4-10 わたし監視することにしました
~~~ 地下都市:5階 ~~~~~~~
サララ(あの人もあの家に入っていった。
この人も、この人もだわ。)
サララは現在、地下都市の5階にいる。
そう、元フィジ国人が居住するフロアだ。
元というのは、ここの都市へ移住する者は
国籍を変えられマス国人となっているから。
どういうことかと言うと、地下都市に居住するには
地位と名所を捨て、一般市民としてマス国人に
国籍を変えなければならない、という条件がある。
これは国家を1つにするのと、残された人類が
一度リセットされ、みな同じ条件からスタートを切る
というのが目的だ。
地上では生きていけない世界。
人類は地下都市しか生き延びるすべはなく、
無条件で従うほかないのであった。
<<地下都市利用状況>>
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1F:運営エリア
2F:元サイ人
3F:元アストロ人
4F:元アストロ人用予備(現在未使用)
5F:元フィジ人
6F:元フィジ人用予備(現在未使用)
7F:未使用
8F:未使用
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初期段階では国別にフロアを分け与えてはいるが、
ゆくゆくはフロア間を自由に行き来できるよう
解放し、人種が混在して争いをなくさせる狙いがある。
だが、サララは早い段階で元フィジ人が暴動を
起こすのではないかと考え、単身で5階へと
乗り込んで来たのであった。
元アストロ人の仲間を連れてこようかと
頭を過ったが、現状武器は持てないルールな上、
もしアストロ人だとばれたら暴動の火種と
なりかねないと考え1人で来たという訳である。
サララは、とある一軒家をターゲットとし、
道路を挟んで真向のマンションからその家を
監視をしている。
ターゲットとは、元フィジ国大統領である。
サララ(また別の人が来た。
いったい何人集まるんだろう。)
以前、この大統領には大変お世話になった。
もちろん悪い方で、でだ。
善人面でまんまんと騙された経験がある。
あの時の屈辱は今でも忘れてはない。
何か事を起こせば即牢屋にぶち込みたい思いである。
動機はされおき、もし何か悪いことが起こるとすれば
大統領が起点になるだろうと予測している。
なので大統領の監視を始めることにして今に至る。
するとどうだろう。
大統領宅に次々と客人が来るではないか。
しかも入って行く一方で出て行く人はいない。
怪しいとしか言いようがない。
中では極秘作戦を計画してる可能性が高い。
ここで難しいのが、これが必ずしも悪いことを
計画してるとは限らない、ということだ。
単なるパーティーで、皆挨拶に来てる可能性もある。
下手に手出しができない状況だ。
男「こりゃあ、危険だぞ!」
サララ「キャーーーーーーーー!」
サララの顔の真横に突然男の顔が現れ、
話し掛けて来た。
サララは驚き、両手でその男を突き飛ばしたのである。
♪ドス
男「うっ!」
男は吹っ飛ばされ、壁に激突した。
男「痛いよ~。殺す気?」
サララは、冷静を取り戻しその男の顔を確認する。
そして安堵した。
サララ「最悪~!」
テレス「ハニー、久しぶりに再会して最悪ないだろう。
痛たた。」
その男は、生物学者のテレスであった。
彼はサララと同じ元マス人であるから、メーティスへの
高位なアクセス権限が付与されてる。
なのでタグの検知を騙してサララに近づくなど
たわいもないことであった。
サララ「驚かす人が悪い。自業自得でしょ。」
テレスはサララに近づき両手を広げハグする
素振りを見せる。
サララ「私に触れたら倍、痛い思いするわよ。」
テレス「最近、怖いよ。
優しかったアニーはどこへ行ったんだ?」
サララ「その人、とっくに死んでますけど。
あんたも葬式のニュース見たでしょ?」
テレス「いや。今はそういう面白話しを・・・」
サララ「どういうことか説明しなさい!」
サララはテレスの話しをぶった切る。
テレス「はい?説明って何の?」
サララ「危険だ!みたいなこと言ったでしょ。
どういう意味か教えて!」
テレス「ああ、それね。
あの大統領、悪い事を計画してるよ。」
サララ「なんでそんなこと言い切れるのよ。」
テレス「証拠も確証もないが、可能性は高い。
理由は2つ。
1つは、この集会をタグを使わず口伝え
で連絡を取った、というところ。」
サララ「なるほどね。
マス国人となった訳だから管理者に
通話を盗聴されるのを恐れたのね。
だって悪だくみを計画してるのだから。
タグを使わず口伝えで人を集め、決起会
でもしてるってところかしら。」
テレス「ご名答。
2点目は、集まってる人達が側近と
元軍の幹部だということ。」
サララ「確かにそのメンバーは怪しいわね。
地下都市全体を制圧して天下を取ろうって
感じがするもの。」
テレス「だろ?」
サララ「どや顔は気に入らないけど。
あんた、思ったよりも頭いいわね。」
テレス「おいおい、オレは天才だぞ。」
2人は窓際から大統領宅を監視しながら会話を続ける。
サララ「よくよく考えたら、いつここへ来たのよ。」
テレス「たった今、来たばかりさ。
ナーシャさんのところに挨拶に行って。」
サララ「えっ!ミューミューに会ったの?」
テレス「ああ、ここへ来る途中で彼女を見つけたから
声を掛けた。頼みたいことがあったし。
そしたらナーシャさんに、人類のために
研究を続けてと頼まれたのでここへ来たって
ことさ。」
サララ「それで何でここに居るのよ?」
テレス「冷たいな~。妻がいるからだろう。」
サララはテレスをにらむ。
サララ「だったら邪魔だから、さっさとどっか行って!」
テレス「ツンデレか?
私も会いたかったって素直に言えばいいのに。」
サララ「じゃまするなら殴るわよ!」
テレス「分かりました。
1階に研究所作るけどいいよな?
一応、責任者様にお伺いを立てないと。」
サララ「ダメだって言っても作るんでしょ。
勝手にすれば!」
テレス「会いたくなったらいつでも研究室
来ていいんだぞ。」
サララ「はいはい。早く行って!」
サララは手で出て行けとジェスチャする。
テレス「出ては行くが、ここ1人で大丈夫か?」
サララ「私を誰だと思ってるの?」
テレス「強いのは知ってるが、1人で出来ることに
限界があるだろう。」
サララ「私1人で十分です。」
テレス「そうかい。あまり無茶するなよ。」
テレスは、この場を離れた。




