軍団動く
シンジの志に感銘を受けたスタージナス
「好人物だったな」スタージナス
「御意、一直線を見据える目は昔のブランそのものでした」タラン
「いや、ブランよりも目鼻が効くし策士じゃよ」スタージナス
「御意、商魂にも長けてます」
「たぶんシンジ自身はその才脳などは目標達成の為の些末と考えてるな」
「御意、底知れぬ物を感じました」タラン
「大王級の天才現るだ」スタージナス
「御意、部分的な天才は数知れませんが彼は万能です」タラン
「いや、必然とも言えるぞ地球滅亡時に20億民に選ばれさらに
優秀な100人に選抜され生き残った唯一の人物、これは神の意志かもしれん」
「神ですか・・・」タラン
「報告書を見たが彼の住む廃コロニーには先住の雲があったらしい」
「え、あの雲がコロニー一杯に充満していたのですか?」タラン
「うむ、なにやら約束事があるとかでそれ以上は話せないそうだが
コロニーを埋め尽くす雲ってどんだけだろうな」スタージナス
「ですが・・・コロニーを埋め尽くすのならば10兆円などではとても
足りませんが?」タラン
「うむ、しかしシンジは我の資金援助はいらないと申してるな」
「というか東インド会社として正式に活動して欲しい感じでしたね」タラン
「ウチの会社が欲しいと言う事は?・・・つまり物流が欲しい?」スタージナス
「読めてきました。聖水隕石かもしれません」タラン
「おお、確かに、大王地球でもコロニー建設に大量の聖水隕石使ったな」
「おそろしい、どこまで彼の才脳があるのか計り知れませんね」タラン
「今稼働していないダイソン球を稼働させ聖水隕石で資源を得れば
シンジが言う所の「京」単位のスパコン調達も可能かもしれんな」
「あの廃コロニー見ませんでしたか?あれは絶対にダイソン球から電気
無断で借用してるに違いありません」タラン
「シンジの罪はどのくらいあるのか数えるのも大変そうだな」タラン
「さて、どうしたものか・・・」
「スタージナス様のお心はすでにお決まりでは?」タラン
「ふ、我の甘さに我自身が呆れてるよ」
「いえ、それでこそスタージナス様、わが主です」タラン
「ヤコブとヘッテ、ジパンとグフタスにも相談せねばな」スタージナス
「我が軍団で全面バックアップですね、心が弾んで来ました」タラン
「しかし、一時的とはいえ大王の意に背くのだがそれでいいのか?」
「どう客観的に判断しても私はスタージナス様とシンジを肯定します」タラン
「うむ、其方とは長い付き合い、嫌なら嫌と言っても構わぬぞ?」
「スタージナス様こそ、長い付き合いと分かってて我に問いますか?」
「すまぬな、また我が儘に付き合わせて」スタージナス
「なにをいまさら・・・」
「ぜひ、ヤバイヨも配下に入れて下さい」グフタスとタランが請願する
「分かったヤバイヨには裏方に回って運動してもらう」スタージナス
「は、裏方仕事は我ら隠密軍団の得意とする所万事お任せあれ」タラン、ジパン
「我らは少数だが一騎当千頼みにしておるぞ」スタージナス
こうして軍団が動きはじめた
「まずは大義名分だ」スタージナス
「は、新地球でのコロニー計画発動ですね」タラン
「うむS7付近はシンジの研究領域、依然として危険だからと何人も
近づけないがその他のラグランジュでコロニー政策を進める活動を
行う」スタージナス
「しかし、移民を集うにしても今現在の人口不足状態でどうやって
新地球にコロニー事業を展開させるのでしょう?」
「簡単じゃよ、今稼働してる大王地球側のコロニーの建て替えとかの
名分を作るのじゃ」スタージナス
「しかし、今現在のコロニー群の耐用期間はまだまだ先です」
「付加価値の高いコロニーを開発して是非建て替えたいと思わせるのじゃ」
「なるほど、その新コロニーとはどんな?」ジパン
「馬鹿者!今我が考えた名分じゃ、んなもんあるか!」
「アイデアだけですか・・・」ヤコブ
「そんなことは我が社の天才に全フリじゃよ」スタージナス
「しかし、シンジにはまだなんの沙汰も下してませんが?」タラン
「罪を許すエサじゃエサ、だがそれだけでは全然足らないもっと
免罪符を発行するための無理難題シンジに押しつけるのじゃ」
「うわー、泥棒の上前をはねるとはこのことですね」ジパン
「シンジは大罪人じゃ、ちょっとやそっとで許される訳がない」
「本当にスタージナス様は慈悲深い方・・・」ヤコブ
「な、何を申すか!ジパンの言う通り悪巧みじゃよ悪巧み」
「はいはい」ヘッテ
「うぬら・・・・」顔を膨らますスタージナス
「しかもスタージナス様、ゴーストだと言いながら実はそのまままで
来ましたね」タラン
「ふん、ばれておったか」
「危険過ぎます・・どうか自重を」タラン
「相手は命掛けで全てを洗いざらい晒してきた、礼には礼を持ってじゃ
それでも騙されたとしたら我の判断もそれまでだったということ」
マハッタンの東インド会社本社のセキュリティルームに戻り軍団で協議する
「さて、皆どう思う?」
「どう思うも何もスタージナス様の思い通りです、我らはついて行くだけ」
一同
「馬鹿者、それでは会議にならん、我にイエスマンは必要無い」
「しかし、スタージナス様の意見、すでに我らの総意なので反論しようもなく」
「では今後の方針だが、シンジの希望通り東インド会社の総力を挙げて
新地球でのコロニー事業を推し進める。企画自体はシンジに丸投げする
シンジの実力をみつつ今後の協力体制の規模を決めるがそれでいいか?」
「はい、我々には異存ございません。しかし我が社単独でよろしいのでしょうか
アナハイムには連絡しないのですか?」
「馬鹿者、タラン!いままで我が社はその甘さのせいでアナハイムにどれだけ
してやられたのじゃ?向こうは新事業一度でも報告してきたことがあるのか?」
「し、失礼しました確かに」タラン
「アナハイムには全世界が依存はしているが商売ではライバルなのじゃ
今まで我々は仲間、同胞とみて全面協力してきたが一度でも見返りあったか?」
「ダニア総帥は見える形では還元してませんが・・・お世話になったのは
数数えきれずです」ジパン
「それはあくまでも国とアナハイムとの関係な、東インド会社とは違うぞ」
スタージナス
「わかりました、今後は我が社最優先で物事を考えます」タラン
「うむ、それでいい。健全なライバル同士はお互いを高めあう」
「アナハイムにライバルと認めさせる為にはシンジ次第ですね」タラン
「うむ、今の所絵に描いた餅にすぎん肝心のシンジの実力を把握せねばな」
「御意、でシンジとはいつコンタクトとりますか?」
「とっくに我の脳内に潜んでいるはずじゃ」スタージナス
「げ!く、曲者!であえであえ」ヤバイヨ
「ジパンの時代劇じみてるな」スタージナス
「し、しかし・・・これは由々しき大問題」タラン
「ばかか、おのれは!学習してないのか?」スタージナス
「え、・・・」考え込むタラン
「なるほど、分かりました」
「ちょちょ、我には全くなにがなんだか」ジパン
「おのれはこの10年全く進歩してないな」呆れるスタージナス
「しかし分からないものは分かりません今回だけ教えて下さい」
「今回だけ今回だけと何度目じゃ!」スタージナス
「大変申し訳ありませんでした、すべては私の責任」
とシンジが「ボワン」煙と共に登場
「お主も忍者か!」ジパン
「さすがはスタージナス様全てお見通しでしたか・・」シンジ
「其方が宇宙船に我を乗せた段階で察しがつくわい」スタージナス
「月空港で思念通信と思わせて置いてすでに我の脳内に侵入していたの
だな?」
「は、その通りでございます」シンジ
「しかし、軍事利用されたらとんでもないこと」タラン
「はい、これは警鐘です、今後この技術を防ぐ研究も必要かと」シンジ
「そなたの希望を通すのなら全面的に我が社の方針に従ってもらう
それが条件だが異存 はあるか?」スタージナス
「いえ、すべて先日話したとおりスタージナス様に従います」シンジ
「分かったそれでは今からシンジは我が社の社員とし全ての技術は
社の物とする、その代わり20億民救出に社運を賭ける」
「はは、数々のご無礼どうかご容赦ください」シンジ
「では最初の仕事、ナノ粒子技術の開示と防御方法の研究を命ずる」
「は、全て完成済です」シンジ
「さすがだな」ジパン
「それと新コロニー事業の企画書も持参してます」
「む、そうかでは発表せよ」スタージナス
「は、あくまでも草案とお断りさせていただきますが基本的に生体縮小術の
応用です」
「なるほど現有の1/10戦艦の応用じゃな?」スタージナス
「御意、コロニーの外殻は従来の大きさで内部に入ると1/1000縮小体に
なりそのまま生活出来る仕組みです」シンジ
「つまり実質1000倍の広さのコロニーというわけけか」ジパン
「は、理論的には1/兆も可能ですがさすがにそれは大王が許可しないかと」
「・・コロニー一つで地球以上の広さも可能なのだな」ヤコブ
「おそろしすぎて実感がわかない」ジパン
「コロニーについては分かった、してセキュリティ対策は?」スタージナス
「は、人体の全ての細胞をID登録して差異を検知できる装置を開発しました」
「な、なんと。そんな事が可能なのか?」ヘッテ
「は、すでに人類が開発してるCPU演算処理能力なら造作も無いこと
折角能力があるのに人類は有効活用してませぬ」シンジ
「なんと、既存の応用なのか」グフタス
「すでにある技術なのになぜつかわないのかと私ははがゆい思いです」シンジ
「それは全てアナハイムが先端技術を独占してる弊害じゃ」スタージナス
「いえ、アナハイム以外の会社がだらしないのです」シンジ
「うむ、頭が痛い話だが事実じゃな」スタージナス
「人類は豊かになりすぎて進化を止めてしまってますね」ジパン
「よし、それでは我が社が現状を打破してみせようぞ」スタージナス
「御意」一同
「して、その装置を実際に使って見たのか?」
「は、すでに我が人体で何度も実証済です。大量生産化段階まで
試作品の熟成は進んでいます」
「残念ながら(笑)我ら以外がナノ生体縮小スパイ活動の痕跡は
いまだに発見できてません」シンジ
「悪用される前に今すぐ実用化せねば手遅れになるな」タラン
「国家転覆にあたる重大事項につき早急に国に売り込むべきでしょう」シンジ
「うむ、うまく販売出来れば兆単位での収益が見込めそうじゃ」スタージナス
「よかったなこれで活動資金になる」タラン
「いえ、そのお金は東インド会社の利益です私には無用です」シンジ
「其方にとっては入社のおみやげ程度の事なのだな」スタージナス
「いえ、とんでもありませんこれは社員として当然の進言に過ぎませぬ」
「つまり、今回のセキュリティシステムの売り上げで東インド会社の信用度を
上げ次のステップに進みたいのだな?」タラン
「御意」シンジ
「もうしてみよ」
「は、是非我が裏資金の合法化をお願いしたく・・・」シンジ
「む、それは難しい・・・」グフタス
「ですから、今回の件で株価が上がりますのでそこに投資させて下さい」
「ば、ばかもの!それこそ大罪じゃ」あわてるスタージナス
「ですが過去にスタージナス様はその手で個人資産を雪だるま式に増やして
ますよね?」シンジ
「ば、ばかもの!そんなことは知らん知らん」大汗のスタージナス
「といってもシンジにはすべて筒抜けなのだな」スタージナス
「御意、黙っていれば誰も分かりませぬ」シンジ
「株投資で得た資金は合法だなたしかに・・」タラン
「しかしスタージナス様は得た資金はすべて慈善事業に還元されてます」
シンジ
「ばかもの、慈善事業ほど怪しくてインチキな商売もないのだ」
「ふ、まそういう事にしておきます」シンジ
「で資金を合法化してなににつかうのじゃ?」スタージナス
「全額東インド会社に投資いたします。お好きにお使いください」シンジ
「物流会社を抑えてなんとするつもりじゃ?」
「は、スタージナス様ご察しの通りでございます」シンジ
「うむ、聖水隕石にての資源調達とジェネシスの魔石採掘権じゃな」
「御意、新地球には聖水と魔石がありませぬ・・・流通革命を起こさないと
現状ではジェネシスからの調達はコストが無限大になります」シンジ
「其方の技術を使えば密貿易で我が社など軽く吹っ飛んでしまうが?」タラン
「そこをなんとか大王に交渉いただけませぬか?」シンジ
「それをなんとかしなくてはシンジが我らを頼った意味がなくなるな」
スタージナス
「実は姑息な手段なのですが私にアイデアがないわけではございません」
シンジ
「うむ、聞くだけは聞いてみよう、申してみよ」スタージナス
「は、ナノゲートを使えば見た目は通常の流通ですがコストは何億倍も
節約出来ます」シンジ
「な、なんと!仕組みを申してみよ」タラン
「は、出入り口は通常のゲートを通過させますが時空移動時にナノ粒子に
変換させて通過後通常サイズに戻す技術です」シンジ
「し、しかしそれやると今度は不当利益と脱税でしょっ引かれる・・」
「ですが、黙っていれば誰も分かりませぬ」シンジ
「馬鹿者魔石消費量と帳簿が会わなくて監査通過など出来る物か!」グフタス
「ですから余った魔石は闇から闇でナノ粒子化してこっそり隠してしまえば
誰も分かりませぬ」シンジ
「理屈ではそうだが、それは我が社も犯罪に手を染めるのと同じ」ヤコブ
「私が必要とする魔石と聖水と資源のみの行為でございます」シンジ
「で、空取引で得た収入はどうするのだ?」スタージナス
「もちろんそれは東インド会社の利益ですからご自由に」
「馬鹿者!結局の話其方の裏資金がソックリそのまま我が社の裏資金に
移動するだけで我が社だけにリスクがくる不平等行為じゃ」スタージナス
「ですが・・・私に全面協力を頂けると確約して頂きました」シンジ
「確信犯・・・」呆れるジパン
「絶対に使えない資金がいくら増えても嬉しくないですね」タラン
「しかし、元をたどっていけば全てシンジの資金と技術・・・」ヘッテ
「確かに我が社は一銭も儲からないが損もしない・・・」ヤバイヨ
「とんでもない孝行息子かと思ったらとんだ災難だわい」スタージナス
「やりますか?」タラン
「やるしかあるまい」スタージナス
平伏するシンジ「ありがとうございます、このご恩は・・・」
「全然足りないぞ、シンジ、協力して欲しくばもっと社に貢献せい」
「は、分かりました別方面のアイデアで良ければご提供いたします」
「我が社は物流が専門だがあきんどでもある、なんでも売るのが商売じゃ」
「元地球のアーカイブを調査したところ面白い粒子が見つかりました」
「ほう?大王地球にはない物なのか?」
「はい、歴史に埋もれていましたが私が独自に解釈して開発しました」
「そなたが得意の分野での開発みたいじゃな」スタージナス
「御意」
「もったいぶらないではよ言え」スタージナス
「は、はい申し訳ありません。実は・・・」
「あーじれったい!もう時間切れじゃ言わなくて良い」おかんむりスタージナス
「まあまあ、科学者と研究者のいつもの癖ですから」なだめるタラン
「これなる粒子です、見て下さい」シンジ
「なんじゃこれは?」
「は、ミノフ粒子とタキオン粒子なるものです」
「で効能は?」スタージナス
「は、ミノ粒は全てのレーダー波を無効にする粒子でタキオン粒子は
光速を越える粒子です」シンジ
「レーダー波を吸収したり乱反射させる技術はステルス化ですでに確立されてるし
光速を越える粒子など物理の法則を越えておるわ」
「ですが現有のステルス技術はあくまでも単体での効果ですミノ粒は範囲の
ステルス化が可能。運用次第では絶大な効果があります」シンジ
「む、・・・コスト次第だな」グフタス
「は、大量生産が出来れば格安なステルス技術として実用可能です」
「タキオン粒子についてはどのように使うのだ?」
「は、タキオン粒子に関しては簡易時空移動エンジンとして短距離時空移動、
たとえば100光年ぐらいの移動なら破格のコストで可能になります」
「つまり一般大衆に販路が開ける?」ジパン
「その通りです、これからは誰でも気軽に時空旅行の時代です」シンジ
「どのようなエンジンなのだ?」
「特別な物は必要ありません、通常のコイルエンジンにタキオンを添加
するだけで簡単に時空移動が可能となります」
「しかし、それは少し危険じゃな、時空を越えた後も高速な慣性力が
残るのではないのか?」タラン
「いえ、粒子を燃焼した後は普通のコイルエンジンですから今まで通りの
操作で変わりません」シンジ
「つまり必要な時だけ粒子を混ぜれば光速を越えるのだな?時間歪みは?」
「は、時空移動中は時間が流れないのは通常の時空エンジンとなんら
変わり有りません」シンジ
「しかし、そんな技術が元地球にあったら80億民の犠牲はなかったはず」
「残念ながら元地球の技術力で実現出来ませんでしたが私が魔改造しました」
「タランどう思う?」スタージナス
「市場調査してみないと分かりませんが需要がどこまであるか」
「平時の今の世、戦争技術など必要無いかもしれんがいざ有事の時に
あわてても間に合わない、この手の技術は確立しておいて損は無いな」
スタージナス
「さすがスタージナス様は先が見えてます」ジパン
「其方は先が見えなさすぎじゃがな」
「なんどもいいますが私の場合は昼行灯を装ってるだけで・・・」ジパン
「そのような評価は自分でするものではないけどな」スタージナス
「タキオンエンジンの副産物ですが・・・」シンジ
「なにか他にもあるのか?」
「魔超伝導コイルガンと同じ理屈でタキオン砲が可能です」
「威力は?」
「付加する粒子の量次第で無限大です、理論的には恒星も破壊できます」
スタージナス軍団全員がざわつく
「ば、ばかな・・・そんな兵器はやばすぎる」
「あくまでも理論値です、実際は地球が吹っ飛ばせる程度でしょう」
「ば、馬鹿者!そんな物騒なものハイそうですかと許可出来るか!」
「しかしいつ何時異星人の脅威に瀕するか分かりません準備だけはするべきかと」
「う・・・・さすがにそれは大王に報告しなくては」スタージナス
「すでに15000年前の文献で「デススター」と呼ばれていたみたいです」
シンジ
「元地球人の発想力はとんでもなかったのだな・・・実現は出来なかったが」
スタージナス
「はい、ですから私が全て実現しました」シンジ
※シンジには当時のSFの意味を理解できていない
「お主ならタイムマシンすら作ってしまいそうじゃ」スタージナス
「それは絶対に不可能です」キッパリとシンジ
「そんな物騒な物ばかりでなくてっとり早く儲かる商品はないのか?」ヤコブ
「手っ取り早くですか・・・」
「どこでもゲートなどはいかがでしょうか?」シンジ
「好きなところに行けるゲートはすでに世界中に普及してるが?」タラン
「いえ、私の技術はどこのゲートとも繋がる方式です」シンジ
「ん?違いがわからんが?」ジパン
「わかりませんか?今までのゲートは設定した所にしか行けませんが
どこでもゲートは今まで開通したゲートならどこへでも移動可能なのです」
「ば、ばかな!そんなことは不可能、MSが出来ないと言っていた」
ヘッテ
「いえ、可能ですHUBゲートを設置して自動振り分け装置をつかえば
単独でのゲート間移動よりも時間は数倍かかりますが問題無い筈です」
「しかし余りにも時間が掛かってるようでは実用的とはいえないぞ」
「た、確かに・・・通常のゲート移動なら1/兆秒ですがこのシステムだと
最低でも4/兆秒は要します、さすがに時間かかりすぎですね」シンジ
「其方はわれわれをバカにしてるのか、そっ首はねてやろうか?」タラン
「いえいえ決してそんな・・・」平伏するシンジ
「利便性のほうが遙かに高い」グフタス
「ゲートさえ設置してあればどこにでも行けるのか・・」
「逆に機密ゲートを使えば許可者以外は使えなく出来ます」
シンジ
「犯罪者などを登録すればゲートを使った段階で刑務所送りも可能です」
「それはすごいな・・・」
「あらゆる応用がききそうじゃな」スタージナス
「御意、これは商売になりそうですか?」シンジ
「うーむ・・・法整備が先に必要だが上手くすれば我が社のドル箱じゃな」
スタージナス
「試作機を持参してきましたので実演します」シンジ
シンジはポケットからスマホを取り出し全員を整列させ自分も真ん中に入り
広角レンズで自撮りを行う「パシャ」
「はい、移動完了です、今回は私の家です、どうぞ夕ご飯ご一緒に」
「ば、ばかなジェネシスから移動したと申すか?しかも自撮りしただけで?」
「御意、さあさあウチのメイとリンが腕によりを掛けたご馳走です」
ドアを開けると確かにマンションの一室だった
「こ、この誘拐犯め成敗いたすぞ!」怒るタラン
「タラン様目が笑ってますよ」ヘッテ
「しかし驚いたな・・・今のでコストはどのくらいじゃ?」スタージナス
「は、ナノ粒子移動を行いましたので8人で40円位でしょうか」シンジ
「従来の方式ならいくらかかる?」スタージナス
「はい、無縮小移動なら1人50万円以上かと・・・」シンジ
「国が旅費を支払うので今まで遠慮なくゲート移動つかっていたが確かに
一般客ではそう簡単に15000光年の移動などコスト的に不可能じゃな」
スタージナス
「大王が大王地球と新地球間を隔てるのもコストの問題があるのでしょう」
「確かに、今までVRなどで代用していたのもコストだ」スタージナス
「どうぞテイロン産の魔グロを直送しました」シンジ
「ばかもん、密輸入及び脱税行為で現行犯逮捕じゃ」タラン
「タラン様目がわらってますぞ」ジパン
「ぐわ・・取れたて魔グロの絶品さ!・・すごいなこれ」ヘッテ
「なるほど、この間の叱咤が効いたようじゃな」スタージナス
「御意、猛省いたしました」シンジ
「うむ、接待的には合格点じゃ、身なりも整えてるし」スタージナス
「しかし、出来れば今後は指摘されるまえに動くようにな」スタージナス
「は、心に刻みます」シンジ
「どこでもゲートは是非採用したいと思う、しかし大王次第じゃ」スタージナス
「スタージナス様が口に出した以上勝算ありと見ました」ジパン
「うむ、大王を説得するときは外堀を埋めるのが肝心、つまりウラアールの
心を動かすことが一番の近道なのじゃ」スタージナス
「なるほどケ・・・いえいえ合理的なウラアール様ならこの話に
絶対食いつきますね」ヘッテ
「で、ある」
「と、思いまして見積もり書作成しておきました」シンジ
「うむ、よき心がけ、話が早くて助かる」スタージナス
「うむ、大分我の薫陶が功を奏してるようじゃな」ジパン
「うむ、反面教師じゃな」スタージナス
「うむ、じゃありませんよ、どさくさに紛れてなに言うのですか」怒るジパン
「こよいもジパンをさかなにして飲む酒が美味いということじゃ」スタージナス
「どうでしょう?新地球産「灘の生一本」にございますこちらが本家本元です」
シンジ
「ん?確か灘の生一本はジパン国が元祖なはずだが?」スタージナス
「いえいえ、15000年前の文献にハッキリ記録が残ってます
オリジナルは元地球です。私はレシピを元に忠実に再現しました」
「本物がこれほど美味しいとは・・・」ジパンもおどろきの味
「大王地球の灘の生一本はたかだか300年のノウハウこちらは
数千年の歴史ですから絶対に負けません」シンジ
「しかし、いくら頑張ってもレシピの再現ではないか。本当の職人が
作った訳ではあるまい?」ジパン
「いえ、そのレシピの情報量が半端ありませんでしたし私の研究なら
再現率は限りなく100%に近いと自負してます」
「呆れた自信だな」ヤバイヨ
「この間から15000年前の文献がどうのと言っているがどこに
そんな資料があったのだ?」さすが諜報部員のタランが問う
「そ、そればかりは絶対に明かせません秘密です」シンジ
「今まで全て隠さなかった其方が秘密と言うからには事情がありそうだな」
「は、こればかりは約束事がありまして明かせませぬ」シンジ
「わかった、しかし商売になることはこれからも頼むぞ」スタージナス
「は、随時研究し発表していきます、ご安心下さい」シンジ
「まだ沢山の温古知新があるのだな?」ヘッテ
「は、まだまだ研究途中の商品目白押しです楽しみにしてください」
「アナハイムはもう人類に開発出来る物などないと豪語しておったが
まだまだのようだな」スタージナス
「再び我が東インド会社がアナハイムを凌駕する日も近いですぞ」ジパン
「ん、ジパンは我が社の社員だったっけ?」スタージナス
「お戯れを・・・スタージナス軍団は全員社員です、当たり前ですぞ」ジパン
「うーん、ジパンを社員にむかい入れた記憶はないが、まあいい」
とは言った物の実際には文献の解析は膨大すぎて全体の1%しか進んでいない
つまりシンジの発言は「予想値」にすぎない。
「新商品開発の為にも「創造の雲」拡大が必要なのです」シンジ
「なるほど、というかそれが主題であったな」スタージナス
「ですがこのまま犯罪行為を繰り返せばいずれ破綻は目に見えてますぞ」タラン
「うむ、逆に全てを開示して合法化するにはどうすればよい?」
「時限立法で「20億民救助法」などを制定するのはいかがかと」ヤコブ
「つまり20億民救助のみに使える技術とするのだな?」スタージナス
「大王の了解を得る為にはロビー活動が必要でしょう」タラン
「うむウラアールを味方にして外堀から埋めていかないと難しいだろう」
「そのためにはシンジの技術は合法化を得るまでは封印じゃ」スタージナス
「御意、先に法整備が大事、それこそが大義名分です」ヘッテ
「すべてお任せ致します」シンジ
「我が社のS級社員が1/5000縮小術を元に研究したことにしよう」
「なるほどそれならばアナハイムにも利益が回るし無駄な対立おきませぬ」
ジパン
「元々我が社が潰れると封印した技術なのだから我が社に利があるのならば
アナハイムも反対しないだろう」スタージナス
「おおおっそれは玉虫色」グフタス
「ナノ縮小術の合法化のあとにナノゲートとどこでもゲートの合法化ですね」
ジパン
「おおっ其方めずらしく先読み出来たな」スタージナス
「ふ、我とてスタージナス軍団の一角を占めてますぞ」威張るジパン
「流通が変わるな・・・」タラン
「しかしあくまでも最初は20億民の為の時限立法というコンセンサスを
押し通すのが肝要」スタージナス
「ふふふ、結局は利益最優先のウラアール様が我慢出来なくなるという
読みですね」タラン
「皆まで言わすでない」ほくそ笑むスタージナス
「あらためて使って見るとここ(新地球)での会議も実用性あるな」
スタージナス
「は、ここはプライベートなマンションですがセキュリティ対策は最高です」
シンジ
「こんな素晴らしい大都会にアナハイム社員2万人しか住んでいないとは
なんたる損失・・・じつに勿体ない」グフタス
「ですから何が何でも20億民をここに住まわしたいのです」シンジ
「我らは大王地球人なのになぜか新地球にはえも言われぬ落ち着きを感じる」
「生命体がもつ帰巣本能というやつかもしれません」ヤコブ
「この下の階は私が買い取った応接室です良かったら今後もご贔屓に」
シンジ
「うむ、とても気に入ったのでその下の階を東インド会社で買い取るか?」
「スタージナス様そんなケチ臭いこと言わないでビル全部買い取りましょう」
タラン
「うむ、それは妙案。ここを支店としよう」スタージナス
20億民救出の為の体制造りが進みそうです
どうもご無沙汰してました
約3ヶ月ぶりの投稿です。コツコツと書き溜めてはいました<(_ _)>
今回のスピンオフはまだまだ続きます。




