2-21 わたしテロに参加します
~~~ レジノ研究所:会議室 ~~~~~~~~~
サモス 「まづ、これだけは伝えておく。
私も王家を崇拝している1人だということを。
なので、神聖な儀式を壊すことは
私自身の思想からも反している。
これは何も君達を説得するため
口から出まかせを言っている訳ではない。
信じて頂かなくとも構わないが、
君達と同じ考えだ。
私が個人的な感情よりも優先しなければ
ならないのは国民の命。
フィジ国によるエネルギー供給の削減は
我が国に大きなダメージを与えている。
その最たる例がサイ国だろう。
死者が出ている状況だ。
来月からは更に供給量を減らすと宣言している。
今が限界にきている。これ以上減らされたら
我が国にも死者が出るのは間違いない。
このままフィジ国に好き勝手やらせて
いいかと問いたい。
最大のチャンスを逃して、家族が犠牲に
なってもいいのかと。
決行日を変えるつもりはない。
なぜならこの日しかチャンスがないからだ。」
モカリス「我々がこれからやろうとしていることは
テロ行為である。何をどう聞こえの良いことを
主張したところで正当化されるものではない。
決行日を変えたところで、我々の行動は
間違いであり、作戦が成功したところで
自国民にさえ受け入れられない可能性もある。
だが人類にとって、これ以上多くの命を
落とすようなことは在ってはならない。
15年前、マス国元国王は1人でも多くの
人類を救うため、ご自分の命をかえりみず、
我々をこの土地へと導いてくれた。
私はその気持ちを尊重したい。
同じレベルで語ることはおこがましいが、
私も人類を救おうと4日後に決行したいと
考えている。」
ミュー 「すみません。」
ミューミューが立ち上がった。
会場がミューミューを注目する。
モカリス「君も言いたいことがあるのかね。」
ミュー 「私は頭が悪いから、何が正しくて悪い事
なのか理解できてません。
4日後にやろうとしてることもです。
ですが、フィジ国が私利私欲で
多くの命を犠牲にしようとしているのなら
止めるべきだと私は思います。
王女はいつもおっしゃてました。
この世界は平和だと。
もし、王女がこの話を耳にしたら
必ずフィジ国の行いを正したでしょう。
だから私はこの作戦に参加致します。」
モカリス「ありがとう。その気持ちだけで十分だ。」
サララも立ち上がる。
サララ 「みんな難しく考えすぎじゃない!
どう思われるとか、どうなるとかじゃなく、
シンプルに集中管理室を我々が占拠すべきか、
しないべきか、じゃないですか?
私も作戦に参加しますよ。」
モカリス「彼女の言う通りかも知れんな。
この場は一旦解散する。
各自部屋に戻り、この作戦に参加すべきが
考えなおしてくれ。
1時間後に再会する。
この作戦に関し、少しでも引っかかりが
あるなら戻って来なくてよい。
理由は、全体の士気が下がるし、ちょっとした
迷いがチームを危険へと導くからだ。
戻って来なかったとしても、とがめることはしない。
よく考えてくれ。では解散。」
モカリスとサモスは、バックヤードへと戻る。
続けて、軍人達も無言で会場を出て行った。
ーー 1時間後 ーー
軍人が30名から20名へと減っていた。
カールを含む研究員10名は全員居る。
1時間後、10名の軍人が戻って来なかった。
先ほど口答えをした人達のグループのようだ。
引っ込みがつかなくなったのか、真剣に考えた末
なのかは分からないが10名の戦力を失った。
モカリスが言ってたように、モヤモヤした気持ちで
作戦に挑んだら成功するものも失敗する。
逆に軍人が20名も居てくれた方を喜ぶべきだろう。
当然、会場にはミューミューとサララの姿もある。
定時となり、モカリスとサモスが登場する。
サモス「ここに居る者は全員参加ということでいいな。」
サモスは全員と1人1人目を合わせる。
サモス「では、作戦の概要を説明する。
本作戦は、奇襲部隊と突入部隊の
2班に分かれてもらう。
奇襲部隊は参列者にふんして堂々と正門から
侵入する。そこで騒ぎを起こし、フィジ国兵を
引き付けてもらう。
突入部隊はサイ国の国境付近から
壁を破壊しマス国へ突入する。
そして、ラプラス城の裏口から侵入し、
2階の監視塔を制圧する。
続けて7階へ行き集中管理室を制圧する。
最高責任者であるフリード氏を拘束し、
今までの悪行を吐露してもらう。
王女殺害のこともだ。」
会場がざわつく。
軍人Aが挙手する。
サモス「そこの君、どうぞ」
軍人A「王女殺害は事実なのですか?」
サモス「証拠はないが、事故死ではなく、
フリード氏が殺害したものと疑っている。」
サモスは、ミューミューと目を合わせると。
ミューミューは首を縦に振る。
サモス「真実かどうかはフリード氏に
問いただす必要がある。
最悪、供述がなくともメーティスに
確認すれば全ては明るみになるだろう。」
サモスの口から思いもしない言葉が発せられた。
事故死だと思っていた王女が殺害されたのだと。
もしこれが事実であれば大問題である。
軍人達に闘志がみなぎって来た。
サモス「全体的な流れはこんなところだ。
この後詳細を述べるがここまでで
質問があれば挙手してくれ。」
軍人B「突入部隊ですが、サイ国の国境付近に
武器を運搬することになると思われますが、
排他領域に武器を積んだ車が走ったら
サイ国とフィジ国に怪しまれるのでは
ないでしょうか?」
サモス「そこは問題ない。
武器を持って排他領域に出たとたん
メーティスの監視に引っかかり、
フィジ国軍が出て来るのは避けられないだろう。
そこで、我々は武器を持ってサイ国に渡り、
サイ国から突入することとする。
デカルト大統領は、既にサイ国とは話を
付けてあり、サイ国サイドも我々の活動に
理解を示してくれている。」
モカリス「隠していた訳ではないが、
この件に関し大統領の了承を得ており、
更には大統領自身にも動いて頂いている。
大統領にご協力して頂いているとは言え、
この作戦のトップはあくまで私だ。
間違いないように。」
ここで、今回のテロ作戦が国ぐるみであることが
明らかとなった。
モカリスは平然は説明しているが、
これがフィジ国にバレでもしたら戦争になるのは確実だ。
サモス「では、奇襲部隊から詳細を説明する。」
奇襲部隊は、参列者として正門から入る。
入口では持ち物検査があるため、ナイフ以外の
武器は持ち込めない。
定刻となったら、その場の参列者を人質にし、
騒ぎを起こす。
一旦、人質と共に入口まで戻り、人質を解放する。
その後は、分散して各々がラプラス城を目指す。
敷地内は、フィジ国兵が500名が巡回しているが
参列者の警備もあるだろから更に500名以上が
追加されるものと思われる。
入手した資料によると、1万体の先頭ロボットが
格納されているという。
要するに、数人でフィジ国兵1千人と1万体の
ロボットを相手にしなければならないということだ。
5分もたせてくれとのことだが、敵兵を集結さつつ
逃げ回るなんて不可能だ。
戦闘ロボも居るし。
フィジ国の事だから、生け捕りにすることはない。
マス国で騒いだ者は銃殺することになっている。
奇襲部隊は死が確実だ。
あとは何分もたせられるかが勝負となる。
突入部隊は、サイ国の検問所から車とウイングで出撃し、
マス国の壁を破壊する。
そして、車のままラプラス城の裏口を目指す。
奇襲部隊の働きにもよるが、兵が全くいないとは限らない。
城の裏口に付いたら、門を破壊する。
車は乗り捨てて、歩兵とウイングで2階を目指す。
2階の監視塔を制圧できれば、外の戦闘ロボを制御して
フィジ国兵を無力化させる。
そして7階へ行き、集中管理室も制圧して
ミッション終了となる。
突入部隊は、サモスが指揮をとるとのことだ。
理由は、こちらが本体でありサイ国と連携を取る必要が
あるためだ。
モカリスは、アストロ国コントロールセンターに残り
フィジ国が何かしてきた場合に対処するのだという。
サモス「ご理解いただけただろか。
突入部隊には、監視塔や管理室で操作してもらう
人間が必要だ。技術者を2名加えたい。
カール殿、チームから2名を選別してくれ。
人選は任せる。
奇襲部隊は敵を引き付けるためにも多い方がいい。
まづは、奇襲部隊から決めたい。
志願してくれる者は挙手してくれ。」
本作戦がうまく言ったとしても奇襲部隊は
死ぬのは確実だ。
だれも口にはしないが素人でも分かる。
敷地内は、見通しがよく隠れる場所もほぼない。
突入部隊が監視塔に到着するまで、
ナイフのみでもちこたえるのは不可だ。
5分もたせというが、秒で全滅すると思われる。
・・・
だれも手を挙げない。
ミュー「私にやらせてください。」
1人の少女が立ち上がった。




