2-20 わたしって神的存在だったの?
マス国王女の合同葬儀前夜。
全世界の人々が参加できる追悼式が
明日から4日間、行われる。
全世界と言っても、マス国を除くとフィジ国、
アストロ国、サイ国の3ヵ国しか存在しない。
その3ヵ国も元々は多民族の集まりであり、
3つのグループに分かれた国家だった。
それは15年前に起こった月での利権争いが
発端になる。
月には、我々の生活に欠かさない
反重力物質チッタニウムと
発光炉の燃料となるナーシニウムの
資源が存在する。
そしてその物質は月にしか存在しないものだ。
資源の採掘権をめぐり、各国でちょくちょく
いざこざが起きていた。
月は国際上どの国の所有物でもなく、
管理する者も存在しないことから
土地を買い上げることができない。
となると、各国は勝手に採掘場所を確保し
工場を作り出すことをしだした。
困ったことに資源は分散されてなく
一部の場所に密集している。
土地の所有権はないのだから
お互いが自国の確保場所であると
主張しだすのは必然のことである。
ついには、採掘場所を守ろうと
ミサイルを配備するようになった。
そして、ミサイルがついに発射されてしまう
事態が起こってしまった。
そう、15年前の戦争とは月で起こった
事件だったのだ。
とある工場のナーシニウムに火が付き、
大爆発を起こした。
それをきっかけに連鎖で次々と各国の工場が
爆発を起こし、結果、全体に広がって、
月が太陽のように燃える星となってしったのだ。
そうなったら誰も止められない、
自然に鎮火するには6000千年待たねば
ならない。
月での工場爆発は、地球にも環境汚染という
形で被害を巻き散らした。
月から毒性物質と放射線が降りそそがれ、
さらに追い打ちで酸素濃度が上昇し、
未知のウイルスが大量発生した。
これにより人類は住める土地を失い、
数えきれないほどの人々が
次々と亡くなって行くこととなる。
人類滅亡の危機を迎えたのである。
だが、地球上に唯一環境汚染されてない
場所があった。
それがマス国の国王が個人所有する
南極大陸だったのだ。
国王は、人類の存続を掛けて南極大陸へ
集結するよう全世界に呼びかけたのだ。
そして、ラプラス城のみを国有地とし、
他の土地は所有権を手放し、
自由に使っていいとしたのである。
さらに国王自身がかじを取り、多くの人が
南極大陸に行けるよう各国に船や飛行機を
手配してくれたのだ。
その結果、国王は環境汚染による影響で
命を落とすこととなった。
これを知った南極大陸へ集結した人々は、
マス国の国王を神みとして崇めたのである。
ミューミューとサララは、王族時代、
他国に対して特になにもしていない。
だが、全世界の人々にとっては、
マス国王家というだけで救世主であり、
神的な存在なのだ。
ミューミューとサララにとっては、
知るよしもないことだが、
全世界の人々にとって王女の死は、
どれだけ衝撃を与え、
悲しみに包まれたか計り知れない。
今回の葬儀からもうかがえる。
全世界の人々の呼びかけによって
実現したことなのだから。
~~~ レジノ研究所:会議室 ~~~~~~~~~
モカリス総長の呼びかけで、
サモス含む軍人31名、
カールを含む研究員10名、
ミューミューとサララが、会議室に呼ばれた。
彼女らを除けば総長に忠誠を誓う者たちだ。
モカリス「今日ここにお集まりいただいたのは
マス国集中管理室への襲撃に関する
ことだ。
決行日と作戦方法が固まったので
報告する。
初めに伝えておく。
想像つくとは思うが、今回の任務は
生きて帰れる保証はない。
むしろ全滅する可能性の方が高い。
君達には家族や大切な人も居るだろう。
夢もあにちがいない。
本作戦は強制しない。
辞退して頂いて構わない。
参加したくないものはこの会議室から
出て行ってくれ。」
・・・
モカリス「全員参加でいいんだな。
君たちの勇気に感謝する。」
軍人1 「ちょっとよろしいでしょうか?」
モカリス「なんだ!」
軍人1 「彼女らはどうしてこの場に
いるのでしょう?」
彼女らとは当然ミューミューとサララのことを指す。
そんな疑問が生じるのは当然のことだ。
どこからどう見ても軍人ではなく子供なのだから。
ここに居る全員は、彼女らの存在は知っている。
モカリス総長が個人的に保護している2人という
認識でいる。
サモス 「私から説明する。
彼女らはラプラス城の内部を知る
数少ない人物だ。
亡くなられた王女に仕えていた期間が
あり、城の細部まで知り尽くしている。
今回、情報提供していただくため
この場にお呼びした。
実行部隊に参加させるつもりはない。」
どうやらこの説明で、全員納得してくれたようだ。
モカリス「よろしいかな。先に進める。
では決行日から。
明日から王女の追悼式が開かる。
その最終日の終了間際に実行する。」
会場がざわつく。
モカリス「理由は、城に堂々と近づけるチャンスが
このタイミグしかないからだ。」
軍人2 「よろしいでしょうか?
検討されたこととは存じますが、
よりにも王女の追悼式ですよ。
そんな神聖な場所で騒ぎをおかしたら
国内からも批判が出るものと思われますが。」
軍人3 「同感です。
下手をすると全世界の人々を敵に
することになるだろう。」
軍人2 「王女は我々人類を救ってくれた
最後の方なのですよ。
毎日ベッドで寝れて、美味しい物が
食べられるのは、マス国が供給して
くれてるおかではないですか。
それを踏みにじるおつもりですか?
命令すればそれに従いますが、
正直私自身は祭典を汚したくないと
思っております。」
彼の発言を聞いて、ミューミューとサララは
自分達が軽はずみで死んだ事にしたのに
対し後ろめたくなってきた。
自分達のことしか考えてなかった。
世界の人々から、自分達がどう思われていたか
なんて初めて知ったのだから。
そして、モカリスとサモスに元王女であることを
打ち明けた際に取った行動を本当の意味で
理解できた。
王女という肩書で膝まついたのではない、
心の底から敬いで膝まついたのだ。
軍人3 「私は王家を崇拝している1人です。
大変申し訳ないが、こればかりは
参加することはできない。」
軍人4 「命が惜しい訳ではないが、
私も参加できない。」
軍人5 「納得のいく説明を
していただけないだろうか?」
ミューミューは自分が、王女であると
打ち明けよう決心し、立ち上がる。
するとサモスが察したのか、言葉を発するな
と手でジェスチャし、座りなさいと指示する。
サモス 「その意見が出ることは分かっていた。
私も含め、この場に居る全員が
同じ気持ちだと知っている。」




