3-9 テロ事件調査始めます ①
~~~ セキュリティーセンター第8会議室 ~~~~~~~~~~~~~
テロ緊急対策会議、開始5分前。
500名ほど入れるホールが選ばれた。
会場正面に10名掛けの代表者席があり、
その頭上に大きなモニタが設置してある。
代表者は準備中のようで、席が空の状態だ。
全国各地区の警備隊が徴収され
既に代表者300名全員が出席済みで待機している。
ちなみに、警備隊は軍ではない。
国内の治安維持および消火・救急・救助の役割を果たす。
その警備隊のトップに位置するのがZATと呼ばれる
部隊で主にハイパーレスキューの活動を行う。
+--------
| 軍幹部
|代 □□□□
正|表 □□□□
面|者 □□□□
|席 □□□□
扉 軍関係者席
+---扉----
会場正面から見て両サイドには、
軍関係者用の席が設けられている。
右サイドに国防軍幹部4名が着席してる。
軍幹部の存在が会場内を重い空気としていた。
♪ブーーーン。
会議室入り口の扉が開く。
会議が始まろうとしているときに
ギリギリに入って来る者がいる。
軍幹部が同席する会議では10分前に
待機するのが常識だ。
そこで会場全体が息をのむ光景を目撃する。
軍幹部の4名が一斉に立ち上がり、
入場してきた者へ敬礼をしたのだ。
その光景に、警備隊員は軍幹部に視線が集中する。
そう、彼らが啓礼するなど珍しい事なのだ。
そして軍幹部より偉い人とはどんな人物なのか。
会場全体が自然と入口へと視線が移動する。
そこに立っていたのは、見るからに十代の少女だった。
静寂だった会場がざわつく。
ここセキュリティセンターは軍の防衛本部である。
重要機密を保管している場所でもある。
緊急事態でない限り、軍以外の者がこの建物へ
立ち入ることは許されない。
目の前に一般少女が居るなんてことはあり得ないのだ。
更に驚くべきことが起こる。
その少女に注目したのは地位と階級だ。
少女はZATの制服を着用しているだけでなく、
リーダの腕章を付けているではないか。
会場全体は混乱へと変わる。
疑いようもなく、目の前にいる少女はZATの
メンバーであり、リーダーなのだと。
実は、警備隊員ならびに軍でさえも
ZATにどんな人物がいるのか少数しか知られていない。
活動場所が異なり、顔を合わせることもないので
謎だったというものある。
驚くべきことはまだある。
国防軍幹部が敬礼しているという点だ。
ZATは全警備隊のトップを位置する存在ではあるが、
軍ではない。
警備隊は一般市民を守る組織で、軍は国を守る組織。
警備隊と軍とでは上下関係からすると当然軍が上になる。
だが、国防軍幹部が1人の少女に対して
敬礼しているのは事実だ。
もう訳のわからない。
少女はどこからどう見ても十代であり、細身である。
経験値的にも体力的にもZATとして
相応しいとはとても思えない。
会場が混乱するのも当然だ。
ミューミュー(チャドさんだ。) (^_^ )
久しぶりに再開した国防軍幹部へ軽く手を振るものの。
会場全員の視線が自分に集中していることに
恥ずかしくなる。
見渡しても女性は一人もいない。
十代の自分がここへ来れば、ある程度注目を
浴びるだろうと想定はしていたが、
まさか会場全体がこうなるとは想像していなかった。
ミューミュー(うあー、みんな見てる。帰りたい。) (..;
国防軍幹部の一人が、幹部席である壁際の席へ
座るようジェスチャで案内するも、
ミューミューは『いいです。一般の方に座ります。』
とジェスチャで返す。
ミューミューは真っ赤な顔をして、
やや早や歩きで後方の席へと向かう。
隊員達は、堂々としたもので1列に並んで
ミューミューの後に続く。
一般席の集団から3列ほど空けて、
隊員達を自分の前に座らせる。
ミューミューは隊員達を壁させ誰にも
見られないよう身体を低くして座る。
はたから見たら失礼な座り方だ。
警備隊達は、後ろを振り向き少女の様子を見たい。
が、国防軍幹部が見てる手前、
そんな無礼なことはできない。
誰一人振り向くことはなかった。
少女は本当にZATなのか、そして隊長なのかと、
ざわつきは止まらない。
ミューミューは非常に居心地が悪く、
早く会議が始まらないかと気がきでない。
♪ ブーーーン。
今度はサララ部隊の登場だ。
軍幹部が、またも一斉に立ち上がり敬礼をする。
さらに会場がざわつく。
またも少女が現れたからだ。
次の少女もまた、人を助ける側と言うよりも
助けられる側のようにしか見えない。
こんな少女が、というよりもこんな子供が
ZATなどとありえない。
会場の全員が一致した感情である。
ZATは5つの小隊から構成されてるのは
この会場に居る全員の共通認識だ。
その内2小隊が会場上に現れたかと思うと、
隊長が少女であるという事実が発覚した。
普通ならばコスプレと誤認されて終わりだろう。
だが、数々の証拠が、彼女達をZATの隊長で
あることを示している。
ここまで来ると、ZATの隊長は全て女子なのかと
疑い始めてもおかしくない。
そして、本当にレスキュー活動をしているのかと。
サララは会場を見渡し、ミューミューを発見する。
ミューミューは姿勢を低くして、手振りで
「こっち!こっち!」と合図する。
軍幹部もまた、サララへ幹部席を進めるも、
会釈で断り、ミューミューの元へと向かう。
サララの後に隊員達も続く。
ミューミューは席を1つずらしサララに席を空ける。
サララはミューミューの隣に座り、
サララの隊員達は彼女らの後ろに座る。
ミュー「まだ寝てなよ。体調悪いんでしょ。」(--#)
サララ「退屈だから来ちゃった。
ミューミューとお話ししたいし。」( ^_^)
ミュー「遊ぶところじゃないよ。」(--#)
サララ「何も考えないで来ちゃった。」( ^_^)
サララ「もう帰りたいんですけど。」( ^_^)
ミュー「私も」 (^^;)
ミュー「実は来てくれて助かった。
ものすごく居心地が悪いよ。」
サララ「わかるぅ。
扉開けたとたん、帰りたくなった。」( ^_^)
ミュー「私もだよ。」
サララ「帰っちゃおうか?」
ミュー「幹部居るし、今さら出づらいよ。」(--#)
サララ「だよね。」 (;^^)
ついに正面の扉から開く。
最高司令官を先頭に、説明員3人が資料を手に
持って入場してきた。
司令官は中央の壇上に立ち、説明員は
スクリーンの真下付近へ3人固まって着席する。
会場内は静寂を取り戻し、意識は少女から
正面の司令官へと移る。
異様な緊張感だ。
サモス「軍総司令官のサモスだ。
諸君、今回のテロ事件に関しお礼を言いたい。
各地の警備隊員が持ち場で機転を利かし
独自に行動していただおかげで大きな被害が
出なかったことに、まづこの場を借りて
感謝を述べる。」m(_ _)m
サモス「事件の概要と現在まで分かっている
調査状況を報告する。」
サモスが椅子に腰掛けると一人の説明員が立ち上がる。
説明員1「今回の事件で約100万人の国民が
被害に会われました。
上のモニターをご覧ください。
図は、みなさんご存じの我が国全土の
地図となりますが、赤色が付いている
ところが被害者発生場所を示してります。
色が濃くなるにつれ被害者が多く
なっていることを表しております。
建国際会場であった市庁周辺は15万人と
集中しておりますが、
アス国全土にわたって被害者が
出たことがわかります。
警備隊の皆さんには懸命な救助活動
していただきましたが、
残念なことに11名の死者が
出でしまいました。
そして、今だ目を覚まさない被疑者が
3名おります。
残りの被害者は、全て回復し健康に
問題はありません。
死亡者の内訳は、2名が睡眠薬投与による
過剰反応で死亡。
そして、1名が解毒剤投与による
ショック死。
残り9名は路上での体温低下による
凍死という結果です。
凍死の9名は、運が悪かったことに
人通りがない場所で倒れ、
かつビルの影になる位置であったため、
タグの能力が追いつかず死に至りました。
次にテロと断言した経緯ですが、
事件直後にテレスを名乗る犯行声明が
あったのが決め手です。
これが犯行声明の解析結果となります。
この結果から、声明はフィジ国国籍の
生物学者テレス氏本人であることは
間違いありません。
映像はライブ発信ではなく、
各メディアへ投稿されたものであります。
だれがどこから投稿したかは不明。
また、容疑者テレス氏の所在ですが、
こちらも現在不明であります。
国内にはいないことが確認されており、
フィジ国へテレス氏を引き渡すよう
要求しているのですが、
隣国から国内に居ないと回答されました。
こちらは引き続き捜索を続けていきます。
次にテロの発生メカニズムを説明します。
一言で言うとタグを使った
初の犯罪であります。
対象の機種は、SNT社のD505系のみで発生。
このタグは国内シェアナンバー1であり、
120万人もの利用者がいます。
ほぼ全員が被害に遭われたという
ことになります。
主に2つの機能により甚大な被害を
起こしました。
1つは、タグからプリセット済みの
2つの薬品が投与され、その2つの薬品が
混ざることで睡眠薬に似た症状を
引き起こしたということです。
ちなみに、使われた2つの薬品は
国内で認可が通っております。
使われた薬品は、タグを調査したところ、
搭載量は1回分しかなく
それぞれの薬品にはほぼ使い道がない
ことからテロのために組み込まれたものと
予想しております。
犯罪に使われた、もう一つの機能は、
薬品投与の命令を人から人へと伝染する
機能です。
こちらは、薬品投与の命令をタグが
受け取ると、同じ命令を半径500mの
第3者へ通知するというものです。
ですので、時間設定による犯行ではなく、
人から人へと感染したのであります。
被害を受けなかった方は、誤作動で
動かなかったのではなく
被害を受けた方が近くに居なった
というのが理由です。
以上のことから、意図的に仕組まれた
事件と断定し、テレス氏によるテロ事件
であると結論付けました。
ちなみに、D505系のタグ開発に
直接テレス氏は関わりがあったのかは
SNT社に確認中です。
D505系に搭載されたコアは、
隣のフィジ国に本社を構えるPCM社に
よってが開発、製造されたものです。
このコア開発メンバーにテレス氏が
加わっていたところまでは突き止めました。
2つ薬品を使って眠らせるという
単純な仕組みであれば、
別の品質検査で引っ掛かります。
ハード、ソフトともに卓越した技術が
なければ今回の犯行は実現不可能で
あると言えます。
学者であるテレス氏1人の犯行とは
考えずらい。
共犯がいるものと想定しているが、
相手が他国のコアメーカーであるため
調査が難航すると予想されます。
ちなみに、SNT社も加担しているの
という側面での調査も
平行して実施しいますが、
今のところテレスと全く接点が
見つていない点と、
売上が好調なSNT社が自社を
陥れるような事件を起こすとは考えずらい。
SNT社は返品が殺到していおり、
被害者が集団控訴の準備しているため
つぶれるのは時間の問題である模様。
以上によりSNT社も被害者という線で
進めています。」
サモス「何か質問は?」
サララが挙手する。
サモスは無言でどうぞとジェスチャーで返す。
サララが立ち上がる。
会場の全員が少女が何を話し出すのか注目する。
サララ 「容疑者のテレスはデータを採取したと
犯行声明がありしましたが、
被害者から何か情報が抜き取られた
形跡はあったのでしょうか?
あと、テレスの居場所はなぜ
特定できないのでしょうか?」
サモス 「ZAT隊長から質問がありました。」
サモスの発言から会場は事件のことよりも、
あの少女がやはり正式なZAT隊員あることを確信する。
テレス氏が、右隣にアイコンタクトする。
説明員が入れ替わり頭上の巨大モニタを
見ながら話し出す。
説明員2「テレス氏がデータを採取したかどうかの
件についてですが、タグからメーティス
への大量通信がありました。
何の情報を集めていたかは不明ですが
採取したものと思われる。
ただし、テレス氏は、犯行前から科学者
としての権限が剥奪されており、
アクセス権は一般市民レベルと落とされた
ため、他者の情報を抽出することは
不可能と考えらる。
ただし、テレス氏の言うデータとは
タグからの情報ではなく別の情報、
たとえば、病状が発祥するまでの時間とか、
発祥した人の割合とか、そういった
ものが目的だったのであれば、
採取できたと言えるでしょう。」
説明員2「次に、現在のテレス氏の所在について
ですが、先ほども説明した通り、
我国ならびにフィジ国にいないとなると
考えられることは4つあります。
・第3国へ逃亡した
・フィジ国がかくまっている
・タグを外して身を潜めている
・Z地区にいる
・死亡している
テレス氏の監視は引き続き実施し、
新たな事が判明次第別途ご連絡いたします。」
サモス 「ということだ。テレス氏は国際手配済みで、
燐国へも捜索を要請している。
死亡していなければ、発見は時間の
問題と思われる。」
サモス 「ほかに質問は?」
ある警備隊の一人が座ったまま手を挙げる。
サモス 「そこ、どうぞ。」
警備隊 「タカ3区のミレです。
今後の活動方針についてですが・・・」




