2-40 事件後につていお話します①
~~~ フィジ国軍事施設 ~~~~~~
テロ事件から2日後。
ミューミューとサララは現在アストロ国の
セキュリティセンターにいる。
テロ事件の後、ミューミューは意識を失い
ライトと共に近くの軍事施設へと救急搬送された。
サララはというと親衛隊と共にミューミューを
追いかけ彼女の元へと合流することに。
ライトと親衛隊はフィジ国軍人である。
本来ならば入国の許可など下りる訳がない。
許可するにも時間を要するものだが
マス国王女であるミューミューとサララを
護衛したという理由で内密に入国が許可された。
ミューミューとライトの怪我は大した事なく、
その日には元気に動けるまで回復した。
その後は、彼女らと共に全員セキュリティセンター
へと移動させられることとなった。
施設内は自由に行動していいとのことだが、
テロ事件が解決するまではそのフロアーから
出てはいけないという制限が掛けられた。
実質監禁状態という訳だ。
そのことには全員納得している。
事件関係者がウロウロして言いことはない。
テロの実行犯が生き残ったのは、ミューミューと
サララ、モカリス総長、サモス隊長、
そして監視塔に残ったシャルルの5名である。
監視塔で確保したレイモンとハンスは事件での
証人として、ここセキュリティセンターの別の
場所へ収容されている。
独房ではないがこちらも監禁状態である。
テロ事件の後始末と今後について、
フィジ国、アストロ国、サイ国の3ヵ国よる
首脳会談が行われている。
事件については、各国それぞれに責任がある。
テロ事件を起こしたのはアストロ国だ。
そしてサイ国はテロに協力をした。
だが事件のきっかけとなったのはフィジ国で、
メーティスを私物化したのが原因である。
証拠があるため、各国は言い逃れができない。
だが、当然の如く国としては責任は負いたくない。
今回に関しては国の存続に関わる事態だからだ。
フィジ国は、集中管理室最高責任者である
フリード氏が独断で決行したとして、
政府は知らぬ存ぜぬを主張している。
アストロ国はというと、実行犯はアストロ国
軍人である。この事実を認めてはいるが政府は
関与してなく一部の軍人が暴走したと説明。
サイ国もまた実行犯が我国からテロを仕掛けた
ように見せかけたもので、こちらは被害者だと
言い逃れている。
要は、3ヵ国とも政府は関与してないと
主張したいのだ。
だが、サイ国とアストロ国側としては、
テロ事件が起こらなくともエネルギー供給の
更なる絞り込みによって、どの道、サイ国と
アストロ国の国民に死者が出たと主張。
フィジ国に責任を押し付けたいのだ。
主導権はサイ国とアストロ国側にある。
更にメーティスも実効支配している。
とても有利だ。
だが、全ての責任をフィジ国におわす
ことは難しい。
根本原因はさて置き、今回のテロを
起こしたのは明らかにアストロ国だ。
なので、全責任をフィジ国にさせ、
何かの制裁を掛けようものなら、
自国だけの責任ではないという大義名分
をもって戦争が始まる可能性は高い。
フィジ国の軍事力は、部隊数、兵器数、
兵器の能力、どれを取っても圧倒的であり、
サイ国とアストロ国が共戦したとしても
太刀打ちできない戦力差がある。
ここで3ヵ国による駆け引きが始まる。
駆け引きの前に考慮すべき問題がある。
それは連日テロ事件が各国で
報道されているという点だ。
内容は、一部のアストロ軍人が暴走し
メーティスを独占しようとテロを起こしたと。
それを阻止すべくフィジ国軍が反撃に出たが
100名近い一般市民に死傷者が出た。
その死傷者は、現場にいた参列者の証言
によると一般市民を避難させるどころか
実行犯含めて会場全員を皆殺しにする
対応だったとのこと。
そして何を血迷ったか、管理者である
フリード氏がアストロ区国民とサイ国民を
滅ぼそうとエネルギー供給を停止させた
とのことだ。
各国での報道には微妙な違いはあれど、
内容はほぼ同じである。
となると、報道されてる部分については
一般に知れ渡っているため言い逃れができない。
自国民および他国へ納得のいく説明が
必要とされる。
でないと政権崩壊や暴動につながるからだ。
論点は3つ。
①テロ事件について
事件の全容と責任の所在をどうするか。
全世界の人々が納得が行くものにする
必要がある。
②エネルギー配分について
マス国からのエネルギーの配分について
見直す必要がある。
どの国も少しでも多く欲しいとのことだ。
③今後のメーティスの運用について
集中管理室が破壊されたため、現在は
メーティスに対して何も操作できない。
自動復旧システムにより、建設ロボットが
管理室を修復中である。
被害が広範囲であるため、復旧する
までには2ヵ月掛かる見込みとのこと。
復旧後に誰がどう管理するかを決める
必要がある。
3ヵ国の首脳陣が議論を進める。
まづ、各国の政府は事件に関与してなく
知らなかったという方向で協定を結んだ。
であるならば、②については今まで通り、
人口比率での配分ということで合意が取れた。
こちらはサララが既に配分を変更済み
により現状維持ということだ。
まぁ、管理室がないためそもそも変更は
不可能である。
ではどうやって元の値に変更したのだと、
フィジ国から指摘はあったが、管理室が
爆発される直前に設定変更したのだと
アストロ国側が説明した。
③は、フリード氏が死亡したことにより
メーティスを管理できる者がいなくなった。
だがフィジ国にはマニュアルがある。
アストロ国とサイ国にもマニュアルを
閲覧できるよう取り決めた。
そして、メーティスの管理は各国から
1人づつ代表を出し、3ヵ国で運用する
こととした。
メーティスへの操作は、3ヵ国の合意を
取ることも付け加えた。
そして、残る問題は①だ。
切り出したのはアストロ国側である。
モカリス総長が首脳陣の前に顔を出し発言する。
モカリス「全責任は自分にあります。
自分がテロを計画し、権力を行使して
強制的に兵を動かした。」
デカルト大統領が口をはさむ。
デカルト「モカリス総長が事件を引き起こしたとなると、
政府は知らぬ存ぜぬではすまされない。
世間に公表したとたん政府への不信感や
抗議は避けられないものとなるだろう。
大統領を退任することで責任を取ることにする。」
モカリス「いや。
大統領まで責任を取る必要はないかと。」
モカリス総長は元々テロが成功しようが失敗しようが
責任を取る覚悟でいた。
この発言は彼の中で規定事項であり、大統領にも事前
に伝えてあったことである。
だが、まさか大統領まで責任を取るとは想定して
いなかった。
デカルト「100名を超える死傷者を出したのだ。
しかも全世界に恐怖を与えた。
モカリス殿だけ罪を被るのでは、
世論は納得しないだろう。
政府にもテロを事前に阻止できなかった
責任がある。
私の処分で事態が収束するならば
喜んで退陣しよう。」
フィジ国の大統領であるネヴィルが発言する。
ネヴィル「デカルト殿、それでよろしいのか?」
デカルト「他国も含め国民が納得する結末で
ないと新たな火種を生むことになる。
二度と戦争など起こってはならない。
であるからネヴィル殿も私の退陣で
目をつむって頂きたい。」
ネヴィル「我国としては申し分ない。
今回の件。我が国にも責任はある。
レイモン氏の暴走により、多数の
死傷者を出してしまったことを
まづはお詫びする。すまぬ。」
ネヴィル大統領はモニタ越しに頭を下げる。
ネヴィル「我が国も何か罰を受けなければ
納得されてないであろう。
デカルト殿はどのような結末が
得策か、お考えを伺いたい。
それを我が国は甘んじて受ける
準備がある。」
デカルト「では」
デカルト大統領は、アストロ国側が考案した
事の顛末を述べた。
それは、全ての責任を管理室責任者である
フリード氏に押し付けるものであった。
まさに死者に口無しである。
事の発端は、フリード氏が企業からの献金
欲しさにメーティスのデータを捏造し、
各国を騙してエネルギー供給の配分を変更
させたのがきっかけであるとした。
それが成功するとエスカレートし、問答無用
による更なる変更を発表したため、
モカリス総長が国民の危機を察し、
テロを計画、実行に移したという経緯。
まぁ、嘘ではない。
政府が関与してないという点を除けばだ。
会場での死傷者については、監視塔のレイモン氏
がフリード氏の指示によって決行したことにする。
サイ国に関しては、被害国であることとした。
他の2カ国は、デカルト大統領の提案に賛同する。
世界の人々に、3ヵ国にわだかまりがないことを
示すため、マス国で3人の大統領がそろって
記者会見を開くととした。




