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4-2 わたしはあきらめません。 ★人類滅亡まであと4日★

~~~ アストロ国:ナカ地区 ~~~~~~~~~

天気は快晴。

地は建物の存在が消え、どこまでも一面真っ白で平坦に

広がる雪景色へと変わっていた。

長さ30mほどの亀裂がところどころにあり、

なんとも神秘的な光景を作り出している。

あの悲惨な状況を知らなければ、観光スポットとして

人気がでそうな名所となっていたに違いない。


その亀裂の一角にウイング1台と車1台が動いてる

箇所がある。

近づくと、何かの作業をしてるようだ。

どうやら亀裂の中へ、ウイングから1本のワイヤーが

放り込まれている。

ワイヤの先を辿って行くと深さ100mのところ

までに達し数人の人影が見える。

その1人にミューミューの姿があった。


男「おい、ワイヤー1本だけだけど、

  本当に大丈夫なんだろうな!」


ミューミューの後ろで順番待ちをしている少女が

今の発言で動揺する。


ミュー「ちょっと!この子が怖がってるじゃない。

    さっきから何度も怖がらせて。もう!」

男「俺だって怖いんだよ。」


ミュー「あなた男でしょ。思っても口にしない。」

男「男関係ないだろう。

  高いのが苦手な人だっているだからさ。」


ミュー「準備できたけど。いい?

    上げてもらうわよ。」

男「ちょっと待って!心の準備が。」


ミュー「急いでるの!後回しにするけどいい?」

男「わかった、わかった。」


発言してる男は救助者であり、ワイヤー1本で

地上へとウイングで引き上げられようとしている。


男は目をつむり、おとなしくなる。

どうやら心の準備ができた合図らしい。


現在、ミューミューらが作業してる場所は、

地下駐車場の跡地だ。

昨日の大地震によって車の中に閉じ込められ、

偶然助かった人たちを救助しているということになる。


亀裂の穴は深く、底はミューミューたちがいる場所

よりもさらに100m下にある。

そして、鉄骨が至る所から穴の中心へと無数に飛び

出ており、ただ穴が開いてるわけではない。


ミュー >>マーシャ。OK。上げて。

マーシャ>>了解。


軍人のマーシャは、地上のウイングを操縦してる。

ミューミューの指示によりレバーを動かし、

ワイヤーが上へと引き上げられる。

たるんでいたワイヤーが地上まで一直線に伸び

男の足が浮く。


男「あー、あー。」


少女「怖いです。」


次は少女の番だ。

彼女は救助用のボディーショルダーを手に持つと

顔を青ざめ出した。


ミュー「アルフ、変わって。彼を見てあげて。」

アルフ「了解。」


少女のサポートをしていた軍人のアルフが返答する。

ワイヤーによって吊るされる男の監視役と

ボディーショルダーの取り付け役を入れ替わろう

という指示だ。


ミューミューは、少女に抱きつく。

少女と言っても見た目はミューミューと

さほど変わらない。


ミュー「大丈夫。大丈夫だよ。

    怖いかもしれないけど。

    わたしが守るから安心して。」


ミューミューは、彼女からボディーショルダーを

受け取り、呆然とする少女に取り付けてあげる。


ミュー「最近、はまってるのって何?」

少女 「アイドルグループのオシリスって知ってます?」


ミュー>>ネロ!オシリスって何?

ネロ >>歌って踊る3人組の男性グループの

    ことだと思われます。

    半年前にデビューして、すでに

    10代の女子で1番人気のようです。


ミュー「歌って踊る3人組の人たちのこと?」

少女 「知ってます?かっこいいですよね。

    ダンスもキレキレで。」


ミュー「ごめんね。

    わたし、そいうの見ないから知らないんだ。

    ダンス上手なんだ。」

少女 「なら見てほしい。

    歌唱力は普通かもだけど、曲が良いです。

    聞いたら頭から離れなくなりますよ。」


ミュー「へぇー。そういえば、

    こっちの歌って聞いたことないかも。」

少女 「そうなんですか?珍しいですね。

    オシリスはおすすめです。

    曲は絶対気に入ると思いますよ。」


少女は元気になった、というか目が輝き活き活きしてる。

ミューミューは彼女と会話しながら、

器具の取り付けをたんたんと進める。

とはいうものの、ミューミューは器具の取り付け方

を知らない。

実際に手を動かしてるのはネロによるもので、

ミューミューの意識は彼女との会話に集中していた。


奥から1人の軍人が現れる。


ルイス「隊長。全エリアの確認が完了しました。

    追加で3名の生存者を発見しました。

    こちらにお連れしますか?」

ミュー「ここで待ってもらうと凍死する危険性があるから

    車の中で待機してもらって。」

ルイス「了解!」


ミュー「あ、ルイスまって!」


背を向けたルイスを引き留める。


ミュー「3名の健康状態を確認して!

    体温が低かったり、元気がないようでしたら

    栄養剤を投与してちょうだい。」

ルイス「了解です」


少女 「私と同じ年に見えますけど。軍人さんですか?」

ミュー「まぁ、そんな感じ!?」


少女からの質問に歯切れの悪い回答を出してしまった。

軍人ではなく警備隊と返答したところだが、

一般人からしたら違いは判らないだろうから、

その返答に意味がない。

仮に理解してたところで、警備隊から軍人へ指示する

などありない話だ。

そのあとの説明が面倒になるのは避けたい。

しかも、10代というのもある。

いろいろ頭を駆け巡り、このような回答にしてしまった

ということだ。


少女 「かっこいいです。」


どうやらミューミューが想像してたのと違う疑問だったようだ。

少女の表情は、もはやアイドルを見てるのと変わらない

目の輝きをしていた。


♪ピー、ピー、ピー、大きな地震が来ます。


ミューミューのタグに警告がなった。

本来であれば全員のタグにも同じ警告が来るはずであるが、

メーティスとつながっていないため来ていない。


ミュー >>マーシャ!ストップ。地震に備えて。

マーシャ>>了解


マーシャは、ワイヤーを停止させる。


ミュー「地震が来ます。ここは危険だから中へ入って!」


ミューミューは、アルフと少女に駐車場の奥へ

進むよう声を掛ける。


♪ガタガタガタガタ


だが、ミューミューが語り終えると同時に地震が

来てしまった。


少女「きゃあ」


少女はその場にしゃがみこむ。


ミュー「アルフ、先行って!」


アルフは、うなずき返答せず奥へと進む。


男「おーい。助けてくれ!」


ワイヤーに吊るされる男が遠くで叫んでいる。

地震によって、振り子のように揺れていた。


ミューミューはというと、座り込む少女を持ち上げようとしていた。


ミュー「私がいるから安心して!」


少女を持ち上げようとした時。

足元がぐずれた。


少女「きゃー」


ミューミューは少女を抱えたまま下へと落下する。

少女はミューミューの胸の中で目をふさいでる。

進行方向を見ると、鉄骨が張り巡らせており、

激突するか、どこかに刺さる可能性が非常に高い。

本来ならば絶望的な状況だ。

だがミューミューは冷静でいた。


ミュー>>ネロ。わたしは死んでもいい。

    この子を助けられる?

ネロ >>計算が終わりました。

    2人ともご無事です。

ミュー>>そう。お願い。


ミューミューはいつものように少女を抱えたまま、

鉄骨を蹴って軌道を変えたり、斜めに下に飛び出てる

ところを滑って下りたりして、鉄骨への激突を避けた。


そして、ついに底まで達し、ミューミューは背中を

下にして仰向けのまま、10mもある積雪の中へと

少女を抱えたまま潜っていった。


そのころ吊るされてる男はというと。


男「落ちる。落ちる。誰か助けてくれ!」


彼の10m頭上で、飛び出ている鉄骨にワイヤーが

こすれて、揺れる度に火花が散っている。

男はそれを凝視する。まぁ気にしない方がどうかしてる。


男「死ぬ。死ぬ。」


男は、下を見るとどう考えても死ぬ高さだ・

あまりの恐怖でついには気絶することに。


地震は1分ほどで収まった。昨日の余震なのだろう。

少女は目をゆっくりと開ける。


ミュー「どう?気分が悪いとか、痛いとかない?」


ミューミューは優しく話掛ける。

少女は、自分が抱えられたまま、穴の底に落ち。

雪に埋もれていることもを把握する。


少女「大丈夫です。痛いところはありません。」


少女はジェットコースターに乗って、

終わったような感覚でいた。


少女 「助けてくれてありがとうございます。」

ミュー「気にしないで仕事だから。

    怖い思いさせてごめんね。」


少女 「ごめんなさい。重いでしょ。」


少女は、ミューミューの上に乗ってることに罪悪感を

感じ起き上がる。

潜ったのは1mほどだ。2人は自力ではい上がる。


ミュー>>マーシャ、アルフ、ルイス、状況を報告せよ。


3人とも身体に異常はなく。

地震による問題は発生してないとのこと。

ミューミューは、救助者を抱え、穴の底まで落ちたことを

報告し、メンバーへは作業を継続するよう指示した。


ミューミュー1人だけなら、鉄骨を伝って駐車場まで

戻るのは容易だ。

だが、ここに少女を残してはおけない。

なので、自分らへの救助も要請することに。

隊長が救助求めるなんて、なんと恥ずかしいことだろうか。

また、やらかしたと反省する。


ミュー「助けが来るまで、ここでお話しましょ。

    オシリスだっけ?詳しく聞かせて!」

少女 「かっこいい。私、あなたのファンになりました。」

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