3-15 テレビのラスポスって激強だよね
社長が暴れ、騒ぐので、サララは集中できず、
スキャンを一旦中断する。
激痛から解放され社長の動きが止まる。
全身の力が抜け、ゆっくりと呼吸をする。
大人しくなったのを確認し、サララはスキャンを
再開する。
社長「んー。んー。」(>_<)
再び社長は暴れ出す。だが先ほどよりも元気はない。
押さえつけるにはちょうどいい。
やっと集中できる。
社長の記憶から味や臭い、歯応え、食感が
サララに伝わってる。
思わず唾を飲み込むほどの絶品だ。
本来ならこの世界で始めて見る贅沢な食事に
感動するはずなのだろう、
だが、社長は食べ飽きていたらしく美味しく
感じていない。
その感情がサララにも伝わり、感動もなにもない。
サララ(社長は事件に関係ないかな?
あ!
事件当日、ニコラのことを話している。
やっぱ知ってるんじゃん。)
・・・・
サララ(心のなかで、そろそろ事件が起こる
ことを知ってる。
やっぱり事件に関係してるよ。)
ポポ >>社長の容態が危なくなりました。
サララ>>もう?早くない?
ちょっとしか見てないよ。
っていうか料理しか見てない。(o_o)
ポポ >>これ以上続けますと危険です。
サララ>>えーそうなの。
社長、超~使えない。(>_<")
社長の様子を見ると、抜け殻のように見える。
サララ>>分かった止めるよ。最悪。
全然関係ないもの見て何してるのかしら。
私、何しに来たか分かんないじゃん。
スキャンを開始してから3分ほどしか経過してない。
社長はピクリとも身動きをしないが、
とりあえず生きているのは確認できた。
目が死んでおり、もう逃げようとか、
交渉しようとかする気力すらなく灰人のようだ。
記憶のスキャンは、法律違反だ。
サララは、証拠が残らないよう関係する
全ての物をジャケットへとしまう。
事件当日、社長はニコラの話をしていた。
社長は事件に何かしら関与していることはつかめた。
そうなると食事の相手も関係があるかも知れない。
サララ>>ポポ?事件当日、社長と食事を
していた人だれだか分かる?
ポポ >>はい、ASC警備会社の社長です。
この部屋にいる4名のボディーガード(黒服)
もASC社の者です。
サララ>>へぇ。ASC社も怪しい。他には?
ポポ >>ニコラはコアメーカーであるPCM社からの
出向扱いでOTM社へ配属された社員です。
ニコラだけでなく、同僚のジョンも一緒に
OTM社へ出向されてます。
サララ>>なんで分かるの?
ポポ >>先程のスキャンで、過去6ヶ月分の記憶を
採取致しました。
その中からPCM社の社長と通話している
記録があります。
サララ>>6ヶ月分の記憶って?
私が見てた部分以外にもデータあるの? (‥ )?
ポポ >>はい。サララ様が見たい部分を見せながら、
バックグラウンドで過去の記憶を採取して
おりました。
過去6ヶ月分の記憶を保存してあります。
つづきもお見せできますが。
サララ>>いい。この人、気持ち悪い。
結果だけを教えて。
サララ(良かったぁ。社長室まで乗り込んで
料理しか見てないなんて言ったら
ミューミューに何て言われるか。)
サララ>>事件当日の社長は、事件に関係してたの?
ポポ >>はい。あの食事会でニコラ殺害の連絡を
待っていました。
ASC社長が社員を使ってニコラを監視
していたようです。
監視者から殺すタイミングが来たとの
連絡が入り、
OTM社長のOKでテロを実施したのです。
サララ>>ニコラを殺すために、全国民を巻き込む
テロを犯したってことなの?
サララ(バカじゃないのこの社長。いかれてるわ。
監視者はこの人か。え!被害者の人じゃん。
しかもテロで死んでる。)
身動きしない社長を見つめる。
背中のかすかな胸部の動きで、
ゆっくりと呼吸しているのが分かる。
サララは生きていることを確認した。
サララ>>でもおかしくない?
ただ寝るだけの機能でしょ。
どうして殺せたの?
ポポ >>人通りがまったくなく。
眠ったら確実に凍死する場所を元々
狙ってようです。
おそらくニコラはテロのことは何も
知らされず、
その場所へ行くよう指示されたのでしょう。
サララ(なるほど。)
ポポ >>刺客からの連絡によると、ニコラが
SNT社を退社して、タグを差し替えて
いないことを報告してましたから。
サララ>>ちょっと待って!事件当日、ニコラは
SNT社に居たの?
ポポ >>はい、SNT社の入館記録を見るとニコラの
出入りはありません。
報告のあった時間帯は、ステファンみの
退出が記録されてます。
ですが、外に出たのはニコラです。
サララ>>つながった。ミューミューの予想は
当ってる。
やっぱニコラとステファンは同一人物なのよ。
ポポ >>それは違います。メーティスによると、
2人は同一人物ではないと断言しております。
サララ>>別人になりすますってことはできないの?
ポポ >>DNAを見て人を認識しているため、
別人になることは不可能です。
サララ>>メーティスの知らない方法があるのよ。
ニコラのタグを調べれば、
分かるんじゃないの。
ポポ >>ニコラの私物は、遺体と共に遺族の
要望で全て廃棄されました。
もう存在しておりません。
サララ(えー、やられた。証拠隠滅されてる。
ドラマでよく見るやつじゃん。
ってことは家族を追っても多分無駄か。)
サララ(ニコラを殺すのに、なぜこんな大掛かりな
テロを起こしたんだろう。
逆か!SNT社を蹴落とすために、
ニコラを送り込んで作らしたのね。
そして口封じのために殺された。
つじつまが合うわ。
仕組みは分からないけどニコラと
ステファンは同一人物なのよ。)
ポポ >>お知らせです。
19階で発砲事件が発生しました。
サララ>>1つ下の階?
ポポ >>はい、ジョンという男が打たれました。
犯人は、ASC社の社員で2人組です。
サララ>>ジャンって。
ニコラと一緒に出向したって人?
ポポ >>ジャンではなくジョンです。
サララ>>そんなのどうでもいいわよ。
ポポ >>はい、一緒に出向された人物です。
サララ>>そうか、一緒に出向したのだから
この会社にいるよね。
まさか、この下に居るとは。
ポポ >>はい。No19512研修室になります。
サララ>>打たれたってことは死んだの?
ポポ >>いえ、まだ生きておりますが、
重症でかなり危険な状態です。
ポポ >>別件ですが、1階に警備隊が到着しました。
総勢103名になります。
あと数分で多くのメディアも駆けつける
見込みです。
サララ>>思ったよりも遅かったね。
サララ>>ジャンを助けよう。その研究室へ案内して。
ポポ >>ジャンではなくジョンです。
サララ>>わっかったジャンね。急いで!
ポポ >>・・・
ポポ >>1人、別の人物がジョンの部屋へ入りました。
サララ>>え!
ポポ >>ASC社の2人組は部屋を飛び出し逃走中。
ジョンは、後から入って来た人物によって
治療を受けております。
サララ>>ジャン、助かりそう?
ポポ >>肺、腹部、左太ももの3箇所撃ち抜かれてます。
救助者によって止血が施されたようです。
意識はありません。
栄養材が投与されましたが効果は不明です。
危険な状態は変わりません。
サララ>>ジャンとの会話は無理そうね。
ちょうど警備隊が来たから、
医療班をジャンの部屋へ向かわさせて。
ポポ >>手配しました。
サララ(ASC社も怪しいとなると。
ここの黒服達にも聞き込みをしたい
ところだけど、会話できそうもないわね。
ジャンを撃った2人組みの方が何か
知っているかも。)
サララ>>ポポ。警備隊にじゃまされたくないから
ちょっとの間、私たちに近づけないよう
にしといて。
ポポ >>了解しました。
左上のアラートモニタに地図が現れ、
ルート案内が開始される。
秘書は自分のディスクに座り、タグを使って
知り合いを呼び出そうとするも誰にもつながらない。
すると突然、社長室の認証ロックが赤から緑へと
変わり解除された。
社長が出てくると思い、素早く立ち上がるり
扉の前へと立つ。
正面に立っていたのは少女の方だった。
お互い目が合い、サララは条件反射で
軽くお辞儀をする。
秘書もつられお辞儀して返す。
通常お客様が社長室から出てくるときは、
社長からの連絡を受け、扉の前へ待機し、
お客を連れて社長が先頭に出てくる手はず
になっている。
だが、今回は社長からの連絡はなく、
少女が先頭で出てきたではないか。
秘書は背筋に悪寒が走り、かなり動揺する。
サララ「社長さん、具合が悪いようなので帰ります。
一応救急車呼んどきましたから。
救急隊員が来るまで看病してあげて。」( ^^)
秘書の顔は青ざめ、社長室へ入って行く。
秘書が社長室へ入ると同時に、
認証ロックが緑から赤へと戻る。
サララ(社長を捕まえてもらわないと。
あとASC社長もか。
事件当日の記憶を証拠に捕まえてもらおう。
でもあれか。
私が記憶をスキャンしたことがバレたら
面倒なことになるわ。どうしよう。)
サララ>>少女が社長を人質に立て籠っているという
情報を下の警備隊に流して。
ポポ >>送りました。
サララ(これで警備隊はここへ来るわ。
証拠はどうしよう。)
サララ>>あと、事件当日のOTM社長とASC社長の
会話を秘書の業務端末に登録して。
ポポ >>登録しました。
サララ>>下の警備隊に、少女が秘書の業務端末を
操作してたという情報も流しておいて。
ポポ >>送りました。
サララ(よし、これで警備隊は秘書の業務端末も
調べてくれるだろう。)
サララ>>今さらだけど、社長と黒服の人たちは
大丈夫なんだよね?
ポポ >>はい、今のところ全員、命に別状は
ありません。
社長はタグによる治療が開始されて
いおりますので6時間あれば回復できる
見込みです。
過去の事例からPTSD、すなわち
トラウマが一生残る可能性はあります。
黒服達は、2ヶ月ほど入院する
必要があります。
サララ>>それは可愛そうなことをしたわね。(.. )
サララは、ポポのルート指示に従い廊下を走る。
彼らの位置を確認する。
サララ>>隔壁、閉めてるよね。
ポポ >>はい。彼らが進む先の隔壁は全て
閉じてあります。
サララ>>何でサクサク進んでるの?
私みたいに遠隔操作して開けてるのかしら。
ポポ >>いえ、破壊しながら進んでいるようです。
サララ>>破壊?早すぎない?
ほぼ止まらずに進んでるみたいだけど。
このままじゃ逃げられちゃう。
サララ>>ビー(小型爆弾)あるけど、
これ使えないかな?
穴開けて手っ取り早く下の階へ降りる
方法はない?
ポポ >>爆破すれば下へ抜けられる場所は
見つかりましたが、
破壊したもよろしいのでしょうか?
サララ>>ビルが倒れるわけじゃなんでしょ!
いいよ。
ポポ >>了解しました。
サララはポポの指示に従い、壁の横にある
ハッチを開け、梯子で下に降りられるように
なっていところを、ジャンプで飛び降りる。
着地すると、そこは人ひとりしか通れない
メンテナンス用の通路になっていて天井や側面が
無数の配線や配管で覆われていた。
ここは20階と19階の中間に位置する空間である。
通路は前後にまっすぐのびた一本道になっていた。
誰もおらず物音一つしない寂しい空間である。
ちょっと怖いと感じたが、捕まえなくちゃという
思いの方が強く、サララは指示に従い通路を走りだす。
メンテナンス通路は、碁盤の目のようになっていて
何か所か十字路がある。
ここの場所に来てから風景が全く変わらない。
同じところをすーっと走ってる錯覚に陥る。
ポポが居なければ不安と恐怖でおかしく
なっていたかも知れない。
サララ(OTMの社長は大悪党だ。
会社の利益のために100万人もの人々に
害を与えたのだから。
11人もの死者を出したのよ。
死刑よ。死刑よ。
まづは牢屋にいれないと。)
爆破ポイントに近づいて来た。
サララ(あれ、ビーがない。)
走りながらビー(小型爆弾)を取り出そうと
内ポケットに手を入れるが見つからない。
サララ(やば、どこかで落とした?)
サララは、ポポに指示された倉庫の中へと入り、
所定の位置で立ち止まる。
腰ポケットも探すが見つからない。
追っている2人組はほぼ真下に居る。
早くしないと逃がしてしまう。
もう一度、内ポケットを探してみる。
サララ(あった、あった。)
ビーはサイズが1cmほどの球体だったので、
隅にあると見つけづら物であった。
取り出すとためらわず即ビー(小型爆弾)を起爆させる。
♪ドーーン。
ビーは、直径3m以内は無風で、3m~100mを
高温の爆風で破壊する携帯用爆弾である。
最大の特徴は、爆心地が安全地帯となっていて
手榴弾と違って逃げ隠れする必要がないところ。
逆にデメリットは爆破するところまで移動
しなければならず、戦場での利用には向いていない。
爆発によって視界が悪い。
だが、足元を中心に直径2.5~3mほどの
ドーナッツような穴ができたのは確認できた。
と同時に真下へと落ちる。
19階通路へ出る。
瓦礫と共に粉塵も落ちて、視界が悪く、
状況がつかめない。
だが、空気清浄機が働き瞬時に視界がクリアとなった。
すると、正面に1人の男が立っている。
距離は2mとかなり近い。
捕まえようとした2人組うちの1人だ。
サララ(もう一人はどこ?)
男は、少女がどこから現れたのだという表情で、
目が泳いでいる。
サララ「こんにちわ」(^_^ )
♪ビーン、ビーン
サララに向かって、ちゅうちょなく2発、発砲する。
だが、サララは2発とも手のひらでレーザ弾を
受け止める。
男は動揺する。
幾度となく修羅場を潜り抜けてきたプロで
あるからこそ、この少女は危険であると直感した。
男1 「何者だ!」( --)
サララ「普通、撃ってからそれ聞く?
仲間だったらどうする気?」(--#)