表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/103

3-34 メンバーの1人が人生をまっとうしました

~~~ 第3発光炉:監視塔 ~~~~~~~~

ルジャンはウイングに乗り込み出撃の準備をしている。

死への恐怖はない。

このミッションを実施することによって

確実に死ぬことは理解している。

それはどこか他人事な感じで、どちらかというと

ミッションが失敗する方を不安ししていた。


ルジャン(タイムリミットは60秒が限界だろう。

     30秒で到達し、起爆スイッチを入れる。

     何の障害がなければ十分間に合う時間だ。

     いける!)


鎮痛剤と興奮剤の投与によって、負傷による痛みはなく

今は頭も冷静だ。

ウイングに乗る際に、傷口が開き足元には血が広がり始める。

その状況にルジャンは気づいているが気にも留めてない。


人生最大のミッションをこれから開始しようとしている。

隊長の命令を無視して決行するのだ。

絶対に失敗は許されない。

この施設にいる全員の命も掛かっている。

事は重大なのだ。


作業は簡単だ。だがその重大際に、

頭の中では3番炉までのコース取りと作業内容を

何度何度もシミュレーションさせていた。


準備が整うと、ルジャンは倉庫のハッチを開ける指示を出す。

2重扉の内側が開く。


♪ビー、ビー、ビー、ビー


館内への放射線量が閾値を超え、警告音が鳴り出す。


内側の扉が開ききる前に、外側の扉も開き開き始める。

と、同時にルジャンはウイングを発進させる。

作業時間の確認用にあらかじめ表示させていたタイマーが、

ウイングの移動と共に00:00からカウントアップが開始される。


ウイングは、体勢を低くして、

半分しか開いていない外扉を潜り抜ける。

ウイングが通り抜けると、2重扉は自動的に閉まり出した。


ウイングは、3番炉を目指し、舗装された平坦な道を

全速力で疾走する。

ちなみに、通信は受信拒否にしてある。

メンバーからはおそらく激励の言葉をもらえると思うが

隊長は引き返すよう指示をするだろう。

決心が揺らがないようの処置である。


【タイマー表示】00:20


炉心は1番炉から5番炉までの建屋があり、

3番炉は監視塔から一番近い場所に位置する。

起爆スイッチの設置場所は、3番炉の右側面にあり、

直線距離的には若干遠くなるものの、

正面には調査団によるバリケードの残骸があるため、

幸いにも最短で辿り着ける場所となっていた。

しかも、建屋の天井からは光の柱が飛び出しているため、

最短で進まなければならないルジャンにとって

その光柱は良いガイド役割を果している。、

怖いほどに良い事ずくしである。


【タイマー表示】00:30


予定よりも早く、目的地に到着。

近くまで来て分かったことだが、3番炉の爆発による

破損はひどい。

壁が穴だらけで、内部の物が飛び出していたりする。


監視塔を出てから30秒が経過。

ルジャンの鼻と目元から血が出て来た。


♪プビュー


ルジャンが付けている首輪から薬が投与される。


ルジャン(頼むあと数秒、もってくれ!)


ルジャンは自分自身に言い聞かせる。


起爆スイッチは、建屋の側面に施錠されており、

1m四方の扉の奥にある。

ボタンは3つあり、内2つは起爆ボタンである。

その2つのボタンを同時に押すことによって

1時後に作動する仕組みとなっている。

残る1つは、緊急用で、即時に発動するボタンだ。

要するに3つのボタンを押せば即時に実施されるということだ。


    +ーーーーー+

    |     | ● 起爆スイッチ

    | ● ● | 〇 緊急用

    |     |

    |  〇  |

    |     |

    +-----+


解除する鍵などない。

ウイングは、起爆スイッチの扉を最大限の力でパンチする。

穴は開かなかったが、扉は拳の跡がはっきりと

残るほどへこんだ。

更にもう一度パンチする。

すると今度は、ウイングの拳が扉を貫通した。

拳を抜くと、扉は拳に絡みついたまま取れてしまった。


3つのボタンを確認した。

今度はゆっくり正確にパンチする。


♪ウー、ウー、ウー。


ウイングの拳が、3つのボタンを同時に押したのだ。

警告音のサイレンが鳴り、赤色ランプの警告灯が光る。


♪ババババババババン。


建屋内で小さな爆発音が大量に発生した。

それは、炉心本体と建屋との接合部分が破壊された音だった。

炉心本体を支えている接合部分が粉砕され、

必然的に下へと落ち始める。


その光景を見てルジャンは安堵する。


【タイマー表示】01:06


タイマーを見ると1分を超えている。

流石に意識がもうろうとして来た。

それは体内の血液が無くなっているせいなのか、

放射線の浴びすぎなのかは分からない。

ここまで、よく持ったものだと自分自身を感心する。


♪ギギギーー


炉心本体が1m下がったところで停止した。

地下まで落ちて行かない。

音をしたところを見て、原因はすぐに分かった。

炉心本体と建屋の間に鉄骨が挟まってて、

引っかかって止まったのだ。


どう見ても短時間に取り除けそうにない。

思考は絶望と判断したが、体は何とかしなければと

建屋の中へと入り、問題の場所へと行ってみる。


【タイマー表示】01:23


01:23の表示が見える。


ルジャン(なんだ!この数値は?

なんでオレは、こんな狭い中に

閉じ込められてる?

どこ?ここ!)


♪プビュー、プビュー、プビュー


大量の薬品が、ルジャンに投与される。


ルジャンは、一瞬だけ自分の目的とこの場所に居る理由を

思い出すことが出来た。


ウイングの背中にあるミサイルが両サイドの肩へ移動させ、

ウイングをジャンプさせる。


♪ドーン


2発、ミサイルが発射され鉄骨に直撃する。

だが、完全に取り除くことはできなかった。

細かな鉄屑が残っていて10cm

沈んだところで、また停止してしまった。


そこへ、ウイングが炉心本体の上部へ仰向けのまま落ちる。


♪バーン


その反動で、炉心本体が更に10cmほど落ちた。

すると、引っかかっていた鉄屑がはずれる。


♪ゴーーー


炉心本体は、急降下し、地下深くへと潜っていった。

ウイングは、仰向けのまま炉心と共にこの場から消えた。


この時、ルジャンの意識はもうない。

生死は不明だが、顔は笑みを浮かべていた。


~~~ 第3発光炉:監視塔 ~~~~~~~~

現在、調査団も含めて全員、倉庫に移動していた。


サララは、時折、涙を拭きながらも

無言で脱出準備を進めている。


ここに居るメンバーは、

サララ、ラグラン、プラス、ファルカのサララ小隊4名。

逮捕した15名の調査団とテレスを合わせた計19名。


対して、倉庫にはサララ小隊のウイングが3台しかない。

監視塔の出入口付近に調査団のウイングが1台はある。

あとは、あらゆるところに調査団のウイングが

点々と置いてある状況だ。


調査団とテレスは、逃げられないよう2台のコンテナに

8名づつ手錠を掛けたまま乗せることとした。


このコンテナをウイングでけん引してセキュリティセンター

まで運ぼうという作戦だ。


♪ウー、ウー、ウー。


遠くで警報が聞こえる。

サララ小隊のメンバーは、ルジャンが爆破に

成功したことを確信する。


サララ「死にたくなければ、急いで!」(T_T)


調査団の団員は次々とコンテナへと乗り込む。


テレス「あいつは英雄だ。

    最高の人生をまっとう出来と思えたんじゃないか?」

サララ「なんでそんな事言えるのよ。

    適当なこと言わないで。」


テレス「いや言い切れる。

    炉心の破棄とここからの脱出。

    まず親衛隊として、アリーを2度も救えたんだ。

    そして、ZATとしてあの絶望から

    ここに居るみんなを救えた。

    彼にとってこれ以上望むことなどないだろう。

    うらやましい事だ。」

サララ「分かったようなことを言わないで。」


テレスがコンテナへ入り、ラグランが扉を閉め鍵を掛ける。


ラグラン「準備が完了しました。」

サララ 「全員、無事でセンターに戻るわよ。」

隊員  「了解」


サララは、ラグランが操作するウイングの足にある

フックを掴み立ち乗りする。


いつでも出発可能だ。

後は、放射線量が下がればいつでも脱出できる。


サララ (これを計画した奴!絶対にゆるさいない。

     メンバーの前で謝罪してもらうわ。)(T_T)


サララは無言で涙を何度もぬぐう。


♪ゴーーーー。ガタガタガタガタガタガタ。


地響きと小さな振動起こる。地震だ。


計器を確認する。

放射線量は100分の1まで下がった。

だが、まだ外を出歩くには数値は高すぎる。


そして、警報がなってから1分ほど待っても

数値が更に下がる気配がない。


サララはウイングから降り、1つのコンテナを開ける。


サララ「テレス!聞きたいことがあるんだけど。」(--#)

テレス「顔が見たいなら素直に言いなよ。」( ^^)


サララ「ふざけないで!」(--#)

テレス「オレは、いつでも大真面目なんだが。」 (;--)


サララ「線量が下がらないの。原因分かる?」

テレス「数値からして、炉心は廃棄場まで落ちたな。

    だが通路がふさがってないんじゃないと思われる。

    要するにクズ素がバラまかれてない可能性が高い。」


テレス「オレが行ってみて来るよ。

    手錠を外してくれ!」


サララ「あんた。逃げる気でしょ。」(--#)

テレス「素直じゃないな。行かないで。

    死んでほしくない。って言えば良いじゃん。」( ^^)


サララ「何言ってるの。死ぬ勇気もないくせに。」

テレス「そうなんだけどね。

    はっきり言うなよ。はずかしい。」


テレスは手錠を掛けられたままサララの手を両手で掴む。


テレス「聞いてくれ。アリーを死なせたくない。

    だから本気だ。信じて欲しい。」(-- )


サララ「策はあるの?」

テレス「現場を見てみないと何とも言えないが、

    きっとある。

    オレは臆病者だ。確かに死ぬ勇気などない。

    だが、アリーをここで死なせたくない。

    オレに掛けてみないか。」

サララ「なら、私がそれを...」


テレスは、サララの口を人差し指で軽く押さえる。


テレス「アリーが居なけば誰がここを仕切るんだ。

    オレに格好いいところ見てれくれ。」


サララはテレスの腕を払いどける。


サララ「逃げないと約束して!」

テレス「愛してると言ってくれたら

    死ぬまで付いていく。」( ^^)


サララ「どうなの?」

テレス「まづ第一に、逃げるとしても

    この監視塔の前を通る必要がある。

    そして、アリーは自在に

    ウイングをコントロールできるはずだ。

    アリーから逃げることなど不可能だと思うが。」


サララ「分かったわ。」


サララはテレスの手錠を外す。


テレス「ウイングは外の使うよ。あれ、オレのだし。」


テレスは、ロビーに戻り正面出口まで移動する。


テレス>>生きてたら濃厚なキスを頼む。( ^^)

サララ>>バカじゃないの。(--#)


テレスは、外に出ると走ってウイングに乗る。

発進すると全速で一直線に進み。

40秒ほどで3番炉に到着した。


線量が下がったとは言え、危険な状況には変わりはない。

炉心へ近づけば近づくほど、身体への影響は大きくなる。

テレスの鼻から赤い物がポタ、ポタと落ちる。


テレスは、10m離れた場所から壁面に空いた穴をうまく利用して、

1080度カメラを炉心が眠る穴へと放り込んだ。

カメラは、撮影しながら下へ下へと落ちて行く。


テレスは、カメラが撮影した映像を解析して、

クズ素の設置場所を特定する。


そして、持ってきた12本の小型ミサイルを同時に発射する。

ミサイルは、建屋の天井から、廃棄場への穴の中へと

軌道を変え進んで行き、指定された場所で爆発した。


爆発した箇所から大量の液体が噴出する。

そして、その液体はすぐさま白い泡へと変貌し、

大きく膨れ上がる。

更にそれが固まり、最終的にスチロールのように

硬くて軽いものへと変化した。

それが100m長もの壁となって放射線を反社したのである。


テレスは、ミサイル発射と同時に結果を確認せず

監視塔へと引き返えした。

クズ素の場所を特定できた時点で成功すると確信したからだ。

監視塔へ戻る間に、自身の健康をチェックをする。

顔が強ばる。

計器の値は降下が見られ、作成が成功したことを把握する。


サララ達も、計器を確認し塔を飛び出す。

3台のウイングが倉庫を飛び出す。

ラグランが先頭を走り。

その後ろをプラスとファルカが、

コンテナをけん引しなからついて来る。


サララはラグランに捕まって立ち乗りしている。

後ろを振り向き、テレスが向かって来るのを確認して安堵する。


テレスは距離を開けて、サララと並走する。


テレス>>ごめん。行かなければならないところが出来た。

    一緒に付いていけない。すまない。


サララ>>ほら、逃げる気だったんじゃない。

テレス>>逃げない。

    仕事が片付いたら必ず戻ってくる。

    信じてくれ。


サララ>>もう、何を言っても信じないわ。


テレスは進行方向を変え、

徐々にサララ達一行から離れて行く。


サララは、テレスのウイングをコントロールするよう

ポポに指示をだすが、できないと返された。


テレス>>オレの居場所はアリーにだけに分かるようにしとく。


サララのタグにテレスの居場所が見えるようになる。

そもそもおかしい。

テレスだけは、居場所が見つけられなかった。

この世界では、ミューミューとサララだけが、

世界の全ての情報を知ることができる。

にも関わらず、監視塔内でも近くにいたのに

それすら検知できなかったのだ。

こいつは只者ではないと、強く感じた。


サララ>>今だけでしょ。

    次、会うまで切断しない保証はどこにあるの?

テレス>>もう逃げ隠れしない。

    キスする約束したから、オレから会いに行く。

サララ>>ほんと。あんた頭おかしい。


テレスとサララの距離は離れ。

テレスとの通信が途絶える。

サララはセンターを目指し。

テレスはフィジ国を目指して進んだ。


テレスから建国祭の真相が聞けず。

見す見す逃がしてしまった。

きっとミューミューはわざと逃がしたと思うに決まってる。


なんて言い訳するか考えながら、何もない荒野を眺めて進む。

心地よい風を受けながら、ふとルジャンとの思い出す。

テレスの言う通り、彼はここの全員を救った

英雄なのかも知れない。

少なくとも隊員達はそう思っていることだろう。

だが、サララにはどうしても彼を殺したのは

自分だという思いが強く、英雄に思えなかった。

走馬灯のように彼との思い出が蘇り涙する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 2つのビルでの戦闘から救出、そして調査団との対決、脱出と怒涛の展開が続きましたね。 まるでジェットコースタームービーのように先へ先へと読者を誘ってくれます。 ミューミューとサララの個性の…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ