提案書の通りシンジを全面的にバックアップしたいからでしょう」
「一度シンジに会ってみたいものです・・・」アスタージナス
「なりませぬ、現行法ですと会えばシンジの首をはねなければなりません」
イーシャが反対する
「しかし、提案書を読むと事のはじまりは私がシンジの王立魔法院留学を
却下したのが原因・・・わたしに落ち度があったのやもしれません」
「そんなことはありません、大王に間違いなどありえませぬ」ネハ
「いえ、お父様に以前指摘されたのですが近頃の私にはかってのような
ギラギラしたものが失われています。私自身が感じてます」
「大王も年齢を重ね落ち着いて来たということです」キラン
「それだけではないと実感してます、なにか私が半分になってしまった
様な・・・」アスタージナス
「え?」ウラアール
「とにかく原因の発端が私である以上シンジだけを責める訳には行きません」
「しかし、民の生殺与奪は大王の特権、いちいち意見などを聞いていては
キリがありませぬ」マヤ
「それは違います王の仕事は民の為に尽くすこと、本道を忘れてはなりません」
「しかし、それはあくまでも建前、愚かな民達を導くのが王の務めです」
イーシャ
「そろいもそろって其方達はどうしてしまったのですか?私達の理念は
どこにあったのか、傲慢と慢心が過ぎてませんか?」
「失礼しました」全員平伏する
「近頃全人類が幸せを獲得し少し自分を含め慢心しすぎてしまいました」
「今回のお父様・・・いえ、東インド会社総帥の意見を契機に今一度
我々も原点回帰する機会がきたみたいですね」アスタージナス
「それではシンジの度重なる反逆行為の罪を問わないと?」マヤ
「そうは言ってません。しかし全てを精査する必要があると申してます」
アスタージナス
「分かりました、それでは専門的に調査しましょう」ウラアール
「いえ、それは後回しシンジが申してるように20億民解放後に
改めて裁判を行うべきでしょう」アスタージナス
「御意、全人類にとっての益が最優先ですね」ネハ
「ではその旨総帥に通知いたします」ウラアール
「それでは話を進めます、現行法では総帥の言う通りゲート法があり
冥王星より地球寄りにはゲート設置が認められてません」ウラアール
「それでは問います、ゲート設置以来今まで重大な事故などは起きてますか?」
「いえ、些末な故障とかの報告はありますが人身事故などの報告は一度たりとも
ありません」ネハ
「元はと言えば時空移動に未熟な黎明期にブランが無許可で実検を行い
重大インシンデントを引き起こしたのが現行法の根拠、すでに時代遅れですね」
「しかし、一度でも事故が起きれば人類滅亡へとなりかねない強大な威力
科学的な安全性が証明されるまでは時期尚早では?」ゴブータ
「シンジの開発したゲートはナノ粒子レベル、確かに事故がおきれば周囲を
巻き込む大惨事になりかねませんが報告によると数百メートルの範囲が異次元へ
吹き飛ばされる程度とか・・もちろん100%安全でなければ許可出来ませんが
200%の安全が果たして必要なのか」アスタージナス
「確かに事故の脅威論でいえば飛行機も墜ちるし電車も追突します」ネハ
「人類に100%などはありえません」ウラアール
「すでにマハッタンの王宮には通常型ゲートが極秘に設置されてます
これだって万が一事故をおこせば地球吹っ飛びますわ」アスタージナス
「王宮専用ゲートはコストを数十倍掛けてますそんじょそこらの市販品とは
物が違います」イーシャ
「ですがそれでも絶対ではありませんよね」アスタージナス
「確かに・・・」イーシャ
「それでは今後は安全装備を前提に規制緩和するという方向で行きましょう」
「とりあえずは総帥の言う通り20億民救助の時限立法でいいでしょう」
ウラアール
「ですね、実証試験を重ねる意味もあります」
「事件解決まではシンジの断罪は保留で決定です」アスタージナス
「それで、次に東インド会社から提案された発明品の認可についてですが」
イーシャ
「はい、ミノフ粒子とタキオン粒子の件ですね」アスタージナス
「どちらも軍事的にとても重要な技術、すでに実用できてるとか」イーシャ
「果たして範囲ステルスが戦略的にどのくらい有効なのか研究が必要ですね」
「しかし、ステルス機能を持たない一般兵器が判別不可能になるというのは
戦略的に画期的です」イーシャ
「タキオン粒子の方は短距離時空移動エンジンとしてよりも武器としての
破壊力があまりにも強大、果たして人類がこれほどの兵器を所有して
いいものでしょうか?」ネハ
「従来のコイルエンジンに添加するだけで光速が出るというのも十分
人類に有益ですけどね」ウラアール
「驚きなのはその低コスト・・・100光年程度の移動なら従来の時空エンジンは
必要なくなります」ゴブータ
「しかもどちらの技術もアナハイムは一切関与していない点です」
「いままで圧倒的に押されていた東インド会社の逆襲ですね」キラン
「すべてはオリジナルのシンジの発案だとか・・・」
「アナハイムにいるニセシンジはスパイなのですか?だとしたら処刑やむなし」
キラン
「シンジの罪は保留と今決めたばかりです。それは出来ません」アスタージナス
「しかし、アナハイムにとってはとてつもない損失ですが?」マヤ
「我々がアナハイムの業績に口出すことはなりません。あくまでも社内問題」
アスタージナス
「で、ですが・・・スパイと分かってる輩に」マヤ
「オリジナルシンジの話ですと自分の研究に必要なものを開発してもらってるが
アナハイムの技術を盗んでいる訳ではないとの事です」ウラアール
「しかし、報告書には我が王立魔法院のフィリップなる者もシンジの配下で
USAの技術が流出してる恐れがあります。これは国家として黙認できません」
ゴブータ
「これもシンジの話を鵜呑みにするのなら全て20億民救出の方便だとか」
アスタージナス
「それに、留学を許可しなかった私の落ち度もあります」アスタージナス
「シンジはUSAの技術は何一つスパイしてなく、逆に早期警戒システムに
ハッキングしてシステムの強化のため今後も在籍希望とのことですが・・」
「呆れることにフィリップの成績は常にS級研究員の中で最下位クラス
つまり昼行灯を装って欺瞞工作をしていたのです」イーシャ
「目立てない事情があったのですそれも仕方がありません」
「我が国の検知システムをかいくぐって騙せ通したとは見上げた根性」マヤ
「シンジ含め最初から命などは捨ててかかっていたのでしょう」大王
「捨て身の人間ほど怖いものはありません」イーシャ
「其方のスタージナス様へのアタック時代を思い出しますね」ウラアール
「そ、そんな昔のこと・・・」真っ赤に恥じらうイーシャ
「2人の処分が保留なのは分かりましたが今後も使い続けるのですか?」
「アナハイム社に著しく損害がでたのなら別ですがダニアの話を聞く限り
ニセシンジは期待通りに優秀で固辞したとはいえ副社長レベルだそうです」
アスタージナス
「シンジの話ではオリジナルと比べても全く変わらない能力だとか」
「ニセシンジを庇って偽名を使っていたそうです」ウラアール
「それでは王命です。シンジは今まで通り。フィリップの名誉を回復しなさい」
「はは、」一同
「次の懸案事項ですがシンジは即死魔法解除を実行しています」イーシャ
「彼の仕事の性質上即死魔法解除は避けて通れなかったのでしょう。これも
全て私の不徳の致すところです」アスタージナス
「しかもシンジは自分で解除して起きながら防止対策を提案してます」
イーシャ
「想像以上に一般民に即死魔法不法解除者が溢れてるとのこと由々しき問題です」
ゴブータ
「面白半分に行ってる民がほとんでしょうけど中には犯罪目的も多いでしょう
早急な対策が必要です」ウラアール
「そうですね全員処刑というのも無慈悲ですから期間を設け周知徹底し
それでも応じないものには容赦なく断罪します」アスタージナス
「おおせのままに」一同
「最後に東インド会社が新地球支社設立を具申していますが?」ゴブータ
「原則新地球には元民以外は立ち入り禁止措置をとっていましたが膨大な予算を
掛けて先行投資したネオ東京が勿体ないのも確か。すでにアナハイムには支店を
認め2万人程度が勤務しています。東インド会社や他の会社に許可を与えないのは
無理があります。許可せざるを得ません。
「東インド会社の目的はシンジの後方支援なのは明らかですがそれで
よろしいのでしょうか?」イーシャ
「シンジは20億民を救う為と申しています。これに協力するのは当たり前
いままで我が国を始めコクレン全てが放置していた責任は重大です」
アスタージナス
「とは言ってもほとんどの責任は私、自分自身でもなぜシンジに非協力的だったのか
全く分かっていません・・・提案書を拝見して正に目から鱗です」
「さすがは全知全能の大王、自らの過ちを認め全てを受け入れる事は常人に
出来る事ではありません」涙をながすウラアール
「最近私を囲む側近の方々たちはイエスマンになっているようです
自由に意見を交換出来るお父様軍団やダニア軍団が羨ましい・・・」
「大変申し訳なく・・・」全員が土下座をする
「それが駄目なのです、私の間違いを堂々と正せないばかりか権力に伏するのは
国家や民の為になりません。どうか間違ってるときは私を叱ってください」
「ははっ以後肝に銘じます、ですが我ら大王を慕うあまり大局を完全に
見失っていたようです。大王の間違いを我ら全員全く認識出来てません」
「これは私を含め全員で意識改革をしないと国家が滅びてしまいますね」
アスタージナス
「シンジの存在が我らを目覚めさせてくれたのでしょうか」イーシャ
「面白いことにそのシンジこそ唯一の元地球人、完全オリジナルの地球人なのです」
「つまりシンジ・・・彼は神の使者?」ネハ
「いえ、大王の支配を受けない唯一の人類といういみです」
「確かに今の全人類は大王の影響を受けていない人間は誰1人いません」
ゴブータ
「ごくり」権力というものに震撼する全員だった
「それにしてもシンジをいち早く見いだし全面バックアップするお父様の
聡明さ・・・・」ウラアール
「お父様こそ神そのものかもしれません。当人は笑って否定するでしょうけどね」
「これで結論は出ました。我が国もシンジを全面支援、更に東インド会社の
提案をすべて肯定します。細部についての詰めは必定ですが認可、許可を前提に
今後進めます」アスタージナス
「御意、大王の決断全員至極の喜びでございます」
「イエスマンはいらないと申しましたが・・・まあ今回は承りました」
こうして命を賭けたシンジの提案書は大王の認可を受ける運びとなった
勿論数々の罪について許されたわけではない。事件解決後に保留されただけ
2ヶ月後正式認可が下されスタージナスは大王に謁見し許可証を得た
「やった、これで大義名分がたった」スタージナスは安堵する
「まだ、大王の良心は生きていたのじゃな」スタージナスは大王に問いかける
「あら、あんまりですわ」
「いや、其方は気がついてないかも知れないが余りにも保守的になったので
我は驚きと諦めの心境だったのだ」スタージナス
「はい、シンジ様の提案書を拝見しなくば私はどこまでも墜ちていたでしょう」
「シンジは執行猶予の身分、様付けは大王のメンツがたたんぞ」スタージナス
「あ、ついうっっかり・・・しかしシンジは私の中での恩人です」
「だが恩人であっても罪は罪、いずれは断罪せねば民に示しが付かん」
意外と現実を直視してるスタージナス
「あら、お父様はシンジの助命派と思ってましたが・・・」
「免罪符を与えるに相当するかは今後シンジの働き次第と言う事じゃ」
「馬車馬のように働かせるのですね」大王
「当然じゃ、落ちぶれ果てた我が社を建て直せねば支援もヘッタクリもない」
「慈悲深いのか無容赦なのかわかりませんね」アスタージナス
「馬鹿者!其方と同じじゃ。使えるものはとことん使うのじゃ」
「スタージナス様、大王にむかって馬鹿者とはいくらなんでも」
護衛兵がスタージナスを咎める
「よいのです、下がりなさい」護衛兵を引かせるアスタージナス
「すまぬ、失言じゃいくらなんでも公の場で王を馬鹿者扱いはいかん」
平伏するスタージナス
「それだけ普段のお父様軍団で屈託のない意見が飛び交ってる証拠ですね」
「うむ、我は誰の意見でも大歓迎じゃからな」スタージナス
「私もかくありたい」アスタージナス
「お主の側近達は違うのか?」
「はい、最近では誰も私に意見しません・・・」
「お山の大将すぎるのも問題じゃな」
「スタージナス様いくらなんでも大王にお山の大将呼ばわりは不謹慎」
またまた護衛兵がすごむ
「常にこんな感じですから息苦しいこと他なりません」アスタージナス
「しかし、我らは大王の護衛が仕事につき・・・」護衛兵
「忠義大義です、今後もよろしくお願いします」アスタージナス
「我はこの堅苦しさが苦手で王座から逃げたのだが、大王は優秀すぎて
もはやがんじがらめじゃな」スタージナス
「仕方がありません自分で選んだ道、誰のせいでもありません」
「我は昔の大王が戻ってきてくれたのが嬉しいぞ」スタージナス
「いえ、自分自身で言うのもアレですが未だに半分アスタージナスです」
「な、?半分とな?」
「はい、以前は私の中にもう1人の私がいたはずなのですがどこかに
行ってしまったようです」アスタージナス
「我が其方の変化を感じたのは新地球法が制定された時だが?」
「え、私が半分自分に気がついた時と全く同じです」アスタージナス
「うーーむ、なにやら20億民の件と因果があるのやもしれん」
スタージナス
「だとしたら、この件絶対に解決しないわけに行きませんね。私の為にも」
「うむ、これで我と大王とシンジ、全ての利害関係が一致したな」
「あら、私には利益しかありませんけど」ほくほくしてるウラアール
「全く其方はお金儲けには目がない事」
「スタージナス様、ウラアール様に失礼ですぞ」護衛兵がまたすごむ
「わかったわかった平民の我はそろそろ下がるとする」
「タラン喜べ我らの提案書が全て認可されたぞ」社に戻り大喜びのスタージナス
「おおっさすがは大王、腐ってもタイですな」タラン
「こらこら曲がりなりにも其方の奥さんになんたる言い草」スタージナス
「いえ、今までの大王は確かに様子がおかしかったのです」タラン
「うむ、大王自身がその件悩んでいた」
「そうですか自覚があったのですね」タラン
「我らみたいに自由にもの申せる環境ではないと嘆いていた」スタージナス
「いつのまにか殻に閉じこもっていたのですね・・・」
「それもそうだが今まで大王と我らとダニア達は一枚岩だったがお互いに
組織が大きくなりそうも行かなくなったのも大きいだろう」スタージナス
「このえも言われぬ閉塞感はそこですね」ヤコブ
「うむ、全人類がなんとなく閉塞感を感じてるのは事実」スタージナス
「シンジが我ら人類の希望なのでしょうか?」ヘッテ
「それはわからん、これからの活躍次第だろう」スタージナス
孤立無援だったシンジにやっとで光が差し始めます




