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2ー8 何でも出来るというのは思い上がりだ

~~~ テレスの隠れ家 ~~~~~~~

ミューミューは目を覚ます。

見慣れない天井だ。

左腕を伸ばしタグがあることを確認する。

自分は昨夜から夢の世界に留まっている

ことを確信する。


この世界は好きだ。

だけど現実世界に戻れないのはいやだ。

向こうには、お父さん、お母さん、友達がいる。

みんなと別れたなくない。

徐々にではあるが、夢の世界にいる時間の方が

長くなりつつある。

だから、毎晩現実世界に戻ってもらわないと、

このまま一生戻れないのではと

不安にかいなまされる。


横を振り向き、サララの寝顔を眺める。

一緒のベッドで横たわる彼女を見ていると

嘘のように不安が消えて行く。

それは同じ境遇を持った人間が側に

いるからではない。

こちらの世界にも大切な人達が居ることを

再認識できるから。


サララ「おはよう。」( ^^)


気づかないうちにサララが目を覚ましていた。


ミュー「おはよう。」(^^ )


サララ「どうしたの。考え事?」( ‥)

ミュー「もし、このまま現実世界に

    戻れなくなったらって考えたら

    不安になっちゃって。」(.. )


サララ「どうして不安になるの?

    私はこっちの世界が好きだよ。」( ^^)

ミュー「なんで?」


サララ「だって、勉強しなくていいんだもん。」

ミュー「そんな理由なの。」(-- )


この世界にサララが居てくれてよかった。

悩み事がちっぽけな事に思えて来るから。


サララは小さな戸を開けて外の景色を見る。


サララ「おぉ、すごく天気いい。

    今日はお出かけ日和だよ。」

ミュー「人工の天気なんだから当たり前でしょ。」


サララ「もう、ロマンチックじゃないね。

    もっと楽しくいこうよ。」

ミュー「そうだね。

    サララの言う通りだね。」


ミュー「今日はどうしよう。どこか遊びに行く?」

サララ「遊園地に行こうよ。

    近くにリゾートホテルがあるといいなぁ。」


ミュー「それ、ディズニーランドじゃん。

    この世界に遊園地なんて、無いでしょ。」


ミューミューとサララはタグで調べ始める。


サララ「この店、美味しそう。

    ドーナツ食べたい。有名店らしい。

    他にも美味しそうなの沢山ある。

    ここに行こう!」

ミュー「遊園地行くんじゃなかったの?」


サララ「食べ物の方が大事だよ。」


サララ「あった!遊園地。」

サララはミューミューに情報を送る。


ミュー「カルロ遊園地。ショーもあね。

    私、乗り物よりもショーを見る方が好き。

    ここにしよ。」


ミュー「2時間後に開演だから、

    急いで食べて準備しましょ。」

サララ「向こうで食べようよ。もったいない。

    あと、あいつが起きる前に出たいし。」


ミュー「だめだよ。お世話になったんだから。

    黙って出て行くのだけは止めましょ。ね?」

サララ「わかりました。でも、もう二度と

    ここに来るのはいや。」(>_< )


~~~ フィジ国:ミヤ地区 ~~~~~~~~

ミューミューとサララは、カルロ遊園地を目指し

タクシーに乗車中。


目指す遊園地は、かつてアストロ国との

友好の証として作られたもので、

アストロ国との国境沿い存在する。

国境が断絶するまでは、自国民並びに

アストロ人も自由に入園できる場所であった。


サララ「入ったら、このクレープみたいなのを

    食べたい。

    今月限定メニューもある。

    これも捨てがたい。

    夜はディナーメニューにしたいし。

    うぅ、大食いの人がうらやましい。」

ミュー「そんな一気に食べなくても。

    私達、暇なんだし。

    何度でも来ればいいでしょ。」


サララ「その考えは甘いわ。

    私達は世界を旅するのよ。

    いつこちらの世界に来れなくなるかからないし。

    今日が最後という考えで行動しなくちゃ。」

ミュー「はいはい、分かりました。

    お任せします。」( --)


ミュー「しかし、ステーションを出ると

    寂しいころよね。」

サララ「そもそもステーション自体が不気味。」


1車線しかない1本道にを複数の車が行き来する。

その中の1台にミューミュー達が乗るタクシーが

存在する。

遠くに見えるステーション群、周辺は何もない荒野。

とても都会とは思えない光景を目に、

会話する2人であった。


サララ「遊園地が見えてきた。」

ミュー「結構大きい。

    屋外だと思ったら屋内なんだね。」


見た目は遊園地というよりも、ステーションと

同じような巨大で無機質な建造物である。

あの建物の中に観覧車があるとはとても思えない。

遊園地と同時にフィジ国全体を囲む国境の壁も

見えて来た。


サララ「人が沢山いる。」

ミュー「本当だ、あそこで何してるんだろう?」


タクシーの進む先に、人だかりがあたった。

そして、その人達が集まる、ちょうどその場所へ

タクシーは停車する。

そう、ここはアストロ国への出入り口である

検問所であり、遊園地の入口でもある。


ミュー「遊園地入るのに並んでいるのかしら。」

サララ「それにしては並んでないよ。

    待ち合わせじゃないの。」


だが、そこに居る人達は、これから楽しもう

という雰囲気ではない。

落ち込んでいる人や、泣いている人の姿もある。


ミュー「サララ。」("o_o)

サララ「わかった。気になるんでしょ。

    とにかく降りましょ。」(^^;)


2人はタクシーを降りる。


ミュー「ここの人達は何の集まりですか?」

中年男「そうか。君たちには関係ないか。

    ここに居る連中は、アス国側の

    人と面会手続きをするために

    朝早くから並んでた人達だ。

    じゃが、本日分の受付は終了した。」


ミュー「えー、まだ午前中ですよ。

    もう終わりですか。」

中年男「面会を希望している人間は

    数万といるからね。」


サララ「終わったのに何をしてるのですか?」

中年男「あそこで並んでいる人達は別じゃよ。

    受付を済ませた者じゃ。

    これからアス国の人と面会するんで

    順番待ちしとる。

    ワシも含めて、この辺でウロウロ

    しているのは、受付が締め切られた連中さ。

    わざわざ遠くから来たからのう。

    このまま帰るのもあれなので。

    キャンセル待ちでもなんでもええ、

    何か起こらないか待っとるのさ。」


ミュー「状況を理解してませんが、

    アストロ国の人とは連絡が取れないのですか?」

中年男「お主らそんなことも知らんのか!

    ちゃんとニュースを見なさい。

    1年前に国交を断絶しただろう。

    ワシらは突然向こう側へ自由に

    行けなくなったし、

    連絡も取れなくなった。」


中年男「お前さんのように、アストロ人に

    興味が無い人には分からんだろうが、

    ワシらには、お世話になった人や

    家族がおる者もいる。

    会いたいのじゃよ。」

ミュー「そうだったんですか。

    すみません。無知で。」


中年男「いや。話しかけたのがワシでよかった。

    そんなぶしつけな質問を他の人にしたら

    怒鳴られてることろだ。」


見た目80歳位だろうか、

車イスに乗っているお婆さんが、

警備員ともめている。


婆さん「お願いします。」

警備員「気持ちは分かるが、

    我々もどうしようもできない。」

婆さん「あと2人だけ。どうかお願いします。」


この婆さんも順番待ちをしてた組のようで、

なんと次の次というところで、

受付が打ち切られてしまったようだ。


警備員「申し訳ないが、また来週来てくれないか。」

婆さん「夜から並んでたんです。

    先週も、先々週も。

    向こうに爺さんいます。

    顔だけでも見させてくれませんか。」


警備員「すまない。気持ちは分かるが、

    私にはどうしようもできない。」

婆さん「お願いします。」

警備員「また、来週来てくれとしか言えない。」


ミューミューとサララは、お婆さんの会話を

聞いて胸が締め付けられた。

どうにかして叶えてあげたいが明暗が浮かばない。


中年男「ワシなんてましな方だ。

    あのように家族と離ればなれに

    なった人は辛い。

    代わってあげたいが、

    ワシも受け付け取れんかったからのう。」


話を聞いていたサララが警備員に食って掛かる。


サララ「なんで受け付けてあげないんですか!

    2人位いいじゃない。」(--#)

警備員「規則だから仕方ない。」(;‥)

サララ「話聞いたでしょ。

    何とも思わない訳?

    他人事だからそんなこと言えるんだよ。」


警備員「私だって何とかしてあげたい。

    だが末端の警備員に何ができる。

    回りを良く見てみろ。

    この人だけ特別扱いはできない。」(#--)

サララ「なんでもっと受け付ける人数

    増やられないのよ。

    だれに言えばいいの?」(--#)


警備員「無理だ。

    これは我が国だけの問題ではない。

    アストロ国側の対応も必要だ

    ということを忘れるな。」


ミューミューは、中年男に会釈をし、

お婆さんに話しかける。


ミュー「私が、お爺さんと

    お話しさせてあげる。」(^_^ )

婆さん「ほんまか。そんなことできるか。」( i_i)

サララ「安心して、彼女、アストロ国と

    連絡が取れるから。」(^_^ )


警備員は、小娘がバカなことを言い出しと呆れる。

他国への通話などできるわけがない。

この婆さんが更にショックを受けるのは確実だ。

警備員は関わるまいとしてこの場から離れる。


ミュー「お爺さんは、どうして

    アストロ国に居るんですか?

    仕事か何か?」

婆さん「いや、私も爺さんもフィジ国人じゃ。」


サララ「2人ともフィジ国人なの?」

婆さん「息子がアストロ人と結婚して、

    向こうに住んでるのじゃ。

    私がこんなんだから(車椅子だから)

    爺さんは一人で息子夫婦のところに

    遊び行ったんじゃが、

    そのとき持病の病気が再発してしまって

    向こうで入院してしまった。

    私が迎えに行としたときに

    国交が断絶されしまって、

    そのまま別れ離れになってしもうた。」


ミュー「そうだったんですか。」

サララ「お爺さんが、フィジ国人なら

    戻れるんじゃないの?」


婆さん「そうなのじゃが、戻って来ないし、

    連絡も取れないしで困っておる。」


ミュー「ごめんなさい。

    勉強不足で適当なことばかり言っちゃって。」

婆さん「かまわへん。

    若い人たちには私のような人間もおる

    ということを知ってくれればええ。」


サララ「息子さんも連絡して来ないなんて親不孝ね。」

ミュー「サララ。だめだよ。

    そんなこと言いっちゃ。

    向こう側からだって、連絡したくても

    できないんだから。」(--#)

サララ「そっか。」( ..)


ミュー「ちょっと待ってください。

    お爺さんとお話させてあげる。

    今からアストロ国に繋げますね。」


ミューミューは、お爺さんの居場所を探して、

次の瞬間青ざめる。


ミュー「どうしよう。」(;‥)


サララとアイコンタクトを取る。

サララも無言で検索を始めると、

ミューミューの言葉を理解する。

探しているお爺さんは半年前に亡くなっていたのだ。


ミュー「えーっと。」


ミューミューは、お爺さんが亡くなっていることを

伝えるべきか、嘘をつくべきか迷った。


婆さん「ありがとうね。2人は優しい。

    出来ないことくらい子供でも知っとる。

    その気持ちだけで十分じゃ。

    ありがとう。」


お婆さんは、車イスに乗ったまま、

上半身を曲げ、深くお辞儀をした。

ミューミューとサララは、

なって言っていいか言葉に詰まる。

大口叩いて何もできない上に、

お礼まで言わせていまって。

申し訳ない気持ちと無力さが込み上げて、

頬から涙が流れ出す。

2人も、お婆さんへ深くお辞儀をする。


ミュー「ごめんなさい。」


かすれた声で、この一言を言うのがやっとだった。

お婆さんは、笑顔で振り向き帰路へと進み始める。

追いかけて真実を言うべきか迷う。

教えなければ、おそらく来週も、再来週も、

ここへ来るのは目に見えている。

だが、アストロ国との連絡が取れない現状下で、

真実を伝えたところで信じてもらえるのだろうか。


2人は、結局何も言葉を発することができず、

遠ざかるお婆さんの後ろ姿を眺め続けた。



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