4-13 因縁の対決に決着がつきました
~~~ 地下都市:1階 ~~~~~~~
サララを含め暴走集団は小屋が1つしかない
野原に閉じ込められた。
元大統領「貴様も出られなくなったではないか。
はは。騙されんぞ。
どこかに出口があるはずだ。」
サララ 「流石ね。」
サララは真上に指を刺す。
その場の全員が見上げると晴天の空に雲が
流れてるのが目に飛び込む。
ここは地下1階である。空など在る訳がない。
ステーションと同様に、この地下都市もまた
天井に青空を映し出していたのである。
サララが指差す先を見ると、上空の一角に
2m四方の不自然な穴が開いてるのが分かる。
確かにあの穴を通ればここから抜け出せそうだ。
だが、地上から天井までの距離は約90m。
壁は突起物のない平坦なものだ。
生身の身体で、壁をよじ登って天井の中央まで
辿り着くには、どんな強じんな筋肉の持ち主で
あっても不可能なことである。
サララ 「あの穴から出られるわよ。」
元大統領「面白い。天井から抜けられると?」
サララ 「そ。私からの出血大サービス。」
そんなサララの冗談とも受け取れる発言に
元大統領は動揺する素振りをみせないでいる。
それはメーティスへの管理者権限を所持してる
からである。
元大統領「なぁにロボットに命令して壁を
破壊させればいいだけのこと。
律儀にあの穴から出る必要などない。」
その時である。
♪ゴゴゴ
管理室の小屋をぶら下げていたワイヤーが
巻き取られ、小屋が上へと上昇し始めた。
数人が小屋へ駆け寄るも、中へ入るまでには
至らない。
3名ほどが、小屋の出っ張りに手を掛け
しがみつくことには成功したが、
2mほど浮上したところで、ただぶら下がる
だけでは、落ちたら死ぬだけなので、
3人ともあきらめて手を離す結果に。
サララ「残念でした。
管理者権限があっても制御端末が
なければただのおじさんね。」
元大統領「小娘が。」
この状況でもまだ元大統領は平然を装っている。
まだ隠し玉があるとでもいうのか。
そして、元大統領とサララが向かい合い。
その周囲を3000人の集団は取り囲む形となる。
どうみてもサララの逃げ場はない。
とりあえず、大統領の許可が出ない限り
サララに手出しする気はならしい。
サララ「残念でした。降参かしら。」
元大統領「我々の同士が、ここに居る者
全てだとでも思ったのか。
地下5階にはまだ仲間がおる。」
サララ「それで?」
元大統領「住民を人質にして今頃騒ぎを
起こしてるころだ。」
サララ「なるほど。下にお仲間が居たのね。
さっきの人質もあっさり返す訳だ。」
元大統領「ふふ。理解したようだな。
さぁ、管理端末をここへ戻せ!」
その管理端末のある小屋は上空のどこにも
その姿はなくなっていた。
天井の一部が大きく開き、小屋を飲み込んで
しまったからだ。
サララ「残念だけど見ての通りもうもないわ。」
元大統領「ふざけるな。
貴様の仲間の仕業であろう。」
元大統領は、この状況を監視してる第三者が
存在していると勝手に誤解してる。
その第三者が小屋を引きあげたりしてるのだと。
なので、この少女を人質にすれば、最悪
この場から脱出できるという考えでいる。
元大統領「いいのか?
わしが止めんと下で大量虐殺が起こるぞ。」
サララ「ご勝手にどうぞ。」
大統領が側近にめで合図する。
側近はタグで5階の仲間へ連絡を入れる。
側近 「だめです。つながりません。」
サララ「そうだと思うよ。
だって私が通信を遮断したんだから。」
元大統領「ありえん。はったりだ。」
サララ「お仲間ってこの人かしら?」
♪うわー-
上空から声がする。
見上げると人が落ちて来た。
いや、ものすごい速さで降下しているのだ。
それは、両手首に手錠のようなものが掛けられ、
唯一の脱出口である天井の穴から吊るされて
降りて来ていた。
♪ドン。うっ。
地上あと1mというところで、手錠が解除され
芝生の上に落とされた。
手錠付きのワイヤーは巻き取られ、そそくさと
上へと巻き取られる。
誰が落ちて来たのかと確認すると。
5階で暴動をするはずだったリーダーであった。
サララ「5階に残ったお仲間って。
7名でしょ。」
側近が正しいと、元大統領に目で合図する。
サララ「革命だかなんだ知らないけど。
参加メンバーは全員把握してました。
7名が実行に加わらなかったので
自宅周辺をレグで警備させてたの。
そしたら、時間差で武器を手にして
外に飛び出すじゃない。
そりゃ現行犯逮捕しますよ。」
元大統領の顔が険しい。
元大統領「なぜここに来たのが1名だけなんだ?」
サララ「他の6名は武器を捨てて素直に
捕まったわ。
とりあえず留置場に入れてる。
処遇はあとで考えるわ。
そこの人は抵抗したので、
力ずくで捕まえて、ここへ送った
という訳。」
サララ「そろそろ理解できたと思うけど、
ここは凶悪犯が最後に行きつく
場所よ。
何年経とうが、ここから出る
ことはできないでしょうね。
この広い何もない公園で
余生を過ごすこととなります。
食事は安心して。朝と夜の
2回上から落ちてくるから。」
元大統領「おい、これは人権問題だぞ。
正式な裁判を求める。」
サララ「人質使って、暴動を起こした人が
それ言う?
まぁ、死ぬまでギャーギャー
騒いでるといいわ。」
元大統領は、少女に何を言われようと
まだ楽観視していた。
というのも、少女が目の前に居るからだ。
ここから脱出できないのが本当だとしたら
この少女はどうやってここから抜け出す
というのだ。
必ず第三者が手助けにするはずである。
元大統領は、そのときを狙って形勢逆転を
目論んでいる。
元大統領「それで!貴様も我々と共に
ここで生活するとでもいうのか?」
サララ「こんな何もないところまっぴら
ごめんだわ。
野蛮な人達ばかりだし。
説明も済んだことだし、
そろそろ現場に戻ることにするわ。」
元大統領「どうやって出てく気だ?」
サララ「歩いてに決まってるじゃない。」
周囲「ハハハ」
サララ「もう会うことはないと思うわ。
それじゃね。」
元大統領「小娘を捕まえろ!」
周囲の者が一斉にサララに襲い掛かる。
だが、その場の全員が驚愕する。
サララがジャンプして、群衆を飛び越えた
からだ。
尋常でない高さと距離を飛んだのである。
1回目のジャンプで500m進み。
2回目のジャンプで壁面へと到達した。
それでも3000人の野郎どもは
諦めずサララを追いかけるが、
次の瞬間を目にして一斉に立ち止まった。
サララが壁面を垂直に歩いて登ったのである。
元大統領も含め誰も予想していなかった事態だ。
サララはみるみる上へと昇り、天井へ到達すると
天井を逆さに歩いて行くではないか。
例の出口へと差し掛かり姿を消したのであった。
取り残された者達は、ようやく自分たちの
状況を飲み込んだ。
死ぬまで、野原で過ごすということを。




