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3-36 めっちゃ褒められました

~~~ ドメニコ軍事施設:東棟5階 ~~~~~~~~~

アブル「館長のアブルだ。

    本日南棟8階で300名近い負傷者を出す

    大火災が発生した。

    ここに集められた者は、この火災

    で救助活動に従事した者たちである。

    心より感謝を述べる。ご苦労であった。

    

    火災の発生原因は、計測機器メーカーの

    技術者が、単独で軍の極秘情報を入手しようと

    したところから始まる。

    監視室が、不正アクセスに気づき、

    その者を捕らえようと、周囲を囲み袋のネズミ

    にしたところ、逃げ切れないと知った技術者は

    その場で自爆したのだ。


    爆発は小さく、威力は大したものではなかったのだが、

    たまたま近くにあった爆破物に引火し、連鎖で

    誘爆が拡大して行き、こような事態を招いだ。


    8階で作業されたシルキー小隊と地域警備隊の諸君、

    並びに志願兵の4名

    感謝を述べたい。前へ。」(-- )


ミューミューを中心に、シルキー小隊と、サポートした

総勢26名がアブル館長の前へと並ぶ。


アブル「総司令官からの祝辞がある。全員規律。」


会場の全兵士が立ち上がる。


アブル「スクリーンに注目。啓礼。」


軍人は、スクリーンに向かって啓礼をした。

ZATを含む警備隊は軍ではない。

なので啓礼する必要はない。

先頭に並ぶミューミュー達一行は、一応姿勢を整え

立ち尽くすだけでいた。


正面の壁に設置してあるスクリーンに

国防軍総司令官が映し出される。


アブル「休め」


サモス「お集まり頂きご苦労。

    救助活動にご協力いただいた諸君らに心より感謝を述べる。

    ご存じの通り発生場所は武器開発エリアであり、

    爆破物や発火性の強い薬品、材料が多く置いてある

    場所であった。

    現場は火の海で、爆発が絶えず、本来ならば、

    人が入って作業できるような状況ではなかったと聞く。

    諸君らはそれでもなお、己の命をかえりみず

    救助を最後までやり遂げてくれた。

    大変誇らしいことである。

    この国の軍や警備隊に勇敢で正義感のある若者が

    存在しているのを知り嬉しく思う。

    今回の活動による諸君らの功績は大きい。

    多くの人を救っただけでなく。

    軍にとって大事な人材を失わずに済んだのだ。

    軍幹部を代表して、改めてお礼を申す。」


司令官の言葉は、この会場に居る全員に送られたものだった。

兵士たちは皆、集められたものの、我々は蚊帳の外であり、

称賛される者は前方に整列する警備隊だけだろうと

誰しもが考えていたのである。


今回の件に関しては、確かにその通りである。

最前線で作業していた警備隊と比較したら、

兵士である我々は何もしてないに等しい。

最前線ではないとは言え、恐怖と闘い続け、

命を張って活動をしたという誇りは持っている。

それが認められたのは嬉しかった。


サモス「今回、特に大きく貢献したのはシルキー小隊と

    サポートした警備隊である。

    軍の敷地内で発生した火災だ。

    本来ならば、軍が率先して救助活動を

    しければならいなところであった。

    任せられる人材がいなかったのと、

    特殊部隊を配置するのに時間が必要だった。

    

    幸いにも災害の専門チームであるZATが

    居合わせてくれてた。

    そして、近隣の警備隊がお応援に駆け付けてくれた。

    なんともありがたいことか、

    民間である警備隊に任せるのは心苦しかった。

    というも、実験炉の爆発を食い止める手段はなかった

    からだ。

    それを承知の上で、シルキー小隊は引き受けてくれた。

    8階で作業するということは死んでくれと言っている

    のと同じだ。」


サモス「よく」( TT)


・・・


司令官は感極まり声を詰まらせる。

シルキー小隊が要請を受けた時点で、

彼らとは、二度と顔を合わせることはないだろう

と思っていたからだ。


サモス「よく戻って来てくれた。

    感謝の言葉では表しきれない。

    特にミュー隊長殿。

    あなたは、実験炉の付近で単独で

    救助活動をしてくれた。

    いつ爆発するか分からない中でだ。」


今、司令官は『単独』と発言した。

会場内が少女に視線が集中する。

誰が見ても自分よりか弱わそうな少女だ。

どちらかというと救助するというよりも、される側である。


ZATの隊長は怖くて逃げだしたのではなかったのか!

ロックの発言が頭を過る。

真実は逆であったことをこの場の軍事が知ることとなる。

誰もあの場所での作業はできないとあきらめていた。

目の前の少女が、それを単独でやってのけたのだ。


先ほどの司令官の言葉で、自分たちがふるい立たされた

のが恥ずかしくなる。

この少女は正真正銘のZATだ。尊敬に値する。

まさに我々があこがれたZATの隊長が

目の前にいることを実感する。


ロック自信もまた同じ感情を抱く。

先ほどの無礼な発言がフラッシュバックされ、

周りが、部下が、どう思われてるのか考えるのが怖い。

逃げ出したい。

とにかくこの場から出て行きたい。

そのことだけが何度も頭を過る。


サモス「あなたは誰よりも勇敢であり、

    高度な知識を持っている。

    体力、腕力も含め、全てにおいて

    ずば抜けた能力の持ち主だ。

    アストロ国にとって国宝級の人材といえる。」


司令官からお褒めの言葉を頂き普通ならば

喜ばしいことである。

だがミューミューは違った。


ミュー(悔しい。悔しいよ。

    これ自分の力じゃない。

    全ネロじゃない。)


ミューミュー自信は、今回の作業がかなり危険ものである

という認識はあったし、ネロの状況を聞く限り

流石に死ぬかもしれない、という自覚もあった。


だが、司令官の言葉を聞いて気づいてしまった。

全ての最適な行動はネロによるものだったと。

そして、人に尊敬されるような思考で

取り組んではいなかったと。


確かに救助活動中は必至だった。

全員救う意気込みで一生懸命やった。

嘘ではない。

だけど、救助者を助けたい、救いたいという気持ち

だったかと問われると、強く肯定できない。


部下に死んでほしくない。

それが大前提だったから。

そのために必死だったといえる。

だから一番危険な場所へ一人で作業したのだ。

もしメンバーの誰かと共に活動したならば、

救えた命はあったかもしれない。

そう考えると、自分は尊敬さるべき人間ではないと思ってしまう。


サモス「付け加えるならば、シルキー小隊は、

    先日の建国祭での活躍も大きい。

    一般市民が10万人も居たメイン会場で、

    ボランティアの協力を集い応急処置を

    させたのは模範とすべき行動だ。

    結果、1人の死者を出さなかったという快挙と、

    会場を混乱させずに帰宅させた功績は計り知れない。」


ミュー(これもネロじゃない。)


称賛されればされるほど、ミューミューは心に突き刺さる。

建国祭の件も、親友のマスミンには褒められたが、

自分は今でもゲーム感覚でいたという思いがあり

後ろめたい。


サモス「以上を踏まえ。

    シルキー小隊、ならびにサポートメンバーには

    名誉勲章を贈呈する。」


正面の扉から、女性の軍人が腕章を持って入って来る。


アブル「シルキー小隊ミュー隊長殿。前へ。」


ミューミューは一歩前へ出る。


自分は受け取る資格はないと思っている。

だが思いは関係なく、受けたらなければならない。

それは、ネロのため、シルキー小隊の尊厳のため、

強いては司令官や館長の面目を保つためである。


女性軍人は、ミューミューの左胸に勲章をつける。


♪パチパチパチパチ(拍手)


続けて、メンバーの名前が1人づつ呼ばれ、

一歩前へ出て勲章を授与された。


♪パチパチパチパチ(拍手)


サモス「最後に!

    現場はいまだ作業は続いているが、

    ここの会場に居る者は本日の活動を中止し

    休息して頂きたい。

    では私から話しは終了する。

    これからも精進して頂きたい。

    以上」


モニタが真っ黒へと変わり、サモスの姿が消る。


アブル「ミュー殿。私からも感謝する。

    あなたが居なければ、救助されたものは

    おそらく全員亡くなっていただろう。

    ほんとうにありがとう。」


ミューミューは首を左右に振って

そんなことはないと無言で返す。


アブル「諸君。ご清聴ご苦労。

    本会議を終了する。

    解散。」


解散と言われても、軍人たちはその場を動かない。

それどころか、ミューミュー一行に啓礼しだしたのだ。


軍人たちに見守られながら、ミューミューを先頭に

シルキー小隊ならびサポートメンバーは会場を

後にする。

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