4-11 支配者って永遠に支配したいんだね。
~~~ 地下都市:5階 ~~~~~~~
サララは窓の外を眺め監視を続けている。
・・・
ここ30分ほど人通りもなく景色に変化が
見られない。
サララ「あぁ~あ」
誰も見てなからと恥じらいもなく、
サララは顎が外れるのではないかと思える
ほどの大きな口を開け、目を閉じて、
あくびをするのであった。
そりゃ、見てるだけはでは退屈だ。
特に彼らの会話が聞ける訳でもないのだから。
実は、こんな古典的な監視をする必要は
はなかっらなかったのである。
だって、サララにはポポというメーティス
から情報を採取できる頼もしい相棒(AI)が
居るのだから。
サララは寝て、監視場所に変化が起きたら
ポポに通知してもらえばいいだけのこと。
ではなぜ、こんな事をしてるかというと、
単に刑事の真似事をしたかっただけなのだ。
容疑者が滞在する自宅を刑事が張り込みを
してるところをドラマで見てて、
自分もいつかやってみたいと思っていた。
今まさにその希望を叶えたという訳なのだが、
体験して理解した。
退屈だと。退屈で死にそうだぞと。
張り込みは眠気との闘いなんだということを
学んだ。
サララが挫折しかけたところに監視先に
動きが出た。
元大統領宅に集まった連中が一斉に外へ
出て来たのである。
どうやらか会議は終わったようだ。
サララは外へ飛び出し、適当な1人を選び、
彼の後を尾行することにした。
これもまたサララのやりたかったことの1つだ。
張り込みの次は容疑者の尾行が定番だ。
サララは距離を保ちながら、ターゲットの後を
付けて行く。
先ほどと同様、わざわざ尾行する必要はない。
ポポにマークさせれば、リアルタイムに
ターゲットの現在位置を把握することができる
のだから。
サララはこの状況を楽しんでいる。
そして、彼を尾行しながらいろいろな妄想をする。
元フィジ国大統領は、何かしようを企んでいる。
とサララはにらんでる。
根拠は、タグを使わず元軍幹部たち30名を
自宅に招いからだ。
どいうことかと言うと、この時代、タグを使えば
わざわざ集まる必要はない。
対面で会話したいと言うのなら、連絡くらは
タグを使うはずだ。それすらしない。
これは悪い事を計画してるとしか思えない行動だ。
ただしこの集合は、単純に元大統領がパーティを
したく呼んだ可能性もある。
なんせ新天地に来たばかりなのだから。
生き残った幹部達と乾杯したくなるのは十分
在り得る話だ。
それならそれで問題ないとサララは考えている。
事が起こってからでは取返しが付かない。
少しでも可能性があるなら、最悪な方で行動
すべきだと考え今に至る。
彼らには武器がない。
しかも30名たらずでは何もできないだろう。
となると、事を起こすなら数千人規模を集める
ことが予想される。
ならば、収集された30名のだれでもいい。
後を付ければさらに配下と情報共有するはず
である。
なので、サララは適当に決めた1人を尾行
することにしたのだ。
ある程度歩いたところで、ターゲットがタグを
操作して無人タクシーを呼んだ。
ほぼ同様にサララもタクシーを呼んだ。
なぜ、サララはターゲットがタクシーを呼んだ
事が分かったのかというと、ターゲットが
タグを操作する姿を見たからだ。
直ちにタグの通信をハッキングし、タクシーを
呼んだことを把握できた。
ここは彼の状況や挙動から次に何をするのか
洞察するのではなく、あっさりとポポを頼った
のである。
サララにとって刑事ごっごは半分遊びであって
半分本気だということだ。
だが、このまま彼を追って何かしらの情報が
得られるのか、というのはある。
少なくとも彼は自宅に向かってないのは事実。
ならば、これから誰かに会う可能性は高いし、
大統領の話をするのは在りえる。
そして待つこと数秒。
ターゲットとサララのタクシーがほぼ同時に
到着し、2人はそれぞれのタクシーに乗り込み、
移動を開始する。
ちなみに、地下都市の広さは1フロア2km
四方である。
なので、タクシーに乗ったところで
大した距離は進めない。
サララ(どこまで行くんだろう。
あ!左に曲がった。)
タクシーが進める距離は所詮フロア内だ。
制限を掛けてるため他の階には行けない。
端まで到達したところで、たかが知れている。
サララの反重力シューズ使えば、
走って追いかけるもとも容易いだ。
むしろ尾行するなら走って追いかける方が
見つかるリスクは低いと言える。
要するにサララは、ここでも刑事ドラマの
真似事をしたいだけなのである。
サララ(あそこで止まったわね。)
タクシーが、ある雑居ビルの正面口前で
停車した。
ターゲットが下車すると、そのビルの中へと
入って行くのを確認。
サララは、50m手前の所でタクシーから
降り、そのビルへと向かう。
タグで調べると、2階の会議室に90名
ほどの人が集まってるのが確認できた。
サララは、シューズの能力を使って、
ビルの外壁を登り、2階の窓から強制的に
ロックを解除して潜入することに成功。
サララはタグを使えば、周囲にだれがどの
位置にいるかを把握することができる。
誰にも悟られず、会議室正面の壁1枚を
隔てて反対側まで近づくことが出来た。
隙間から会議室を覗くと、ターゲットが
背を向け立ってるのが見える。
そして、その奥に配下の者が横10名、
縦9列で整列して、ターゲットと対面に
立っている。
ターゲットが反対側を向いてるせいか
声が聞き取り辛い。
そこで、サララは胸元から3cm四方の
キューブ体を取り出す。
サララ(うわー、キモイ。)
ふたを開けると蜘蛛のような虫が入っていた。
これは虫のように見せかけた小型ロボットだ。
だが、サララにはそれが偽物と分かっていても
気色悪く手に取ることができない。
結果、キューブを逆さにして蜘蛛をほうり
出したのである。
そして、タグを使って蜘蛛を遠隔操作し、
隙間を伝って会議室に侵入させた。
床を歩いてターゲットへ近づき、側のテーブルの
足を伝って上へ登り、テーブル面の裏に
しがみつかせる。
そこだと、ターゲットの音声は良く聞こえる。
サララ(カールじぃ、ありがとう。)
この蜘蛛は、開発部のカール爺さんが作った
ものである。
サララは、目を閉じターゲットの声に耳を
傾ける。
どうやら、今夜軍事行動を起こすようだ。
ここのメンバーはそのために集められた
ということが説明された。
サララの嫌な予感は現実となろうとしいる。
今夜、決行する理由としては、地下都市の
警備やルールが整っていないこと。
集中管理室が仮設で、管理者が不在であり
人や運用方針が定まっていないからだと。
何も決まっていないのは仕方がないこと。
突然の大規模災害で、人類は絶滅の危機を迎えた。
まずは人命救助を最優先とし、何も決めない
まま、この地下都市に集結させたのだから。
第一段階の目的はほぼ達成できた。
次は、これからどう協力して平和に暮らして
いくかだ。
民主主義によって、いろいろなことを決めて
いこうと考えていたところであった。
だから、元大統領は何かが決まる前に
この都市を制圧し、天下を取ろうと計画している
のだという。
そして、最短で決行できるのが今夜という
訳のようだ。
サララ(あの大統領、頭いかれてる。
これから平和に暮らそうとしてるのに
まだ戦争をする気でいるわ。
自分が一般市民に落とされたのが
気にいらなかったのかしら。)
ターゲットは配下に告げる。
各人が武器になるような、例えばハンマーとかを
自作して認証ゲートに集合するだそうだ。
立ちふさがる物は全て破壊し、1階の仮設
管理室へ向かい、占拠するのだという。
サララは誰かに協力を依頼するか悩む。
考えた挙句1人で対処することに決めた。
理由は、協力を依頼するとなると元アストロ国の
誰かになるからだ。
そして、1人にでも相談したら多くの人が
加わることになるのは間違いない。
となると結果、アストロ国とフィジ国の戦争に
なるのは目に見えている。
もう、これ以上血を流してはならない。
そう考え、サララは1人で対処するしかないと
決意するのであった。




