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3-2 もうやだ!大事件ですよ ②

~~~ アストロ国カリポス都市 ~~~~~~~~~~~~~~~

事件発生10分前。


今日は待ちに待った建国祭。国を挙げてのお祭りである。

メイン会場は、テネオン市庁ビル1階。

1階と言っても300m四方の高さ40mもある巨大なホールだ。

1000近い企業が集結し、ホール内にパビリオンを作り、

まるで市庁ビル内に遊園地があるような会場となっていた。


今日は3日間行われる建国祭の初日。

自国民だけで祝うプライベートデーである。

会場は既に10万人もの人でごった返していた。

ちなみに、建国祭の残り2日間はパブリックデーとして、

2年ぶりに外国人を受け入れる予定となっている。


ミューミューは、メイン会場内で全神経をとがらせ、

危険の前兆がないか見回りをしていた。

そう、彼女は会場へ遊びに来た観客の1人ではないのだ。


容姿はどこにでも居るような10代の少女。

一般的な若者の格好をしてはいるものの、それは観客を

あざむくもので、市民の命を守る警備隊の一員だったのだ。


ミュー>>ネロ!サララにつなげて


ミューミューは脳内でタグに指示を出す。

タグには、身分証、通話、情報検索、健康管理の機能を備えており、

法律によって装着が義務づけられている。

これにより、国民はタグによって個人情報が管理されるだけでなく

健康情報ならびに現在位置がリアルタイムで監視されている。


健康管理機能に関しては、24時間、体内の血液成分や

ウイルスの侵入が監視している。

場合によっては、ビタミンの補給、体温調節、薬品投与と

いった役目も果たす。


この薬品投与機能の暴走が、数分後に起こることとなる。

ちなみに、全てのタグは肉体と直接つながる仕組みであり、

簡単に取り外しするようなものにはなっていない。


サララ>>どうしたの? ( ^_^)

ミュー>>うんうん、異常はないよ。平和平和。(^_^ )


通話相手は、サララと呼ばれる同い年の少女。

この世界で唯一の親友である。

今はセキュリティセンターという名の国防省で、

出動待機兼テロ監視員として勤務中だ。


通話は、タグのマイクに向かって話し掛けるのが一般的なのだが、

2人のタグは軍事用に作られた特殊なもので、声を出さずに、

脳内で会話できるすぐれもの。

ただ、相手の音声はというと、一般の人と同じ方法で、

こめかみに取り付けたヘアピンから骨伝導経由で聞くこととなる。


このアピンに付いて補足すると、通話だけでなく、

通訳機能としての役目も果たす。

国内だけでも数十の言語が使われ、民衆は基本1言語しかしらない。

このヘアピンを通して相手の音声がリアルタイムに翻訳され

骨伝導経由で聞くので、言語を意識することなく会話することがきる。

このとき、相手の生声は逆相の音波で流れ打ち消し合いため

聞こえなくなる。


ミュー>>そっちの状況はどう?

サララ>>ものすごく退屈なんですけど。( `3`)


サララ>>何で私だけここで仕事なの? ズルい!

ミュー>>しょうがないでしょ。命令なんだから。

    私だって遊びに来てるじゃないんだし。(^-^;


サララ>>でも楽しいんでしょ? ( `3`)

ミュー>>まぁね。(^-^;


サララ>>ほらぁ。もう、やってらんない。

    私もそっち行く。(>_<*)

ミュー>>だめだよ。真面目に仕事して!

    こっちもこっちで、女子一人でいるのも結構きついんだから。

    周りは家族かグループだけだし。


サララ>>じゃぁ、今すぐ代わってよ。

    朝からモニターとにらめっこしてて吐きそう。

ミュー>>分かった。

    じゃあ、今度、休みとって2人であそびに行うよ。

    よくよく考えたらこっちの世界で

    2人で遊んだことなくない?


サララ>>行く行く。なんでずーっとここで働いてるのさ。

    意味わかない。( `3`)

    同い年の子が青春しているというのに。

    わたしは何をしてるのさ。


ミュー>>じゃあ明日、仕事さぼって行っちゃう? (^_^ )

サララ>>行こ行こ。( ^0^)


これが実現しない約束であることは2人とも理解している。

だって、本気で言っている訳ではないのだから。


ミュー>>さっきね。

    長蛇の列になっているアイス屋さん見つけたよ。

    何かね。動物の形してて可愛かった。

    こっちのアイスってどんな味がするんだろう。

サララ>>食べたい。アイスだーい好き。\(>_<)/


♪ツツー、ツツー


ミューミューの脳内に着信音が鳴る。


ミュー>>ごめん、報告の時間だ。

サララ>>ほーい。


サララとの回線が切れ、軍事回線へと切り替わる。


ミュー>>こちらシルキー1,どうぞ。

隊員 >>シルキー5、異常ありません。

隊員 >>シルキー2、異常ありません。

・・・


5名の隊員達から15分置きに上がってくる定時報告だ。

そうミューミューは、10代でありながら5名の隊員を

束ねる小隊長である。


シルキー5>>隊長。その格好すごくお似合いですよ。

      全然イメージ違いますね。(^_^ )

シルキー4>>可愛いですよ。

      普段もそういう服装の方がいいんじゃないですか。

シルキー5>>バーカ。制服の方がいい。

シルキー4>>そうか?

シルキー6>>オレも作業着の方が好みだけどな。(^_^ )

シルキー5>>お前、何フェチだ。

シルキー2>>真面目に任務にあたれ。(--#)


ミュー >>みんな集中!

     引き続き不審者や異物がないか見回りお願い。(^_^ )

全隊員 >>了解。


任務中にバカ話をする隊員達。

隊長であるミューミューは、本来ならば注意して

意識を正す役目をしなければならない。

だが、そんなことはしない。

隊員達は、口ではああは言っているが、

まじめに任務を遂行していることを知っているのだから。


シルキー小隊は国内に5つしかないZATチームの1つであり、

警備隊に属する。

ZATは警備隊の中で、最上位を位置するレスキュー部隊であり、

トップレベルの警備隊員から選ばれるエリート集団でもある。

全警備隊員の憧れの存在であり、最終的に目指す場所でもある。

主な活動は、災害時での危険な作業であり、死と隣り合わせの

現場がほとんど。

なので、メンバーは家族を持たず、いつでも緊急出動できるよう

日々軍事施設内で訓練に励んでいる。


そんな彼らが、この会場の雰囲気に呑まれたのか、

バカな会話をしてくれた。

ミューミューは、それが凄く嬉しかった。


ミュー(さ、私も真面目に仕事しなくちゃ。)


ミューミューはパビリオンとパビリオンをつなぐ、

アーチ状の遊歩道を歩いていると。

正面の女性が目の前で倒れた。

そして現在に至る。


~~~ テネオン会場:階段の途中 ~~~~~~~~~~~~~~~

ミューミューは階段のところで2人の大男を支えていた。


♪ツツー、ツツー (着信音)


隊員 >>こちらシルキー2。隊長応答願います。

ミュー>>こちらシルキー1。

    連絡しなくてごめん。

    メンバー全員に告ぐ。

    本部から指示が来るまで全員その場で待機。

    今のところ倒れている人達は

    眠っているだけで、命に別状はありません。

    怪我をした被害者が居たら手当てをお願い。

全隊員>>了解。


一呼吸するまもなく階段の上下から数人の助けが駆け寄ってくる。


助っ人1「僕たちも手伝います。」(^_^ )


上から3人、下から4人の助っ人たちが来てくれた。


ミュー「ありがとうございます。みなさん親切ですね。」(^_^ )


全員の目を見てミューミューは感謝の気持ちを伝える。


助っ人1「そんな細い体ですごいですね。」

助っ人2「見てたよ。あんな高い所から落ちて怪我してないのか?」

助っ人3「感動しました。あなたは勇敢な人です。」


助けを求めた男は、『上から』という言葉を聞いて、

どこから?と上の方を眺めるも、ここに来るルートが思いつかない。


助っ人達は、意識を失っている男達そっちのけで

目の前の少女に興味しんしんだ。

近づいて分かったのだが、きゃしゃな身体で手足が細い。

後から助けに来た人たちも同じ感情を抱く。


そんな少女があんなところから飛び降りて来たんだと改めて感心する。

そして平然と3人の大男を1人で支えていただなんて。


ミュー「運が良かったみたいです。

    どこも怪我してません。」(^_^ )


少女は笑顔で受け応えする。

見るからに元気で、怪我の心配など無用な印象だ。


ミュー「申し訳ありませんが、

    私、行かなければならないところがあるんです。

    ここ任してもいいですか?」 m(_ _)m


助っ人1「ああ、いいよ。俺たちに任せろ。」

助っ人2「家族が心配してるのだろう?

     早く行きなさい。」


ミュー「みなさんいい人達でよかった。

    ではお言葉に甘えさせていただきます。」(^_^ )


ミューミューはお辞儀をすると、

ジャンプして階段横から下へと飛び降りた。

その場の全員が唖然とする。

だって、確認するまでもない。

ここは、人が気楽に着地できるような高さではないのだから。


助っ人1「危ない。」(>_<*)


助っ人の忠告を聞く前に少女は飛び降りてしまった。


その場の2人は、心配して少女の落ちて行った先を確認するも、

既に少女の姿はどこにもなかった。


少女は1mほどある透明な壁を、難なく飛び越えて、

更にこの高さから消えてしまった。


助っ人2「今の見ました!

     あの少女、もの凄い身体能力だ。」


ミュー>>ネロ?

    この会場で何が起きてるの?

ネロ >>おそらくテロ事件です。


ミュー>>テロ!本当に?

ネロ >>間違いありません。

    事件はこの会場だけではなく、国内全土で同時に

    発生してます。被害にあった方は、約100万人。

    発症は、タグから精神安定剤と解熱剤の薬品が投与され、

    2つの薬品が混ざることで、即効性のある睡眠薬へと

    変化したものと思われます。

    対象のタグは、SNT社の型番D505系のみであり、

    10機種、全てで発症しております。


ミュー>>SNT社って何の会社?

ネロ >>最近、国内シェアナンバーワンとなったタグメーカーです。

    特にD505系は国内で1番人気の機種だっため

    被害が大きくなりました。


ミュー>>何でテロだって言えるの?

    機械の暴走かも知れないじゃん。

ネロ >>通信による命令が来たら薬品を投与する

    プログラムを検出しました。

    利用者の体調に関係なく、

    強制的に薬品を投与するなどテロ以外あり得ません。

    そして、投与と同時に半径500mの人に

    同じ命令を発信する連鎖機能も検出しました。

    人から人へと伝染していく仕組みのようで

    国内全土へ被害が広まったようです。


ミュー>>えーそうなのぉ。怖ーい。

    意図的に作られてるとしか思えないじゃん。

    今日の事件を起こすために作られたタグてってこと?

ネロ >>可能性は高いです。


ミュー>>何のためにこんなことをしたの解らないけど、

    寝るだけなら安心したわ。

    倒れた人達は、このまま放っておいても大丈夫なの?

    永久に目を覚まさないってことはないよね?


ネロ >>今現在、発症者の全員は安眠している状態で、

    命に別状はありません。

    投与された薬品には毒性も2次効果はなく、

    20時間程度で効果は消えます。

    ほおって置いても次の日には目を覚ますでしょう。

    ただし、屋外で倒れている方は危険です。

    現在の気温は2℃。

    タグの能力をもってしても、動いていない人は

    体温を維持させるには難しいです。


    徐々ではありますが、

    野外の被害者は体温が下がりつつあります。

    1時間以内であれば99.9%の人が助かる見込みです。

    ですが、2時間放置した場合は50%、

    3時間ならば25%と1時間毎に生存率が半分になります。

    対策として、毛布等を掛けるなどして

    体温が下がらないようにする必要があります。


ミュー(それは大変。100万人でしょ。

    やばいよ、早く何とかしないと。) (--;)


ネロの話しを聞いて、ミューミューは会場の出口へと向かう。

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[一言] なろう系で投稿するなら顔文字とセリフ風は嫌われますよ
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